東広島市の三宅鞠詠(みやけ まりえ)氏から、第4詩集『夢*とりかへばや』をご恵投戴いた。
まずタイトルが気になった。「とりかへばや」とは何か。
調べてみると、平安後期に成立した作者不明の『とりかへばや物語』が出て来た。
運命のいたずらで女装、男装を余儀なくされた異腹の兄妹の物語とある。
今は懐かしい?中村真一郎や田辺聖子らが現代語訳しているようだ。言葉の意味としては「取り替えたいなぁ
という古語だという。
あとがきに「この詩集『夢*とりかへばや』は虚構です。以下に綴りました(前田/注・・・あとがきに述
べている事柄)ことも、虚構であるとご理解ください」とあって、読後であれ前であれインパクトのある設定
だと驚く。病院の同室で取り違えられた(同室の女が故意に取り換えた)”私”が育てられていく中で、複雑
な人間の繋がりや”運命”を、ある意味思い切った設定と構成で27作品を収めている。個々の詩作品という
よりは繋がった一つの”物語”。紹介したいのだが、流れを断ち切る事にも成り兼ねないので、冒頭の詩を
紹介することにする。
私は誰?
私は夢を見ていました
夢の中で私は
K子と呼ばれていました けれど
私の本当の名前はK子ではないのです
私の本当の名前は今も解らないまま
マリというのは
私が初めて買ってもらった
お人形につけた名前
自分の本当の名前がわからないので
自分の名前としてつかっています
発行日 2022年7月31日
著 者 三宅鞠詠
頒 価 (記載なし)
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