死役所 23巻
漫画、あずみきし
死後の死役所にやってくる人たちのお話。
23巻は、精神的にキツい話ばっかりで
ものすごくタイムリー。
新刊ではないのに、
このタイミングで23巻を読み鳥肌でした。
元小学校事務員の女性が抱えてた秘密は、
『男性教師が男子生徒を膝の上に座らせて
ズボンの中に手を入れているのを
見て見ぬふりをした』ことでした。
男性が男の子をなんてねとか、
男子生徒は学校来てるしね、
見たのは1回だけだから見間違いかもとか、
もしかしたら相思相愛だったのかもとか
(これは流石に“本気で言ってますか?”と
シ村さんのツッコミ入りました。)
彼女は秘密を抱えさせられたという気持ちが
強いため、“辛かったですね”的なセリフを
シ村さんに求めてますが、
結構チクチクやられます。
そして、シ村さんに“巻き込まれたくない”から
黙っていたのだということを白状します。
その気持ちも分からなくはないけど。
最終的にシ村さんは、
その後ろめたさから子供に
性教育をしっかりさせて
気をつけさせることができたんだから
良かったんじゃないですか的なことを
適当な感じに言って
彼女を成仏させます。
『言ってもしょうがない』と
見限られたんだなと私は感じましたが、
彼女は共感してくれなくて嫌だなと
思ってそうでした。
彼女の気持ちも解らなくはないですが、
誰にも相談もしなかったとは
それだけ見たことが事実で危険だと
知っていたということなんだと思います。
彼女も、誰かが告発して
聴き取り調査とかがあれば話してたかもですが
一番手になる勇気はなかったんでしょう。
そして、その少年は気にしてないかもとか、
今は幸せに暮らしてるかも
(だから今更と彼女は言いたい)とか
のたまってましたが、
シ村さんは気づいてました、
『その少年は死役所で働いてる』
ということを。
死役所で働いてるということは殺人犯です。
しかし死役所では表情に乏しいけれど
真面目に働く青年です。
そんな彼が殺人犯になったことと
小学生時代の出来事、
全くの無関係とは思えない。
彼女は間接的に誰かを殺したともいえるのでは
ないでしょうか。
今、賑わってる芸能界、
目に見えてる人たちが大人になった男性だから
軽く感じてる部分がある気がします。
漫画のあの1コマだけでも衝撃で
少年が反抗できずに固まってることが
ヒシヒシ伝わってきて心臓がキュッとなるのに
実際の被害者証言はそれ以上のことを
されていること、
本当に恐ろしいなと思います。
次は、お調子者が友達の結婚式の帰りに
仲間たちに「彼女にプロポーズする!」と
宣言して、影響されやすいなぁと
揶揄われたりして楽しく会話していたら、
飛び降り自殺した人が彼の上に落ちてきて
巻き込まれて死亡してしまいます。
死役所で、その飛び降り自殺者をみつけて
なじりますが、本人は知らないため
何を言われてるかわかってません。
なんて理不尽な死なんでしょう。
後味悪い話だなぁと思っていたら、
次の話は、その飛び降り自殺の人の話。
彼は、ひねくれた性格のため友達が少なく
他クラスの数少ない友人のとこに
通っていましたが、
そこでも人の悪口の話ばかりして高圧的で
その友人のことも馬鹿にしたような話し方で
我慢の限界がきて見限られてしまいます。
そのあとも大学に入っても変わることなく、
SNSでも誰も反応してくれずで、ずっと1人。
ある日、空を見て今日なら出来ると
飛び降りました。
かなり自業自得感の強い人物です。
でも、見限った友人2人は
線香上げには来てくれてました。
見限ったせいで自殺されてしまったと
重い十字架を背負わされてそうで、
そして、死役所で怒鳴ってきたのは
巻き込まれ亡くなった人だと知っても
あまり反省はしてない様子。
しかしリア充良い人な巻き込まれた人の方が、
自分の怒りを収めるために
なんで自殺したのかを彼に聞いて、
余計に怒りが湧いてきてしまいますが、
どうしようもないと悔しく思います。
そりゃそうだ。
しかし死役所員(シ村さんではない)に
握手しておしまいにしようと言われ、
とりあえず握手して別れます。
しかし巻き込まれた彼は、
その手をゴシゴシとズボンで拭いてるのを
自殺した彼が見てしまい、
彼は死役所でまた飛び降ります。
もう死んでるのにね。
シ村さんは冷めた反応でした。
こういうとこドライなシ村さん。
自殺した彼の家には『人殺し』の紙が
たくさん貼り付けられてます。
見ることが出来なくて良かったねと
思わず思ってしまいました。
見たら彼はきっとまた
飛び降りることでしょう。
今回は
『悪意はないけど配慮もなかったせいで
誰かを殺してしまった』という題材2本で、
やりきれなく、後味は悪いですが、
すごく考えさせられました。