言わなければならない事は言わないと前には進まない

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TPP 外務省に報告要求 日米のやりとり確認 13、14日に衆参農水委  (2012年06月13日):日本農業新聞きじ

2012-06-15 21:51:37 | 言いたいことは何だ
TPP 外務省に報告要求 日米のやりとり確認 13、14日に衆参農水委  (2012年06月13日)




 
 
 
 
 衆参両院の農林水産委員会は12日、理事懇談会をそれぞれ開き、今後の委員会日程を決めた。衆院で13日、参院で14日にそれぞれ農林水産委員会を開き、郡司彰農相が内閣改造に伴う所信を述べる。佐々木隆博農水副大臣も就任のあいさつを行う。農相の所信の後に、外務省から環太平洋連携協定(TPP)交渉参加ぐる報告を求めることも決めた。

 外務省は、5月の連休中の日米首脳会談を中心に報告する見通し。米国のオバマ大統領は野田佳彦首相との首脳会談で「自動車、保険、牛肉」の3分野について関心を表明し、日本に一段の市場開放を求めた。自動車などをめぐる日米両国のやりとりがどうなっているのかなど事実関係を確認し、TPPをめぐる今後の議論に反映させるためだ。

 18日からメキシコで開かれる主要20カ国首脳会議(G20サミット)を控えて、TPPに対する政府の前の めりな姿勢をけん制する狙いもある。外務省の報告は 副大臣か政務官が行う見込みだ。

 12日の衆院農林水産委員会の理事懇談会では、農相の所信に対する同委員会での質疑を14日に行うことも決めた。参院農林水産委員会は19日に所信に対する質疑を行う方向で調整中。4月中旬以降、中断していた同委員会は1カ月半ぶりに本格的に再開する。

 ただ、21日の会期末が迫る中、農水省が提出した4法案の審議日程はまだ決まっていない。消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の修正をめぐり民主、自民、公明3党の修正協議の結果を踏まえて、与野党間で対応を調整することになる。


[TPP反対 ふるさと危機キャンペーン TPPの病根 “けん引車”米国に見る 4] 消費者不在 (2012年06月13日) :日本農業新聞記事

2012-06-15 21:43:47 | 言いたいことは何だ
[TPP反対 ふるさと危機キャンペーン TPPの病根 “けん引車”米国に見る 4] 消費者不在 (2012年06月13日)




 

 
 
 1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)で米国はメキシコとカナダに対し、野菜と果実の関税を撤廃した。米国の農家は国内生産への打撃を懸念していたが「他国とは生産時期が違うため輸入は国内の生産がない冬に限られ、国内生産を補完するにすぎない」という自由化推進論に追いやられた。http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/13/uid001010_20120613133906baaefd00.jpg

 だが「国産と外国産のすみ分けができる」とされた代表品目のブドウですら、国産が出回る時期に輸入されている。対米輸出国が増えたからだ。消費者団体「フード・アンド・ウォーター・ウォッチ」によれば、2007年のブドウの輸入量はNAFTA発効前の93年から8割増えた。輸入品の大部分はメキシコ産と、米国と自由貿易協定(FTA)を結ぶチリ産だ。

 野菜、果実の消費量に占める輸入品の割合は07年がそれぞれ24%、22%と93年から倍増した。缶詰や冷凍など加工品の割合は生鮮品以上に増え、同期間に3倍になった。

 生鮮野菜・果実の貿易は98年に輸入量が輸出量を上回った。米国農務省(USDA)によると、野菜と果実の作付面積は98年から10年までに13%減少。一方で小売価格は上がった。野菜と果実の価格指数は、93年から10年までに約8割上昇した。利益を上げたのは巨大化した小売業者だ。同消費者団体によると、米国の食品市場の3分の1は同国最大の小売業者ウォルマートが占める。

 輸入の急増に伴い食の安全も揺らいだ。米国食品医薬局(FDA)の検査で、安全性の問題から輸入を拒否された食品は99年から06年までの間に2・2倍になった。原因の6割が残留基準違反など農薬の問題だ。消費者からは、FDAのサンプル検査で食の安全が確保できているのか疑問の声が上がっている。http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/13/uid001010_20120613133910c382effc.jpg

 米国ではポストハーベスト(収穫後)農薬の規制が日本などに比べ緩く、栄養価に大きな違いがない限り遺伝子組み換え(GM)食品の表示義務がない。同消費者団体のパティー・ロベラ次長は「食の安全・安心のルール作りで企業の利益が優先されている」と指摘する。

 USDAは、国産青果物の生産を増やすための地域内流通の仕組みづくりを課題の一つに挙げる。だが農産物直売所の振興のための補助事業予算規模は500万ドル(3億9500円)で、これら「地産地消」を推進する予算はUSDA全体の5%に満たない。農政予算の大部分は、高カロリーな菓子類や甘味料に姿を変えるトウモロコシなどに投じられる。

 ロベラ次長は「食品関連企業は、農産物流通や食生活が変わることでジャンクフード(スナック菓子など)のような収益部門を失うことを恐れ、政治力を使って健康的な食生活の実現を妨げている」と批判。寡占化が進んだ食品関連企業が、献金などで政府を動かし政策をゆがめている現状に警鐘を鳴らす。

・企業政治力に対抗を 自由化 歯止めへ連携必要 NFU会長インタビュー

 家族経営農家らでつくる農業団体「ナショナル・ファーマーズ・ユニオン(NFU)」のロジャー・ジョンソン会長は日本農業新聞のインタビューに対し、巨大食肉処理業者による買いたたきや輸入農産物の増加が農家や消費者に不利益をもたらしていることを強調した。また、企業の政府、議会への影響力が強まる傾向に危機感を示した。http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/13/uid001010_201206131339143ec235ac.jpg

 ―――農産物の流通をどうみますか。

 巨大化した企業が市場価格をゆがめている。農産物の小売価格に占める農家手取りの割合は、寡占化が本格化する1980年代まで30%を超えていたが、2010年には23%になった。加工品の農家手取りの割合は、ベーコン17%、パン5%、ポテトチップス5%などさらに低い。

 食肉処理業者の吸収合併が進んだこの30年間で養豚農家は10分の1に、肉牛農家は半分に減った。農家が規模拡大などで効率化に努めた一方、川下の加工、流通業は非効率になった。寡占化が進み、企業間の競争がなくなったためだ。牛肉の食肉処理は上位4社が85%を占めるが、地域的なすみ分けがあるため、家畜取引を1社がほぼ独占する地域も多い。価格交渉力を背景にした不公正な取引が増えた。

 また、北米自由貿易協定(NAFTA)発効後に野菜、果物などの輸入が急増した。流通業者の仕入れ値は下がったのに小売価格は上がっている。これにも流通業者の巨大化が影響している。

 農家と消費者を守るため、公正な市場価格の実現を政府に求めてきた。08年農業法に規制の見直しが盛り込まれたが、食肉処理業者などが政治力を使って、改革を阻んだ。監視強化の対象は養鶏に限られた上、必要な予算が付けられない。今後も対象拡大と予算確保を粘り強く求めていく。

 健康志向の高まりで、新鮮で高品質な国産農産物への需要は増えている。消費者が輸入品か地元産かを選べるようにすることが大事だ。地域内の流通を増やし、地元産の競争力を高めたい。

 ―――企業の政治力が高まっています。

 10年の連邦最高裁判所判決は、「表現の自由」を理由に、企業による選挙資金の提供を事実上、無制限に認めたが、これは間違った決定だ。企業の声が国民より大きくなれば政治不信が高まり、民主主義が危機に陥る。

 企業の政治力がさらに強まれば、極端な貿易自由化が進みかねない。大事なのは国民がどう対応するかだ。自由貿易に対する国民の疑念が高まっている。NAFTAが企業に利益をもたらすだけで、国内の雇用を減らしたことを知っているからだ。企業の政治力にどう対抗するかは、米国に限らず世界的な問題だ。自由貿易が国民のためにならないことを知る人々が、国を超えて連携する必要がある。(おわり)

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[TPP反対 ふるさと危機キャンペーン TPPの病根 “けん引車”米国に見る 3] 流通巨大化 (2012年06月12日):日本農業新聞記事

2012-06-15 21:31:35 | 言いたいことは何だ
[TPP反対 ふるさと危機キャンペーン TPPの病根 “けん引車”米国に見る 3] 流通巨大化 (2012年06月12日)





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「自ら命を絶ったり、都市に移住したりした農家の仲間の顔が、眠る前に思い浮かぶんだ」。家族経営農家らでつくる米国の農業団体「ナショナル・ファーマーズ・ユニオン(NFU)」のアイオワ州代表を務める養豚農家クリス・ピーターセンさん(58)は、食肉処理業者による買いたたきや農家間の競争などで養豚農家が30年前の6万人
 
から7000人に減っ「自ら命を絶ったり、都市に移住したりした農家の仲間の顔が、眠る前に思い浮かぶんだ」。家族経営農家らでつくる米国の農業団体「ナショナル・ファーマーズ・ユニオン(NFU)」のアイオワ州代表を務める養豚農家クリス・ピーターセンさん(58)は、食肉処理業者による買いたたきや農家間の競争などで養豚農家が30年前の6万人た同州の惨状を語る。http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/12/uid001010_201206121322107770b410.jpg

・つぶし合う農業者

 同州は豚肉、トウモロコシ、大豆の生産が全米1位で、日本などに輸出する。だがピーターセンさんは「利益のほとんどは大企業のものになる。農家は大規模化して他の農家をつぶさなければ生き残れない」と話す。

 食肉処理業界では1980年代から吸収合併が活発化し、寡占化が進んだ。米国農務省(USDA)によると2010年には上位4社で牛肉の85%、豚肉の65%を処理。食品小売業界でも上位4社が市場の過半を占める。その結果、企業の価格交渉力が強まり、小売価格に占める農家手取りの割合は下がった。NFUの調べでは、ベーコンの農家手取りの割合は17%にすぎない。USDAによると10年の食肉の農家手取りは32%と、84年から18ポイント下がった。

 農家に求められたのは効率化だ。ピーターセンさんは90年代、年3000頭を出荷するまで規模を拡大。一方で工場の夜勤を掛け持ちするなど寝る間も惜しんで家計を支えた。しかし98年に豚肉価格が暴落し破産。飼養頭数を減らし、抗生物質などを極力使わない高付加価値の経営に転換して再出発した。ただ兼業が必要なのは変わらない。

 他方、規模拡大を選んだ農家は豚舎の建設などで大きな借金を背負った。食肉処理業者から子豚を預かりマニュアル通りに育てる農家も増えた。毎年の契約更新ごとに農家への支払いは悪くなるが、泣き寝入りするしかないという。http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/12/uid001010_20120612132214c7c76261.jpg

 08年農業法には、不公正な取引を農家が訴えやすくするなど家畜取引の公平性を確保する規制の見直しが盛り込まれた。NFUなどは、牛や豚など幅広い分野で企業の買いたたきを防ぐよう求めた。ところが農業・食品関連企業が献金やロビイストを使った政治活動で対象を養鶏に限定。規制強化に必要な予算も付かないようにするなど改革を骨抜きにした。

 日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題や12年農業法の議論などが重大局面を迎え、農業界の政治活動は活発化している。政治資金の情報公開を行う「有権者の期待に応える政治センター」によれば、今年1~3月に農業業界がロビイストの政治活動に使った資金は1290万ドル(約10億円)。大規模農家や農業関係産業を会員とする米国ファーム・ビューロー連盟はその約半分を支出し、3カ月で昨年の総額を上回る額を投じた。同連盟は日本のTPP交渉参加を米政府に求めている。

・大規模化で農家激減 地域の結び付きが分断

 生き残りを掛けた大規模化によるコスト削減は農家の大幅な減少を招いた。米国の農村部では住民間の結び付きも弱まり、人口の減少で教育などにも影響が出ている。

 アイオワ州の養豚農家のクリス・ピーターセンさんは、農村のコミュニティーが分断される過程をこう説明する。

 「近所の養豚農家が突然、飼養頭数1万頭以上の大規模養豚に乗り出す。食肉処理業者の求めに応じて安い豚を出荷し市場価格を下げる。伝統的な農法で、ふん尿による環境汚染の防止や動物福祉の向上に努めてきた農家との間に溝ができる。州内でこうした問題が繰り返されてきた」http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/12/uid001010_20120612132220e19c203b.jpg

 ピーターセンさんには養豚業のいとこがいるが、経営方針をめぐる意見の対立で、言葉も交わさなくなったという。

 畑作農業でも同様の事態が起こっている。種子などの生産コスト上昇に対応するため規模を拡大する構図だ。米国農務省(USDA)によれば、遺伝子組み換え(GM)技術の開発などで種子の単価は1990年代前半から10年間で3.1倍に上がり、天然ガスの価格高騰で化学肥料代も2.5倍になった。

 同州のトウモロコシ農家、ジョージ・ネイラーさん(48)が住む町チャーダンでは農家数が30年間で5分の1に減少。小学校の1学年の児童数は50人から7~10人に減り、使われなくなった野球場が大豆畑に変わった。

 高校でも、生徒減少に合わせて教師が減らされたため、化学や数学の授業を受けに半日は隣町まで行かなければならない。

 ネイラーさんの経営規模は190ヘクタールだが、同町では1000ヘクタールを超える農家が増えた。「売り上げは伸びたが、コスト上昇で利益の伸びはわずかだ。家族経営の象徴である酪農までも大規模化が進んだ。不法移民を使ってコストを下げ、他の農家を押しやるような競争が幸せといえるのか」とネイラーさんは話す。

 大手穀物商社などを会員とする米国穀物協会は日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を強く支持する。TPP参加で日本の畜産が壊滅すれば最大の顧客である日本へのトウモロコシ輸出(年間35億ドル=約2800億円)は激減する。だが、同協会は「日本は全品目を完全な自由化から除外しない約束をして、交渉に入らなければならない」との立場を公式に表明した。TPPで畜産物の対日輸出が増えれば米国内の飼料用トウモロコシの需要が増え、会員の利益になる可能性があることを踏まえた意見だという。

 こうした考え方に、農家の暮らしや地域コミュニティーへの配慮はみられない。


[TPPの病根 “けん引車”米国に見る 2] 医療費増大 薬価操るメーカー (2012年06月09日):日本農業新聞記事

2012-06-15 21:25:43 | 言いたいことは何だ
[TPPの病根 “けん引車”米国に見る 2] 医療費増大 薬価操るメーカー (2012年06月09日)





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 官僚ら政府関係者や弁護士といった富裕層が多く住む米国の首都ワシントン。オフィスビルが立ち並ぶ中心部は整然としている。しかし議会議事堂から5分ほど車で走ると風景は一変する。崩れた壁や、ごみが目に付き、平日の昼間から少年が徒党を組んで歩く。

http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/09/uid000354_2012060915230210f4ea10.jpg こうした地域で医療を行う非政府組織(NGO)「ユニティー・ヘルスケア」の患者9万人のうち72%がアフリカ系で、76%が貧困水準(単身世帯年収1万ドル=約79万円=強など)以下の生活を強いられている。

 低所得者の暮らしを圧迫するのが高額な医薬品だ。製薬会社は「国会議員の生殺与奪権を握る」といわれる政治力を使い、企業に都合のいい制度をつくってきた。政治資金の情報公開を行う「有権者の期待に応える政治センター」によれば、製薬業界が1~3月、同業界の利益のため政府や議会に働き掛けるロビイストの政治活動に使った資金は6960万ドル(約55億円)と全業界トップだ。

 政治活動の成果が、製薬会社の言い値で薬価が決まる制度。日本などでは政府が薬価を低く抑えているのと対照的だ。また米国の製薬会社は、特許が切れそうになると形や色を変えるといった微修正をし、別の薬として特許を取るなどして価格を保つ。

 その結果、処方薬の価格は欧州連合(EU)加盟国平均の2、3倍。2011年の処方薬支出額は3199億ドル(約25兆円)で、1人当たり約900ドル(約7万円)と先進国で最多だ。安い薬を求めてカナダに行く買い物ツアーが人気になったが、法律で禁止された。

http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/09/uid000354_201206091524167d6758ed.jpg オバマ大統領は医療制度改革の中で、薬価の値下げによって、10年間で800億ドル(約6兆3000億円)分、薬の支出を減らすことを製薬会社に約束させた。だが、この値下げは同期間に見込まれる支出額の2%でしかない。薬への支出は過去10年で8割増えた。高齢化で今後も増加が続くため2%の値下げでは、「焼け石に水」という指摘が多い。

 市民団体「パブリック・シチズン」のマイケル・カローム医師は「(10年間での)わずかな値下げと引き換えに、政府は継続的に値下げ交渉をする権利を放棄した。(薬価が製薬会社の言い値で決まる制度の見直しという)最重要課題も棚上げした」とみる。

 製薬会社は、日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を強く支持。米国は同交渉で薬の特許期間の延長や政府が薬価を抑える制度の見直しなど要求し、他の参加国の反発を受けている。

・医療保険牛耳る企業 利益優先、格差が命直撃

 薬価とともに米国民を苦しめるのが、低所得者ほど医療費がかさむ医療保険だ。米国では医療保険は民間が中心。高額の保険料を払える富裕層は少ない自己負担で高度医療を受けられる。しかし低所得者は安心して病院に行けない。ユニティー・ヘルスケアの患者のうち民間の保険加入者は4%で、無保険者は20%に上る。国と州による公的医療保険もあるが、貧困者と高齢者向けだ。

http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/09/uid000354_201206091525298479d955.jpg 7カ月の息子と5歳の娘を首都・ワシントンの病院に連れてきたキャッサンドラ・クラークさん(26)は、美容師だったが足をけがして失職。現在は貧困者向けの公的医療保険で家族の医療費を賄う。「子どもを養うために早く仕事に就きたい」とクラークさん。だが、就職すると、公的医療保険の対象から外れる可能性がある。中低所得者向けの民間の保険もあるが、がんや心臓疾患などの高度医療の自己負担が高額になるのが悩みだ。

 働いていても給与が低い低所得者は貧困者向けの公的医療保険の対象にならないことも多く、かといって民間の医療保険の保険料(家族で月500ドル=約4万円=)を払う余裕もないため、無保険になる。無保険者は全米で5000万人に上る。

 ユニティー・ヘルスケアのヴィンセント・キーン代表は「貧しい人が病院に行けず、がんや糖尿病が進行して死に至るケースがある」と話す。

 一方で、保険会社上位10社の利益は、2000年から07年の間に4倍以上に増えた。保険会社は治療費を抑えて利益を増やすため、患者がどの医者にかかるかを決め、治療方法にも口を出す。支払い審査も厳しく、「一般的な治療でない」といった理由で支払いを拒むケースも多い。

 国民の不満を受け、オバマ大統領が最優先で取り組んだのが、安心して医療を受けられるための保険制度の見直しだ。だが、パブリック・シチズンのマイケル・カローム医師は「無保険者の一部は救われるかもしれないが、民間の保険会社主体の制度が維持され、根本的な解決にならない」と指摘。「業界が政治力で改革をゆがめた」と酷評する。

 改革では、医療保険への加入を国民に義務付け、所得に応じて国が補助する制度を導入する。財源確保のための増税が懸念されている他、持病を抱えることが多い低所得者が加入することで保険料が高くなる可能性もある。「最も恩恵を受けるのは、新規顧客を得る保険会社」との指摘もある。

 また米国は、日本に株式会社による病院経営を認めるよう求めてきた。キーン代表は「利益を追求する株式会社は小児科などの不採算部門を切り捨てる。それでは地域の医療は守れない」と危険性を訴える。


[TPP反対 ふるさと危機キャンペーン TPPの病根 “けん引車”米国に見る 1] 企業の政治力 (2012年06月08日):日本農業新聞記事です。

2012-06-15 21:19:22 | 言いたいことは何だ
[TPP反対 ふるさと危機キャンペーン TPPの病根 “けん引車”米国に見る 1] 企業の政治力 (2012年06月08日)





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 農家の廃業や医療の高額化、格差の拡大、脅かされる食の安全――。環太平洋連携協定(TPP)に対する日本国民の懸念は米国では現実だ。前回の大統領選挙でオバマ氏の当選を後押ししたのは、問題を引き起こした新自由主義からの転換を求める国民の声だった。あれから3年半。11月の大統領選を前に期待は失望に変わりつつある。オバマ支持者が望んだ改革の多くは、経済界の政治力で骨抜きにされた。TPPという一層の自由化政策を推し進める米国の病根を報告する。http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/08/uid001010_20120608135233ca801f4e.jpg

・献金で改革骨抜き

 ワシントンで5月、「ウォール街を占拠せよ」を合言葉に格差是正を訴えるデモがあった。
 「1%の富裕層が富を独占」「99%の国民の手に政治を取り戻せ」

 若者らが憤りに満ちた表情で叫ぶ。オフィスビルからは冷めた目線。一方で、バスの運転手がクラクションを鳴らしたり、歩行者が手を振ったりと賛意を伝える人も多い。

 だが、1%の富裕層が国富(純資産)の4分の1を占有するといわれる米国の格差社会が変わる兆しは見えない。背景には、政治への企業の影響力の高まりがある。

 デモに参加したブライアン・イースターさん(25)は「大統領選挙でオバマ、ロムニー(共和党候補)のどちらが勝っても、僕らは負けることになる」と、うんざりした表情で話す。
 北米自由貿易協定(NAFTA)で米国は、安い労働力の流入や企業の海外移転などで100万人の雇用を失ったとされる。同国の有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の世論調査でも7割が「自由貿易協定(FTA)は雇用を減らす」と回答した。

 イースターさんは、NAFTAの見直しを公約に掲げていたオバマ大統領が、NAFTAをモデルにした米韓FTAを発効させたことに対し、「強欲な企業の言いなりになった」と失望を隠さない。
 一方、対抗馬のロムニー氏が所属する共和党の政策は民主党よりも企業寄りとされ、規制緩和や自由貿易を積極的に推進。同氏も輸出拡大を目指す経済界や農業、医療の業界団体や企業から多額の献金を受けている。

 米国では選挙が近づくと対立候補をおとしめるコマーシャルが激増する。その内容が選挙結果を左右するため中傷合戦がエスカレートし、選挙費用を増大させてきた。

 政治資金の情報公開を行う無党派の市民団体「有権者の期待に応える政治センター」によれば、2008年の大統領選挙に民主・共和両党が使った資金は24億ドル(約1900億円)。同年の国会議員選挙も含めた選挙費用は53億ドル(約4200億円)に上った。同じく大統領選挙があった2000年より7割増えた。

・人材面も“癒着”公然 秘密交渉の情報 企業に

 米通商代表部(USTR)が1月に行った、日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加についての意見募集では、多くの企業などが賛成意見を表明した。日本の市場開放を期待する業界は、多額の政治献金をしている。2010年の業界ごとの献金額は、公にされたものだけで農業5862万ドル(約47億円)、医薬品・医療機器3195万ドル(約25億円)などだ。http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2012/06/08/uid001010_20120608135242422d2fba.jpg

 連邦最高裁判所の10年の判決が、政治の企業依存を一層強めると指摘されている。企業による選挙資金の提供が「表現の自由」として認められ、事実上、政治献金の額が無制限となったからだ。

 11月には、同判決後初の大統領選挙がある。民主党のオバマ大統領は4月末までに2億1705万ドル(約172億円)を、共和党候補のロムニー氏は9796万ドル(約78億円)を集めた。
 政官業の人的つながりも企業の政治力の源泉だ。特定の人物が、政府の幹部や国会議員といった公的な役職と、企業や業界団体の幹部など民間の役職、企業・団体の意向を基に政治家や政府に働き掛けるロビイストの職を転々とする。

 例えば、日本のTPP交渉参加を強く支持する米国研究製薬工業協会のロッド・ハンター副会長はホワイトハウスの元幹部で、USTRの顧問も務めた人物。逆に米食品医薬品局(FDA)のマイケル・テイラー食品担当副長官は農業バイオ大手のモンサント出身というように、民間から行政への転職も一般的だ。日本では“癒着”といわれても仕方ないような人材交流が公然と行われている。

 今年1月に訪米したTPPを慎重に考える会の民主党議員は、「団体幹部が悪びれもせず、政府中枢にいた自らの経歴を語るのに開いた口がふさがらなかった」と話す。

 TPP交渉でも、国民より 企業が優先されているとの指摘が絶えない。

 「TPPは大企業が推進している。600以上の企業がアドバイザーとして条文案を見られるのに、国民には交渉内容が明かされていない」。米国で最も大きい市民団体「パブリック・シチズン」のロリ・ワラック局長は、秘密交渉を続ける一方で大企業には情報を流す政府を批判する。

 市民団体やウォール街デモの参加者らは企業の政治力の拡大に危機感を強め、「企業献金を制限するための憲法改正」を求める。しかし、改正には上下両院の3分の2以上の賛成が必要だ。ハードルは高い。

 TPPをはじめ貿易交渉で企業の利益を優先する米国の姿勢は、今後も変わりそうにない。