月のカケラと君の声

大好きな役者さん吉岡秀隆さんのこと、
日々の出来事などを綴っています。

なまずのひげは

2009年02月02日 | なまずのひげ


先日のこと、
とある場所に向かって車を飛ばしていたのでありますが、
その時点で目的地までどんなに急いでも30分、
時刻は既に11時45分、約束時間は12時、要するに
遅刻であります。

そういう焦りの状況の時に限って、
通過しようとする信号がことごとく赤に変わって
一時停止をさせられてしまうのは憤懣やるかたなし。
いや、もしかしたらその状況は、
「ゆっくり行くべし」
というご先祖様からの啓示なのかもしれない。
「スローなブギにしてくれ」
と片岡義男だったらそういうだろうし、
「信号だもの」
相田みつをさんだったらきっとこうだ。
「そ~れ、ワンツーッ、ワンツーッ♪ 赤信号っす!」
チーターだったらこんな状況もこう明るくかわしてしまうに違いない。
うらやましいぞ、チーター。
しかし私は急いでいるのだ、し~あわせはぁ~~んにゃ♪
とかハンドルを握りながら歌っている場合ではないのだった。
急がねば。

などと逡巡している間に信号が青に変わったので
再び車を走らせたのでありますが、しかしその時、
なんと目の前に曲者がぁ!
いや正確に書くと白バイポリスだったのでありますが、
それがすっと私の車の前に横入りしてきて、
ウィ~~~ンォワンォワ~ン
とサイレンを鳴らしてきたのでございまして、あたくしとしてはもう

「ざけんなよっ、こんな急いでいる時にっうがぁーっ!」

と火を吹くピグモンになってしまったのですが、
しかしお上には逆らえない悲しい小市民。
そもそも急いでいたから捕まってしまったのだった・・・。
ぐっすん。

すごすごとその白バイの後に付いていって
車を歩道の横の道に停め、
その白バイポリスがチケットを切りにくるのを
しょび~んとなりながら運転席で待っていたのでありますが、
んがしかし、
その白バイ野郎は後方に停めた私の車に向かう代わりに、
前方に駐車されたもう一台の車の方に歩いていって、
そこでその車の運転手に職務質問を始めたのでありますだ。

一度に二台仕留めていたとは!

恐るべし白バイ野郎ジョンもしくはパンチ。
ジョンなのかパンチなのかそこのところをはっきりさせてほしい。

それにしても長い職務質問。
とっとと済ませてくださらないと、あたくしは遅刻どころか、
欠席になってしまってよー!
もしやチミたち今そこで、

「ビッグマックが更に大きくなったらしいよ」

「それじゃ~今日のランチはマックにするよ」

「でもバーガーキングも捨てがたいよね」

「どっちも美味しいよね~、ハッハッハッハ」

「そうだよね、ウハウハや~」

とかってただの立ち話をしているのではあるまいな。
んも~~~早くしちくり~~~~~~。
とやきもきしている私のことなど一向に気にする様子もなく、
彼らの会話は長く続き、その二人の顔には笑顔もなくて、どうやら
ただの井戸端会議をしているのではないらしい。

それにしても時間は刻一刻と過ぎていくし、
もうただの遅刻ではなくて大遅刻になることは免れないわけで、
しかし私はただぼんわ~~としながら待つしかなくて、
そうこうして待っているうちに何故か唐突に、

「マカロニウエスタンって何?」

なんていう全く脈略を持たない疑問が
頭の中に湧き上がってきちゃったりして、
急いでいるのに、
他に考えることが沢山あるだろうに、
大遅刻だってぇ~のに、
どうして私はマカロニウエスタンなどについて考えているのだ? 

しかし一旦浮かんできちゃった疑問は頭の中を支配して、
もうなにがどうしてもマカロニウエスタンは駆け巡る青春。
気持ちを切り替えるために鼻歌を歌いだしても、

待つ~わ~待つわ~いつ~まで~もま~かろに~♪

ってやっぱりマカロニになっちゃうのだ、
もうどうしたらええのっ?!

こういうときはそれについて熟考したほうがいい。
考えてみよう。

「マカロニウエスタン」

ふざけているのか?

そもそもどうしてわざわざマカロニでなければいけなかったのだろう?
ラザニアウエスタンとか、森の幸海の幸ウエスタンとかでは
何か行政上の問題があったのだろうか?
ウエスタンといえば西部劇だし、西部劇といえば荒野のならず者。
けれどもマカロニとは何事だ。
仕事募集の張り紙を見たならず者の
マカロニウエスタンの採用試験の履歴書に、

「特技・早ゆで三分」

アピール欄のところに、

「ママ大助かりの親孝行者」

とか書かれていたら斬新でワオ!となるかもしれないけど、
でもそれってどうなの?
とも言いたくなってしまうのが人情だよね。
などと思考をめぐらせているうちに、
やっと前方の車の運転手と話しを終えた白バイポリスが
私の顔を訝しげに見ながらこちらに向かってきたと思ったら
そのままバイクに乗って走り去ってしまった。

!!!

「ちょっとーっ待ちなさいよっ!
何も言わずに立ち去るなんて無礼者っ、待たれいっ、
そこのパンチーーっ!!!」(←勝手にパンチに決定したらしい)

しかし白バイパンチは遥か彼方へ消えていく。

どういうことなの? 

15分も待たされた挙句、私はパンチから、

めっ!

と遠隔法で叱られただけなのだろうか?
そりゃ~ないじゃないか、レイちゃん。。。
でもチケット切られなくてよかった。

「ってなことがあったんだよっ、ムッキー!でもちびっとラッキー!」

その晩、その出来事、題して、
「パンチは無言で去った事件」
のことを夕食の席でジャイアンに話すと、

「きっとその時、白バイのおまわりさんは車の中で待っている君を見て、
“なんじゃこいつは?”って思ったんだよ~」

「なんで? なんで善良な一市民に対してそう思うの?」

「あのね、白バイは違反車の後方からサイレンを鳴らして捕まえるんだよ」

えっ?!

あ、間違えちゃった、

えっ?!

「そんなこと聞いてないよ!」

「そういう問題じゃないんだよ~」

「ならどういう問題なのだ?」

「知識の問題だよ。君は違反車を捕まえた白バイの後ろに
ただついてちゃっただけなんだよ~。オバカさんでちゅね~あはは~」

「・・・・」

「あはは~」

「・・・・」
「あっはっはっはっは~、あ、

「前から言おうと思ってたんだけどさ、君が独身時代から使ってる
このお皿セット、趣味悪いよね、ものすごく」

「ああこれね~、でもこれは僕の趣味じゃないよ。
前に付き合っていた彼女が買ってきたものだもん」

「なんだ、前の彼女の趣味なのか~あはは~」

「そうそう、あはは~」

「まったくねぇ~、そ~んなことは今の今まで
知らなかったぞぃっ!!!



「なんで今まで黙っていたのだっ! 
あたしゃこの12年間な~んも知らずにこのお皿にのっかった食べ物を
“おいち~うふ”なんつって食べてたのかいっ、エ?!」

「だって~そんなこと気にしないと思ったから~」

「あたしの過去12年間分のおいしい食卓メモリーは今この瞬間に
崩れ去ってしまったではないか。どうしてくれるのだ?」

「買いなおせばいいよ~、もう古くなちゃったし」

「そういう問題じゃないのだ、スカポンタン君よ」

「どういう問題なの?」

「意識の問題だよ。いいかい、過去の恋愛は形に残してはいけないのだ。
それが今現在の愛に対する義理人情ってもんよ、わかるかい、アニキ?
それからもう一つ言っておきたいことがあるんだけど、
マカロニウエスタンってどうしてマカロニなの?」

「ええ~、知らないよ~そんなこと」

「気になるでしょ、どうしてなのか?」

「気にならないよ~」

「気にならないの?」

「うん、だってそんなこと気にしてもしょうがないじゃん。
それよりこのお皿、買い換える?」

「ん?」

「気になるんでしょ?」

う~~~~~む ←会話を反芻しているらしい。

 ←なにやら思いついたらしい。

「いいえ」

「そうなの?」

「そうなのでございます」

「なんかオセロの駒みたいな切り替え思考だね~」

「宵越しのシコリは残さねぇ~のよ、こっちとら江戸っ子でぇい!」


嫌な事って気にするから存在しちゃうのだ、きっと~。
でも気にしないからもういいのだ。
チーターだったらきっとこう言うよ、
そ~れ、ワンツーッ、ワンツーッ、人生っす!

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2 コメント

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Unknown (ぴんまろ)
2009-02-02 21:37:08
え~~白バイポリスマン、一言ぐらい声をかけてくれてもいいのにぃ~!ねぇ。

でも、私は白バイ野郎に信号無視でキップを切られちゃった側なので、風子さんはラッキーですっ!

それよりも、その後の食器。
以外な過去が見つかりましたが、12年という年月ですでにそれはお二人のもの。
ワンツーワンツー人生ですね。
返信する
そっかー! (風子)
2009-02-03 08:51:49
ほんとそうなんですよねっ、
パンチってば何かひと言いってから
去ってほしかった~!

でもビックりしたとでっす。
いやはや~、お互い安全運転でいきまっしょい!


>12年という年月ですでにそれはお二人のもの。

このお言葉、目からウロコでぃしたっ!
そうだ~、そう考えればよいのですよね!
春風が吹いていったように気持ちが温かくなりました
ありがとうございます、ぴんまろさん。

ほんと、ワンツーワンツーですよね、人生って。
返信する

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