何の本だったかは失念したが、恐ろしい話を読んだ。
それは、野生を失う事の危険というか恐ろしさだ。
甘い環境に身を委ねていると、身の破滅を招くものらしい。
◆蚕は自然界では生きていけない存在
今知られている地球上の生物で、唯一蚕だけが自然界では生きていけない。
蚕は、人間が約5000年前から飼い始めた家畜化された昆虫だ。
野生では存在していないそうだ、野生回帰能力を完全に失っているのだ。
蚕の幼虫は、桑の葉を食べて成長するのだが、自力では桑の木や葉につかまってはいられない。
人間がえさを与えないと成長できないのだ。
さらに生殖も、人間が雌雄を出会わせてくれるので、飛ぶ能力も必要ない。
つまりは、人間に飼育されることで不要になった器官を次々に放棄してしまったのだ。
これは人間にとっても、恐ろしい示唆を含んでいる。
恵まれた家庭で生まれた子が、何不自由なく乳母日傘(おんばひがさ)で育つと、
自らの力で生き抜くことができなくなってしまうこともあるようだ。
別に進んで苦労をする必要はないが、あまりにも甘やかされるとそれは本人のためにはならないものらしい。
→ほう、そういう家庭ではなかったおいらは、ある意味幸運なのかもしれないな。