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参議院無用論

2024年11月13日 14時08分15秒 | 政治・外交・防衛

<2002年7月15日に書いた以下の記事を復刻します。>

参議院本会議場

1) 私は別稿(「参議院は必要か? その廃止を考えよう」http://www.geocities.jp/yajimatakehiro/3.htmlで、参議院の廃止を提唱したことがあるが、以前にも増してその意を強くしている。 要するに、今の日本であれば「一院制」で十分であり、「二院制」はかえって混乱を引き起こしているからだ。“ねじれ”はその良い例である。 それだけでなく、必要もない「二院制」のために、毎年 莫大な国民の税金が浪費されていることに我慢できないのである。
「一院制」というのは、参議院を廃止しても良いし、逆に参議院の権限を強化させて衆議院を廃止しても良い。要は無駄なものを廃止せよということである。 一般的には現行憲法上、参議院の方を廃止することが自然であり、当然と言えるだろう。

 仮に将来、日本が「道州制」を導入して連邦国家になるとか、こんなことは有り得ないだろうが、「貴族(華族)制度」を復活させるならば「二院制」も必要となるだろう。 しかし、現時点で考えるならば、今の日本には「二院制」はまったく必要ないし、むしろ弊害を生んでいるのだ。
インターネット等で調べてみると、議会制を持つ世界の177カ国のうち、112カ国が「一院制」を採用しているという。「一院制」の方がはるかに多数で、「二院制」の方が少数(65カ国)なのである。 また列国議会同盟(IPU)の資料によると、普通選挙制度を取っている56カ国のうち、42の“単一国家”の中で「二院制」を採用しているのは、わずか12カ国に過ぎず、残りの30カ国は「一院制」を採用しているのである。 なお、14の“連邦国家”は全て「二院制」を取っている。
事ほど左様に、世界の大勢は「一院制」なのである。 私は「世界の大勢に従え」などとは言わない。 その国が必要と考えるなら、「二院制」どころか「三院制」があっても良いのだ。しかし、現在の日本では「二院制」はまったく無駄であり、むしろ色々な弊害や混乱を引き起こしているのである。

2) 日本では戦後、貴族院が廃止されて参議院が誕生した。 この当時、革新陣営の中には「参議院は必要ではない。衆議院のみの一院制で良い」とする意見も強かった。 ところが、当時の支配層や保守陣営は「二院制」を支持し、参議院が誕生したのである。この当時、連合軍総指令部《GHQ》も、日本は一院制が良いと主張していた。
当初、参議院には衆議院をチェックしたり、抑制する機能が求められていた。 第1回の参議院選挙で100名以上の無所属議員が当選し、彼等は有名な「緑風会」という会派を結成した。「緑風会」は、各政党の利害が激突する衆議院とは異なり、是々非々の公正で、高い立場から国政に当たったのである。 誠に“良識の府”と呼ばれるに相応しいスタートであった。

 その当時、私は小学校で、先生から「衆議院は政党で選ぶもの、参議院は人で選ぶもの」と教えられた。 新生日本で素晴らしい民主政治がスタートしたばかりだから、先生の教えは尊いものだと、子供心に思ったのである。
ところが、その後何十年も経て、参議院はどうなったのか。 どう変わり果て、どう転落していったのか。 私がいちいち言うのも愚かである。大方の国民は分かっているはずだ。 最早、参議院には何の存在意義もない。「衆議院のカーボンコピー」と言われてきたが、“カーボンコピー”という言葉自体が死語になろうとしているのだ! 「緑風会」などは消えてしまい、“良識の府”という言葉も、とっくの昔に死語になってしまったのだ。
参議院の政党化が進み、選挙制度も衆議院と同じ選挙区、比例代表制を取っている限り、何の特色もない。(選挙制度については、衆議院の方が真似したのだから、衆議院の方が悪いと言える。) 当然、参議院の改革をしようという動きが出ているが、遅々として進んでいない状況である。

3) このままでは参議院は終わりだと、多くの議員、国民が思っている。 正にその通りである。 参議院は歴史的使命を終えたのだ。後は消えていくだけである。 もし仮に参議院を必要とするならば、将来日本が「道州制」の連邦国家になった場合、初めてその存在が許されるだろう。
参議院議員の歳費、職員の給与、参議院の維持費、議員会館、議員宿舎など、年間どれほどの税金が使われているのだろうか。 莫大な税金が使われているはずだ。私には計算する気にもならない。 政治改革を言うなら、まず参議院を廃止して、税金の浪費を断ち切ることこそ喫緊の課題である。
参議院議員にも優秀な人物が多いはずだ。議員立法にも精を出していると聞く。 それならば、むしろ「一院制(衆議院)」で活躍してもらいたいものだ。 参議院が廃止されるなら、衆議院の定数を増やしてでも活躍して欲しい。「一院制」の方が活躍する舞台がはるかに広がるだろう。

 デンマークやスウェーデンは、1970年までに「二院制」から「一院制」に移行した。 無駄なものは直ちに廃止したわけで、デンマークやスウェーデンに出来たことが、日本に出来ないということは有り得ない。 先程も指摘したように、「一院制」は世界の大勢になっている。「一院制」にした方が、はるかにスッキリすることは目に見えている。 
しかし、問題は「一院制」にする場合、憲法改正が必要となるから、当然事は簡単にはいかない。 まして、あらゆる改革に消極的なこの国の有権者と政治家のことである。 憲法改正を待っていたら、100年(?)はかかるだろう。(日本では半世紀以上たっても、一度も憲法改正が行なわれていない! 「百年、河清を待つ」とはこのことだ。)
従って、参議院の存在に疑問を抱いている人達に訴えたい。参議院選挙では投票をボイコットしようではないか! その位いのことをしないと、この国の人達は目を覚ますことがないのだ。

 ボイコットとは排斥、拒絶のことだ。不買運動などの時によく使う言葉である。 これには強い意思が込められている。断固たる拒絶ということである。 私は衆議院選挙(総選挙)では投票するが、現在の参議院選挙では馬鹿々々しくて投票できない。
二番煎じの茶番劇(参議院選挙)などに、どうして参加できるだろうか。 国費の無駄遣いもいいところだ。 大切な国民の税金を、参議院などに浪費させても良いと言うのだろうか。 冗談ではない!! ふざけるのもいい加減にしろ!、と言いたい。
政治意識が低いから投票しないのではない。政治意識が高いから投票しないのだ。 現在の参議院ならまったく「無用の長物」である。早く無くした方が国民のためになるのだ。 従って、次の参議院選挙では抗議の意も込めて、断固投票をボイコットしようではないか! 以上、国民の皆さんに訴える。 (2002年7月15日)

蛇足・・・しかし、そこに参議院がある限り、選挙の際には投票に行って当然かもしれない。

 


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2 コメント

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参院廃止より憲法59条改正で (田の神様のつぶやき)
2013-07-05 11:15:08
さすが元政治記者、素晴らしい論文?です。ただ、参議院はいらないのなら、どうすれば廃止できるかを提言いただかないと単なる論文に終わってしまいます。一緒に参議院の在り方を話し合いたいですね。
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一院制の重要性 (矢嶋武弘)
2013-07-05 13:09:17
ありがとうごがいます。
要は「一院制」の方がわかりやすく、国政が混乱しないと考えます。
私は衆議院の議員が増えても、歳費などを低く抑えれば良いと考えます。
道州制になれば、参議院の存在価値も変わってくると思いますが、そうでなければ全く「無用の長物」でしょう。
国民はうすうす感じています。そろそろ参議院のあり方を真剣に議論したいですね。
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