矢嶋武弘・Takehiroの部屋

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小選挙区制のどこが良いのか?

2024年12月22日 14時20分45秒 | 政治・外交・防衛

<2021年11月に書いた以下の記事を復刻します>

<まえがき>

先の衆院選(10月31日に投開票)を私はボイコットしたが、それにはもちろん理由がある。くわしくは以下の記事を読んでもらいたいが、具体的な事例を1つだけ挙げておきたい。
私がいる選挙区は埼玉8区だが今回、立候補したのはたった2人だった。自民党のSさんと無所属のOさんである。 普通、県議選や市議選などでは、各党各会派から多くの立候補者が出馬するものだ。
その中で、各党各会派の政策や立候補者の人柄などを吟味して投票するのだが、それがけっこうやりがいを感じるものなのだ。 ところが、国政選挙だというのに立候補者が2人だけだと、なにか気が抜けたように感じる。
候補者が自分の支持する政党の人ならいいが、2人だけだと“選択の幅”がぐっと狭まるので、どうでもいいと感じる有権者が多くなるだろう。 以前の中選挙区制なら、だいたい5人から10人程度の候補者が出るので、選択の幅が広がって投票しようという気にもなるし、興味が湧くものだ。
前書きはこの程度にして、小選挙区制がいかに魅力のないものか、以下の記事を読んでいただければ幸いである。(2021年11月11日)

<少し古いですが、2015年に書いた以下の記事を復刻します>

1) 以前の衆院選(総選挙)は中選挙区制だったので、候補者が多い時は10人ぐらい出たりして選択肢の幅がずいぶんあったと思う。ところが、小選挙区制になって候補者はずいぶん減った。それは当然で、1つの選挙区から1人を選ぶのだから、有力な政党ぐらいしか候補者を立てられない。選択肢が非常に狭まるのだ。
中選挙区制の時は、例えば5人区で自民党は3~4人、旧社会党でも2~3人の候補者を立てていた。他に共産党や公明党、旧民社党などが候補者を立て、さらに保守系や革新系の無所属の人らが立候補していた。つまり有権者の選択肢が広がり、選挙自体がとても興味深かったと思う。
だから投票率も高くて、衆院選の場合はだいたい70%を超えていた。(以下の総務省の統計を見てもらいたい。→http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/ritu/index.html) ところが、小選挙区制になって選挙がつまらなくなったのか、投票率が70%を超えたことは一度もない。70%を超えるどころか、昨年(2014年)12月の選挙では52,66%と過去最低を記録した。
昔は投票時間は午後6時で締め切られたが、平成2年から午後8時まで延長された。そればかりではない。平成17年から「期日前投票」が可能になり、有権者の投票が非常にやり易くなった。それにもかかわらず、投票率は一部の例外を除いてどんどん低くなり、前回の選挙では過去最低を記録したのである。
これは何を意味するか。はっきり言って、小選挙区制が選挙をつまらなく単調にさせたのだ。先ほども言ったように、中選挙区制の場合は多数の候補者が出ていたため、誰に投票するかいろいろ迷ったぐらいだ。ところが小選挙区制になって候補者が少なくなり、嫌な候補者でも「政党」を見て一票を投じようという風になった。あるいは、棄権することが増えたようだ。
政党で選ぶというのは当然の判断基準だが、小選挙区制になってそれしかなくなった。先ほども言ったように、中選挙区制の場合は同じ党でも何人もの候補者が出ることがあるから、「人」で選ぶという要素が生まれてくるのだ。当然、選択肢は広がり面白くなってくる。
以上、選挙制度の良し悪しに触れたが、小選挙区制についてはずいぶん評判が悪い。以前は良いと思って導入に積極的だった人が、最近になって「あれは間違っていた」と反省しているケースが多々あるのだ。有名な政治家も何人もいる。それなら、なぜ小選挙区制が導入されたのか。
それにはいろいろな理由があろうが、私の記憶では「金のかからない選挙」という理由が最も多かったのではないか。平成8年に小選挙区制比例代表並立の選挙が実施されたが、当時は「政治改革」が何かブームになっていたように思う。小選挙区制になれば金がかからず、したがって企業献金も団体献金もいずれ不要になると見られていた。つまり、政治改革が実現すると思われたのだ。
始めはそうだったが、果たして政治改革は成功したのか。結果は、まったく駄目だった。今でも企業献金や団体献金は生き残っている。それどころか、企業・団体献金を制限するからという理由で、政党助成金(交付金)制度が誕生したのだ! その額は毎年、320億円にも上る。こうなると「金のかからない選挙」どころか、小選挙区制を契機に“政党丸儲け”の状況になったのである。

2) 小選挙区制を導入する前は、自民党など保守勢力から「2大政党制」を実現するために良いとする意見がしばしば出たように思う。2大政党制を支持する人は多いし、政局が安定するから良いという考えもある。しかし、小選挙区制を導入して理想的な「2大政党制」になっただろうか。
このところの選挙を見ていると、2大政党制と言うよりも何か“1強多弱”の政治が続いているようだ。民主党が大勝したかと思うと、自民党が圧勝する政局が続いている。少しも2大政党制になっていない。むしろ小政党が多く出てきて“多党化”しているのだ。
日本人は“猿真似”が得意だから、イギリスやアメリカの政治にならって2大政党制を目指したのだろう。それは良いかもしれないが、肝心のイギリスではどんどん多党化が進んでいる。たまたま 先に行なわれたイギリスの総選挙では、これまでの保守党対労働党の図式とはまったく違って、7つの政党が鎬(しのぎ)を削っていた。まさに多党化が進んでいるのが現状だ。
私はこの“多党化”が良いと思っている。形骸化している2大政党制を目指すよりも、多様なニーズに応えるのが民主主義の基本だろう。アメリカの民主党対共和党の2大政党制も、どこか形骸化した一面があるようだ。

それはともかく、今の小選挙区制の選挙だと、どうしても「死票」が多く出てしまう。先の衆院選では、この「死票」が小選挙区で総得票のなんと48%も占めた。(参考記事→http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-24/2014122401_04_1.html)。 これでは「一票の格差」どころか、一票が死んでしまうのだ! もちろん比例代表や惜敗率でカバーしている面もあるが、多くの問題点を抱えていると思う。
100%完全な選挙制度というものはない。しかし、できるだけ公正・公平な制度に改めていく必要があり、各党は今いろいろな改革案を考えているだろう。とは言っても、この小選挙区制が基本では、ますます政治離れや無関心を助長すると思う。
はじめにも述べたように、期日前投票制度などを充実させたのに、投票率はどんどん下降してしている。マスコミがいくら投票を呼びかけても、こんな愚劣な「小選挙区制」なんかクソ食らえと、思ってしまうのだ。1日も早く小選挙区制を廃止し、それに代わる選挙制度が生まれることを願ってやまない。


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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-10-20 01:22:03
1つの候補にしか投票できない投票制度の問題点
・投票した候補に対して「候補の中では第一希望である」
 という意思表示はできるが、それ以外の候補に対する評価はできない。
 そのため、候補が3つ以上である場合、第一希望とした投票者よりも
 不支持とした投票者の方が多い候補を当選させることがある。

・第一希望が割れているものの、全ての投票者が
 同じ候補を第二希望としていた場合があれば、
 その候補を採用することで全ての投票者を
 ある程度満足させることができるが、
 第一希望とされた候補にしか加点されない投票制度では、
 その様な候補が当選することはない。

ということで、ボルダ得点やシュルツ方式のような、
投票者にとっての候補の支持順序を集計する
選好投票の方が適切であると思います。

最低でも、
それぞれの候補に○か×を付ける
是認投票が良いと思います。
返信する
選挙制度 (矢嶋武弘)
2018-10-20 10:47:19
貴重なご意見 ありがとうございます。
なにはともあれ、今の小選挙区制の下での選挙では、「死票」があまりに多くて納得できません。何らかの改革が必要だと思います。
ご提案のシュルツ方式などについては、私はまだ不勉強ですのでもう少し時間をください。
いずれにしろ、選挙制度についてはもっと議論を高めていくべきでしょう。
かつて議論し合った時、一定数(3分の1程度か?)をクジで選ぶべきだというご意見さえありました。その方が「公平」だというのです(クジ加味選挙)。
さらに議論をしていくべきだと思います。ありがとうございました。
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