某テレビ局の報道に入って、初めて取材に行ったのが「かなりや祭」だった。
これは毎年4月3日に、東京・上野の不忍池(しのばずのいけ)のほとりで開かれるもので、有名な童謡『かなりや』を記念するものだ。今でも開かれているのだろうか・・・
私が某テレビ局に入ったのが昭和39年(1964年)だから、とんでもなく古い話だ。古いのは承知で、これも思い出の一つだからお許し願おう。
当時は“デンスケ”という重さが10キロ近いゼンマイ式の録音機を担いで、私はカメラマンとともに上野に出向いた。 現場に着くともう大勢の人たちが来ていたが、その中には地元の小学生が20人ぐらいいた。
やがて祭りの式典が始まると、歌碑の前で『かなりや』の作詞者・西條八十(さいじょうやそ)さんが挨拶を述べた。何を話したかよく覚えていないが、たぶん、この童謡の由来などを語ったのだろう。
このあと、地元の小学生が『かなりや』を元気よく歌ったりして祭りは終わった。その模様を私はデンスケで録音し、1分程度の短い原稿を書いたと思う。
余談だが、その時のカメラマンは若い女性だった。当時は記者もカメラマンもほとんど男性だったが、彼女は系列のKYODOテレビから派遣されて、初めて現場の取材に来たようだ。それが印象に残っている。
『かなりや』を聞くたびに、いつもあの頃の情景がよみがえってくる。
かなりや(童謡 アナログレコード版)