飲食居抜きソムリエ  山田 茂  飲食を辞める始めるときのブログ                 

飲食店を希望を持って始めたり順調に多店舗化したり、内装設備に費用がかなり掛かります。その投資を回収できます。

3.宅建取引主任士 25

2017-07-26 10:24:49 | 宅建取引主任士

   不動産独立開業は
     定年後の今が チャンス 

        

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「店舗物語」連載開始
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「不動産開業顛末記」
  「出会い」連載中

   
      

   7.2011.3.11.14:46.18以後

   47.千歳烏山に住まいを移す  new

   知人の招待で高円寺駅前の高架下に
   うどん店が開店、そのお祝いに一緒
   に同行した。遅い時間に行ったので
   ほぼ満席でカウンターが空いていた
   ので相方と座った。相方は、忙しそ
   うにあいさつ回りをしていて、席に
   座っている時間が少なかった。ふと
   、隣の女性がポスターを開いて話を
   しているところに、素敵なポスター   
   だったので、欲しいと、思わす発し
   てしまった。良かったら、差し上げ
   ますよと、こちらに向いた時に目が
   あって、ドキリ。それ以来時々会う
   ようになり、結果的に一生の伴侶と
   なった。それを機会に高円寺から千
   歳烏山に住まいを移した。千歳烏山
   は閑静な住宅街だった。
   青図営業は、大きな変化はなかった
   が、新しいサービスを模索中に、改
   めて同業者を調べてみると、青焼き
   の機械・PPC複写機・オフセッ
   ト印刷機は当たり前のように設置さ
   れつつあった。そんな中で飯田橋の
   老舗に近い同業の社長が、親切に対
   応してくれて、現況を詳しく教えて
   くれた。厳しい現実があった。
   (次回に続く)

 

        4*

        45.光陰矢の如し       

   新しいサービスの発見に一生懸命知
   恵を出しながらいつもの青図営業を
   繰り返し繰り返し実行し月日が流れ
   ていく。そうゆう中で委託会社の社
   内問題だが社員が辞めて小さい会社
   を作りそこに仕事を発注する外注方
   式がいくつか現れた。そこから発生
   仕事は独占的にもらえるが、場所も
   離れているので手間が大変な上、相
   対的売り上げは一緒なのだ。仕事が
   分散しただけなのだ。その傾向は、
   青図営業ルートの大きい会社ほど顕
   著だった。おかげで回る件数が増え
   忙しい。車も大分傷んできたので、
   中古の普通自動車に乗り換えた。や
   っぱり大きいほうが運転が楽だ。今
   の処、会社の経費は、本当にかから
   ない、普通にやっていれば運転資金
   は貯まるし、楽であるが、やはり次
   の手が中々ない、新しいサービスも
   提案できないうちに走馬灯の如く月
   日が流れる中、ついに一生、共にす
   る伴侶に出会う。
        (次回に続く)
   

    44.合併、断る       

   早い時間から焼き鳥屋は、サラリー
   マンでいっぱいだった。枝豆と焼き
   鳥セットをつまみに世間話をしなが
   ら、ひょいと、先日はいい仕事助か
   りましてよと、口にした。あいまい
   な相槌を打ちながら聞いていると、
   入院しているとき緊急に印刷の仕事
   が発生し社長が代わりに対応したと
   いうのだ。納品も終わり良かったと
   、喜んでいる。寝耳に水だ。退院し
   1カ月がたとうとしているのに社長
   から報告がない。そのことは、印刷
   工の人には、伝えなかった。どうゆ
   うつもりなんだろうと、いやな思い
   が込み上げてきたが、我慢した。
   結果的には、つまらない酒になって
   、店を出て高円寺のアパートに帰っ
   た。その後も、社長から報告がない
   まま1カ月が過ぎた。青図営業は、
   従来通りの売り上げは、確保でて
   いるが、印刷の営業は、思うように
   取れなかった。値引きでない新しい
   サービスの提案が必要だ。そんなこ
   んなで水道橋の印刷会社との合併の
   可否の約束日が迫って生きた。又、
   印刷工の人と、焼き鳥屋に行き、先
   日の印刷の件を伝えた。そして、合
   併の話も断ることを伝えた。翌日、
   社長に電話で、断りの電話をを入れ
   ると、簡単だった。さあ、振出しに
   戻って、新しいサービスを考えて、
   前に進もうと、心の中で誓った。
   (次回に続く)

 

       43.盲腸で入院      

         待ち合わせのレストランに行くと
   すでに体の太めの印刷業の社長は
   珈琲をおいしそうに飲んでいた。
   挨拶もそこそこに、早速、本題に
   入った。印刷と青図の融合の提案   
   は、納得のいくものであった。一
   体になることは問題ないが、どこ
   かちぐはぐさを感じたので、半年
   経理は独自に処理し、青図の営業
   を水道橋の印刷会社にうつし、お
   互いに紹介した仕事は折半という
   ことで合意した。1カ月が過ぎた
   頃、下腹が痛いので検査したとこ
   ろ盲腸とわかり近くの病院に入院
   した。退院し、あいさつ回りをし
   ているとき、青図委託会社の製図
   部の課長から、先日は、お陰で助
   かりましたと、声を掛けられたの
   で、どうもと、返事をしたが、意
   味が良く判らなかった。その意味
   間もなく、判明したが、しばらく
   は伏せておいた。相変わらず、青
   図と印刷営業の訪問を繰り返し、
   大きな変化もなく、帰り際に水
   道橋の印刷会社に寄ってみた。社
   長は留守だったが、印刷工の人と
   初めていろいろな話ができ、夜、
   焼き鳥やで一杯やることになった
   。
   (次回に続く)

 

   4*.

   41.つり革広告大反響   

   六本木の美容室の日比谷線つり革
   宣伝は、かなり反響があり地元で
   話題になったと聞いた。嬉しい事
   である。やはり、神の手と呼ばれ
   シャンプー時の手触り、今、思い
   出してもゾックと来るぐらい爽快
   感がある。サービスで売りがある
   のは競争力がより強くなる。果た
   して青図営業でそれに代わるサー
   ビスが提供できるか、そのテーマ
   を考えながらの単純なルート営業
   が続いた。バイトもかなり訓練さ
   れ委託会社の中でイケメンでスマ
   ートな体系が人気者になっている
   。売上も横ばいだが安定して、焦
   ることなく、次の作戦を練りなが
   ら営業できる。ありがたい事であ
   る。そんな中、一緒に仕事やりま
   せんかと、以前印刷でお願いした
   会社の社長から、声がかかって、
   翌日、会食することとなった。
   (次回に続く)

 

       40.電車のつり革広告   

   青図の社内委託業務と青図営業は、
   その後も大きな変化がなく、ただ、
   青図営業の名刺印刷は、価格が安
   いのとルート営業に付、便利さで
   月に10件位注文が入るようになっ
   たがページ物の印刷は中々、注文
   取れなかった。そうしているうち
   に、六本木の美容室の店長から連
   絡が入り、電車のつり革広告を出
   したいと、相談があった。早速、
   訪問の段取りを摂り、前髪の部分
   パーマとカットでお世話になり、
   その後カフェで印刷の打ち合わせ
   した。その時、改めてシャンプー
   の時の神技を本当に気持ちの良い
   夢の空間にいたような気分を再び
   味わった。最高の気分で帰り、つ
   り革広告の段取りと、デザインを
   考えた。その時、神技シャンプー
   をメインコピーにすることを、思 
   いついた。3度ほどの打ち合わせ
   得てデザインが完成し、かなり斬
   新な広告が出来上がり、1カ月間
   電車のつり革に宣伝した。日比谷
   線に各車両に4枚づつ全車両に取
   り付けた。
        (次回に続く)

 

 

       39.印刷営業強める    

   青図営業は、B0サイズ版がメイ
   インなり、仕事そのものはシンプ
   ルになり楽になった。でも、売り
   上げは徐々に下降線をたどってい
   く、やはりPPC複写機の影響
   がはっきり出てきた。現在、40社
   を毎日回っているが、ここに新し
   いサービスを提供できれば、手間
   も一緒だし利益が少なくても対応
   できるので競争力が発揮できる。
   名刺が切れたので、久しぶりにい
   つもの印刷屋さんに行って頼んだ
   。その印刷屋さんの工場をよく見
   ると印刷工が2人いて忙しそうに
   印刷機を回していた。案内板を見
   ると名刺からオフセット印刷まで
   何でもこなしていた。後日、印刷
   工場の社長に面会を申し入れて、
   印刷関係の価格協定を提案した。
   営業から納品までこちらが処理し
   印刷のみに特化してもらうことで
   破格の値段を出した。大雑把にい
   うと名刺半額、オフセット印刷3
   割引き等。答えは、保証金50万
   円を預けてもらい、価格協定を
   中止するとき1割を償却ならいい
   でしょうと、の快諾だった。勿
   論こちらの提案した案件なので
   価格協定が成立した。早速、名
   刺中心のチラシを作り営業に回
   った。名刺は3割引きを売りにし
   た。
   (次回に続く)

 

       38.PPC複写機の登場  

   第1次オイルショックが落ち着い
   たころ青図価格は、少し高値で推
   移していった。これを機会に青図  
   新サービスは中止して、通常の取
   引に戻した。その時、他の業者の
   価格を調べて、20%引きで設定し
   、青図ルートをチラシを渡しなが
   回った。しばらくは反応は少なか
   ったが徐々に売り上げが上がり、
   月売上が40万円に届くところ迄
   来た。よし、このまま様子を見よ
   うと、この方針の継続を決めた。
   複写機の業界も開発が進んで大手
   企業や複写を専門で経営している
   大手同業者では、普通紙に複写で
   出来るいわゆるPPC複写機を導
   入し始め、その影響が少しずつ出
   て来た。PPC複写機は、B2以上
   サイズに対応するには莫大な費用
   がかかるので、大きいサイズは青
   図が向いているが、商売としてい
   る以上対応をしないと、遅れる可
   能性がある。置く場所もないし、
   今お世話になっている会社も、導
   入した。それは、その会社の管理
   下に置かれ、こちらは関知できな
   かった。小さいサイズの複写は、
   すべてPPC複写機で担当者が個
   別に自由にやっていた。バイトの
   手の空いている時間が増えてきた。

         (次回に続く)

   

       37.第一次オイルショック 

   先日の紙筒の注文は、無事契約
   になりメーカーからの発送のみ
   となりどうにか目途が立った。
   青図は、5万円超える企業がも
   う1社出てきたが、売り上げは
   35万円を境に行ったり来たり
   してその壁を中々越えることが
   出来ないでしばらく進んだ。夜
   の大学もつい、仕事を理由に欠
   席することが増え、とうとう進
   級が出来なくなり、かなり遅れ
   だした。青図請負の仕事は、経
   費がかなり低いので時間ととも
   に現金が増えてきて、余裕をも
   って経営できた。そんな状態が
   1年以上続いた1973年秋に第一
   次オイルショックが発生し、物
   価上昇が起き、買い占め等で、
   パニック状態が続いた。当然、
   青図の用紙も不足になり価格も
   高騰、とんでもないことが起き
   た。紙がないと仕事にならない
   ので紹介紹介の連続であちこち
   行ってどうにか確保した。現金
   を持って高値で買えば仕入れが
   出来ることも判ってきた。お陰
   で依頼された仕事は、全部対応
   でき信用度が増した。それと、
   資金的に
体力があったので、価
   格は据え置きで対処出来た。
   世の中、自分では、どうにも出
   来ない事があることを身をもっ
   て経験し、後に経営感覚として
   体に刻まれたと思う。
   (次回に続く)

 

       35.売上に変化が現れる  

   青図新サービスを開始してから
   3カ月が過ぎても月5万円を超え
   売り上げをする企業は、一件も
   なかった。けれど、毎月の売り
   上げが少しづつ上がり始めた。
   今までは月20万円前後をうろ
   うろしていたが先月位から5万
   ほど伸び来月ももう少し行きそ
   うな状況だ。おそらく、依頼企
   業が半額サービスは簡単ではな
   いが製品に差がないのでとりあ
   えず依頼して新サービスを受け
   られればラッキー位の気持ちで
   気楽に構えているのかもしれな
   い。一企業5万円以上を目指し
   た企画が,小口だが多くの企業が
   少しづづ依頼してきているのだ
   。予想と違ったが、これは嬉し
   い誤算だ。利益率が抜群になる
   。むしろこの状態で50万円売り
   上げが行けば最高なのだ。だが、
   翌月とうとう5万超えの企業が
   出てきた。来月は半額だ。この
   先の動きがどうなるか、全く判
   らない。
   (次回に続く)

 

 

   34.新サービス開始   

   紙筒営業は、その後変化がなか
   ったが昨日、500本の新規の見
   積もり依頼があった。早速、見
   本と見積書をもって訪問した。
   これが契約になると総在庫数の
   半分が消化され、メーカーも安
   心してくれるだろう。青図営業
   は、先日の美容室のサービスの
   ヒントから考えた、月売り上げ
   5万円超えた、翌月は30%割
   引きしたらどうかと、バイトに
   相談、すると、バイトが30%で
   は弱いと思います、折角なら50
   %にしたほうが、インパクトが
   強いですと、大胆な意見を述べ
   た。確かに一度半額サービスを
   実施しているから30%では、効
   果が薄れる可能性が大きい、中
   々バイトも年下なのにセンスを
   持っていると思った。いい人材
   入ったものだ。ここは、利益よ
   りも安定して仕事量を確保した
   方針が正解かもしれない。
   翌日から、訪問先を10社増やし
   40社に、チラシを担当者に渡し
   ながら目標を従来の倍額の月売
   上100万を目指して受注企業数
   20社を確保のために周りに周り
   続けた。と言っても、そんな大
   変な仕事ではない、飽きないで
   継続できるかにかかっている。
   案の定、前回と違って実績重視
   のサービスなので中々思うよう
   な反響がないまま2ヵ月が過ぎ
   た。
   (次回に続く)

   

   33.次の一手      

   その後も、青図請負業務契約会
   社からの仕事は多少の変動はあ
   ったが、経費を賄えるだけの売
   り上げがあり、有難かった。で
   も、いつまで続くか判らないの
   で、今のうちに他の売り上げを
   確保しないと安心できない。青
   図半額サービスは、失敗したけ
   れど内容によっては青図ルート
   営業は仕事が取れることの確認
   が出来た。継続できる提案を発
   見出来るかに掛かっている。営
   業しながらそのことばかりを考
   えるようになった。紙筒は、可
   能性があるが消費サイクルが長
   いので給料でいえば賞与的なも
   のだ。やはり、青図受注を増や
   すことが安定し、地味だが確実
   に売上を増やすには最適だ。先
   日、六本木の美容室に気分転換
   で又行った。前回、会計の時に
   カードをもらったが忘れてしま
   い、再発行してもらった。カー
   ドのサービス内容に10回来店で
   次回半額サービスという項目が
   目についた。ピーンと来た。
   (次回に続く)

   

   32.青図半額サービス中止 

   希望に燃えて、将来の設計図を
   描きながら、営業に回る日々が
   続いた。青図半額サービス4か
   月目も売上55万円になり最高
   記録を更新。だが、翌月から、
   急に依頼が落ちてきた。担当者
   にそれとなく声をかけると、サ
   ービス期間、終わったんでしょ
   と、そっけなかった。はっと、
   した、そうか、半額の時だけ大
   口だけを利用したのだ。考え
   てみれば当たり前のことだ。誰
   だってそうするに決まっている
   。案の定、売り上げは30万円に
   なり翌月は20万円になった。
   翌月も回復しなかった。青図半
   額サービスは、新規顧客を回ら
   ないと取れない、でも、これ以
   上回る件数は増やせないし、結
   局、振出しに戻り少し毎月の売
   上がかさ上げされた格好だ。で
   も、結果が早く出てよかった。
   長く続いていれば、本店を契約
   していたかもしれない、世の中
   そんな甘いもんじゃない。
   (次回に続く)

 

   31.青図売上急増      

   決済待ちの紙筒の受注が決定、
   まったくの同質の品質が半額が
   決定打になったようだ。協力メ
   -カー様様だ。そうしているう
   ちに青図半額サービスの反響も
   現れ始め、チラシ配布から1カ
   月後の月の売り上げが、ついに
   30万円を超え翌月は目標の50
   万円に近づき成功といえる結果
   になった。半額することで大忙
   しになると思っていたが、予想
   に反して100枚単位の大口の依
   頼がほとんどなので青図ルート
   営業はいつもと同じペースで回
   れた。バイトの作業に隙間がな
   くなって、大変かもしれない。
   しばらくの間売り上げが順調に
   推移し、バイトの待遇改善と、
   新しい売上UPの方法を考えて
   楽しい時が過ぎた。今の受注企
   業からの間借り作業所では、営
   業に限界がある、独自に作業所
   を借りて、もう一人バイトを増
   して本店と今までの作業所を支
   店として位置づけて売り上げの
   倍増を目指す、そんな発想が脳
   裏に映った。
   (次回に続く)

 

   30. 半額サービス始める  

        青図ルート営業は、10社増やし
   たが効果は上がらなかった。た
   だ、紙筒の注文が1社話が進ん
   で、決済待ちになっている。注
   文300本単位で少し嬉しい話だ
   。青図の注文を増やすために価
   格を下げないで解決する方法は、
   何かあるのか。中々アイデアが
   浮かばない。バイトにこのこと
   相談すると、新規契約の1カ月
   サービスして頼みやすくしたら
   どうですかと、笑いながらこち
   らの顔を覗き込むように答えた
   。ドキンとした、期間を限定し
   て、価格を下げ入口を下げる発
   想は当時全く出てこなかった。
   バイトに参考にするよと、作業
   場を後にし、早速ビラを作った。
   半額、新規取引から1カ月間
      但し、青図に限る
   翌日から午前中の青図ルート営
   業の時に担当者に声を掛けなが
   このビラを手渡しして回った。
   原価率30%なので、受注できれ
   ば赤字にはならない。1週間毎
   日、担当者に声を掛けた。果た
   してどうなるか。
   (次回に続く)

 

   29.顧客満足      

   セット台で待っていると、久し
   ぶりと、声がかかり簡単にシャ
   ンプーをしてカットが始まった
   。前髪部分にソフトウェーブを
   かけたほうが素敵ですよと、勧
   められて任した。思い出話をし
   しているうちに再度シャンプー
   が始まりとても気持ちが良かっ
   た。後日わかったことだけど、
   シャンプーするときの肌触りが
   トップクラスで神の手と、呼ば
   ばれて人気があると聞いた。確   
   かに強すぎず、弱すぎずでとて
   気持ちが良かった。最後のウェ
   ーブパーマが決まりあっという
   の2時間だった。会計は安くは
   ない、初めての美容室でとても
   気持ちの時間を過ごし、店を出
   てからも、どことなく気分が良
   く別人になったような
がした。
   折角なので近くのカフェに入り
   珈琲を飲んだ。いつもと違う空
   間を楽しんだ。サービスとは、
   価格を下げないで顧客が満足で
   きれば一番だ。今回、本当にい
   つもの床屋さんの数倍を払った
   が満足度は最高である。綺麗に
   オシャレする女性の気持ちの一
   端が理解できた。
   (次回に続く)

 

   28.オシャレを楽しむ  

   青図や紙筒のルート営業始めて
   から4か月目に入った。青図ル
   -トの売り上げは、2カ月目12
   万円、3カ月目10万円と芳しく
   ない。勿論、紙筒は受注無し。
   原価率が30%の設定なので、
   青図の受注は、近い将来月50
   万円を予定している。価格を下
   げるか、配達をその日にするす
   るか、むしゃくしゃする日が続
   いた。でも、振り返ってみると
   投資金なしで始めた仕事でバイ
   トを雇えるところまで来ている
   し、焦ることないかと、思い直
   し気分転換に先日開店した六本
   木の美容室に行くことにした。
   予約をして、前もって買ってお
   いた、うすいピンク色のシャツ
   とダークグレイのズボンをはい
   て(オシャレをしたつもり)颯
   爽とワクワクきぶんで六本木に
   向かった。美容室は、六本木の
   大通りの4階にあった。少し緊
   張して入店すると、いらっしゃ
   いませと、若い綺麗なお嬢さん
   がエスコートしてくれた。ドキ
   ドキものである。
   (次回に続く)

 

       27. ルート営業、苦戦  

   オーダー紙筒の納品も順調に納
   入されて完了し、メーカーから
   の配送も指示通り届き、満足し
   た。バイトの評判も良く、従来
   の売り上げをクリアーして安心
   して任せられた。問題は、車で
   のルート営業が予想より芳しく
   ない。約1カ月経過したが、青
   図の受注が2社で5万円だった。
   もちろん紙筒の新たな開拓はな
   い。予想よりはるかに悪いのだ
   。午前中の青図のルート営業の
   会社を10社増やして再度挑戦で
   ある。そんなある日、バイト時
   代に一緒に働いた人からアパー
   トにハガキが届いた。美容室・
   六本木に開店のお知らせだった
   。そういえば、兄貴と喧嘩して
   美容業界からにげてきたと、言
   っていたが、どうも仲直りした
   らしい。兄貴はその業界ではち
   ょっと有名と言っていた。ハガ
   キ案内のデザインがとても綺麗
   で素敵だった。そうだ、今度一
   度連絡して、少しオシャレをし
   てもいいなと、思うと、六本木
   に早くいきたい気持ちになった。
   (次回に続く)

    

   26.本格的な営業開始 

   明日、車が届くので、今日は久
   しぶりに作業場はバイトに任せ
   ゆっくりと喫茶店でコーヒーを
   飲みながら今後の営業活動の計
   画を練った。午前中は作業所の
   近くの建築会社等を20社ほどを
   新宿のバイトで実行した飛び込
   み営業を繰り返し青図をメイン
   に受注して一度、作業所に戻り
   バイトに夕までに仕上げてもら
   い、翌日の午前中に依頼先に配
   達する一日サイクルを作る。
   午後の1時から5時までは、紙筒
   の営業で都内で対象会社20程を
   順番に飛び込み営業する。これ
   を3カ月繰り返して様子を見る。
   今の売り上げの半分を目標とし
   大雑把だがあまり自分を追い込
   むとよくないので気楽に前に進
   もうと思った。車と紙筒の支払
   いは、現金なので経費として余
   分に掛かるのはガソリン代がほ
   とんどだ。
   おそらく今の売り上げを維持す
   ればどうにかなる
。焦らないで
   コツコツと実行して、役に立ち
   たいと思う。外部の仕事の受注
   は、先日総務課長に申請して、
   すでに許可を貰っている。夜、
   この仕事を紹介してくれた先輩
   と新宿でお礼を兼ねて居酒屋で
   軽く飲んだ。どうにかなってい
   ますと、報告すると、先輩は喜
   んでくれた。再会を約束して高
   円寺の4畳のアパートに帰って
   明日からの営業に備えて早めに
   床に就いた。。
   (次回に続く)

 

   25.紙筒メーカー訪問    

   新人のバイトに2日間付き添って
   任せられっるようになったので、
   紙筒のメーカーに先日の依頼書
   の件で電話すると、一度お会い
   して進めたいと提案があった事
   と、見本が欲しかったので、早
   速、工場に向かった。草加駅に
   昼過ぎに着き、約束の14:00に
   は早かったので駅前でニラレバ
   -定食を食べた。づーっと配達
   弁当ばかり食べていたので、と
   てもうまく感じた。タクシー、
   自分で負担するのは初めて、で
   紙筒メーカーに向かった。先方
   の煙突から白い煙が上がってい
   るのが複数見えた。工場に着く
   と事務員が丁寧に工場長の部屋
   迄案内してくれた。どこか懐か
   しい雰囲気の事務所だった。挨
   拶を交わすと、工場長は、結論
   を先に出しておいたらしく、は
   っきりした口調で太った体を前
   後しながら、年間の管理費は、
   サービスします、そのかし営業
   で頑張ってもらい、沢山注文下
   さいと、笑顔で言った。後で、
   倉庫を見せてもらったが、なる
   ほど余るほどのスペースがあっ
   た。来たかいがあった。見本の
   紙筒を1本貰い、注文書にサイン
   して、振り込み確認後20日以内
   に2000本の作成と今回の納品
   の社名入り200本の郵送の確認
   の但し書きを入れてもらった。
   帰りは、先ほどの女子事務員が
   駅まで車で送ってくれた。少し
   、田舎の香りがする可愛いお嬢
   さんだった。駅に着くと、草加
   名物の煎餅を土産にと、もらっ
   た。お礼をいって、別れた後の
   気持ちは、先日見た、スバルの
   軽の中古車でいっぱいだった。
        (次回に続く)


   

   24、バイト雇用する    

   最近3カ月の売り上げを改めて確
   認してみるとバイトを一人雇って
   も支払いできる売り上げがあった。
   近い将来、営業で外回りするため
   には、バイトがどうしても必要な
   のだ。こんな時がチャンスなのか
   もしれない。それと車が必要だ。
   先日、中古車を見てきたが、スバ
   ルの軽自動車で外観の良い車があ
   った。紙筒の前払い金も併せてど
   うにか手持ち現金で決済が出来そ
   うだ。早速、広告代理店に連絡を
   とって求人広告を入れてもらった。
   3人ほどの問い合わせがあり、一人
   が面接に来た。身長の高い色白の
   19歳の青年が静かに入ってきた。
   高校を卒業して一度就職したが都
   合で辞めてしばらく職探しいてい
   たという。おとなしいそうで真面
   目に見えた。目が歌舞伎役者のよ
   うな鋭さを持っていた。一通り、
   業務を見てもらい、実際にB0の
   青図を回転させで連続作業をやっ
   てもらった。案外、簡単にこなし
   た。土日祝は休み、平日は9時か
   17時までの条件等をメモして渡し
   た。すると、お願いしますと、の
   返事なので、こちらも十分と思っ
   たので即決となり、早速、明日か
   らの出勤となった。その日の夕方、
   総務の課長から呼び出されて行っ
   てみると先日の紙筒の見積もりの
   ことだった。1か月後の納品で20
   0本間違いなく納入出来るかの確
   認と見本を1本早急に持って来い
   との発注だった。前向きになって
   いるときは、色々、好転するもの
   だ。
   (次回に続く)

 

       23.初めての営業     

   紙筒の営業戦略の方針を考えた。
   確実に納入するためには、現在の
   納入価格の半値が望ましい。その
   ためにはメーカーへの一回の注文
   が2000本にしないと割が合わな
   い、こちらの納入は1回が200本
   なので10回分の在庫になる。納入
   先を早急に3社契約しない行き詰
   まる。それと、残りの在庫をどう
   管理するかだ。置き場所つまり倉
   庫が必要だ。これが一番の問題だ。
   高円寺のアパート生活は、最低限
   の生活なので預金が少したまった。
   営業の車も必要だし、ここは考え
   どころだ。そこで浮かんだアイデ
   アが紙筒メーカーに在庫を管理し
   てもらう、そうすれば先方も担保
   になるしこちらも浮気できない。
   そのためには、お土産が必要だ。
   毎回2000本の発注で前払い、発
   送は200本単位でで費用は当社負
   担。在庫管理費として年間10万円
   を別途支払う。早速郵便で依頼書
   を送ったと、同時に今お世話にな
   っている会社に見積書を提出した。
   (次回に続く)


      

       22.初めての接客      

   1週間程で紙筒メーカーからの見
   積書が届いた。500本で@980円
   1000本で@780円2000本で@
   480円だった。納期2週間。支払
   い初回発注時半額、納品時半額、
   その後は納品後10日以内。社名
   印刷(金文字)は、1本50円で
   本数に関係なく均一と記されて
   いた。今の納入価格が知りたい
   思ったので例の課長に相談する
   と、総務の課長が担当している
   事が分かった。
   この仕事を習いに来た時の指導
   してくれた課長さんだった。
   学校が休講の時、何度か焼き鳥
   でもと、思い声をかけたがタイ
   ミングが合わなかった。ある朝、
   早めに会社に向かって歩いてい
   ると先方に総務課長が歩いてい
   るのを発見、そこで追いかけて
   並んで時、挨拶といつも協力い
   ただいているお礼として飲食の
   誘いをはっきりと伝えた。
   ちょっとだけならと約束が取れ
   た。その夜、納入価格が分かっ
   た。
   (次回に続く)

 

   21.売上UPのヒントもらう 

   だんだん慣れてきて余裕が出てき
   たので、複写総合コンサルとして
   店名も考え名刺も作った。そんな
   ある日担当の課長から紙筒の話を
   聞いた。何でもB0サイズの原図
   は、作成にかなりの費用が掛かっ
   ているので遠方に航空便で送る時
   に使う紙筒が特注でわざわざ注文
   しているという。見本を預かって
   調べた見ると間にベニヤを入れて
   強度を上げていた。一本2000円
   位するらしい。これを安く作って
   売り込めば結構売れるという、ヒ
   ントをくれた。仕事の合間に紙筒
   メーカーを電話帳で調べると、埼
   玉県草加市の地域に工場が結構あ
   た。折を見て電話で確認すると一
   社だけ興味を示し見本が欲しいと
   いうのでヒントをくれた課長に相
   談して1本譲ってもらい、早速郵
   送した。仕事も切れ目なく受注で
   き、収入もかなり増えてきた。ふ
   っと、近い将来紙筒で営業をする
   かもしれない、そうすると青図を
   処理し各課に配達するバイトが必
   要になる、そうだ、募集してみよ
   うと、求人広告を見たり、広告代 
   理店に電話で相談したりしてみた
   。バイトの募集は案外簡単に出来
   ることが判った。
   (次回に続く)

 

       20.色々な仕事がある   

   建築会社の青図受注業務を毎日一
   生懸命こなし、依頼の部署へ配達
   を繰り返してるうちに担当者から
   色々相談を受けるようになった。
   製本とか、表紙の金文字打ちとか
   、事業計画書の印刷とか、結構仕
   事があるらしい。ある時、B5で
   50ページの印刷を50部作成の見
   積もりを提出した。すると、担当
   者が作業場まで下りてきて、見積
   もり通りでの印刷の発注の依頼を
   受けた。納期が2週間後、大変な
   のは、原稿をタイプする作業だ。
   早速、以前から紹介を受けていた
   タイピストに連絡したが、結構時
   間的に厳しいと色よい返事はもら
   えなかった。どうにかならないか
   と、粘ったら仲間に連絡とって半
   分引き受けてくれるらしいと。そ
   こで半分に関しては単価を上げる
   提案をしたら喜んで快諾してもら
   った。こちらとしては、初めての
   印刷受注なので利益より確実な予
   定通りの納品が重要なので、そ
   れを重視した。後は、校正と印刷
   製本である。その段取りも予定が
   立った。
   (次回に続く)
   

   19.バイト辞める     

   翌日、バイト先の会社に早速事情
   を説明し退社することを伝えると
   思ったより簡単に了承された。飛
   び込み営業のルートの引き継ぎを
   をして午前中で終了し、その日は
   久しぶりにのんびりと歌舞伎町を
   散策して楽しんだ。昼間から結構
   人がうろうろしている。さすが、
   東京の繁華街は一寸ちゅがうと、
   改めてて思った。学校が休講だっ
   たので、その日は、早めに高円寺
   に帰り近くの定食屋でいつものベ
   ーコンエッグ定食を食べてアパー
   トに戻ると、いつもの学生がすぐ
   入ってきて、談笑した過ごした。
   明日からは自己責任で仕事を請け
   負い夕方5時以降の仕事は、翌朝
   早く出勤し処理して各部署に配達
   する。結構忙しくなる予定だ。な
   にか心がワクワクしてとても素敵
   気分だった。
   (次回に続く)
   

   

    

      18.作業の講習受ける   

   バイト先の先輩の紹介の建築会社
   に約束の10時に着くと、7階建て
   の大きな建物だった。入口に黒塗
   りの高級車がとまっていて、駐車
   スペースも広かった。目的の部屋
   へ受付嬢の案内で行くと、担当者
   の男性が準備して待機していた。
   部屋のアンモニアの匂いが鼻につ
   いた。初めてなのできつかった。
   当時、建築図面を複写する方法は
   図面に光を当て用紙に光の当たら
   ないところがアンモニアに反応し
   て青色になり青図として普及して
   いた。午前中、担当の男性に丁寧
   に教えてもらいどうにかこなせる
   ようになった。一番大変なのは図
   面のサイズB0番で1m×1.5m位
   あり、これを50枚とかロールにな
   っている用紙に連続で回転させな
   隙間なく(用紙の無駄をなくす)
   焼き付ける作業だ。原図も費用が
   かかっているので破損できない。
   この作業が出来るまで少し時間が
   かかった。午後から各課の担当者
   が実際の仕事を持ち込み作業が始
   まった。時間がかかるので完成し
   たら配達する旨をつ伝えると、そ
   れぞれ喜んでくれて助かった。
        (次回に続く)

 

 

   17.独立の誘い受ける   

   学校・仕事もないある日曜日の午
   後、同アパートのよく遊びに来る
   学生から電話ですと、呼び出され
   た。その家族の電話を連絡先にし
   てもらっている。本当に有難い事
   なのだ。会社の先輩から夕食しま
   せんかと、珍しい誘いをもらった。
   暇だったので逢うことにした。
   高円寺の高架下の喫茶店で待ち合
   1時間ぐらい過ごした。その後、
   近くの中華屋さんで生ビール・餃
   子・ニラレバ―定食をご馳走にな
   りアパートに帰った。八百屋さん
   で果実を少し買って電話連絡のお
   礼としてあげた。アパートで少し
   酔ったので寝ころびながら先ほど
   先輩の話を思い出していた。新宿
   からそう遠くない大手建築会社の
   コピー(青図)の仕事を引く受け
   て独立しませんかと、いう内容だ
   った。その建築会社の片隅にすべ
   揃っている部屋があり社内のコピ
   ー(青図)を責任をもって処理し
   それ以外はフリーだという。一家
   族が生活できるぐらいの収入にな
   るという。勿論、出来高制である。
   飛び込み営業を繰り返して、いつ
   の間にか仕事を取ってくる姿を見
   ていて推薦できると、いうのだ。
   資金もかからなし、面白いかもし
   れないと、明日出社したら話そう
   とその夜は希望に燃えて床に就い
   た。
   (次回に続く)
   

       16.浮世の世界       

   学校が休みのある日、バイト先の
   社長から接待を受けた。歌舞伎町
   の待ち合わせ場所に行くと、すで
   に社長がたっていた。近くの和食
   やに入り世間話をしながらおいし
   くいただいた。刺身が特にうまか
   った。高級料理は始めてだったの
   全部がおいしかった。営業に専念
   させて、よかったと、労をねぎら
   ってくれた。こちらは、欲もなく
   ただひたすら飛び込みコースを回
   って御用聞きをしているだけなの
   だ。和食店を出ると綺麗な和服を
   着たお姉さんがいる店に入った。
   みんなきれいにお化粧をして、和
   服姿の人が大勢いて、入れ替わり
   隣について浮世の世界みたいな気
   分を2時間ぐらいさせてもらい、
   店を出た。すべて初めてなのでと
   にかく楽しかった。帰りのタクシ
   ー代までもらった。そして、社長
   を残して高円寺に向かった。大人
   の世界なのだ。
   (次回に続く)
   

 

    

       15.面白くなってきた  

   出社して名指しされた企業に指定
   時間に訪問する。担当者の話を聞
   くと東北地方の開発事業で10年間
   の予定で図面トレス・青図・印刷
   等大量に発生するので、協力企業
   として登録依頼の話だった。かな
   の予算と人出を伴うので帰社し社
   長に伝えて後は、会社に任せて、
   また、飛び込みの営業に専念した。
   毎日毎日訪問すると段々信頼され
   て色々見積もりの依頼が増えて、
   その中のいくつかは受注できた。
   噂で売り上げの1/3の仕事を取っ
   ていると、聞いた。信じられない
   ことだが20社から毎日のように受
   注が入るようになり実際の仕事は
   他の社員がやるので詳細は聞いて
   ないが印刷の仕事で300万円の受
   注もあったと聞いた。社長の限ら
   れた時間のバイトに営業専門で任
   せた戦略が良かったと思う。普通
   なら社内業務の簡単な仕事で使う
   ところを真面目なところを見抜い
   て営業に専念させたのだ。最初は
   ちょっと飛び込み営業は嫌だった
   が、仕事を取るつもりがなく訪問
   していると飛び込み先の担当者も
   警戒心がなくいろいろな会社を紹
   介してくれたり、社内のいろいろ
   仕事もお知えてくれた。いつの間
   にか飛び込み訪問会社が50社にな
   っていので2日間で回るルートに
   変更した。だだ飛び込むだけの営
   業なのに面白くなってきた。
   (次回に続く)

 

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3.飲食店辞める時 30

2017-07-13 11:31:07 | 飲食店を辞めるとき

    飲食店をやめるとき 得するには
      早めの相談が より効果的です
      ★ブログデビュー1周年記念
       第2弾

       造作買い取り業務開始

                  トップページへ  
               バックナンバー

      大手苦戦の中   new
    カーブス急拡大 新連載 1

    店舗数1801店会員数80万人

    女性専用のフィットネスクラブ
    が爆発的に増えていることをご
    存じだろうか。その名は「Cur
    ves(カーブス)」。2017年6
    月末現在で、店舗数は1801店、
    会員数は80万人ほど。紫色の
    看板を掲げているので、ちょっ
    と探せば「こんなところにもあ
    ったのか」といった感じで、見
    つかるかもしれない。とはいえ
    「男子禁制」なので、どんなと
    ころなのかよく知らない人も多
    いと思うので、簡単にご紹介し
    よう。会員は60代が最も多く、
     次いで50代、70代――。一
    般的なフィットネスクラブと違
     って、高齢者が多い。施設の
    中に入ると、コンビニの広さ
    くらいのところに、円を描くよ
    うに12種類のフィットネスマシ
    ンが並んでいる。そのマシンを
    使って筋力トレーニングを30秒、
    次に足踏みなどの有酸素運動を
    30秒、合計1分のセットを12種
    類、順番に続けるだけ。1周で
    約12分、これを2周。最後に、
    ストレッチをしておしまい。1
    回のトレーニングは約30分で終
      了するのだ。
            土肥義則 ITmedia
           (今回新連載です)

 

    スロー報道が     new
          人気化するワケ  最終回 13

     なぜを解明する報道は

    スロージャーナリズム、スローニ
    ュースのビジネスモデルが成功す
    るか否かのカギを握るのは、有料
    購読者だ。だからこそ、読者との
    関係が非常に重要になってくる。
    一分一秒を争う、24時間報道体制
    の反動として生まれたともいえる
    スロージャーナリズム、スローニ
    ュース。日々忙しいからこそ、か
    つ情報があふれているからこそ、
    作り手が時間と手間をかけた、「
    なぜ」がよくわかる、精選された
    情報を得ることが希少価値となっ
    てきた。「何が起きたか」よりも、
    「なぜ」を解明しようとするジャ
    ーナリズム。スローフード運動の
    ように大きく広がっていくだろう
     か。
    (今回最終回有り難うございます)

 

   スロー報道が     
         人気化するワケ  連載 12

   カギを握るのは読者との関係

   しかし、ここで紹介した中で大手
   メディア以外のスロージャーナリ
   ズムの実践例を見ると、それほど
   規模が大きいわけでも、巨額費用
   が必要とされるわけでもなかった。
   当初の創業までにはクラウド・フ
   ァンディング、投資家からの資金
   投入、非営利組織からの支援を得
   ていた。その後は購読料、イベン
   ト料などから収入を得ながら一歩
   一歩進んでいた。スタッフは数人
   から二十数人ほど。広告は入って
   いないか、広告収入に依存してい
   なかった。
   (次回最終回お楽しみに)

 

 

   スロー報道が     
         人気化するワケ  連載 11

         ビジネスモデルとして

         スローニュースの別の例として、
        「リアリティチェック」というコ
         ーナーの常設化がある。ソーシャ
         ルメディアで伝わるニュースや政
         治家の発言、話題になっている事
         柄の主張が正しいかどうかを検証
         する。BBCワールドサービスを含
         むBBCの人材から専門家を集め、
         情報の検証に当たっている。スロ
         ージャーナリズムはビジネスモデ
         ルとしてはどうだろうか。『ナシ
         ョナルジオグラフィック』やBBC
         など大手の媒体が戦略的視点から
         この種のジャーナリズムに投資す
         ることは"アリ"だろう。しかし、
         地球を巡る旅を続けるサロペック
         氏の場合、大手メディアに寄稿す
         る形であったが、それでもナイト
         財団からの援助を受けていた。大
         規模なプロジェクトは高額になり
         がちだ。
        (次回に続く)

 

        スロー報道が     
        人気化するワケ  連載 10

   なぜ起きているかが重要

   BBCのニュース部門を統括する
   ジェームズ・ハーディング氏も
   昨年末と今年年頭、スタッフに
   向けてこう語っている。BBCは
   「何が起きているか」を伝える
   ことについては非常に優れてい
   るが、これからは「なぜ起きて
   いるのか」にもっと力を入れる
   べきだ、としている。ハーディ 
   ング氏が考えるところの「スロ
   ーニュース」とは、データジャ
   ーナリズム、ブログ、動画など
   を使って事件全体の文脈を説明
   するようにすることだ。
   (次回に続く)

 

     スロー報道が     
        人気化するワケ  連載 9

   読者との交流イベントも

   「コレスポンデント」のように、
   読者と交流するイベントの開催
   にも力を入れている。時にはチ
   ケットが売り切れになることも
   あるという。会員数は約7000
   人で、来春までに1万6000人に
   増やすのが目標だ。この数字を
   達成しないと損益分岐点に達し
   ないのである。既存の大手ニュ
   ース機関にもスローの概念が入
   ってきた。英BBCは最近、「ス
   ロージャーナリズム」「スロー
   ニュース」の必要性について局
   内外で語るようになった。ほか
   のメディアに先を越されないよ
   う、連日勝負するBBCだが、昨
   年9月、ニュース部門の責任者
   を長い間務めてきたヘレン・ボ
   ーデン氏が退任前のスピーチで
   「スローなニュース」の必要性
   を指摘した。日々のニュースを
   追いかけるテレビは十分な説明
   を視聴者にしていないのでない
   か、と。
   (次回に続く)

 

    スロー報道が     
        人気化するワケ  連載 8

        厳選した記事を

       「コレスポンデント」を参考にし
       て、同様のサービスを作り上げた
       のがデンマークの「ゼットランド
      (Zetland)」だ。大手紙に勤め
       ていた4人のジャーナリストが立
       ち上げた。購読料は月では99デ
       ンマーククローネ(約1600円)、
       年間では996クローネ。出版する
       オリジナルの記事の本数は毎日、
       3~4本。あえて本数を少なくして
       いる。「私たちはあふれるような
       情報を毎日受け取っている。厳選
       した記事だけを届けたい」(リー
       ・コースガード編集長談)。同時
       に、毎朝、大手報道機関の記事を
       要約し、「これだけは読むべき」
       というレコメンド情報も送ってい
       る。
        (次回に続く)

   

 

        スロー報道が     
        人気化するワケ   連載 7

   数日間で約1.9億円
   の資金を集める

   立ち上げ前、テレビで「新しいメ
   ディアを作りたい」と声を上げた
   ところ、ほんの数日で約2万人か
   ら170万ドル(約1億8900万円)
   相当の資金を集め、オランダ国内
   外で大きく注目された。こちらも、
   じっくり1つのトピックを掘り下
   げるスタイルで、記事はかなり長
   尺。記事の冒頭には「記事を読む
   のに必要な時間は11~15分」な
   どと記してある。購読料(年間6
   0ユーロ)で運営を賄い、読者は
   「メンバー」と呼ばれる。記事に
   対するメンバーからのインプット
   を歓迎している。記者のほうは読
   者との対話を奨励され、テーマの
   選択から原稿が出来上がるまでが
   相互作業となる。ジャーナリスト
   と会員とが集うイベントも定期的
   に行っている。記事を基に本も出
   版している。2013年の開始で、
   現在までに会員数は5万6000人。
   オランダの人口(約1700万人)
   からすると、新興メディアとして
   は大きな数字といってよいだろう。
   毎年、購読料がどのように使われ
   たかをブログを通じて公表し、経
   営の透明性、オープンさを基本と
   している。サイトはオランダ語だ
   が一部は英訳されている。来年、
   「英語版コレスポンデント」を開
   設予定で、準備が進んでいるとこ
   ろだ。
   (次回に続く)

 

    スロー報道が     
        人気化するワケ   連載 6

   購読料ビジネス

   3つ目は、広告収入に頼らず、購
   読料でビジネスを成り立たせよう
   としている媒体が多いことだ。こ
   れはとりわけ、ウェブを中心とし
   たスロー・ジャーナリズム・サイ
   トに見られる傾向だ。成功例とし
   て頻繁に紹介されるのがオランダ
   の「コレスポンデント(De Corr
   espondent)」だ。同サイトは日
   々あふれるように生み出されるニ
   ュースへの「解毒剤」として自社
   を位置づけている。オランダの有
   力日刊紙NRC.nextの元編集長ロ
   ブ・ワインバーグ氏と同紙のブロ
   ガーだったエルンストヤン・ファ
   ウス氏が中心となって立ち上げた。
   「24時間のニュースサイクルに収
   まらないトピックを取り上げたい」
   「日々のニュースではなく、世の
   中で起きている『新しいこと』を
   読者とともに報道していきたい」
   とワインバーグ氏は至るところで
   話してきた。
   (次回に続く)

 

 

     スロー報道が     
        人気化するワケ  連載 5

   季刊誌も年会費5000円で

   凝った名称だが、一瞬を競ってニ
   ュースを出していくよりも、「文
   脈、分析、専門家の意見を出す」
   ことで読者に満足してもらうこと
   を考えた。季刊で雑誌(紙版と電
   子版、毎回480ページ)を出し、
   年間購読料は36ポンド(約5000
   円)。約20本の記事が入る。雑誌
   『タイムアウト』にいたロブ・オ
   ーチャード氏とマーカス・ウェブ
   氏が共同創業者だ。最新号は今年
   3月発売。内容的には、ドナルド
   ・トランプ氏が米大統領に就任し
   たことや、シリアのアレッポで起
   きた住民避難など、昨年10~12
   月に起きたことを掘り下げてレポ
   ートしている。
   (次回に続く)

 

    スロー報道が     
        人気化するワケ  連載 4

   報道済みの殺人事件を掘り下げる

   2つ目は、すでに報道されている
   事件や事象について、その背景に
   あるものや原因などを突き止めよ
   うとする姿勢だ。米ラジオ番組「
   This American Life」の制作者が
   2014年に始めたポッドキャスト
   「Serial」(昨年第2エピソード
   の配信終了)がその一例。1999
   年にボルティモア州で発生した殺
   人事件はすでに報道済みだったが、
   これを12回シリーズで配信したと
   ころ人気となり、2015年には放
   送界のピューリッツア賞と言われ
   るピーボディ賞を受賞している。
   英国では、「ディレイド・グラテ
   ィフィケーション」(Delayed G
   ratification)が、デジタル時代の
   スロージャーナリズムの典型とし
   て注目されている。「ディレイド
   ・グラティフィケーション」の意
   味は「目先の満足に惑わされず、
   後の報酬を待つこと」。
   (次回に続く)

 

     スロー報道が     
         人気化するワケ  連載 3

     時間をかけて取材・発信

   2人は毎年3カ月を内戦で荒廃し
   たアブハジア、グルジア(現・
   ジョージア)、北コーカサスで 
   過ごし、人々の話を聞き、写真
   を撮った。これを紙およびデジ
   タルで書籍として出版。2014
   年に冬季五輪が開催される頃に
   なると、両者はソチの専門家と
   してメディアに引っ張りだこと
   なった。米ピューリッツア賞を
   2度受賞したジャーナリスト、
   ポール・サロペック氏は2013
   年から7カ年の計画で2万マイ
   ルの旅を始めている。「アウト
   ・オブ・エデン・ウォーク」
   と題されたこのプロジェクトで
   は、アフリカ、中東、アジアを
   歩き、何世紀も前に人がアフリ
   カ大陸から世界中に移住してい
   った跡をたどることを狙う。サ
   ロペック氏は旅の途中でツイッ
   ター、スカイプ、ブログを使っ
   て自分が見聞きしたことを世
   界中の読者に伝えてきた。旅費
   は同氏が寄稿する『ナショナル
   ジオグラフィック』誌や、非営
   利組織ナイト財団などが負担し
   ている。
   (次回に続く)

 

 

   スロー報道が     
         人気化するワケ  連載 2

   深く掘り下げる

   スロージャーナリズムはこの流れ
   をくんでいる。この言葉を最初に
   使ったのは、英ローハンプトン大
   学で教えるスーザン・グリーンバ
   ーグ氏だったといわれている(20
   07年2月、英月刊誌『プロスペク
   ト』の寄稿記事)。「調査に時間
   をかけ、ほかの媒体が見落とすよ
   うなトピックを見つけ、最も高い
   水準」で伝えるエッセー、ルポ、
   そのほかのノンフィクションを「
   スロージャーナリズム」と呼んだ。
   この言葉自体は新しいが、物語風
   の長文ジャーナリズムはこれまで
   にも脈々と続いてきた。英語圏で
   は米国の著名雑誌『ローリング・
   ストーンズ』『ニューヨーカー』
   『アトランティック』誌などの長
   文記事がよく知られている。スロ
   ージャーナリズムには、確固とし
   た定義はないが、その特徴はいく
   つかある。1つは、グリーンバー
   グ氏の言葉どおり、調査に時間を
   かけ、1つの事件や事象を深くり
   下げることだ。たとえば、オラン
   ダの記者アーノルド・ファン・ブ
   ラッゲン氏と写真家ロブ・ホンス
   トラ氏は、2007年から数年間か
   けて「ソチ・プロジェクト」を取
   材した。
   (次回に続く)

 

   スロー報道が     
         人気化するワケ 新連載 1

          スロージャーナリズムの特徴

         ロンドン、パリ、ブリュッセルと
         頻発するテロやテロ未遂事件、ポ
         ルトガルでは森林で大火災、北朝
         鮮が数回にわたるミサイル発射…
         …。次から次へとビッグニュース
         が飛び込んでくる今日この頃。ひ
         とつの事件を十分に咀嚼(そしゃ
         く)する間もなく、また衝撃的な
         ニュースが発生する。瞬時を競っ
         て繰り出されるニュースのサイク
         ルに、「待てよ」と反旗をひるが
         えす動きが発生している。「スロ
         ージャーナリズム」、あるいは「
         スローニュース」と呼ばれる報道
         である。基になっているのは、19
          80年代、イタリアで始まったスロ
          ーフード運動だ。画一的なファス
          トフードに対抗し、食生活や食文
          化を根本から変えていこう、自然
          なスロー(ゆっくり)に立ち戻ろ
          うと提唱した。
      小林恭子 ジャーナリスト
          (今回新連載です)

 

 

      「切腹最中」     new
  一日7000個売れる 最終回 12 

   領収書を求めない

   土肥: 切腹最中を購入したサラ
   リーマンを観察していると、ある
   行動に気付きました。店の外を出
   て、サラリーマンは何をするのか
   というと、すぐにスマートフォン
   を取り出す。そして、地図アプリ
   を立ち上げる。謝罪に行く会社に
   どうやっていけばいいのか、調べ
   ているのではないでしょうか。
   渡辺: かもしれません。店は午
   前9時にオープンしているのです
   が、開店前に並んでいるサラリー
   マンもいます。おそらく、朝イチ
   で謝罪に行くのではないでしょう
   か。話はちょっと変わりますが、
   仕事で手土産を買う人って、領収
   書を求めるケースが多いですよね。
   土肥: はい。
   渡辺: ただ、真剣に謝ろうとし
   ている人は、領収書を求めないん
   ですよ。どんな失敗をしたのかは
   分かりません。しかし、必死さや
   悲壮感のようなものが漂ってくる。
   そうした人を目の前にすると、声
   はかけませんが、心の中で「がん
   ばってください」と言って手を合
   わせるようにしています。こちら
   は最中を提供することくらいしか
   できませんが、少しでもお役に立
   てればと。
   土肥: ちなみに、私はサラリー
   マン人生を20年ほど送っています
   が、まだ切腹最中を購入したこと
   がありません。できれば、これか
   らも買わずに終えたい。
   渡辺: いえ、お待ち申し上げま
    す(笑)。
   (今回最終回有り難うございます)

 

 

   「切腹最中」     
   一日7000個売れる 連載 11 

   請われれば教える

   渡辺: 菓子業界の人が参加する
   セミナーなどでも、レシピは何度
   も話してきました。「あんこのお
   いしい作り方を教えてください」
   という相談があれば、気にせずご
   紹介しています。
   土肥: レシピはその……門外不
   出ではないと?
   渡辺: 門外出まくりですね。な
   ぜそんなことをしているのかとい
   うと、おいしくない店がたくさん
   あるから。消費者は、おいしいあ
   んこが詰まっている和菓子を食べ
   たいですよね。だから、当店の味
   を真似たいという人がいれば、お
   伝えするようにしています。
   (次回最終回お楽しみに)

 

   「切腹最中」     
   一日7000個売れる 連載 10 

   レシピ公開

   また、砂糖は上白糖を使っていた
   のですが、いまは「鬼ザラ糖」。
   糖度が高いのですが、さっぱりと
   した甘さが特徴なんですよね。価
   格はちょっと高いのですが、「
   おいしい」と感じてもらうために、
   この砂糖を使っています。あと~
   ~~ペラペラペラ~~~。
   ――このあとも、渡辺社長は切腹
   最中のレシピを語りまくる。
   土肥: しゃ、社長。メディアの
   人間として、いろいろお話しいた
   だけるのはうれしいのですが、あ
   まりペラペラ話してしまうと、ラ
   イバルが味を真似してくるのでは
   ないでしょうか?
   渡辺: いや、そんなことは全く
   気にしていません。
   土肥: 気にしていない? どう
   いうことですか?
   (次回に続く)

 

 

   「切腹最中」     
    一日7000個売れる 連載 9

   レシピは門外出まくり

   土肥: 切腹最中の売り上げが伸
   びていくわけですが、とはいって
   もおいしくなければここまで広が
   るはずはないと思うんですよ。「
   このたびは申し訳ございませんで
   した。お詫びのしるしにコレを…
   …」と言って渡しても、味がイマ
   イチだと火に油を注ぐことになる
   かもしれません。「こんなモノを
   持ってきやがってーっ! コノヤ
   ロー!」と。
   渡辺: 以前、あんこは2~3回煮
   込んで、アクをしっかり取ってい
   ました。でも「もったいないなあ。
   ひょっとしたら、小豆の旨味を捨
   てているのでは?」と考え、いま
   は1回だけ煮込んでアクをあえて
   残しているんです。一般的な方法
   ではありませんが、食べた後にふ
   わっと香るあんこの匂いを感じて
   いただけるようになったのではな
   いでしょうか。個人的に、最中の
   皮が上あごにくっつくことが大嫌
   いなんですよね。くっつかないよ
   うな「サクサクした皮をつくる」
   ために試行錯誤を重ねてきました
   。で、どうしたかというと、上質
   なもち米を使って、水分を少な目
   にして焦がしているんですよね。
   (次回に続く)

 

   「切腹最中」     
    一日7000個売れる 連載 8

            お客がマーケケットを作る

    土肥: 忠臣蔵のことは、ひとこ
    とも出ていない?
    渡辺: はい、残念ながら。でも
    「お詫びの和菓子」という形で紹
    介していただいて、さまざまなと
    ころから声がかかるようになりま
    した。全国の百貨店だけでなく、
    羽田空港などでも発売することに。
    土肥: いまではどのくらい売れ
    ているのですか?
    渡辺: 1日2000~3000個くら
    いですね。12月14日の討ち入り
    の日が近づいてくると、7000個
    以上売れることも。和菓子屋とい
    うのは2~3月はあまり忙しくない
    のですが、この時期に切腹最中を
    買う人が多いんです。人事異動に
    なった人や定年退職する人が、お
    世話になった人に「小さなお詫び
    と感謝を込めて」贈るケースが多
    いですね。
    土肥: 商品開発したときには「
    お詫びの手土産用に」なんて考え
    ていなかった。その後の売れ方を
    みると、“お客がマーケットをつく
    った”とも言えますね。
      渡辺: ですね。
    (次回に続く)

 

    「切腹最中」     
     一日7000個売れる 連載 7

             株暴落のお詫びの手土産に 

             渡辺: ある日、証券会社の支店
            長が店に来て、このように言いま
            した。「お客さまに勧めた株が大
            暴落して、 その人は2000万円ほ        
            どの損失を出した。これからお詫
            びに行くのだけれど、何かいい手
            土産はないか」と。私は「切腹最
            中」を差し出して、「『詰め腹を
            切ってきました』と言えば、お客
            さんも許してくれるのでは?」と
            冗談で言ったところ、その支店長
            は本当に買っていきました。 1週
            間後、支店長は再び、店にやって
            来ました。「『切腹最中』を持っ
            ていったら、笑って許してくれた
            よ」と言っていて、そのときには
           「そんな使い方があるのか」と軽
            く考えていました。証券会社の支
            店長はその後、支店長が集まる場
            で、このエピソードを話されたよ
            うで。それをたまたま取材してい
            た日本経済新聞社の記者から「話
            を聞かせてくれないか」と連絡が
            あったんですよね。嬉しくて、嬉
            しくて。私は忠臣蔵の話をたくさ
            ん話したのですが、新聞には「兜
            町で大人気、お詫びの品に切腹最
            中」と書かれていました。
            (次回に続く)

 

            「切腹最中」     
      一日7000個売れる 連載 6

            客がマーケットをつくった

              渡辺: 義父からは「1日に80~
             100個売れれば、ヒット商品だ」
             と言われていたのですが、全くダ
             メでした。ただ、豆大福はよく売
             れていたんですよね。しばらく、
             おんぶにだっこ状態が続いていた
             のですが、徐々に売り上げが減少
             していきました。このままではい
             けないということで、喫茶店など
             を回って、店で販売してもらうこ
             とに。なんとか置いてもらってい
             たのですが、やがて大手菓子メー
             カーがやって来て、その会社の商
             品に取って代わっていきました。
             では、そのころの切腹最中はどう
             だったのか。忠臣蔵ファンの人た
             ちの間でちょっと話題になってい
             て、徐々に売れていました。でも、
             まだまだ「ヒット商品」と呼べる
             ほど成長していませんでした。
             土肥: 豆大福の売り上げは右肩
             下がり。周囲の反対を押し切って
             販売した切腹最中も、まだまだと
             いった感じ。何がきっかけで、売
             れていったのでしょうか?
             (次回に続く)

 

            「切腹最中」     
      一日7000個売れる連載 5

      強引に売り出す 

     そして、紙に「切腹最中」と書き
     ました。和菓子の商品名に「切腹
     」はダメかなと思い、「義士最中
     」「忠臣蔵最中」などと書いてみ
     たのですが、どうしても最初に書
     いた「切腹最中」が気になって気
     になって、仕方がなかった。でも、
     家族からは大反対でした。「切腹
     とは何事だ!」と。でも、どうし
     てもあきらめることができません
     でした。ほかの人の声を聞くため
     にアンケート調査を行ったところ、
     119人中118人が商品名について
     否定的な回答でした。散々な結果
     に終わりましたが、1人は肯定的。
     その声にかけてみようと考え、「
     切腹最中」を発売することに。19
     90年のことでした。
     土肥: 周囲からは大反対、アン
     ケート調査でもダメ。そうした状
     況の中で、いわば“強引”に発売し
     たわけですが、売れたのでしょう
     か?
     (次回に続く)

 

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4.売上UP作業計画 24

2017-07-10 10:44:34 | 売上50%UP作業計画。

    

売上UP相談は
早めの相談が より効果的です       

                トップページへ
              バックナンバー  

     

      

   通信の「クワッドプレイ」 new
         米国で普及するか  最終回 5

    波乱含みで進行 

   「実際のところ、ちょうど転換点
   を迎えている」と話すのはベイン
   ・アンド・カンパニーのパートナ
   ーのマーク・ボワー氏。クワッド
   プレイが始まった市場ではいずれ
   も、既存勢力がシェアを失うか、
   新興勢力が値下げにより新たな顧
   客をつかむかが起きている。米国
   ではCATV会社がこうした波乱を
   巻き起こす要因になりそうだ。ス
   プリントは2005年にコムキャス
   トなどと組み、2億ドルを投じて
   モバイル市場に参入しながら、0
   8年には「運営が複雑」としてク
   ワッドプレイから引き上げた苦い
   経験を持つ。しかしCATV会社が
   無線通信会社を買収し、モバイル
   サービスを第3者に依存する態勢
   から脱すれば、今回は違う結果に
   なるかもしれないとアナリストは
   みている。さらにWiFi経由の無線
   接続が広がり、無線とブロードバ
   ンドの境が曖昧になったこともC
   ATV会社のモバイル市場進出を後
   押ししそうだ。
   (今回最終回有り難うございます)

 

    通信の「クワッドプレイ」 
           米国で普及するか   連載 4

    CATV会社が
    波乱を巻き起こす要因に

    しかしCATV会社がモバイル事業
    に参入し、料金の面でライバルを
    打ち負かすチャンスが生まれてお
    り、米通信市場の状況は変わるか
    もしれない。コムキャストとチャ
    ーター・コミュニケーションズ<
    
CHTR.O>のCATV大手2社は携帯
    大手スプリント<S.N>との間で
    無線サービスでの提携について交
    渉を進めている。コムキャストと
    チャーターは既にベライゾンと同
    じような内容で合意しており、チ
    ャーターは来年中に無線サービス
    を立ち上げる見通し。
    (次回最終回お楽しみに)

 

    通信の「クワッドプレイ」 
           米国で普及するか   連載 3

    通信大手は遅れている

    一方、米国の通信大手はこれまで
    クワッドプレイの導入に消極的だ
    った。AT&T<T.N>はブロードバ
    ンドサービスを手掛ける一部地域
    で実施済みだが、現在はメディア
    大手タイム・ワーナー<TWX.N>
    
の買収で当局の承認待ちの状態に
    あり、モバイルサービスとエンタ
    メ事業の統合に重点を置いている。
    CATV最大手コムキャスト<CMC
    SA.O>は今年初めにモバイルサー
    ビスの「Xインフィニティ」を立
    ち上げたが、クワッドプレイの
    積極展開には乗り出していない。
    また携帯最大手ベライゾン・コ
    ミュニケーションズ<VZ.N>
    かつてクワッドプレイを始めた
    が、大幅な値引きを期待した顧
    客から支持が得られなかった。
    (次回に続く)

 

     通信の「クワッドプレイ」 
           米国で普及するか   連載 2

      普及率米国10%、フランス25%

    ガムコ・インベスターズの共同最
    高投資責任者のクリストファー・
    マランギ氏は「サービス提供範囲
    の違いが最大の障害だ」と指摘。
    「CATVはことごとく地域別に分
    かれているが、モバイルは全国規
    模だ」と述べた。またIBBコンサ
    ルティング・グループのシニアパ
    ートナー、ジェファーソン・ワン
    氏は、4つのサービスの料金をま
    とめると請求が高額になることも
    クワッドプレイにとって逆風だと
    説明した。調査会社ストラテジー
    ・アナリティクスの推計によると、
    クワッドプレイの普及率は米国で
    はおよそ10%で、2020年には17
    %に上昇する見通し。しかし普及
    率はフランスでは既に25%、ス
    ペインでは60%に達している。仏
    イリアド<ILD.PA>やスペインの
    テレフォニカ<TEF.MC>などの通
    信会社がこの5年間にクワッドプ
    レイの導入を進めたためだ。
    (次回に続く)

 

    通信の「クワッドプレイ」 new
           米国で普及するか  新連載 1

     異なる4つのサービスを一括契約

     ニューヨーク 29日 ロイター
     固定回線による通話、インターネ
     ット接続、テレビ、モバイル通信
     の4分野のサービスを1つの事業者
     がまとめて提供する「クワッドプ
     レイ」は、米国では普及が遅れて
     いる。しかしケーブルテレビ(C
     ATV)会社のモバイル事業参入で
     これまでの体制に風穴が開きつつ
     あり、今後は流れが変わりそうだ。
     通信事業者にとって、異なる4つ
     のサービスを一括して請け負うこ
       とは顧客をつなぎ留める上で効果
     がある。ただ、米国では消費者が
     固定電話とネット接続、テレビの
     3分野をひとまとめにしても、モ
     バイル通信は別途契約を結ぶのが
     一般的で、クワッドプレイの普及
     は容易ではないというのが投資家
     やアナリストの見方だ。
    (今回新連載です)

 

 

      アマゾンダッシュホン new
    1000種類に拡充    2/2

    デバイスは実質無料 

     2016年12月の発売当初から人気
    の、日用品や飲料のカテゴリーも
    拡充。P&Gの柔軟剤入り洗剤「ボ
    ールド」や大塚製薬のスポーツド
    リンク「ポカリスエット」も追加
    された。ダッシュボタンは、Ama 
    zonプライム会員のみ購入できる
    小型IoTデバイス。発売当初は約
    40ブランド・約700種類の商材に
    対応していた。無線LAN経由でイ
    ンターネットに接続し、ボタンを
    押すだけで注文が行えるため、P
    Cやスマートフォンの画面を立ち
    上げる、ログインをする、商品を
    検索する――などの手間を解消で
    きる点が特長。商品が届くまで、
    何度ボタンを押しても1回分の注
    文しか受理されないため、意図し
    ない重複注文を防ぐことも可能。
    価格は500円(税別)だが、同
    デバイスを使用して商品を購入
    した場合、初回注文の金額から
    500円が割り引かれるため、実
    質的には無料となる。ブランド   
    ごとに1つのボタンが割り当て
    られており、現在最も人気のボ
    タンは「ヨーグリーナ」「南ア
    ルプスの天然水」などが注文で
     きる「サントリー天然水」(
    サントリー)という
    (今回最終回有り難うございます)

    

     

            アマゾンダッシュホン 
    1000種類に拡充   1/2

    アマゾンジャパンが、「Dash Bu
    tton」のラインアップを拡充。約
    70種類のブランドが追加され、サ
    ントリーの「ザ・プレミアム・モ
    ルツ」など計1000種類以上の商
    品が選択可能になった。アマゾン
    ジャパン(Amazon.co.jp)は6
    月28日、ボタンを押すだけで特定
    の日用品を注文できるIoT(モノ
    のインターネット)デバイス、「
    Dash Button(ダッシュボタン)
    」のラインアップを拡充したと発
    表した。新たに追加したブランド
    は約70種類で、選択できる商材は
    計1000種類以上に広がった。追加
    された商品カテゴリーは、アルコ
    ール飲料、菓子類、サプリメント、
    掃除用品など。これにより、サン
    トリーの「ザ・プレミアム・モル
    ツ」、サッポロビールの「黒ラベ
    ル」など人気の飲料が購入可能に
    なった。
                                       ITmedia
    (次回で終了)

 

    ゴミ屋敷に勝機   new 
        波乱万丈人生  最終回 21

    経営者として戦うコツ

    最後に佐々木社長に、経営者とし
    て戦うコツを伺った。「最終的に
    物事を決断するのは経営者のみに
    与えられた権利。家族や友人、コ
    ンサルタントにいくら相談しても
    いいけど、結局は自分の勘を信じ
    て決断するしかない。人のせいに
    はできない。良いことも悪いこと
    も全部自分に返ってくる。これは
    ギャンブルみたいなもので、成功
    すれば万々歳だけど、もちろん失
    敗することもある。だから経営者
    は、転んだ時に、自分で立ち上
    がるという力だけは身に付けてお
    かなければいけない。野生の動物
    がたとえ傷ついていても起き上が
    って狩りに出かけるように。そう
    して、立ち上がることさえできれ
    ば、きっと前に進んでいけると思
    うよ」何度も転んでは立ち上がっ
    た経験のある、佐々木社長の言葉
    には重みを感じた。
    (今回最終回有り難うございます)

 

    ゴミ屋敷に勝機    
      波乱万丈人生   連載 20

   これからが大切

   佐々木社長はとにかくバイタリテ
   ィあふれる人だ。四六時中仕事の
   ことばかり考えて、家にいても、
   お酒を飲んでいても、次にどんな
   戦略を立てたら儲かるのか、そん
   な話ばかりしているという。「た
   とえば、新橋の居酒屋なんかに行
   くと、上司や会社の愚痴ばっかり
   言っている人が多い。みんな、で
   きない理由の弁論大会を延々とし
   ている。でも自分がうまくいかな
   いのを、社会や会社や他人のせい
   にしても意味はない。たとえば、
   そんな話を聞いたら、若い人たち
   は社会に出たくないと思うだろう。
   大人は、バリバリ働いて、若い子
   たちに形を見せていかなければい
   けない。それが大人の役目だよ」
    会社は順調に大きくなったが、
   佐々木社長はまだ安泰だとは思っ
   ていない。まだまだ働いて、自社
   ビルを建てたいし、部下の中から
   継承者を出したいとも思っている。
   まだまだ、道の途中なのだ。
   (次回最終回お楽しみに)

 

 

     ゴミ屋敷に勝機   
     波乱万丈人生   連載 19

   価格差があると内容の確認が

   「しっかり利益を出すというのは、
   5年後、10年後、会社を存続させ
   るために必要不可欠なことだと思
   う。うちはどこよりも高いかもし
   れないけれど、高いのには高い理
   由がある。説明もできる。しっか
   り利益を上げるから、給料に還元
   できるし、設備投資をすることも
   できる」他社との相見積もりの結
   果、他社30万円、まごのて60万
   円、と倍の値段がつくこともある
   という。ただ、数万円の差なら安
   い業者に流れるかもしれないが、
   大きく離れていると「なぜこんな
   に違うのだろう?」と思うのが人
   間の心理らしく、サービスの内容
   を調べた結果、まごのてに仕事が
   くることも多いという。
   (次回に続く)

 

   ゴミ屋敷に勝機   
     波乱万丈人生   連載 18

   経営者はおカネのことを
   第一に考えるべきだ

   仕事を拡大していく過程で、佐々
   木社長が絶対に譲らない要点があ
   った。「先程の話とも重なるけど、
   経営者は『徹底して利益を出すと
   いうことに徹せなければならない
   』と思っている。儲けることは悪
   いこと、という風潮があるし、世
   の中金じゃないなんて言う人もい
   る。でもやっぱり、経営者はおカ
   ネのことを第一に考えなければな
   らないと思う」まごのての清掃の
   値段は、よその会社に比べてかな
   り高く設定されている。清掃会社
   は10社あれば、8~9社は、「ど
   こよりも安い」「弊社より高い業
   者があれば言ってください」など
   安さをうたう。だが、ちゃんと利
   益を出そうと思ったら、他社と値
   段で競合すべきではない……とい
   うのが佐々木社長の考えだ。結局、
   値段が安い業者は、利益を出すた
   めに、従業員におカネを払わなか
   ったり、ゴミを不法投棄したりし
   て節約する場合が多いという。多
   くの業者は、結局はやっていけな
   くなり潰れてしまうという。
   (次回に続く)

 

   ゴミ屋敷に勝機   
     波乱万丈人生   連載 17

   マスコミの報道で

   ただ、仕事をゴミ屋敷清掃に絞っ
   てもそう簡単には依頼は増えてい
   かなかった。引っ越しと一緒でリ
   ピーターはあまりいない。恥にな
   るため、口コミも期待できない。
   ホームページの宣伝で地道に開拓
   していくしかない。それでも仕事
   をするうち、雑誌やテレビで取り
   上げられることが増え、知名度が
   上がっていった。そしてそれを見
   た人からの、仕事の依頼が徐々に
   増えていった。軌道に乗ったと自
   覚したのは起業して2年、2011年
   頃だったという。
   (次回に続く)

 

     ゴミ屋敷に勝機   
     波乱万丈人生   連載 16

   色々な考えがある 

   「俺は、生来ポジティブな性格で
   あんまり落ち込むことがない。20
   08年、会社が倒産した時はさすが
   にしんどかったけど、半日間だけ
   何も考えないようにしてブラブラ
   しただけで完全にスイッチングで
   きた。だから、部屋が汚いくらい
   で死にたいと思う人の気持ちは正
   直わからない。でも、部屋が汚い
   くらいのことで、死にたくなって
   しまう人がいることを知った。ど
   うしても部屋を片付けられない人
   たちがいるんだってことも知った
   」ただただ、おカネを手に入れる
   ために頑張って仕事をしていただ
   けだったが、いつの間にか人を救
   っていた。そしてゴミ屋敷清掃会
   社まごのてに、理念や理想、意義
   や大義名分が形作られていった。
   (次回に続く)

 

     ゴミ屋敷に勝機   
      波乱万丈人生   連載 15

    自殺しようと思っていた

    まったくノウハウはなかったけれ
    ど、とにかく掃除をしに行った。
    まだ従業員はいなかったため、佐
    々木社長と奥さん、息子さんの3
    人での作業になった。とにかくな
    りふり構わず片付けた。夕方から
    始めたが、終わる頃には、深夜に
    なった。気力を振り絞って、水回
    りまできちんと片付けた。翌日、
    女の子から佐々木社長宛てにメー
    ルがきた。丁寧な感謝の言葉の後
    に、「もし断られたら、自殺しよ
    うと思っていました」
    と綴られていた。
    (次回に続く)

 

      ゴミ屋敷に勝機   
      波乱万丈人生   連載 14

    気になって奥さんに相談

    その夜、どうにもその女の子が気
    がかりだった佐々木社長は、奥さ
    んにその女の子の部屋の写真を見
    せた。奥さんはしげしげと写真を
    眺めた後、「この現場を見てしま
    ったら、片付けざるをえないでし
    ょう。この子が今日も、明日も、
    ここで1人で寝てると思ったらと
    ても放っておけない」奥さんに後
    押しされて、佐々木社長はその部
    屋を片付けることに決めた。とは
    いえ、社長も本当におカネがない
    時期だった。自動車も持っていな
    いから、レンタカーを借りなけれ
    ばならないが、そのカネもままな
    らない。電話をして、その子が今
    幾ら持っているかを聞くと、5万
    円だと答えた。社長は、4万円だ
    けもらい、残りのおカネは後から
    分割して払ってもらうことにした。
    (次回に続く)

 

 

      ゴミ屋敷に勝機    
      波乱万丈人生   連載 13

    断わる

    ただゴミがたまっているだけでは
    ない。ゴミのせいで生活が破壊さ
    れていた。電気は切れていて、懐
    中電灯で本を読んでいた。ガス給
    湯器も壊れていたが、大家に相談
    することもできず、冬場なのに水
    風呂を浴びていた。食べ残しは腐
    り、悪臭が鼻につく。そこら中に、
    ハエがわんわんと飛び回っていた。
    悲惨だった。
    しかしその子はおカネを持ってい
    ないという。どう考えても安く掃
    除ができる現場ではない。聞けば、
    案の定、他の業者には軒並み断ら
    れたという。佐々木社長も、あま
    りに割に合わない現場だと思い、
    「じゃあおカネができたら、電話
    くださいね」と言って、見捨てて
    帰った。
    (次回に続く)

 

      ゴミ屋敷に勝機   
      波乱万丈人生   連載 12  

    余りにも凄いゴミたまり

    女の子は鍵穴に鍵を突っ込んでカ
    チャッと回すのだが、なかなかド
    アを開けようとしない。よっぽど
    中を見られたくないのか、1分く
    らいジッとしている。やっとドア
    を開けると、中は胸の高さまでゴ
    ミがたまっている、本格的なゴミ
    屋敷だった。「今だったら、月に
    一度くらいは依頼がくる、ちょっ
    と大きめの現場、という感じなん
    だけど、当時はそんな大きなゴミ
    屋敷を清掃したことがなくて、思
    わず後ずさりしそうになった」ホ
    ームページでは「経験豊富」とう
    たっていたので何気ない顔をして
    内覧をしていたが、内心は動揺し
    ていた。
    (次回に続く)

 

    ゴミ屋敷に勝機   
      波乱万丈人生   連載 11  

    ゴミ屋敷清掃に力を注ごうと
    決めたきっかけ

    とにかくくる仕事は内容にかかわ
    らず受けていた佐々木社長だった
    が、1つの現場がきっかけで、ゴ
    ミ屋敷清掃に力を注ごうと決めた。
    それはとある1人の女の子の部屋
    の清掃だった。いつものように電
    話で依頼を受けて、待ち合わせ場
    所に行くと、いかにも普通の若い
    女の子が立っていた。聞けば、都
    内でも有数の有名大学に通ってい
    るという。街ですれ違ったら、絶
    対にゴミ屋敷に住んでいるとは思
    わないタイプの女性だった。
    (次回に続く)

 

      ゴミ屋敷に勝機   
      波乱万丈人生   連載 10  

            何でも受けた

     客に頼まれたチケットを取るため
     に一晩中並んだ。花見や花火の会
     場にビニールシートを敷いて席取
     りをした。幼稚園の入園手続きに、
     親御さんの代わりに参加した。そ
     んな数多の仕事の中に、ゴミ屋敷
     清掃の仕事もあった。「いよいよ
     崖っぷちな状況で、理想も理念も
     なかったよ。いつ電気が止まるか、
     いつガスが止まるか、って生活し
     てるのに、そんな悠長なことを言
     ってる場合じゃなかった。大便が
     山盛りになったトイレを掃除して、
     体中クソまみれになったとしても、
     仕事が終わったら、手の上に1万
     円、2万円と金が載る。それでと
     りあえず、家族は食っていくこと
     ができる。それが何より大事だっ
     た。若い経営者が、理想や意義を
     語っているのを見るけど、気持ち
     はわかるけど正直、まずは稼げよ、
     と思う。理想や理念、意義や大義
     名分は、稼いでいるうちに、後か
     らついてくるものだと思う」
     (次回に続く)

 

 

     ゴミ屋敷に勝機   
     波乱万丈人生   連載 9  

             失敗の始まり

            そして3年目に、実運送(実際に
            トラックを持つ運送業)を始めた
             。しかしそれが失敗の始まりだっ
            た。北京オリンピックの工事など
            の影響で、燃料費が急騰した。そ
            れまでリッター65~75円だった
            軽油が、150円にまで値上がりし
            た。それでもなんとか耐え忍び営
            業していたが、その後追い打ちを
            かけるようにリーマンショックが
            くる。自動車製造業関連の供給が
            一気に止まり、にっちもさっちも
            いかなくなった。「その頃にはト
            ラックを60台以上持つ、そこそこ
            大きい企業になっていた。行くも
            地獄、やめるも地獄だった。結局、
            倒産するしか道がなくなってしま
            った」そして2008年に会社をたた
            んだ翌年、2009年に逃げるように、
            東京にやってきた。東京の片隅で、
            ゴミ屋敷清掃の元になる仕事、便
            利屋、何でも屋、を始めた。「『
            仕事を始めた』なんてかっこいい
            ものじゃなかった。元手になるお
            カネはまるでない。体ひとつ以外
            に何もないから、便利屋以外に選
            択肢がなかった」くる仕事は、何
            でも受けた。
             (次回に続く)

 

             ゴミ屋敷に勝機   
      波乱万丈人生   連載 8

     ついに起業する

     そんな折、社内が労働組合問題で
     揉めた。労働組合と争いになった
     揚げ句、暴力行為、名誉毀損で警
     察に逮捕された。新聞や週刊誌に
     も載って、会社にはいられなくな
     った。その後、よその運送屋に回
     してもらえるという話もあったの
     だが、それならば自分で起業しよ
     うと思い、運送屋を始めた。元手
     は60万円くらいしかなくて、心も
     となかったけど、とにかくやるし
     かなかった。知り合いの運送会社
     の社長の所に間借りして、電話回
     線だけを引いて1人で会社を始め
     た。実車を持たない貨物運送取扱
     事業(自社以外の運送事業社の運
     送機関を使い貨物運送を引き受け
     る事業)だったため、リスクは少
     なかった。前の職場で運送屋とは
     たくさんつながりができていたの
     で、比較的早く軌道に乗り、1年
     目で売り上げは3億円になった。
     「売り上げ3億円といっても、粗
     利は7%。そこから税金をひかれ
     るから、手元には1000万円程度
     しか残らない。でも当時の目標だ
      った、サラリーマンのてっぺんの
     収入は手に入れた」
     (次回に続く)

 

 

      ゴミ屋敷に勝機    
       波乱万丈人生    連載 7

                起業したい  

               「当時は、とにかくどんな手段で
               もいいからおカネを稼げばいい、
               と思っていた。アンダーグラウン
               ドの仕事は儲かる時は儲かるけれ
               ど、出て行くカネも多い。結果的
               におカネは貯まらなかった。まさ
               に『悪銭身につかず』だったんだ
               と思う」その後1993年、佐々木
               社長はアンダーグラウンドの仕事
               を辞め奈良に戻り、運送会社に就
               職した。トラックの運転手をして
               いたが、場数を踏んでいて度胸が
               あるのを社長から可愛がられ、2
               年で管理職についた。「会社の経
               営をしたい、と腹の底で思ってい
               たのを見抜かれたのかもしれない。
               サラリーマンはどれだけ頑張って
               も1000万円がてっぺん。自分で起
               業すれば、もっと大きく稼げる、
               もっと稼ぎたい、と常々思ってい
               た」
               (次回に続く)

 

 

                  ゴミ屋敷に勝機    
      波乱万丈人生    連載 6

      高校卒業後は
      スーパーに就職したが…

      高校卒業後は、奈良を離れ大阪の
      スーパーに就職した。そのスーパ
      ーは入ってみると、実は反社会的
      勢力が経営している店だった。ス
      ーパー以外にも、怪しげな不動産
      や金融など、アンダーグラウンド
      な仕事もしていた。
      「そういうダーティーな仕事を間
      近で見るのはすごく面白かった。
      目の前で億のカネが動く話をして
      いるのを聞くだけで興奮したよね。
      スーパーで肉を切る仕事をしてい
      たけど、かたわら借金の切り取り
      (取り立て)の仕事もまかされて
      いた」しかし数年後、事件化して
      しまい、会社は潰れてしまった。
      佐々木社長は、しばらくアンダー
      グラウンドの仕事を続けたが、な
      かなかおカネは貯まらなかった。
      (次回に続く)

 

      ゴミ屋敷に勝機    
      波乱万丈人生    連載 5

       とにかく働いた

      社長は、中学2年になると働き始
      めた。朝は新聞配達をし、土日は
      年齢をごまかしてスーパーの社員
      食堂でアルバイトをした。すぐに
      でも社会に出たかったので、義務
      教育が終わったら料理人になろう
      と思っていたが、スーパーの店長
      に、「きょうび、中卒で修業して
      料理人になるなんて時代じゃない。
      老舗料亭だろうが、ホテルのレス
      トランやろうが大卒だよ」と諭さ
      れて、高校には行くことにした。
      高校も、2つの仕事を掛け持ちし
      ながら通い、ついでに放課後はバ
      レー部で汗を流した。とにかく貧
      乏が嫌だったし、いつも体を動か
      していたかった。
      (次回に続く)

 

 

      ゴミ屋敷に勝機    
      波乱万丈人生    連載 4

      父親の代で倒産

      小学校2年生の時にその祖父が亡
      くなり、父親の代になった。父親
      は代を継ぐまでは、オーケストラ
      のチェリストをしていたという、
      まったく商売っけのない人だった。
      店は1軒、2軒と潰れていき、最終
      的には全部なくなり、自宅に頻繁
      に借金取りが来るようになった。
      そして佐々木社長が中学校1年の時
      に、一家で奈良県に夜逃げをする
      ことになった。大阪の一軒家から
      引っ越した先は、家族で住むには
      あまりにも狭い築40年のボロアパ
      ートだった。絶望的な状況になっ
      たにもかかわらず父親はまともに
      働かなかった。三日働いては辞め
      る、というのを繰り返す。代わり
      に母親がけなげに働いていたが、
      生活は苦しかった。父親を見て佐
      々木社長は、心底「情けない」と
      思ったという。「その時『男はカ
      ネを稼がなければ意味がない』と
      悟った。『世の中カネじゃない』
      なんて綺麗ごと言う人もいるけど、
      やっぱり世の中は銭。おカネは大 
      事よ」
      (次回に続く)

 

 

       ゴミ屋敷に勝機    
     波乱万丈人生    連載 3

     幼少期はお坊っちゃんだった

     佐々木社長は、いわゆる人当たり
     の良い、優しそうなオジサンでは
     ない。強面で眼光はするどく、一
     筋縄ではいかない雰囲気が漂って
     いる。いかにも曲者なので、任侠
     の人だと勘違いされることもある
     そうだ。そんな外見とは裏腹に、
     幼少期はお坊っちゃん育ちだった
     という。佐々木社長の祖父は、戦
     後の大阪の闇市で一稼ぎして、そ
     の後公設市場に何軒もお店を持っ
     た、ひとかどの人物だった。「3
     ~4歳の頃かな。俺が大阪の自宅
     で寝てたら、若い衆が荷車ひいて
     帰ってくる。彼らが部屋に持って
     きたりんご木箱の中にはお札が山
     ほど入っていて、それを爺さんと
     婆さんが数えている……そんな光
     景をよく覚えている。おカネには
     恵まれた家やった」ところが、お
     坊っちゃん生活は、長くは続かな
     かった。
     (次回に続く)

 

       ゴミ屋敷に勝機    
     波乱万丈人生    連載 2

     新社屋に移転

     新社屋の1階では、ゴミ屋敷清掃
     を終えたスタッフが、慌ただしく
     作業をしている。社長は、キビキ
     ビと指示をした後、こちらに歩い
     てきた。「やっと大きい社屋を持
     てて、普通の会社になりましたわ
     」佐々木社長は笑顔で語った。
     新社屋は38坪のかなり大きい物件
     だ。先日までは10坪の事務所兼作
     業場で作業していたという。その
     4年前は、自宅のマンションのベ
     ランダで作業していた。佐々木社
     長は、数年で大きな社屋を持てた
     ことに感慨深げだ。
     (次回に続く)

 

      ゴミ屋敷に勝機    
      波乱万丈人生   新連載 1

      「どれだけ酷いゴミ屋敷でも、
       1日で綺麗な状態に」

      株式会社まごのては、「ゴミ屋敷」
      と呼ばれる物件の清掃に特化した、
      特殊清掃会社である。まごのては「
      どれだけ酷いゴミ屋敷でも、1日で
      綺麗な状態にする」をモットーに、
      一般の清掃会社が「うちでは無理で
      す」と、にべもなく断る大型のゴミ
      屋敷物件も引き受けている。
      ・胸の高さまでビッチリとゴミがた
       まっている部屋
        ・オシッコの入ったペットボトルが
       数千本出てくる部屋
        ・20年分の雑誌、新聞が部屋を埋め
       尽くしている部屋
        ・数十匹の猫が飼われていて大量の
       糞が床に積もる部屋……などなど、
      一癖も二癖もある厄介な物件が相手だ。
      清掃の現場は、まるで戦場のような有
      り様になる場合も少なくない。そんな、
      まごのての総指揮をとっているのが、
      まごのて代表取締役の佐々木久史社長
      だ。まごのてのゴミ屋敷清掃のノウハ
      ウのほとんどは、佐々木社長が経験か
      ら生み出したという。社長がゴミ屋敷
      清掃を始めたのは、2009年と比較的
      最近の話だ。会社は急成長をとげて、
      現在も拡大している。「なぜ佐々木社
        長は、ゴミ屋敷清掃を生業にしようと
      思ったのか?」「ゴミ屋敷清掃会社ま
      ごのての成功の秘訣はなんだったのか
      ?」今年5月に移転したという新社屋
      で、佐々木社長に話を聞いた。
            村田 らむ ライター
      (今回新連載です)

      

 

       カルビー越境ECで  new
      「フルグラ」販売開始 2 / 2 

      カルビーは、「フルグラ」につい
      て、将来的には、国内500億円、
      海外1000億円の目標を掲げてい
      る。松本CEOは「フルグラビジネ
      スは、日本だけでなく中国でも大
      きく花を開かせ、他の国にも広げ
      ていきたい」と述べた。「フルグ
      ラ」は現在、宇都宮市の清原工場
      で生産している。カルビーは輸出
      を行っていなかったものの、中国
      からの訪日観光客などに人気とな
      り、中国のオンラインなどで60億
      円程度の売り上げがあった。しか
      し、中国政府が栃木県を含む1都9
      県の食品の輸入規制を厳格化した
      ことで、流通量は大きく減少して
      いた。今回、北海道と京都という
      規制対象外の都道府県で生産した
      フルグラを越境ECで販売すること
      で、中国でのニーズに応える。今
      後、越境ECで取り扱うカルビーの
      全商品において、アリババと協働
      していく。中国では、日本の人口
      に匹敵する約1億人が越境ECで買
      い物をしているという。
      (今回最終回有り難うございます)

 

 

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6.サブリース事業 11

2017-07-07 11:30:38 | アート

    サブリースしたいとき
      早めの相談が より 効果的です
        ★ブログデビュー1周年記念第1弾
         サブリース事業開始

          

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   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦   最終回 12

   アイデアを出せる環境を

   昨年からは常連客の手厚いフォロ
   ーアップも始めた。年間購入金額
   が最も大きいトップ10組(夫婦な
   ど)を東京の日本料理屋に招待し、
   ヤマウチの社長をはじめ、注文担
   当の社員や工場で働く社員なども
   交えて会食する。そこで顧客と社
   員が顔を合わせ、直につながるこ
   とでより信頼関係を強めることが
   できると考える。そしてまた、こ
   の場も顧客の声に耳を傾ける絶好
   の機会だととらえている。「まだ
   完全には南三陸町の海の幸は復活
   していない」と山内氏。震災が起
   きる前、原料は潤沢で、どんなに
   注文が来ても顧客に出せる状態だ
   った。しかし今は受注量を調整し
   なくてはならなくなった。そうし
   た逆境の中で業績を伸ばしていく
   には、やはり社員個々人のパフォ
   ーマンスが重要になってくる。
   「会社は人で成り立っています。
   僕1人で考えたアイデアよりも、
   50人で考えたアイデアの方が良
   いに決まっている。働き方を変
   えて、どんどんアイデアが出る
   環境を作れば、業績も上がると
   信じています。だけど僕らは何
     も100億円企業を目指すのでは
   ありません。それよりも社員が
   幸せになる会社を目指すのです
   」そう言い切った山内氏の目は
   明るい未来を力強く見据えてい
   た。ヤマウチの挑戦はここから
   が本番だ。
  (今回最終回有り難うございます)

 

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 11

    リピーター率60%

   「インターネットのサービスだけど
   も、結局は人と人とのつながりなの
   で、そこを一番大切にしています」
   顧客と直接対話することでより真摯
   (しんし)かつスピーディー対応が
   できるようになるし、要望や疑問な
   どをいろいろと話してくれるように
   なる。そして同社が優れているのは、
   顧客の要望を聞いて終わりではなく、
   すぐに形にすることだ。例えば、商
   品の量が多いと言われれば、即座に
   少量タイプの商品を販売する。生サ
   ンマの保存方法が知りたいと聞かれ
   れば、それをECサイト内のFAQコー
   ナーに写真付きで掲載する。さらに
   はサンマを使ったレシピもコンテン
   ツにして紹介する。このように顧客
   の要望や期待に応える姿勢を徹底的
   に貫いているのだ。こうした取り組
   みによって、現在の平均リピーター
   率は6割に上るという。
   (次回最終回お楽しみに)

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 10

   顧客の声を聞き、
   すぐに要望を形に

   社員に責任感を持たせるとともに、
   ECサイトで売り上げを伸ばすため
   の労力も惜しまない。その1つが
   「顧客の声」の収集、活用である。
   同社では顧客とのあらゆる接点を
   専用のデータベースに入力、蓄積
   している。以前は紙やエクセルシ
   ートで管理していたが、震災によ
   って約11万件の顧客リストが消失
   したことで、現在はサイボウズが
   提供するクラウド型データベース
   アプリ「kintone」を活用してい
   る。同社がユニークなのは、とに
   かく電話で顧客と会話することを
   重視している点だ。一般的なEC
   サイトだとメールのみのやり取り
   で終わるが、可能な限り直接的な
   対話が望ましいと考える。「例え
   ば、問い合わせなどの電話がかか
   ってきたら、すぐに切らずにでき
   るだけ長電話しろと社員に言っ
   ています」と山内氏は笑う。この
   スタンスはいかなるときも変えな
   い。例えば、海が大しけで予定よ
   りも海産物が入ってこない日には、
   注文をくれた顧客すべてに電話し
   て「今日は天候が悪くて水揚げで
   きません」などと状況を伝える。
   それが100人でも200人であって
   もだ。
   (次回に続く)

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 9

   経験を積む大切さ

     一方で、失敗も積極的に奨励した。
   2016年末にあったエピソードを紹
   介しよう。同社のECサイトの売り
   上げが最も伸びるのが年末年始。
   この時期に海産物を食べたいとい
   うニーズが高まるからだ。ただし、
   あまりにも注文が殺到するため、
   在庫を見ながらタイミングを計っ
   て注文をストップしなければなら
   ない。そのタイミングを1日早め
   るか、前年よりも1日延ばすかで、
   売り上げはかなり変動する。その
   さじ加減は経験や読みの良さなど
   がモノを言うが、2016年末は社
   員たちが安全策をとり、例年より
   も2日早く注文をストップした。
   当然売り上げは前年を大きく下回
   った。ビジネス上では失敗だが、
   そのことを身を持って体験したこ
   とは大きいと山内氏は考える。
   「やはり実際に自分たちで考えて、
   運営してみないと分からないこと
   が多いのです。それまで僕がいく
   ら言い続けていても、結局のとこ
   ろ彼らの経験にはなっていなかっ
   たのですから」
   (次回に続く)

 

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 8

   権限委譲

   ECサイトの再開に合わせ、働き方
   改革の一環として、社員1人1人に
   もっと仕事を任せるようにした。
   これまで10年以上にわたって、E
   Cサイト事業とB2B事業について
   は、山内氏が統括責任者として切
   り盛りしてきた。その結果、社員
   は自分たちで考えて手を動かそう
   とせず、すべて指示待ちの状態に
   なっていたのである。「どんどん
   自分で意思決定できるほうが、仕
   事にもっとやりがいが持てるはず」
   そこで山内氏は権限委譲して、多
   くの仕事や役割を社員たちに担っ
   てもらうように変えた。そしてす
   ぐに山内氏を頼らずに、社員たち
   だけで考える習慣をつけさせよう
   と、極力オフィスにいないように
   した。もちろん、商品販売管理で
   必要なエクセルシートなど、最低
   限業務が回るための仕組みは用意
   した。次第に社員に責任感が出て
   きて、事業の売り上げについても
   意識するようになった。
   (次回に続く)

     南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 7

   社員が辞めだす

   あるとき、山内氏がスタッフに目
   を配ると実につまらならそうに働
   いている。そして気が付けば、1
   人、また1人と辞めていったのだ。
   「もういい。止めよう」。山内氏
   は決断する。ECについては、自社
   サイトだけに注力することにした。
   自分たちのペースで、しっかり顧
   客に対応できる商売をしていかな
   いと駄目になるという危機感があ
   った。そうした最中に東日本大震
   災が起きた。結果的にそれが後押
   しとなり、もう無理だと思い、楽
   天やヤフーなどに連絡して解約を
   伝えた。ただし、自社サイトだけ
   でやるにしても、原料は不足し、
   働く人もいなかった。再びECサ
   イトで販売できるようになったの
   は、2013年1月まで待つことにな
   る。
   (次回に続く)

 

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 6

    ECモール対応大変

   軌道に乗りかけたところで、「楽
   天市場」や「Yahoo!ショッピング
   」などのECモールに出店を開始。
   そこで販路を広げることで一気に
   ビジネスが拡大した。2009年には
   「日本オンラインショッピング大
   賞 最優秀小規模サイト賞」を受賞
   した。ところが、である。販路拡
   大によるビジネス成長とは裏腹に、
   ECモール各社でサービスの運用方
   法が異なるため、担当社員は同じ
   商品を販売するのでも、それぞれ
   のやり方に合わせないといけなか
   った。さらにタイムセールのキャ
   ンペーン広告を入稿しろだなんだ
   と、頻繁に運営会社から指示があ
   って、スケジュール期限に追われ
   ていた。その結果、作業量が膨大
   になり、社員は疲弊していった。
   また、ECモールに出店すると各社
   にロイヤリティを支払う必要があ
   るし、商品購入者の顧客情報を自
   社サービスでは利用できないとい
   う制約もあった。「ECモールを使
   うことで販売額自体は上がるので
   すが、利益はそれほど出ていない
   状況でした」
   (次回に続く)

 

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 5

    ECサイト苦戦

   そう吐露するのは、過去の苦い経
   験があるからだ。今、ヤマウチの
   事業の柱の1つになっているのが
   自社ECサイトで、2004年に山内
   氏が1人で立ち上げた。当初はま
   ったく売れずに、月商3000~50
   00円という目も当てられない状況
   が続いた。ECに関しては山内氏も
   素人同然で、他社の人気サイトを
   見よう見まねしてみたり、商品写
   真の見せ方を変えてみたりと、試
   行錯誤の連続だった。「周囲に教
   えてくれるような人もいないので
   すべて独学でした。睡眠時間も削
   って、手探り状態で運営する日々
   でした」と山内氏は振り返る。立
   ち上げから3年間はほとんど芽が
   出ずにいたが、そうした中でもコ
   ツコツと取り組み、1年くらいか
   けてサイトのリニューアルを実施。
   新たなASPサービスを活用したり、
   カートシステムを刷新したりして、
   徐々に売り上げが伸び始めたとい
   う。
   (次回に続く)

 

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 4

   楽しい雰囲気を作る

   とはいえ、アイデアや構想は頭の
   中にあったものの、現実的に震災
   後しばらくは人が住む場所もまま
   ならなかったので、工場の片隅を
   事務所代わりにするしかなかった。
   広さは10畳ほどで、窓もないよう
   な場所だった。そうした苦しい状
   況を何とか耐え、2016年夏に新
   しいオフィス兼工場を立ち上げた
   のである。BRT(バス高速輸送シ
   ステム)の志津川駅近くに建つそ
   のオフィス内部は、まるで都心に
   あるスタートアップ企業のような
   雰囲気で、社員たちがコーヒー
   を飲みながらソファで談笑する光
   景が日常的に広がっている。とて
   も水産加工の会社というイメージ
   からはほど遠い。「皆が生き生き
   と働ける場を作りたかった」と山
   内氏は話す。「働いてくれる人が
   いなくなったら会社は終わりです
   からね」
   (次回に続く)

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 3

   町の存続につながる

   働くのであれば、楽しく働きたい。
   時間を無駄にはしたくない。山内
   氏はそう思った。「よく田舎の仕
   事には魅力がないと言われます。
   特に水産加工の仕事はキツイとい
   うイメージがあるので、社員はや
   りがいを持たなければ辞めていく
   し、若者も面白い仕事を求めてど
   んどん都会へ出て行ってしまいま
   す。だからこそ、彼らに魅力的な
   仕事、働きがいのある環境を提供
   することが我々の役目ではないか
   と考えました」ヤマウチで毎日働
   きたくて仕方ないような会社にす
   ること、それが長い目で見たとき
   に南三陸町という町の存続にもつ
   ながるのだ。そう山内氏は心に誓
   い、行動に移したのである。
   (次回に続く)

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦    連載 2

   働く意味

   ヤマウチでは以前、約300種にも
   およぶ水産物を取り扱っていたが、
   震災によって原料が激減(グラフ
   参照)。店舗や事務所、工場も津
   波によって壊され、震災後しばら
   くはとても事業どころではなかっ
   た。しかし、南三陸町で生活する 
   人々の要望もあり、2011年8月、
   場所を高台に移してプレハブ小屋
   の実店舗で商いを再開した。とに
   かく町には店がない状況だったの
   で、水産物だけでなく、精肉や日
   用品なども販売し、食堂も併設し
   た。時を同じくして、震災前に働
   いていた社員の半数以上も戻って
   きたのだ。こうして事業を再スタ
   ートしたものの、社員の心中は複
   雑だ。冒頭の言葉は、同社の山内
   恭輔専務のものである。一歩間違
   えれば自分が死んでいたかもしれ
   ない、そんな思いが山内氏を含め
   て全社員の胸の中に常にある。い
   つ何が起きるか分からない、そう
   した状況で働く意味とは何か…。
   (次回に続く)

 

   南三陸町で躍動する
   小さな会社の   
   大きな挑戦   新連載 1

   人口も減り続ける

   東日本大震災から6年が過ぎた。
   宮城県北東部に位置する南三陸
   町は、大地震による津波で壊滅
   的な被害を受けた地域の1つで、
   実に町の約8割が消失した。い
   まだ復興は道半ばで、大型トラ
   ックが町中を行き交い、宅地造
   成などのために土が盛られた山
   が至るところにある。人口も激
   減した。震災前は1万8000人だ
   ったが、現在は1万4000人に。
   さらに2030年には約9000人に
   まで減少するという予測が出て
   いる。復興にとどまらず町全体
   の活性化も、それが南三陸町に
   突きつけられた厳しい現実であ
   る。そんな南三陸町で今、活気
   付く会社がある。地元で65年以
   上続く「山内鮮魚店」などを運
   営するヤマウチだ。南三陸町は
   漁業が盛んで、サンマやカキ、
   ホヤなど海の幸が豊富。そこ
   で収穫した魚介類を実店舗やE
   Cサイトで販売したり、全国の
   スーパーマーケット向けに水産
   加工品の製造販売を行ったりす
   る。震災後に業績は落ち込んだ
   ものの、現在は回復基調にあり、
   さらなる飛躍に向けて「田舎で
   もクリエイティブに」をモット
   ーに、働き方改革を推し進めて
   いるのだ。
         伏見学ITmedia
   (今回新連載です)

 

   

   光通信        
         高収益企業の会社に 連載 6

   玉村社長の真意は
   どこにあるのか?

   昨年4月、総務省は携帯販売につ
   いて過度な値引きを禁止するガイ
   ドラインを公表し、販売価格の適
   正化を進めてきた。その中で販売
   競争は沈静化。携帯会社からの販
   売奨励金が減ったことで、多くの
   販売代理店は苦戦を強いられてい
   る。同業株を多く持つ光通信は再
   編の中心になると見られてきたが、
   「通信関連株は割高になってきた
   」(玉村社長)と一層の買い増し
   には慎重な姿勢だ。「2〜3年前は
   買っていたが、今は売るタイミン
   グを探っている。基本は売りだと
   思っている」とまで語っている。
   一方で、「ホームラン級の案件が
   来れば、やれたらいいなと思って
   いる」とも話し、豊富な現金(3
   月末で1193億円)は有利子負債
     (同1731億円)の返済に充てる
   のではなく、M&Aなどのために
   手元に置いているという。玉村社
   長の本心は一体どこにあるのか。
   株式市場も、業界関係者も、その
   真意を測りかねている。
   (次回最終回お楽しみに)

 

 

     光通信         
         高収益企業の会社に 連載 5

   同業会社への株投資

   光通信にはもう一つの顔がある。
   同業他社の上場株に投資する投
   資家としての側面だ。最大手の
   ティーガイア株は16%を保有し、
   ベルパーク株も28%保有。これ
   らは持ち分法適用会社で、税前
   利益を押し上げている。ほかに
   もコネクシオ(保有比率3%)、
   東海地盤のエスケーアイ(同20
   %)、アルファグループ(同8
   %)、中古販売主体の日本テレ
   ホン(同9%)など、同業他社
   の株を保有している。狙いは何
   か。玉村社長は「同業の株を持
   つことで間接的にストック利益
   を増やしている。たとえばティ
   ーガイアからの配当収入はスト
   ック利益並みに安定成長してい
   る」と独特の投資哲学を語る。
   同業他社の株に投資するのは「
   業績見通しが立てやすいから」
   とし、持ち分法適用会社につい
   ても「割安な株を買っていった
   らそうなっただけで、目指した
   わけではない」とあくまでも自
   然体で買い進めた結果であり、
   経営を支配する意図はないと強
   調する。
   (次回に続く)

 

    光通信        
         高収益企業の会社に 連載 4 

          現在の社長の悩みは「人材不足」

         そこで現在、力を入れるのが「高
         ストック事業」だ。ウォーターサ
         ーバー(前期は3億円の営業赤字)
         や、回線事業におけるMVNO、自
         社光サービスなどがあげられる。
         たとえばウォーターサーバー。貸
         し出す時点では赤字が先行するが、
         天然水を顧客に定期的に届けるこ
         とで、徐々に利益を出していくモ
         デルだ。そんな商材を「自社商材
         」と呼び、増やしている。2010
         年3月期には自社ISP(プロバイダ
         ー事業)しかなかったが、データ
         カードやITソリューション、自社
         光サービス、ウォーターサーバー、
         自社SIMなど商材を追加。今201
          8年3月期は電力販売も本格化す
         る。玉村剛史社長は参入基準につ
         いてこう説明する。「バリア(
         参入障壁)が高く、設備投資がい
         らずキャッシュフローがいい、と
         いう基準に照らして参入を決めて
         きた。5年前には光通信が水や電
         力を手がけるとは想像もしてい
         なかったが、5年で200%のスト
         ック利益の利回りになった」。
         玉村社長の現在の悩みは、新商材
         の事業展開を任せられる人材が不
         足していることだ。投資基準に合
         致していても「やれる人間がいる
         のか」と、壁に当たることが少な
         くないという。
         (次回に続く)

 

         光通信         
         高収益企業の会社に 連載 3

   大きな成長が見込めない

   ITバブル後の光通信を支えてきた
   OA機器販売は、販売後に消耗品
   の貢献が見込めるものの、販売時
   の売上高が圧倒的に大きい一時金
   事業。祖業といえる携帯電話や固
   定回線の販売は低ストック事業だ。
   これらの事業は衰退期に入りつつ
   ある。実際、オフィス関連事業は
   2015年3月期に1455億円だった
   部門売上高が2017年3月期に12
   07億円に縮小、営業利益も190億
   円から148億円まで減った。SHO
   P事業も連続減収だ。ただ、過去
   3期で見ると営業利益は140億円
   前後で安定している。これは店舗
   のリストラ効果によるものだ。業
   界全体が販売不振にあえぎ、最大
   手のティーガイアが9%近い営業
   減益となったことからすると、光
   通信の業績は安定的と言えそうだ。
   とはいえ、大きな成長が見込めそ
   うもないことも事実である。
   (次回に続く)

 

   光通信         
         高収益企業の会社に 連載 2

   継続課金の「ストック
   利益」を重視

   光通信の強みは顧客基盤の厚みに
   ある。「法人90万社、個人120万
   人の基盤がある。特に中小企業が
   多い」(玉村剛史社長)。そして、
   毎月課金する商材を購入する顧客、
   つまり「継続課金する顧客」から
   の利益を「ストック利益」と称し、
   その利益成長を重視してきた(獲
   得コストがかかるため、イコール
   営業利益ではない)。同社は販売
   時の一時金収入とストック利益の
   多寡で事業を分類する。一時金収
   入は多いがストック利益が少ない
   「一時金事業」、一時金収入の方
   がストック利益よりも多い「低ス
   トック事業」、販売時は赤字が先
   行するが販売後のストック利益が
   多い「高ストック事業」の3つだ。
   (次回続く)

 

   光通信         
         高収益企業の会社に 新連載

   三つの収益の柱

   光通信の業績が絶好調だ。前2017
   年3月期は営業利益が10%増の41
   5億円となった。今2018年3月期も
   同11%増の465億円と2ケタ成長を
   着実に達成しそうだ。「獲得コスト
   」(顧客獲得のための代理店手数料
   など。前期325億円、今期360億円)
   をかけたうえで2ケタ増益を見込む。
   将来への布石を十二分に打ちながら
   の連続増益である。2000年代初頭
   のITバブル期に携帯電話販売店を急
   激に拡大したことから、光通信とい
   えば携帯ショップのイメージが根強
   い。実際、携帯販売店では大手の一
   角を占める。だから、イメージは決
   して間違いではない。ただ、現在は
   携帯端末販売はあくまでも3つの収
   益柱の一つだ。「オフィス関連事業
   」と「回線事業」が携帯ショップの
   「SHOP事業」と同等の140億円台
   の部門営業利益を稼ぐ(2017年3月
   期)。オフィス関連事業は携帯電話
   やLED蛍光灯、複合機、固定電話な
   どの販売。回線事業は自社の光サー
   ビス、データカード、SIM(携帯端
   末に挿して使う通信に必要なカード)
   などを販売する事業のことである。
        山田雄一郎 東経記者
   (今回新連載です)

 

   ドイツのスーパーが  new
   世界中に広がる  最終回10   

   中国はネットで販売

   またアルディは、アジアにも目を
   向け始めている。アジア進出の最
   初の国として選んだのが、中国だ。
   と言っても、実店舗をオープンさ
   せたのではない。ネット上に店舗
   を立ち上げたのである。中国アリ
   ババグループが運営するeコマー
   スサイト「TMall Global(天猫国
   際)」上にストアを開設し、オー
   ストラリアから商品を発送すると
   いうユニークな試みを始めている。
   2017年4月からサービスを開始し
   たばかりだが、ワインやスナック、
   朝食用のシリアル、粉ミルクなど
   を取り扱っている。日本でもかつ
   て、いくつもの海外大手スーパー
   が参入し、撤退に追い込まれてい
   った。そんな歴史からも、日本に
   は独自のスーパーマーケット文化
   があり、消費者を取り込むのが難
   しいマーケットと見られている。
   ただ斬新なアイデアをもつアルデ
   ィなら、日本国内で実店舗の展開
   を開始しても十分にサバイバルで
   きるかもしれない。今後の展開に
   注目したい。
   (今回最終回有り難うございます)

 

 

   ドイツのスーパーが  
   世界中に広がる   連載 9   

   さて、日本はどうか

   米国では、主に東海岸を中心に展
   開中のアルディだが、大規模な店
   舗の改装や拡大に力を入れている。
   店内の通路を広くしたり、明るめ
   の照明に変更するなど、イメージ
   アップを図っているのだ。さらに、
   健康志向の高まりから、オーガニ
   ックやグルテンフリー(小麦など
   に含まれるタンパク質の一種であ
   るグルテンを含まない食品)、抗
   生物質を使用しない鶏肉など、売
   り上げが伸びているプライベート
   ブランド商品の売り場を充実させ
   ている。しかも、興味深いのが店
   舗のロケーションだ。アルディは、
   競合であるウォルマートの巨大店
   舗がある場所の近くに、あえて出
   店している。ウォルマートを利用
   する節約志向の買い物客を密かに
   奪い取ろうという目論見だ。「セ
   コイなあ」と思われるかもしれな
   いが、これも立派な戦略である。
   そんなアルディが現在目標として
   いるのが、2018年までに米国で
   2000店舗を展開することだ。そ
   の数は、ウォルマートの店舗数
   の約42%に値する。ここでも、
   じわじわとマーケットシェアを
   狙っている。
   (次回最終回お楽しみに)

 

 

   ドイツのスーパーが  
   世界中に広がる   連載 8    

   PBが9割でどうして売れるか

   とはいえ、プライベートブランド
   商品が9割も占めているスーパー
   マーケットというのは、少し想像
   しにくいかもしれない。価格重視
   だとはいえ、自社の製品ばかりで、
   実際に消費者をひきつけることが
   できるのだろうか。米国で人気が
   高い「Trader Joe's(トレーダー
   ジョーズ)」というスーパーマー
   ケットを聞いたことがあるだろう
   か。実は、トレーダージョーズを
   運営しているのが、アルディだと
   いうことはあまりしられていない。
   トレーダージョーズは、プライベ
   ートブランド商品をうまく使い、
   オーガニックフードや多国籍の食
   材、さらにはワインなどを低価格
   で販売している。そのため、米国
   でかなり人気の高いスーパーとし
   て、消費者ランキングでトップの
   常連なのだ。つまり、プライベー
   トブランド商品といっても、以前
   よりはパッケージが魅力的になっ
   ており、消費者にも受け入れられ
   ている。またオシャレなお店とし
   て海外からの旅行者にも人気にな
   っている。トレーダージョーズと
   比べると、アルディは少し地味か
   もしれないが、合理的に節約した
   い消費者には魅力的なストアなの
   は間違いない。
   (次回に続く)

 

 

   ドイツのスーパーが  
   世界中に広がる   連載 7

   アルディの最大の特徴

   ただ何と言っても、最大の特徴は
   価格が安いことだ。これは同社の
   伝統というべきもので、母親から
   店を引き継いだ当初から、自分た
   ちを「世界初のディスカウントス
   トア」と主張していたくらい、価
   格の安さにはこだわりがある。価
   格を下げられる理由は、店舗内で
   取り扱う商品の大半が、アルディ
   のプライベート(自社)ブランド
   だからだ。約90%の商品がプラ
   イベートブランド商品のため、低
   価格を維持することができると
   いうわけだ(ちなみに、ウォルマ
   ートではさまざまなブランドを取
   り扱っているため、プライベート
   ブランドの割合は30%ほど)。
   また、競合店の特売に対抗して、
   価格を臨機応変に変更することも
   ある。低価格をウリにしているた
   め、消費者からのその期待を裏切
   らないように対応している。この
   ような企業努力により、アルディ
   の商品価格は競合他社と比べると、
   20%以上も安くなっている。さら
   に、クーポンや会員制ポイントカ
   ードなどを使用しなくても、いつ
   でも安いというシンプルさが支持
   されている。
   (次回に続く)

 

        ドイツのスーパーが  
        世界中に広がる   連載 6

        いろいろ工夫している

        しかし、アルディでは、商品が届
        けられた段ボール箱などをそのま
        ま陳列に利用するため、簡単に積
        み重ねられ、従業員の作業時間や
        コストの上でも効率が良くなって
        いる。さらに、野菜や果物などは、
        一般的なスーパーのようにバラ売
        りをしていない。袋入りで販売し
        ているので、レジでいちいち測っ
        て値段を入力する手間がいらない。
        袋に貼られたバーコードをスキャ
        ンするだけなので、レジ待ちの時
        間も短縮できる。ほかにも、買い
        物用のショッピングカートが、コ
        イン式になっているのも通常のス
        ーパーとは違う点だ。コインを差
        し込んでピンを抜き、使用後はま
        たピンを戻すことでコインが返却
        され、実質無料で利用できるとい
        うシステムだ。これも戦略である。
        利用者が決められた場所にカート
        を返却することで、欧米のスパー
        マーケットにありがちな、駐車場
        に散乱したカートを回収するとい
        った、従業員の作業をなくすこと
        に成功している。
        (次回に続く)

 

 

        ドイツのスーパーが  
        世界中に広がる   連載 5

       世界で拡大を続ける秘けつ

        英国や米国で存在感を増している
        アルディだが、国内のみならず世
        界でも拡大を続ける成功の秘けつ
        は、同社がユニークなビジネスモ
        デルを採用していることがある。
        まず、1つ目の特徴は、アルディ
        の店舗は競合他社と比べて、規模
        が非常に小さいことだ。売り場面
        積が小さいので、当然のことだが、
        店舗で取り扱える商品にも制限が
        出てくる。そのため、アルディで
        は、日常生活に欠かせないベーシ
        ックな商品しか取り扱っていない
        のだ。また、個々の商品に関して
        も、サイズが1種類のみだったり、
        取り扱うブランドが少ないなど、
        あえて選択肢を絞っている。効率
        よく買い物をしたい消費者には、
        無駄に広い店舗をぐるぐる回って
        商品を探す必要がないので、時短
        になると好評だ。2つ目の特徴と
        して、従業員の無駄な手間を省い
        て、サービスの向上を図っている
        点が挙げられる。例えば、店舗内
        の商品ディスプレイだ。一般的な
        スーパーでは、棚に商品を陳列し
        ているため、従業員がこまめに商
        品をストックし、きれいに並べる
         必要がある。
        (次回続く)

 

        ドイツのスーパーが  
        世界中に広がる   連載 4

        米国でも注目される

          アルディは今、米国でもその存在
        感が高まっている。現在1600店舗
        を展開しているが、16億ドルの巨
        額を投じて既存の1300店舗を改装
        し、2018年末までにフロリダ州や
        テキサス州を中心として新たに40
        0店舗をオープンさせる予定でいる。
        米国のスーパーマーケット業界とい
        えば、2014年以降に18社が倒産に
        追い込まれているほど厳しい状況に
        ある。さらに最近では、Amazonも
        ビジネスに参入するなど、いまだか
        つてないほどに競争が激化している。
        現在のところ、アルディの米国にお
        けるマーケットシェアは、わずか1.
        5%ほどしかなく、業界トップで、
        22%ものマーケットシェアを誇る
        ウォルマートにはまだ遠く及ばな
        い。だが業界の分析では、アルデ
        ィは年率15%で急成長中であり、
        そのポテンシャルは高いと見られ
        ている。
        (次回に続く)

 

        ドイツのスーパーが  
        世界中に広がる   連載 3

       英国、米国で店舗数を拡大

        そんなアルディが初めて海外に進
        出したのは1967年のこと。オース
        トリアのスーパーマーケットを買
        収したことだった。それから欧州
        を中心に海外展開を行い、特に19
        90年に進出した英国では目覚まし
        い成功を収めている。リーマンシ
        ョックまでは、英国でのマーケッ
        トシェアが2%にも満たないブラン
        ドだったが、リーマンショック後
        の不景気を逆手にとり、低価格を
        ウリにしたスーパーとして急成長。
        現在では、英国内で業界5位にまで
        浮上している。2017年2月時点で、
        英国内に約700店舗を運営してい
        るアルディだが、今後5年間で30
        0店舗をオープンさせる計画だとい
        う。英国では、525店舗を展開し
        ているウォルマートの子会社であ
        る「Asda(アズダ)」が有名なス
        ーパーマーケットのひとつだが、
        近年、同店の売り上げが落ちてい
        る背景には、アルディの存在がチ
        ラついている。
        (次回に続く)

 

 

        ドイツのスーパーが  
        世界中に広がる   連載 2

          兄弟で南北分かち合う

        業界最大手を脅かすほどのアルデ
        ィとは、どんなブランドなのだろ
        うか。アルディが、かなりの勢い
        で世界進出を成功させているその
        秘密に迫りたい。アルディは、正
        式には「ALDI Nord(ノルト/北
        の意味)」と「ALDI Sud(ズュ
        ート/南の意味:Sudのuは、u
        にウムラウト記号ないし分音記号
        (¨)を付した文字)」という、2
        つの独立した会社から成る。2社
        が同じブランドを世界展開してい
        るという一風変わった企業だが、
        両社はそれぞれドイツ国内で担当
        する地域を北部と南部に分けてい
        る。アルディが創業されたのは19
        13年で、鉱山で栄えたドイツ西部
        の都市エッセンにあった小さな食
        料品店が始まりだった。母親から
        その店を引き継いだ息子兄弟が、
        そこから店の事業拡大を成功させ
        るのだが、しばらくしてタバコを
        店頭で販売するかどうかでケンカ
        し、結果的にビジネスの運営を別
        々にすることになった。そんなこ
        とから、アルディは現在も2社、
        存在している。ただ、それぞれブ
        ランドロゴが微妙に異なっている    
        が、一般的には両社をひっくるめ
        て「ALDI」というブランド名で
        浸透している。ドイツ国内でアル
        ディは、徐々に店を増やし、現在
        ではノルトが2500店舗、ズュート
        が1600店舗を誇るまでになった。
        (次回つ続く)

 

 

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4.定期借地借家アドバイザー19

2017-07-06 10:58:22 | 定期借地借家アドバイザー

    

空き地・空き家は
定借でイノベーションえを起こせ 

     

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    AI革命が       new
    ポストスマホの本命 最終回7

   データを握るも荷が覇権を握る

   そこで差別化の重要な要素となるの
   がデータだ。ディープラーニングは
   多数のデータからコンピューター自
   身が学習することで進化する仕組み
   である。そのため、どれだけ多くの
   データを集めて学習させ、AIを進化
   させられるかが、クラウドAIの質に
   大きく影響してくる。データを握る
   者が、クラウドAIの覇権を握るとい
   っても過言ではないのである。そし
   てより多くのデータを集めるために
   も、今後クラウドAIを提供する各社
   は、多くのデバイスやアプリケーシ
   ョンにAIを搭載し、利用シーンを大
   きく広げてくるだろう。そうした競
   争の激化によって、われわれの生活
   には自ずとAIが入り込み、いずれ生
   活に大きな影響をもたらす可能性が
   高まるといえそうだ。
   (今回最終回有り難うございます)

 

    AI革命が       new
    ポストスマホの本命 連載  6

          データこそがAIの品質のカギ

         ただし、クラウドAI同士の争いは
         まだ黎明期だ。覇権を握るチャン
         スはIT大手だけでなく、多くの企
         業に残されているともいえるだろ
         う。では、勝敗を握るカギはどこ
         にあるのか。各社のクラウドAIは
         主にディープラーニング技術を用
         いているため、その技術や仕組み
         に大きな違いはないともいわれる。
         実際グーグルは、自社で使用して
         いる人工知能のソフトウェア「T
         ensorFlow」をオープンソース化
         しており、誰でもAIのアプリケ
         ーション開発ができる環境を整え
         ている。
         (次回最終回お楽しみに)

 

 

        AI革命が       
   ポストスマホの本命 連載 5

   データを握る者がAIの覇権を握る

   スマートスピーカーやスマホの音
   声アシスタントには、各社が独自
   に開発した、クラウドを活用した
   AIの基盤が用いられている。アマ
   ゾンであれば「Alexa」、アップ
   ルであれば「Siri」、グーグルで
   あれば「Googleアシスタント」
   といった具合だ。このクラウドAI
   の基盤こそが、スマホにおけるO
   Sに当たる存在となり、幅広いデ
   バイスやアプリケーションに搭載
   されていくと考えられる。かつて
   スマホでOSをめぐる争いが起き
   たように、今後はクラウドAIをめ
   ぐる競争が起こる可能性が高い。
   実際、アマゾンが先行していたス
   マートスピーカーの市場にグーグ
   ルやアップルが参入したり、ファ
   ーウェイやHTCなど、アンドロイ
   ド搭載スマホにアマゾンのAlexa
   が採用されたりするなど、互いの
   領域を侵食するケースが目立つ。
   クラウドAI同士の争いは、徐々に
   本格化しつつある。
   (次回に続く)

 

     AI革命が       
   ポストスマホの本命 連載 4

   ネットワークの進化も貢献

   AIが身近なサービスとなり、多く
   の人が利用できるようになったの
   にはクラウドの存在も大きい。い
   くらディープラーニングに対応し
   たコンピューターが実現したとは
   いえ、その規模はパソコンなどと
   比べてはるかに大きい。たとえば、
   ディープラーニングを活用し、囲
   碁で人間のプロに勝利したことで
   有名になったAI「AlphaGo」は、
   1000台以上のサーバーが用いら
   れているともいわれている。一般
   人が容易に構築できるものではな
   い。だがそうした大規模のコンピ
   ューターパワーを、ネットワーク
   を経由してクラウドとして展開す
   れば、多くの人にAIを活用したサ
   ービスが提供しやすくなる。コン
   ピューターだけでなくネットワー
   クの進化も、AIの実用化に大きく
   貢献しているわけだ。
   (次回に続く)

 

 

   AI革命が       
   ポストスマホの本命 連載 3

   AIが進化した背景  

   AIは、研究自体は古くからなされ
   ているものだ。それがここ最近、
   実用へと大きく踏み出したのはな
   ぜだろうか。理由の1つは、機械が
   自ら学習し、複数の処理を何層に
   も重ねることで、複雑な判断を可
   能にするディープラーニング(深層
   学習)という技術にある。もう1つ
   はコンピューター自体の進化だ。
   ディープラーニングは学習するの
   に何層もの計算処理をこなす必要
   があるため、コンピューターの能
   力が高くなければ実現できない技
   術だった。だが近年、コンピュー
   ター自体の性能が高まったことで、
   ディープラーニングを活用したA
   Iの開発が急発展。ビジネスに使え
   る技術へと進化するに至ったとい
   えよう。
   (次回に続く)

 

   AI革命が       
   ポストスマホの本命 連載 2

          ポストスマホの最有力候補
          になったAI

          そんな中、ポストスマホの最有力
          候補として注目されるのがAIだ。
          注目度の高さは、「スマートスピ
          ーカー」と呼ばれるデバイスの人
          気ぶりから見て取れる。音楽を再
          生するスピーカーでありながら、
          話しかけることによって好きな音
          楽を再生してくれるほか、ニュー
          スや天気を教えてくれたり、家電
          を操作してくれたりと、さまざま
          な操作ができるものだ。米アマゾ
          ンの「Amazon Echo」が人気と
          なったことを受け、グーグルも「
          Google Home 」を投入。6月に
          アップルが「HomePod」で参入
          を表明するなど、競争は激化しつ
          つある。日本でも近く商品が供給
          される見通しだ。グーグルがGoo
          gle Homeの日本市場投入を明ら
          かにし、メッセンジャーアプリ大
          手のLINEも「WAVE」を秋に投入
          すると発表した。スマートスピー
          カーだけではない。「Siri」に代
          表されるスマホの音声アシスタン
          トサービスも、その代表格として
          挙げられる。実際、OS(基本ソ
          フト)のアンドロイドを有するグ
          ーグルも、Siriに対抗するべく、
          5月から独自の音声アシスタント
          サービス「Googleアシスタント」
          を日本で提供開始した。スマホ上
          でもAIをめぐる争いは激しくなっ
          ているのだ。
           (次回に続く)

 

 

        AI革命が       
   ポストスマホの本命 新連載

   クラウドAIに注目

   スマホの音声アシスタントや、話
   しかけて操作できるスマートスピ
   ーカーなどの人気が高まり、クラ
   ウドを活用した人工知能(AI)が脚
   光を浴びるようになってきた。ア
   マゾンやグーグルなどのIT大手が
   力を入れるクラウドAIは、われわ
   れの生活にどのように広まろうと
   しているのだろうか。最近までIT
   技術の進化を牽引してきたのはス
   マートフォンだった。だが、初代
   iPhoneの誕生から10年が経過し、
   その進化も停滞ぎみ。そのため、
   ここ数年、IT業界ではポスト・ス
   マホとなる新たなコンセプトの模
   索が続けられ、ウェアラブルやIo
   Tなど、さまざまな技術やデバイ
   スの研究が進められてきた。しか
   し、そのどれも、爆発的に普及し
   て人々の生活を大きく変えたスマ
   ホに匹敵する存在には至っていな
   い。
      佐野正弘 
      モバイルジャーナリスト
   (今回新連載です)

 

    今治タオルが    new
         息を吹き返す   最終回 13

   人が戻ってくるように

   また、町が活気付くことで、例え
   ば高校卒業後に地元を離れた若者
   が、就職、転職などを機に再び今
   治に戻って来るケースも見られる
   ようになった。地元の人たちの多
   くもおらが町が全国に知られるよ
   うになったことを素直に喜ぶ。タ
   イミングは偶然だったのかもしれ
   ないが、今治タオルがこのきっか
   けになったことは間違いない。そ
   して、それに引き寄せられたさま
   ざまな点が結び付いて線になり相
   乗効果が生まれ、ついには面とな
   って今治全体のブランド力を高め
   るほどになった。これからの日本
   の地域経済を考える上での重要な
   モデルケースとして動向を見守り
   たい。
   (今回最終回有り難うございます)

 

    今治タオルが    
        息を吹き返す   連載 12

     タオルだけでなく

        11年前、今治タオルプロジェク
        トがスタートしたころ、今治と
        いう地名を聞いても具体的なイ
        メージを想起する人は少なかっ
        たという。ところが現在は、今
        治タオルだけでなく、自転車サ
        イクリストの聖地になった広島
        ・尾道と今治をつなぐ「しまな
        み海道」、ゆるキャラの「いま
        ばり バリィさん」、さらには元
        サッカー日本代表監督の岡田武
        史氏がオーナーを務めるFC今治
        など、人々の注目を集める物事
        があふれている。近年は観光客
        数も伸びていて、2015年度に
        は284万1271人と過去5年間で
        40万人以上増えた。今治タオル
        本店にも日本人観光客はもとよ
        り、中国や台湾、ベトナムなど
        の外国人観光客がやって来るそ
        うだ。
   (次回最終回お楽しみに)

 

        今治タオルが    
        息を吹き返す   連載 11

     南青山にアンテナショップ

        その後、今治タオルは躍進する。
        販路も拡大し、2012年には東京
        にアンテナショップ「今治タオル
        南青山店」をオープン、そして2
        017年4月には今治市内にある「
        今治タオル本店」をリニューアル
        し、バスタオルやハンカチタオル、
        バスローブをはじめ約400種類、
        2万点以上の商品を取りそろえる。
        また、今治タオルの製造方法や機
        能性などを体感できる「今治タオ
        ルLAB」を本店の隣に新設した。
        県内外、さらには海外から多くの
        顧客がここにやって来ることを地
        元関係者は期待を寄せる。今後は
        今治タオルというブランドの傘を
        飛び出して、地元のメーカー1社
       1社が切磋琢磨しながらそれぞれの
       強みを打ち出していければとする。
       そうすればもっと今治タオルの産
       業自体が大きくなり、持続可能な
       ものになるという考えからだ。
       (自秋に続く)

 

      今治タオルが    
        息を吹き返す   連載 10

    地域として1つの方向に

   補助金に頼るのではなく、自分
        たちの力で継続的に収益を生み
        出せるようになった。この成果
        によって、本当の意味で工業組
        合のメンバーたちは今治タオル
        ブランドのために皆で1つの方
        向に向かい始めたのである。た
        だし、その目的は人それぞれだ。
        ブランドマークを製品に付けて
        価値を上げ、売り上げを伸ばす
        ことに意義を感じる人もいれば、
        近藤氏のように今治というタオ
        ルの産地が永続的に残ることを
        目指して、ブランディング活動
        に参加する人もいる。けれども、
        重要なのは1社だけが成功して
        も意味がないということだ。な
        ぜなら今治タオルは、タオルを
        織る会社、加工する会社、商品
        を企画する会社など、多くの会
        社の分業によって成り立ってい
        るからだ。「1社が頑張ったと
        ころで収益などしれている。産
        業全体で取り組み、ブランドを
        向上させなくてはならないので
        す」と近藤氏は述べる。
        (次回に続く)

 

         今治タオルが    
         息を吹き返す   連載 9

   潮目が変わった瞬間

   その潮目が変わったのが、プロジ
   ェクト3~4年目ごろだという。2
   007年に東京・伊勢丹新宿店での
   今治タオルの常設販売を開始する
   など、プロモーション活動に注力。
   徐々に今治タオルのブランド認知
   度が広まり、例えば、近藤氏が県
   外に営業に行くと今治タオルとい
   う言葉が相手の方から自然と出て
   くるようになった。「確かに風向
   きが変わってきた。これはいける
   のではないか」。近藤氏などそれ
   まで積極的ではなかったメンバー
   も意識が変わり始めていた。そし
   て2010年、十数年にわたって減
   少し続けていた生産量がプラスに
   転じる。対前年比でわずか0.2%
   増だが、着実な成長を手応えとし
   て感じた。「これはわれわれにと
   って大事件でした。まさか回復す
   るとは思っていなかったので。夢
   物語ですよ」と近藤氏は力を込め
   る。
   (次回に津続く)

 

      今治タオルが    
          息を吹き返す   連載 8

    簡単にはいかない

    こうしてスタートした今治タオル
          プロジェクトだったが、最初は基
          盤作りであったためにいきなり売
          り上げが伸びるわけではなく、工
          業組合の中にはこのプロジェクト
          に半信半疑だったメンバーも少な
          からずいたという。当時は代表理
          事ではなかった近藤氏も実はその
          一人だった。「正直難しいだろう
          と思っていたのが本音。反対者は
          いなかったけれども、様子見して
          いる人は多かったです。これまで
          先輩たちもブランド作りなどいろ
          いろとやってきたけど、うまくい
          かなかったわけですから」(近藤
          氏)また、工業組合に所属する各
          メーカーもこれまではライバル同
          士で、必ずしも良い関係性という
          会社ばかりではない。それを全員
          で仲良く今治タオルブランドの同
          じネームを使いましょうというこ
          とにも抵抗があったのは事実だ。
          (次回に続く)

 

         今治タオルが    
           息を吹き返す   連載 7

    独自の認定基準を作成

           独自の認定基準は今治タオルのブ
           ランド価値と品質を守るべく設け
           られた。具体的には、タオルの吸
           水力や色あせにくさ、変形しにく
           さなどさまざまな試験項目を設け、
           それをクリアした製品だけが今治
           タオルの認定を受けられるように
           した。代表的な試験項目の1つが
           「5秒ルール」である。これは吸
           水性を保証するためにタオル片を
           水に浮かべて5秒以内に沈むかを
           テストするものだ。今治タオルと
           認定された製品にはどのメーカー
           であっても等しくブランドマーク
           のタグやネームを付けることで、
           消費者が一目ですぐに今治タオル
           だと認知できるようにした。タオ
           ルソムリエとは、世界初のタオル
           に関する資格認定制度で、主に百
           貨店、ショップなど小売業の営業
           や広報担当者をタオルアドバイザ
           ーとして育成するのを目的として
           いる。この制度は2007年に実施
           が始まり、現在までに約2600人
           がタオルソムリエの認定を受けて
           いる。
           (次回に続く)

 

           今治タオルが    
           息を吹き返す   連載 6

    プロジェクトの内容

    佐藤氏も加わった今治タオルプロ
    ジェクトがまず取り組んだのが、
    ブランドマークとロゴの構築、独
    自の今治タオル認定基準の策定、
    そしてタオルソムリエ資格認定制
    度の導入検討だ。ブランドマーク
    のモチーフにしたのは今治の恵ま
    れた自然で、白は「空に浮かぶ雲
    」と「タオルのやさしさ・清潔感
    」、青は「波光煌めく海」と「豊
    かな水」、赤は「昇りゆく太陽」
    と「産地の活力」を表現した。ま
    た、マークの形が今治(Imabari
    )の頭文字である「i」となってい
    る。
    となっている。
          (次回に続く)

 

 

      今治タオルが    
           息を吹き返す   連載 5

      お土産のタオル使って判る

     ただし、肝心な問題が1つあった。
           地元にはブランディングに長けた
           人材がいなかったのだ。そこで外
           部から招へいすべく白羽の矢が立
           ったのが、クリエイティブディレ
           クターの佐藤可士和氏である。
           すぐさま関係者は佐藤氏の元へ押
           し掛けるように訪問、本人に今治
           タオルのブランディングをお願い
           したいと直談判した。一通り話を
           聞いた佐藤氏だったが、そのとき
           は引き受けるつもりはあまりなく、
           ましてや今治タオルの存在もよく
           知らなかったという。ところが、
           である。お土産にともらった今治
           タオルを使った瞬間、佐藤氏は衝
           撃を受けた。肌触りといい、吸水
           力といい、今まで使っていたタオ
           ルは何だったのかというほど、使
           い心地がまるで違ったのだという。
           こんな優れたコンテンツがあるな
           ら、きっとうまくブランディング
           できるはず――佐藤氏はプロジェ
           クトにかかわることを決めたのだ。
           (次回に続く)

 

           今治タオルが    
           息を吹き返す   連載 4

         佐藤可士和氏に直談判

        今治タオルの再興に向けて「もは
          や打つ手なし」と思われたが、地
          元関係者たちは諦めなかった。10
          0年以上も今治の地で受け継がれ
          てきたこの産業をなくすわけには
          いかないからである。しかしその
          思いとは裏腹に、今治タオルの生
          産量は右肩下がりを続け、企業数
          や従業員数の減少にも歯止めが効
          かない状態となっていた。そんな
          折、中小企業庁が手掛ける「JAP
          ANブランド育成支援事業」に今治
          タオルが採択されたのである。20
          06年のことだった。JAPANブラン
          ド育成支援事業とは、地域の特産
           品や技術の魅力をさらに高めて、
           世界に通用するブランド力の確立
           を目指す取り組みを支援するもの
           である。「今治ブランドの確立」
           を合言葉に、工業組合に加えて今
           治商工会議所、今治市が一丸とな
           り、「今治タオルプロジェクト」
           がスタートした。
           (次回に続く)

 

         今治タオルが     
           息を吹き返す   連載 3

    銀座に出店も3年で撤退

    泉州(大阪)、三重とともに日本
    有数のタオル産地として長らく発
    展を続けてきたが、1990年代初
    頭のバブル景気崩壊をきっかけに
    国内のタオル産業は一気に冷え込
    む。理由は中国を筆頭とする外国
    産の安い製品が日本に大量に輸入
    されるようになったからだ。これ
    によってタオルだけでなく日本の
    繊維産業は壊滅的なダメージを受
    ける。今治タオルの生産量も199
    1年の5万456トンをピークに激減
    の一途をたどり、2001年には半分
    以下の2万3398トンにまで大きく
    落ち込んだ。危機感を募らせた国
    内タオル業界は2001年、経済産
    業省に対して中国産のタオル製品
    に対する繊維セーフガード発動を
    要請したが、期待もむなしく200
    4年に政府の調査は打ち切られ、
    認可は下りなかった。また、今治
    タオル工業組合(当時は四国タオ
    ル工業組合)では2003年に今治
    市の補助金2億円などを投じて、
    東京・銀座に今治タオル専門店を
    オープンした。しかしながら、補
    助金の終了とともにわずか3年で
    閉店となった。「国や自治体はSP
    A(製造小売業)を推奨したわけ
    ですが、ノウハウなどはなく、当
    然うまくいきませんでした。ブラ
    ンディングというような考えも当
    時はありませんでした」と近藤氏
    は振り返る。
    (次回つ続く)

 

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