大持山には2016年12月に、武甲山から縦走で歩いたことがある。
この時は武甲山の登山口一の鳥居から武甲山、小持山、大持山と歩いて妻坂峠から一の鳥居に戻った。
大持山周辺のハイキング地図を見ていると、大持山の南、妻坂峠と鳥首峠分岐から鳥首峠にむかう尾根に「ブナの巨木」と書いてある。
大持山から鳥首峠のあいだはまだ歩いたことがない。
そこで今回は、名郷を起点に鳥首峠、大持山、妻坂峠をめぐる周回コースとしてみた。
まだ真っ暗なうちにさいたま市を車で出発。
名郷には7時半に到着した。
名郷には、バス停のすぐ裏手に有料駐車場がある。夏場以外は、土日700円、平日500円。
実は、もう少し奥にキャンプ場があり、そこの駐車場もあるが、平日700円m土日は1000円だ。
それにどこに連絡するのかよくわからん。で、名郷に留めた。
名郷からまだ日の差し込まない谷の舗装道路を奥へと歩いていく。
途中に何カ所もキャンプ場の駐車場があるが、朝だし、シーズンでもないのでだれもいない。
名郷から20分ほど歩くと道路が分岐して、右が妻坂峠道、左が白岩をへて鳥首峠へとつづく。
鳥首峠への道を歩き出すとそそり立つ大きな岩をえぐって道路を通しているところがあった。
かなりたいへんな工事だったと想像できる。
この奥には石灰石採掘の鉱山があったので、トラックを通す必要があったのだろう。
その鉱山跡が見えてきた。
石灰石の採掘は上部に見えている岩壁あたりでおこなわれ、下の工場で加工されていたのだろう。
鉱山跡には入れない。登山道は跡地の縁をたどるように続いている。
その道を歩いていくと鉱山で使われていたモノレールの軌道が残されていた。
でも上部に採掘現場へとあがるあたりで取り外されて終わっていた。
その奥には数件の廃屋がある。鉱山の閉山と共にいおくとなってしまったらしい。
写真の廃屋は登山道に接して建っているので間近に観察できる。
鉱山跡からは、すでに本格的な山道になっていたが、沢筋からかなり上の斜面をトラバースしながら峠へとむかっている。
いくつか支沢に入り込みながら上流をめざしていくが、ここでは沢の詰めが崩壊していて、いったん沢におりて登りなおす。
ロープが設置してあったが、別に使うほどのことはなかった。
いくつか支沢をこえて峠が近づくと、見上げた針葉樹林の奥が明るい。
伐採されているようだ。
そこについてみると、やはり東電の送電線保護のために伐採されていて、そこからようやく展望がえられた。
伐採地からジグザグにのぼりついたところが鳥首峠だった。
この峠は、以前に蕨山から有間山をめぐって下山の途中に通ったことがある。
鉱山跡の存在はよく覚えているが、峠の様子はすっかり忘れていた。
忘れるはずで、展望がない。
この峠で休憩するつもりでがんばってきたが、着いてみると冷たい風が吹き抜けて休憩する気になれない。
そのまま急な稜線を登り、少し風下に入り込める地点をみつけてそこで小休止。
峠の北にある1059mのピークは石灰鉱山の敷地に入るらしく、立入禁止の表示とともに登山道はピークの手前で西側にまわりこんで続いていた。
そしてピークから少し下った稜線には、樹木が切りはらわれた展望のよいスポットがあった。
足元にはコンクリートの基礎が残っているので、送電鉄塔の跡地らしい。
そこから奥秩父方面の山々が見渡せた。
雲取山から酉谷山、天目山、蕎麦粒山と続く稜線だ。
ウノタワの手前のピークを歩いていると林の中に残雪が残っていた。
以前下界で雨が降った時、このあたりは雪だったようだ。
ウノタワに向かう途中に「危険、岩場注意」の道標が。
これがその岩場を下から見上げたもの。
手がかり足がかりが豊富で心配はいらない。
歩いている稜線の右手が広々としてきた。
そこがウノタワだった。
ここからは、まだ歩いたことのないルートがある。
でもたぶん歩くチャンスは来ないだろう。
枯れ葉で埋め尽くされたウノタワには、道の踏み跡らしいものも見えない。
よく確認しないと道迷いにつながりかねない。
ウノタワから稜線を登るといよいよブナの巨木がみられるエリアだ。
ふたたび展望も開けてきた。
ブナの巨木。
といっても周りには同じぐらいの太さのクヌギやナラ類の木もあるのでそれほど目立つわけではない。
稜線だけではなくて、特に西側の斜面に太い木が点々とあった。
尾根も幅があってゆったりした雑木林なので歩いていてとても気分がいい。
そんな気持ちのいい稜線の一番奥に横倉山の山名標識があった。
登山道はそこから20mくらい下降し、ふたたび大持山にむかって登り返す。
木が伐りはらわれたここが鳥首峠への道と妻坂峠への道の分岐点。
関東平野のすばらしい展望が広がっていた。
でも9年前とくらべると写真の下に顔を出しているヒノキが背を伸ばして、近いうちにこの展望もなくなるかもしれない。
いよいよ大持山の山頂への登り。
ゆるやかにのぼる稜線をたどっていくとここにも立派なブナがあった。
山頂のすぐ手前に「富士見の丸太」の小さな看板。
富士山が見えるはずと向かいの稜線をながめるとわずかに顔をみせているではないか。
ねんのためにトリミングして掲載しておく。
富士見の丸太のすぐ上が大持山1204mの山頂だ。
三角点と山頂標識。
西の方には八ヶ岳らしい白い峰々が。
そして念のために富士山を探してみたが、ほんのわずかなずれなのに山に隠れてしまって見えなかった。
それに関東平野側は少し奥の方に映えているヒノキらしい針葉樹が背を伸ばして景色を隠し始めている。
2016年に来た時は、大持山山頂からさいたま市付近が見えていたのだが。
山の展望は10年もするとかなり変わってしまうものらしい。
ふたたび分岐点に戻り、こんどは妻坂峠へとくだる。
この道は前にも歩いているが、幅広の尾根でとても歩きやすい。
大部分が南側が落葉樹林なのでとても明るいのだ。
途中に大きな岩があった。
前回歩いたときは気が付かなかったようだ。
私にはクジラが寝そべっているようにみえた。
2回ほどわずかな登り返しがある以外、ゆるやかな下りの道が続く。
でも峠が近づくと小石まじりの急斜面になってくる。
ここが妻坂峠。この峠は武川岳へ行った時を含めてこれで4回目かな。
峠の地蔵様。
峠の一角からみる武甲山。
12時36分、峠を出発し、斜面をジグザグに下って沢筋にでる。
峠から30分ほどで林道の終点についた。
ここからの舗装の林道歩きが長かった。
少しからだが冷えてしまったのか、くしゃみを連発しながら歩いた。
名郷につくと1時51分発のバスが出ていくところだった。
峠から1時間15分、林道に出てから45分かかったことになる。
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