鳥まり、参る!

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地獄に耐えた君を断罪できまい。

2024年09月10日 | シリアス
【介護って綺麗ごとじゃない】

現在放送されている朝ドラ『虎に翼』。

伊藤沙莉さん演じる主人公=寅子(とらこと書いて「ともこ」)のお義母さん(性格には、事実婚したパートナーの父親の再婚相手→夫の継母)・余貴美子さん演じる百合さんは、

「大和撫子かくあるべし」

「妻として母として祖母としての理想」

を体現したようなキャラクターでした。

優しくて決して怒ったり批判せず、家事労働・ケア労働を無料で限りなくこなしてくれる女性。

タダで愛情と母性を限りなく与えてくれるような女性。

けれど家を守るためには毅然と立ち向かう女性。

そんな百合さんは晩年認知症になり、どんどん攻撃的になったり困ったことをして家族を苦しめるようになる。

「ゆっくりと百合の認知症はすすみ、2年後に静かに旅立ちました」

こんなナレーションで物語を退場した百合さん。

このストーリー展開を見て怒り心頭に発しているのは、今現在大変な介護に耐えているご家族・あるいは、記憶がまだまだ生々しいご遺族の皆さん。

「こんなもんじゃねーよっっ!!!!」

「嘘つくな!!!」

「ちゃんと描けないなら最初から認知症を扱うな!!!」

「綺麗ごとで済ませるのが一番むかつく!!!」


と、大人も幼い人も、レディーもジェントルマンも、おっしゃる。

そう…。

人によって・段階によって・介護の種類によって全然違うけど、人が老いていくこと・老いた人を最期まで見送ることは容易いことじゃない。

あれを地獄や苦行と呼ばずして何を呼ぶのか。

私は垣間見る程度にしか知らないけど、それでも当事者家族・介護者の果てしない苦労と疲労ぶりは察せられる。

怒っていいさ、むかついていいさ、本当に大変なことだもの…。

ちなみに、妊娠・出産・子育て・介護全部経験した実家の母も、その他の先輩レディース・大先輩レディースも

「介護が一番きつい」

と証言する。

「子育てもめちゃくちゃ辛いけど、終わりが見えているし日々良くなっていくから希望がある。

 でも看病はそうとは限らないし、介護なんかそんなのない」



だから、ここに怒りと悲しみにさいなまれる今辛い人たちに、先輩達の言葉を記しておきます。

きっと救いになる言葉もあるでしょう。

本当の言葉だから。

「死んだ時嬉しかった。

 やっとこれで、あの地獄が終わったんだ、あの火山噴火みたいな恐怖に怯えずに済むって思ったら、笑いが止まらなかった」

「みんなでパーティー開きたいくらい嬉しかったよ。

 経験してない人には責められるから黙ってただけ」

「辛すぎて、ぬか喜びなんじゃないか、生き返っちゃうんじゃないかってずっと怖かった。

 お葬式の間も、お棺ブチ破って生き返ってまたあの地獄が始まるんじゃないかって怯えてたよ。

 焼いてもらって骨をひとつひとつ見せてもらって、やっと、やっと心底安心できた」

「冷たいとかロクデナシとかほざく奴は、大して苦しんでない奴ら。

 私達が苦労を被ったからあいつらは泣けるし悲しめる。

 そんな奴等に負けないで!」

「何年かは本当に呆けるよ。

 疲れてたんだもん、当たり前よ。

 たっぷり眠って。

 たっぷり眠って回復して時間が経ったら、故人が良い人なら泣けるから大丈夫。

 泣けないならもう、そういう人だったのよ」


皆さんがどうか回復しますように。

そして今と未来が幸せでありますように…

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