【幼きスターは人間ではなく、モノとして酷使された】
昨晩(2023年1月23日)、BSでレネー・ゼルウィガーさま主演映画『ジュディ 虹の彼方に』が放送されていたので録画しつつリアルタイム視聴もしてしまいました。
映画『オズの魔法使い』のドロシー役で幼いながら世界に名立たるスーパースターとなったジュディ・ガーランドさまの肉体も精神もボロボロになってしまった最晩年と、そこに至るまでの主に少女期に受けた
・食べさせてもらえない
・眠らせてもらえない
・休みをもらえない
・恐怖で支配する
・仕事のために薬物投与される
…などなどの“人としてでなくモノとして扱われた”悲しい思い出を交互に描いています。
(あと、はっきり描いてはいないけどセクハラもあったのかな…と示唆があったように感じました)
いやー…重くて悲しくて辛い作品だけど、素晴らしかった。
100%ハッピーエンドと言い切れない、でも救いようのないビターエンドとも言えない結末がすごかった。
ああ、これが人生だ。
これが、歴史だ。
と思って胸がいっぱいになったよ。
以下、ネタバレ配慮せずに言いたい放題しちゃうので
「ネタバレ無理ー!」
な方は読まないでくださいね。
ネタバレの宝庫、ウィキペディアも。
↓
※ジュディ 虹の彼方に(Wikipedia)
【芝居も歌もすばらしいレネーさま、そして見事なスタイリング】
『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズのセクシーヒロイン・ブリジット役で有名なレネーさま。
私のイメージはピーターラビットの作者ビアトリクス・ポッターの人生を描いた『ミス・ポター』の主演が一番強くて大好きな俳優さん。
今回もすごかったです。
アカデミー賞はじめ多くの主演女優賞をとったのも納得の、鬼気迫る演技。
病み、苦しみ、悲しみ、そして愛し愛を求めたジュディの心が宿っているようでした。
「歌は吹き替えかもしれないけど、この芝居はそりゃ主演女優賞とりますわ~」
と思って視ていたのだけど、歌もレネーさまご自身で歌っているそうです。
自分に合う音域とはいえ、魂のこもったもらい泣きさせる歌声の素晴らしいこと!
最高です。
実際のジュディ・ガーランドさまはマリリン・モンローと同系統のセクシーな美女に成長していて、レネーさまとは顔立ち体つきはもちろん似合うものが何もかも違う。
それでも彼女にジュディ役をやらせた理由がわかるような神仕事でありました。
また、素晴らしかったのはヘアメイク・スタイリングなど彼女の装いを担当した方々の仕事ぶり。
商品として管理され消耗された果てに身も心もぶっ壊れてしまったジュディは、グロテスクなほど派手で似合わないヘアメイクと服でいかにも
「やばい」
感じ。
これが病み演技をますます際立たせるのですよ。
レネーさまはパーソナルデザイン診断のプロに
「おそらくPDナチュラルさん」
と診断されている。
それくらい飾らないありのままが美しくて似合う人。
それと真逆をいくことで、最晩年の悲劇のスーパースターが見事に演出されていくのだ。
すごいわーやっぱりプロフェッショナルすごいわー。
ほぼラストシーンとなる最後の歌の場面で、はじめてジュディは演じるレネーさまにぴったりの
「飾らない、作りこみすぎないヘアメイク、そしてシンプルなファッション」
で固められます。
それのなんと神々しく美しいことか。
「私を忘れないで」
願いがすーっと届くよね…。
あと、スパンコールかスワロフスキーかラインストーンかわかりませんが、1色でシンプルだけどよくライトで輝く素材を飾った衣装って、ああいうシンプルが似合うスターのためのものなんだなと学びました。
【忘れてはいけない、ゲイカップル(ご夫夫?)の存在】
「あれ?もしかして」
の予想通り、ゲイカップル(もしくはご夫夫)であることがすぐに明かされる男性ファンペアの存在を忘れてはいけません。
「あなたが以前いらしたロンドン公演にも行きたかったけど、不可能だった。
彼(パートナー)は同性愛の罪で服役させられていたから」
と語る場面でようやくこの話の舞台が1960年代だとわかった私。
(ファッションやホテル、車などけっこう変わってないところも多くて、ビートルズの話が出たときでさえ
「えっそんな昔?
それとも冗談??」
と混乱した)
ほんっとうに最近の話なんですよね、LGBTQが一部とはいえ認められていったのは。
ジュディのこの二人の友情・虐げられた者同士の共感や絆、は物語の宝石みたいに光ります。
LGBTQのシンボルであるレインボー=虹はジュディ・ガーランド、そしてオズの魔法使いからなのだと初めて知りました。
無知で申し訳ない。
ぜったいにぜったいに必要なキャラクターとストーリーだったんですね…。
※ジュディ・ガーランドはなぜゲイの人々から支持され、ゲイ・カルチャーのアイコンになったのか?(U discovermusic.jp)
【ほとんどの人に人権など存在しない時代は終わったのか】
…たくさん言いたい放題書かせていただきましたが、重くて辛いけれど視るべき名作だと思います。
気になった人はぜひぜひみてほしい!
5度も結婚をし、産んだ子どもたちを愛し、世界に愛される一方で人間扱いなどされずに壊されていったスーパースター。
ほんの一部の保護された人々・権力者以外に人権などない時代が長く続いていたんだなあと考えさせられます。
そして、その時代は本当に終わっているのか、と疑問に思う。
彼女のようなスターでなくたって、彼女が受けた仕打ち、耐えた苦しみ悲しみ、痛さ。
あれに全く共感しない人がどれだけいるのだろうと。
辛い作業ですが、この思考を放棄してはいけないと強く思います。
昨晩(2023年1月23日)、BSでレネー・ゼルウィガーさま主演映画『ジュディ 虹の彼方に』が放送されていたので録画しつつリアルタイム視聴もしてしまいました。
映画『オズの魔法使い』のドロシー役で幼いながら世界に名立たるスーパースターとなったジュディ・ガーランドさまの肉体も精神もボロボロになってしまった最晩年と、そこに至るまでの主に少女期に受けた
・食べさせてもらえない
・眠らせてもらえない
・休みをもらえない
・恐怖で支配する
・仕事のために薬物投与される
…などなどの“人としてでなくモノとして扱われた”悲しい思い出を交互に描いています。
(あと、はっきり描いてはいないけどセクハラもあったのかな…と示唆があったように感じました)
いやー…重くて悲しくて辛い作品だけど、素晴らしかった。
100%ハッピーエンドと言い切れない、でも救いようのないビターエンドとも言えない結末がすごかった。
ああ、これが人生だ。
これが、歴史だ。
と思って胸がいっぱいになったよ。
以下、ネタバレ配慮せずに言いたい放題しちゃうので
「ネタバレ無理ー!」
な方は読まないでくださいね。
ネタバレの宝庫、ウィキペディアも。
↓
※ジュディ 虹の彼方に(Wikipedia)
【芝居も歌もすばらしいレネーさま、そして見事なスタイリング】
『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズのセクシーヒロイン・ブリジット役で有名なレネーさま。
私のイメージはピーターラビットの作者ビアトリクス・ポッターの人生を描いた『ミス・ポター』の主演が一番強くて大好きな俳優さん。
今回もすごかったです。
アカデミー賞はじめ多くの主演女優賞をとったのも納得の、鬼気迫る演技。
病み、苦しみ、悲しみ、そして愛し愛を求めたジュディの心が宿っているようでした。
「歌は吹き替えかもしれないけど、この芝居はそりゃ主演女優賞とりますわ~」
と思って視ていたのだけど、歌もレネーさまご自身で歌っているそうです。
自分に合う音域とはいえ、魂のこもったもらい泣きさせる歌声の素晴らしいこと!
最高です。
実際のジュディ・ガーランドさまはマリリン・モンローと同系統のセクシーな美女に成長していて、レネーさまとは顔立ち体つきはもちろん似合うものが何もかも違う。
それでも彼女にジュディ役をやらせた理由がわかるような神仕事でありました。
また、素晴らしかったのはヘアメイク・スタイリングなど彼女の装いを担当した方々の仕事ぶり。
商品として管理され消耗された果てに身も心もぶっ壊れてしまったジュディは、グロテスクなほど派手で似合わないヘアメイクと服でいかにも
「やばい」
感じ。
これが病み演技をますます際立たせるのですよ。
レネーさまはパーソナルデザイン診断のプロに
「おそらくPDナチュラルさん」
と診断されている。
それくらい飾らないありのままが美しくて似合う人。
それと真逆をいくことで、最晩年の悲劇のスーパースターが見事に演出されていくのだ。
すごいわーやっぱりプロフェッショナルすごいわー。
ほぼラストシーンとなる最後の歌の場面で、はじめてジュディは演じるレネーさまにぴったりの
「飾らない、作りこみすぎないヘアメイク、そしてシンプルなファッション」
で固められます。
それのなんと神々しく美しいことか。
「私を忘れないで」
願いがすーっと届くよね…。
あと、スパンコールかスワロフスキーかラインストーンかわかりませんが、1色でシンプルだけどよくライトで輝く素材を飾った衣装って、ああいうシンプルが似合うスターのためのものなんだなと学びました。
【忘れてはいけない、ゲイカップル(ご夫夫?)の存在】
「あれ?もしかして」
の予想通り、ゲイカップル(もしくはご夫夫)であることがすぐに明かされる男性ファンペアの存在を忘れてはいけません。
「あなたが以前いらしたロンドン公演にも行きたかったけど、不可能だった。
彼(パートナー)は同性愛の罪で服役させられていたから」
と語る場面でようやくこの話の舞台が1960年代だとわかった私。
(ファッションやホテル、車などけっこう変わってないところも多くて、ビートルズの話が出たときでさえ
「えっそんな昔?
それとも冗談??」
と混乱した)
ほんっとうに最近の話なんですよね、LGBTQが一部とはいえ認められていったのは。
ジュディのこの二人の友情・虐げられた者同士の共感や絆、は物語の宝石みたいに光ります。
LGBTQのシンボルであるレインボー=虹はジュディ・ガーランド、そしてオズの魔法使いからなのだと初めて知りました。
無知で申し訳ない。
ぜったいにぜったいに必要なキャラクターとストーリーだったんですね…。
※ジュディ・ガーランドはなぜゲイの人々から支持され、ゲイ・カルチャーのアイコンになったのか?(U discovermusic.jp)
【ほとんどの人に人権など存在しない時代は終わったのか】
…たくさん言いたい放題書かせていただきましたが、重くて辛いけれど視るべき名作だと思います。
気になった人はぜひぜひみてほしい!
5度も結婚をし、産んだ子どもたちを愛し、世界に愛される一方で人間扱いなどされずに壊されていったスーパースター。
ほんの一部の保護された人々・権力者以外に人権などない時代が長く続いていたんだなあと考えさせられます。
そして、その時代は本当に終わっているのか、と疑問に思う。
彼女のようなスターでなくたって、彼女が受けた仕打ち、耐えた苦しみ悲しみ、痛さ。
あれに全く共感しない人がどれだけいるのだろうと。
辛い作業ですが、この思考を放棄してはいけないと強く思います。