では本日は今回の旅行の最終目的地、久保田一竹美術館のご紹介をば・・・・っと、その前に・・・・お題が富士五湖巡りなのに、なんで河口湖と本栖湖の写真しか出てこないのか不思議にお思いの方もいらっしゃると思いますが、実は一応残りの3つも含め初日に全て回っておりまして、ただ何ぶん天気が悪かったためバスの車窓から眺めてお終いだったもので写真を撮ってないだけなんでございますよ。・・・と言い訳だけさせて頂いて本題に入らせて頂きましょうか。(^^;
久保田一竹美術館と聞きまして浅学な私めは“どこぞの金持ちがカネとヒマに任せて買い漁った美術品でも置いてある所”だとばっかり思って居ったのでありますがさにあらず。 私同様ご存じない方のためにザクッとご紹介させて頂きますと・・・・久保田一竹(いっちくと読みます)さんは2003年に享年85歳でこの世を後にされました染色家さんでありまして、20歳の時に博物館で室町時代の“辻が花染め”の小裂に出合ってその美しさに魅了され、独自の“辻が花染め”の研究に心血を注がれた方なんでありますね。 で、研究と申しましても戦時中の事ゆえ召集~終戦~シベリア抑留を経験し31歳で復員、従来から手がけていた手描き友禅で生計を立て、40歳にしてようやく本格的に研究に取組み始め、60歳にして初めてご自身が納得行く作品を生み出したという、大変な努力とご苦労をなさったワケでありますよ。 でもってバスガイドさんから聞くところによりますと、“本来ならシベリアで無くした命、残りの人生は全て辻が花にかける”と仰って研究以外は必要最低限の仕事しかせず、赤貧の時代を経て1977年に手法を完成させたあとも、文字通り心血注いだ作品ということで大作はほとんど売りに出さず、日本国内はおろかフランスの芸術文化勲章を受けるなど世界各国で高い評価を得ながらも、1997年にこの美術館建設の話が出たときもご自身のお手持ちはたった250万円しかなかったという逸話が残っているぐらいなのでありますな。 で、辻が花とはどんなものかと申しますと簡単に言えば絞りと手描きを複合させた染めなのでありますが、さすがは20年間心血を注いで編み出した技法だけあって和服に興味のない男の私が見ましても色合いと風合いが素晴しく、圧倒的な存在感は筆舌に尽くしがたいものがございましたが・・・・作品は当然の事ながら撮影禁止でございまして、残念ながらネットで調べてもろくな写真がありませんで、現地に行って見て頂くほかないという・・・・(^^;
じゃ作品も無しに一体美術館の何が紹介したいねん?ってことになるんでありますが、この美術館、作品もさることながら建物が半端じゃなく素晴しいんでありますよ。v(^^)
どうです?これ正門なんですけど日本じゃないみたいでしょ?パンフレットによりますと、何でもインドの古城に使われていた数種類の扉を組み合わせたものらしく、オリエンタルな無国籍感が何とも堪りませんですな!
袖垣とでも呼べば良いんでしょうか?上の写真の右端、門柱の横にはご覧の様な一品物の見事な鋳鉄の仕切が・・・これ、きっと名のある方の作品なんでしょうね。一竹さんは250万しか持ってなかったって言うのに正門だけでどんだけカネ掛かってるんだか・・・・(^^;
正門を抜けますと正面に滝があり、その横を登って参りますとご覧の新館の入口が見えて参ります。入口の横に馬の彫像があったり建物の屋根の上に変な扉があったり・・・・アジアっぽいと言えばよいのかギリシャっぽいと言えば良いのか形容しがたいですが好きですよ私、こんなイメージ。(^^; で、コチラの新館はショップと喫茶コーナー、それに一竹さんが収集した蜻蛉球コレクションが展示されてました。
新館を抜けて、いよいよ“一竹辻が花”が展示されている本館へ・・・・自然の地形を上手く活かして作ってありまして、新館より少し小高い位置にあり入口の脇にはご覧のような石舞台が設けてあります。冒頭でリンクを張った美術館のHPでも紹介されていますが、毎年11月、紅葉の季節には一竹辻が花の衣装を使って舞台公演が行われているのだとか・・・舞台公演は入館すればロハで見れるそうですから、上手く予定を調整して行くとお得ですね。
さてこの本館の建物も実にユニークな構造になっておりまして、中に入りますと太い木の梁組み合わせたピラミッド状のドームになっています。作品以外の撮影はOKなんでしょうが間違われちゃ嫌なんで写真は撮ってませんけど・・・・(^^;
本館の奥にも喫茶コーナーがありまして、コチラは穴倉住居みたいな感じ・・・窓の外にはご覧の様なお庭が・・・・とっとっと!オレンジの光はガラスに屋内の照明が反射してるだけで樹海の白い光とは何の関係もございませんので悪しからず。(笑)
本館横から裏門に向かう道にはこんなせせらぎもあります。この時期には涼しげで、実に気持ちが良かったですよ。v(^^)
この美術館、建物だけでももっともっと見所がある様なんですが、帰りの新幹線の時間がありましたので、作品を見る時間も含めて滞在時間はたった30分。ぜひ一度ゆっくり訪ねてみたいものですね!
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