読書感想165 驟雨ノ町 居眠り磐音 江戸双紙
著者 佐伯泰英
生年 1942年
出身地 福岡県北九州市
出版年 2005年
出版社 (株)双葉社
★感想★
「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズの15巻に当る。このシリーズは今年1月に48巻の「白鶴ノ紅」が発刊され、まだ完結していない。NHKでテレビドラマ化された人気の時代劇だ。豊後関前藩の国家老坂崎正睦の嫡男だった坂崎磐根は余儀ない事情から脱藩し、江戸の金兵衛長屋に住んでいる。その浪人になった坂崎磐根の活躍を描くシリーズだ。
浪人の磐音は鰻を裂く仕事を生業にしているが、時は盛夏、忙しい。そんな時、国許から父の坂崎正睦と藩主が出てくる。不正を働いている江戸家老一派を処断すると聞かされる。父に迫る刺客の群に立ち向かう磐音。磐音は鰻屋だけでなく、両替商今津屋の用心棒もしている。今津屋に立ち寄った男に疑念を持った磐音。おりしも江戸の町には盗賊が暗躍している。いつ今津屋が狙われてもおかしくはない。
磐音は武士と江戸の庶民と二つの階級を一人で体現している。ふだんは鰻を捌く浪人だが、いざとなると腕っ節がめっぽう強く、奉行所や幕府のお偉方にも顔がきく。磐音が何かをしたいということはなく、周りの依頼に応えているだけである。だからこそ江戸の町のざわめきが磐音を通して聞こえてくる。夏の江戸の食べ物、そうめんや鰻が美味しそうに出てくるのも楽しい。