ひときわ鮮やかな黄色が目を引く。
しなやかな緑の枝に咲く五弁花、何とも上品な美しさがある。
面影草という意味深な別名を持つ。江戸時代には「山吹の菓子折」などと賄賂の代名詞にされた不名誉な歴史もある。
語源は、細い枝が風に揺られる様子から山振(やまぶり)とよばれ、それが転訛したものとされる。
「七重八重 花は咲けども 山吹の 実の一つだに なきぞかなしき」
兼明親王の有名な歌である。一重咲は実るが八重咲は実をつけないという。
(写真は郡山市逢瀬町内にて)
今の時期、道端や田畑のあぜなどに、遠目にも鮮やかな紅紫色の花が目につく。ホトケノザである。
名前は、三段作りになっている葉の並び方が仏の蓮華座に似ることに由来する。別名三階草ともいわれる。
春の七草のホトケノザ(キク科のタビラコ)とは、まったく別の植物。
子供の頃、花びらを抜き取り、蜜を吸って遊んだことを思い出す。近頃、あまり見られなくなったが、群生する様子は見事である。
(写真:郡山市大槻町内にて)
遅い春。ツクシがやっと顔を出した。このかわいらしい姿をみると、なぜか子供のころの情景が浮かんでくるから不思議である。
ツクシはスギナの胞子茎。その姿から日本では「土筆」と表し、中国では「筆頭菜」と書くという。食用にもなるので、中国式の菜の表現は面白い。
ツクシの語源については「付く子」「突く子」「継いで遊ぶ草」など諸説があるようだ。
かつて、ツクシは身の回りのいろいろな所に生えていたが、最近は探さなければ見つからないほどに少なくなった。農地開発、宅地造成、除草剤の普及などの影響であろうか。少し寂しい気がする。
(写真:郡山市大槻町内にて)