あさか野の四季

      写真歳時記

南天(ナンテン)

2013年01月20日 | 庭に咲く花

今日は大寒。厳しい寒さの中、ひときわ鮮やかである。
発音が「難転」に通ずることから、正月の飾りや福寿草との組み合わせ(災い転じて福に)など、縁起ものとして使われることが多い。また、赤飯などに添えられる葉は、彩りと共に防腐効果もはたすという。日本人の知恵である。

和名の南天は、漢名の南天燭や南天竹を略したものとされる。中国原産で古く渡来したものが野生化し、山口県萩市川上の「ユズおよびナンテンの自生地」は、国の天然記念物として有名である。

ナンテンの葉は「南天葉」という生薬として使われ、健胃、解熱、咳鎮などに効果がある。実の方も薬用にされるようであるが有毒なアルカロイドを含むため注意が必要だという。それを知ってか、この時期に実を求めてくるヒヨドリも、よく観察すると一度にそう多くは啄まないようである。

ナンテンは、葉も実も長持するため生け花でも重宝がられている。ただ、ある地方では、この長持ちすること、つまり他の花木が枯れても最後まで残っていることからの連想で、酒席に最後まで残ってなかなか腰を上げない人達を「ナンテン組」と言うのだとか。面白い喩えである。
(写真:郡山市の自宅庭にて)


七草の日

2013年01月07日 | 暮らしの歳時記

今日は正月7日、五節句の一つ七草の日である。
この日に春の七草を入れた粥を食べると万病を防ぐことが出来るとされ、古くは朝廷で儀式化されたものが、今に伝えられているという。

ただ、どう考えてもこの時期に、自然の七草を手に入れることは不可能である。これと同じように桃の開花には早い桃の節句、梅雨空で星が見えない七夕なども、私たちの季節感とは大きなズレがある。この季節感のズレは、明治5年の暦の切替えのとき、五節句の旧暦日付をそのまま新暦に当てはめたことにある。
ちなみに、今年の旧暦正月7日は新暦の2月16日にあたる。七草の日が2月半ば頃となれば、この風習が始まったとされる関西地方では、それほど大きな季節感のズレを感じないのではないか思われる。

近年、かつての夏野菜が真冬でも食べられる便利な世の中になった。しかし一方で、日本人が長年にわたって培ってきた四季折々の自然観、季節感が急速に薄れていくような気がしてならない。
せめて五節句ぐらいは、季節感を生かした行事にしたいものである。
(写真:近くの商店で購入した七草)