あさか野の四季

      写真歳時記

空蝉(うつせみ)

2012年07月28日 | 昆虫や小動物など

東北地方も梅雨明けとなり、本格的な夏がやってきた。
今年はこの時期特有の長雨も少なく、梅雨明けの実感に乏しいが、それでも、あちこちに夏を感じさせる現象がみられる。

写真の空蝉もその一つ。セミの抜け殻でお世辞にも美しいとは言えないが、昔の人はこのような美しく豊かな表現をしている。
この言葉はもともと、この世に生きている人や現世を意味する現身(うつしみ)が転じて「うつせみ」となり、空蝉にかけたとされる。

セミは何年も土の中で過ごし、ようやく地上に出ても数日の儚い命にもかかわらず懸命に鳴き、生きる。
昔の人は、この儚くても精一杯生きるセミに、現世や自分の人生を重ね合わせたものであろう。現在にも通じる意味深長な言葉に思える。
(写真:郡山市逢瀬町の公園にて)



紅一点(ザクロの花)

2012年07月16日 | 庭に咲く花

「万緑の叢中 紅一点 人を動かすに 春色多く用いず」
一面の緑の中、一輪の紅色の花が咲いている。春はそれだけで人を感動させるのに十分である。つまり、人を感動させるには、ただ一つ違うものがあれば良いという。
この紅一点は、中国の王安石の「詠柘榴」と題する詩が由来で、ザクロの花を詠んだものとされる。(当地方は今が花盛り)

ザクロは地中海沿岸地方が原産。果樹としての栽培歴は世界で最も長い種類といわれる。日本には中国を経て平安時代に庭木や薬用(駆虫剤)として入ったようである。

紅一点について、現在の日本では男性ばかりの中に一人だけ女性がいることの意味合いで使われることが多いが、調べてみるとこのような単純な使い方では、原作者に申し訳ないような気がする。
(写真:郡山市大槻町のある庭にて)


国蝶・大紫(オオムラサキ)

2012年07月08日 | 昆虫や小動物など

今年もオオムラサキが羽化した。紫に輝く翅がなんとも美しい。
写真は食草の榎の葉に止まるオス。メスに比べやや小形であるが、紫の部分を持つのが特徴である。

オオムラサキは、日本のタテハチョウの仲間では最大種とされる。
1956年(昭和31年)に日本で初めての蝶の切手としてこのオオムラサキが選ばれ、その翌年、日本昆虫学会によって日本の国蝶に指定された。

写真は飼育室で羽化したもので、野外を舞う姿はまだ見ていない。
(写真:郡山市内の飼育用網室にて)