あさか野の四季

      写真歳時記

吾亦紅(ワレモコウ)の花

2012年10月28日 | 里山や野原の花

♪ さらさらゆれる吾亦紅 ふとあなたの吐息のようで・・・・
「吾亦紅」という歌の一節である。秋の日、ワレモコウがゆれる墓前でしみじみと母に語りかける男の心情を歌ったもので、どこか淋しげなワレモコウの特徴をよく捉えている。
近年、あまり見かけなくなったような気がするが、この花をみると秋の深まりを感じる。

漢字で「吾亦紅」と表すのが面白いので、その由来を調べてみたがよく分からない。ただ、ウィキペディアには次のように記載されている。
名前を付けるにあたり、何人かで「この花の色は何色だろうか」と論議している時、ある選者の耳に、どこからともなく「私は断じて紅ですよ」と聞こえたという。この選者が「花がそう言うのであれば間違いはない、吾も紅と思う」と言ったことから付けられたとか。納得できるかどうかは別に、何とも面白い話である。(写真:郡山市逢瀬公園にて)





里芋(サトイモ)の花

2012年10月19日 | 家庭菜園に咲く花

とある菜園の一角で偶然に見つけた。
ふつう日本では開花しないと言われるので、幸運な出会いかもしれない。

南アジア原産で、日本には平安初期に渡来したとされるが、稲作よりも早く入ったという説もある。山に生える自然薯に対して、畑で栽培されることからこう呼ばれる。南方のタロイモも同じ仲間だという。

中秋の名月は芋月ともいわれる。もちろんこの芋はサトイモである。サトイモはジャガイモ、サツマイモに比べて栽培の歴史が長いということもあるが、日本人にとって特別な意味合いを持った芋のように思われる。きぬかつぎ、芋煮や煮ころがし、田楽など郷愁を誘う料理も多い。
今年もこれからサトイモの美味しい季節を迎える。
(写真:郡山市安積町地内の菜園にて)


初秋の美女池

2012年10月06日 | 風景や景観

静御前が身を投げたとされる伝説の池。
兄頼朝に追われた義経は奥州平泉へと逃れた。その後を追った静御前は、下僕の小六と乳母のさいはらを供に安積の里へとたどり着くのであるが、その最後の峠を越える途中で小六を亡くしてしまうのである。静は嘆き悲しみ、涙を止めることができなかったが、気を取り直して化粧を整え先を急いだという。幸い村人の好意で地元の花輪長者の屋敷に案内され、ここでしばらくの間、村の娘などに針を教えた。そんなある日、ひとづてに義経が亡くなったことを知った静は、絶望のあまり、さいはらと共に近くの池に身を投げるのである。いつしか人々はその池を美女池と呼ぶようようになったという。

この地域には、今でも静御前堂はじめ小六峠、小六塚、針生(はりう)、化粧坂(けわいざか)といった地名が残る。静御前伝説は全国に数多いが、この地域のように話の流れが地名となって伝えられているところは少ないと思われる。
(写真:郡山市大槻町美女池上地内にて)