
清らかな水の流れ、明治初期に開削された安積疏水(日本三大疏水の一つ)の幹線水路である。
この疏水は、ときの新政府が廃藩置県後の失業士族救済を目的とした原野開拓のために猪苗代湖の水を引くという壮大な国家プロジェクトによって生まれた。この水に望みをかけて計画に呼応した人々(遠くは九州久留米、土佐、鳥取をはじめ県内の二本松、会津、棚倉など全国9藩の士族2000人余り)は、慣れない土地、初めての作業、少ない収穫、このような厳しい環境に耐えながら未開の原野に挑んでいる。
幕末まで、水利が悪く放置されていた広大な安積野を美田に変え、電気をおこし、増加する人々の飲み水となってきたこの疏水は、先人の歩みと相まって今日の郡山市発展の源となっている。これからも大切に守っていきたい流れである。
(写真:郡山市熱海町安子ヶ島地内)