清らかな水の流れ、明治初期に開削された安積疏水(日本三大疏水の一つ)の幹線水路である。
この疏水は、ときの新政府が廃藩置県後の失業士族救済を目的とした原野開拓のために猪苗代湖の水を引くという壮大な国家プロジェクトによって生まれた。この水に望みをかけて計画に呼応した人々(遠くは九州久留米、土佐、鳥取をはじめ県内の二本松、会津、棚倉など全国9藩の士族2000人余り)は、慣れない土地、初めての作業、少ない収穫、このような厳しい環境に耐えながら未開の原野に挑んでいる。
幕末まで、水利が悪く放置されていた広大な安積野を美田に変え、電気をおこし、増加する人々の飲み水となってきたこの疏水は、先人の歩みと相まって今日の郡山市発展の源となっている。これからも大切に守っていきたい流れである。
(写真:郡山市熱海町安子ヶ島地内)
写真はキュウリの雌花。残念ながら注目されることはないが、鮮やかな黄色が美しい。
黄瓜という和名は熟した時の色から名づけられたもので、よく使われる胡瓜という字は漢名だという。北西インドあたりが原産で日本に入ったのは平安時代ごろのようだ。
今でこそ夏野菜の代表格であるが、江戸末期ころまでの品種は、かの貝原益軒をして「これ瓜類の下品なり、味良からず且つ小毒あり」と言わせるほどで、苦くまずかったようである。その後、懸命に品種改良が行われてきたこともあり、現在の品種は全くと言っていいほど苦みが無い。
キュウリはこれからの季節が旬で、もろキュウやサラダをはじめ酢物など夏には欠かせない。何といってもみずみずしい色や香り、歯切れなどが命である。新鮮なキュウリでこれからの厳しい夏を乗り切りたいものである。(写真:近くの家庭菜園にて)
梅雨空のこの時期、淡紅色の花がひときわ鮮やかに映る。
野生ランの一種で、和名は花がもじれて巻く様子からつけられたとされる。捩花(ネジバナ)の名もある。
みちのくの しのぶもじずり 誰ゆえに 乱れ染にし 我ならなくに
(河原左大臣)
この”しのぶもじずり”とは、養蚕が盛んであった陸奥国信夫(現在の福島市)の里で、石などの表面の乱れを型にして上から草木を擦り合わせて染め出した織物の模様のことだとされる。
この地から都に(たぶん献上品として)送られた絹織物の模様が、歌枕になるほど流行ったことが面白い。
かつてこの模様の型となったとされる石が、今も福島市内の「文知摺観音」の敷地にみることが出来る。
この花は下から上へと咲き上がり、頂点に達する頃に梅雨明けとなるという。いよいよ夏本番も近い。(写真:近くの野原にて)
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