この梅雨時、ベニバナの鮮やかな黄色が一段と映える。しかし、よく見るとこの黄色は次第に赤色に変わりつつあるのが分かる。
紅花とは、赤い花、紅をとる意であるが、良質の紅をとるために花の先(末)の方だけを摘み取ることから、源氏物語にも登場する末摘花(すえつむはな)という美しい異称もある。
かつては染料の原料として全国で各地で栽培された。中でも質が良く有名だったのは山形の最上紅花で、それをもとに作られた本紅は「紅1匁、金1匁」と言われるほどだったとされる。
明治以降は中国産の輸入が増加。その後は化学合成染料にとって代わられ、現在は県の花としている山形県、そして千葉県の一部などで、紅花染めや観賞用(切り花)として栽培される程度だという。
少し残念な気がしてならない。(写真:喜久田町の植物園にて)