艶やかな葉、鮮やかな花。
日本原産のヤブツバキはその美しさゆえに、万葉の時代から歌の題材となり、近世に至っては茶花としても好まれている。
「落椿」という言葉があるように花が一輪ずつ落ちるために病気見舞い等にはタブーとされる。しかし、いまだに多くの人に愛されるのは、その散り際の潔さがサクラと同じように日本人の心情に合うのであろうか。
近年は花の色、形など幾多の園芸品種が出回っているが、個人的にはこのヤブツバキの色、形が好きである。(写真:自宅庭にて)
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まだ褐色一面の雑木林に、鮮やかな花を広げるカタクリ。
まさに、春の野草の女王と言うのにふさわしい姿である。
和名の片栗とは、栗の子葉の一片に似ていることから名付けられたという。古くは堅香子(カタカゴ)と呼ばれ、多くの歌に詠まれている。
地下深くの鱗茎から取ったデンプンは片栗粉として重宝がられるが、面白いことに、いま片栗粉として市販されているもの多くはジャガイモデンプンである。
カタクリはコナラやクヌギなど、雑木林の主役が葉を出さないうちに花を咲かせ、短い一生を終える。そして、その群落は林の北斜面に多いようで、微妙な環境のバランスの下で生育していることが分かる。(写真:市内逢瀬公園にて)
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