今年も雪虫の飛ぶ姿を目にする季節になった。
雪虫とはアブラムシの仲間で、白い蝋物質を分泌する腺をもつ種類の総称とされる。普通アブラムシは、羽の無い姿で夏を過ごすが、晩秋から初冬になると羽を持ったものが現れ、越冬のために産卵場所へと移動する。この時の白い綿のような蝋物質を身にまとって飛ぶ姿が雪を思わせることからこう呼ばれる。
雪虫は風に弱く、移動性高気圧に覆われて風の無い時を選んで飛び始める。一般にこの時期は、高気圧が過ぎると冬型の気圧配置となり初雪が降り出すことも多い。
このようなことから東北、北海道では、雪虫の出現が冬の訪れを告げる風物詩とされている。
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美しく気品のあるフジの花は、日本の春の風物詩の一つとして多くの人々に愛されるが、花が終わると振り向かれることは無い。
写真は、そのフジの実(莢)である。冬の寒さから実を守るためか、堅い莢の表面がビロードのような短い毛に覆われている。多くの本に、莢の中の実(豆)は炒るなどすれば食べられないことは無いが、煎じて下剤に利用するものなので、毒を含むと記されている。
試しに、実をフライパンで炒って中身を取り出してみた。色、形で味も銀杏そっくりであったが、食べるのは2,3粒に止めた。
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カワラナデシコが早くも咲きだした。古くからその素朴な姿、花の色などが日本人の趣向に合い、秋の七草の一つ数えられている。
日本では日当たりのよい河原や草原に生えることからこの名があるが、最近では庭先などにも多くみられる。
かつて日本では、中国のセキチクをカラナデシコ(唐撫子)と呼び、本種の清楚で上品な姿を日本的女性に重ねてヤマトナデシコ(大和撫子)として愛でた。それが今日も、女子サッカーの愛称「なでしこジャパン」などと、使われる所以となっている。
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県内有数の桜の名所、郡山市開成山公園の桜は、今年も見事な花を咲かせている。なかでも、公園内の五十鈴湖の周囲(堤防)にあるソメイヨシノの古木並木は、この地の開拓が本格化した明治11年(1878)に植えられたとされるので、樹齢が今年でちょうど140年となる。
一般にソメイヨシノの寿命は40~50年で、長いものでも60年とされるので、140年は日本最古の桜といってもおかしくない。市では昨年、樹齢を科学的に確かめようと専門家に依頼し、一本の古木について放射性炭素年代測定や音響波測定などを行い、95%以上の高い確率で文献に残る明治11年以前の植栽であるとの結果を得ている。
このように、この公園のソメイヨシノの古木群は、郡山市が全国に誇れる貴重な歴史的遺産(財産)なのである。今後は養生管理の徹底をはかり、さらに寿命を延ばしたいものである。(写真は開成山公園にて)
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厳しかった今年の冬もそろそろ終わりが近づき、一雨ごとに草木の息吹を感じることができる。
古くから、この時期に降る雨を「木の芽起こし」と言い、植物の芽が膨らむのを助けるように降ることからこのように呼ばれている。「木の芽萌やし」や「催花雨」などと言われることもあるようで、二十四節気の雨水の頃の雨がこれにあたる。
何ともも美しい呼び方で、日本人の繊細な美意識が感じられ言葉である。
写真は、雨あがりのベニカナメのみずみずしい新芽。(庭先にて)
別名、リンゴ吊ともよばれるが、この方法は明治初以降、西洋リンゴの栽培が始まってからリンゴの枝が実の重さで折れるのを防ぐために行われたのが始まりとか。
雪つり、いまや東北や北陸地方の冬の風物詩となっており、これからもこの美しい風景、伝統の技を大切に残したいものである。(市内の公園にて)
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