あさか野の四季

      写真歳時記

除染(じょせん)

2012年12月29日 | 天災・人災

写真は、放射性物質に汚染された落ち葉などを集めたものであるが、いまもって最終処分地が決まらず、これを仮置き場に集めている。
除染、除染作業、なんと虚しいひびきの言葉であろう。
この作業は東京電力の原発事故以来、県内外で広く行われている。莫大なお金と労力をかけて行っても何も生まれない、まったく非生産的な作業なのである。

いま、地質などの専門家によって各地の原発敷地下における活断層の有無が調査されている。その結果、活断層の可能性が大であると指摘されても、電力会社は必死に反論を行っている。専門家の意見が絶対とは言えないかもしれないが、これを尊重しないで、誰の意見を聞こうとしているのだろうか。残念なことに電力会社は、原発が危険なものであるという認識がいまだに乏しいのである。

この事故により、多くの人々は古里の町や村、住み慣れた自分の家に帰れず、不自由な仮設住宅で二度目の厳しい冬を迎えた。いま、あちこちでこの黒い袋を見るにつけ、原発というこんな危険なものを民間企業任せにしている国に本当に未来があるのだろうか、と思う。
やるせない気持ちでの年越しとなった。(写真:郡山市内にて)










残菊(ざんぎく)

2012年12月15日 | 家庭菜園に咲く花

雪が舞う時期になっても咲き続けている。
秋の花とはいえ、寒さに対する適応力に驚かされる。

ある国語辞典には、”残菊とは、重陽の節句が過ぎても咲いている菊、
晩秋や初冬まで咲き残っている菊の花のこと”とあり、
今の時期の花を、残菊と呼ぶのがふさわしいかどうかは分からない。

ただ、残菊(ざんぎく)という言葉には、何とも日本人らしい発想の美しいひびきがある。
    残菊や 添竹はなれて 風のまま  高野 素十
(写真:郡山市大槻町内の畑にて)


初冬の疏水路

2012年12月02日 | 風景や景観

初冬の光を浴びて延びる疏水路。
サイフォン方式を利用した灌がい用水路で、長さは800mに達する。今から50年ほど前に地元の人々(土地改良区)により建設されたものである。(現在は地域全体の灌がい水を調整する安積疏水土地改良区が管理している)

かつて、この地域は周囲より一段高い位置にあるため、水利の面で水田が造れなかった。しかし、高低差を利用したサイフォン方式の採用によって、宿願であった稲作が可能となったのである。米が十分に自給できなかった時代、人々の米作りに対する執念、情熱が作り上げた傑作といえる。
この風景は、地域の美しい田園風景の一部になっており、いつまでも残したい景観の一つである。
(写真:郡山市三穂田地内にて)