龍体力学覚え書き

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浅田次郎著「勝負の極意」再読

2023-04-26 12:31:54 | book
日曜日の夜に動画公開されたばかりのアニメ「ウマ娘」の第2話を見ていて、つい浅田次郎さんを連想したので、2冊持っている競馬絡みの文庫本「勝負の極意」(浅田次郎著・幻冬舎アウトロー文庫)を再読。

作家になるまでの自伝風の記述が3割ほど。残りは競馬絡みの文章が続く。

そのパートのタイトルは「私は競馬で飯を食ってきた」。博才があったと自ら書かれているわけだがさもありなん。そもそも何かと引きの強い人物っぽいのは風貌でバレバレであるからして。

そして「運を支配する」という一節では、

「ツイていないと感じたらピタリと止め、ツイるぞと思ったらブンブン行く」
「ツキには時々刻々と変化する短期の波と、長い人生から見た長期の波がある」
「自分がいま(勝負の女神に)捨てられているのか拾われているのか、それを冷静に判断することこそ運を支配すること」
「(ツキのないときは)金銭のやりとりから離れて、しばらくの間ジッと観察する(=場を見る)」
「高みの見物をしていると、ふしぎと今まで見えなかったものが見えてくる。ははぁ、なるほどと(その認識が大事)」
「冬の時代にジタバタせず、観察の努力を怠らない者だけが最後に笑う」

等々心構えが書いてあるのだが、何よりも「運を支配する」という表現がカッコイイではないか。「場を見る」トータルな意識などは、まさに勝負事には必須なスタンスだろう(たぶん)。

「観察の努力を怠らない者が最後に笑う」という記述にしても、安部譲二さんの金言「競馬は注意力」にも通じるものだ。

ままよ~と中途半端に馬券を買うのではなく、十二分に検討し尽くした上で馬券を買うことに徹する。これだなやっぱり。

胴元さんが提供してくる様々な情報とレース結果がどうリンクするかのパターン分析に焦点を当ててきたこの数年だが、オーソドックスなレース検討方法から抽出した要素との硬軟織り交ぜた総合主義を突き詰める頃合いですな。

いかにもオーソドックスな手法のみでは、結局人気サイド重視に傾いちゃうので、平然と人気薄を買える根拠に繋がるパターン収集のプロセスは必要ではあったのだが・・・。

なお、この文庫本の巻末解説を茶木則雄さんというミステリ評論家が書いており、この人誰なん?・・・とググってみたら、飯田橋の深夜プラス1という書店の初代店長をやった人物とわかった。

その「深夜プラス1」。都内に住んでいた時分、大手の書店がとっくに閉まった時間帯に、電車を使わず夜のお散歩がてら何度か行ったことのある本屋さんだったので懐かしくなった(10数年前に閉店した由)。

茶木という珍しい姓の人物は中央競馬の調教師にもいる。普段は殆ど目に入らない文庫本解説の人物についてふと気になったのは、ここしばらく茶木トレーナーの馬に注意すべしという無意識レベルからの示唆かな?

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