北のミサイル、日本の技術を転用か…万景峰号で不正輸出も
北朝鮮の弾道ミサイルには、日本製の精密機器や日本の高度技術が転用された疑いが、警察当局の捜査や国際機関の調査などで明らかになっている。
ミサイルに転用可能な精密機器は「ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)」で規制され、輸出には政府の許可が必要だが、北朝鮮は第三国を迂回するなど様々なルートで調達を図ったとみられている。
2003年5月の米上院公聴会。北朝鮮から亡命した元技官の男性は「北朝鮮のミサイル部品の90%は日本製」と証言した上で、「(日本製機器は)2、3週間ごとに連絡船で運ばれた」と説明し、新潟港―北朝鮮間で運航されていた貨客船「万景峰号」が、機器類の調達に利用されていたことを明らかにした。
警察当局はこうした証言を受け、北朝鮮向けの不正輸出の摘発を強化。警視庁公安部では03年6月、ミサイルの固体燃料の製造に利用できる「ジェットミル」をイランに不正輸出したとして都内の機械メーカーを摘発し、同社が、北朝鮮にも万景峰号を使ってジェットミルを不正輸出していたことを解明した。
これによって、北朝鮮が液体燃料の場合、ミサイルに注入するまで時間がかかることを嫌い、短時間で注入できる固体燃料に切り替えるため、日本製のジェットミルを入手したのではないか、という疑惑も浮かび上がった。
03年10月には、福岡県警がミサイルの移動式発射台に転用可能なトレーラーの荷台部分を北朝鮮に不正輸出した自動車販売会社を摘発。04年1月には神奈川県警が核兵器開発に転用可能なインバーター(周波数変換器)を北朝鮮に不正輸出した新潟県内の貿易会社の社長を逮捕した。
こうした精密機器について、経産省は02年4月、大量破壊兵器の開発に転用される恐れのある場合、すべて輸出規制の対象とする「キャッチオール規制」を導入。さらに、同省は「大量破壊兵器の開発に関与している」としている「外国ユーザーリスト」に、朝鮮労働党で軍需部門を統括する「第2経済委員会」傘下の「朝鮮鉱業貿易会社」(別称・蒼光信用会社)や「朝鮮富強貿易会社」など70社以上の北朝鮮企業を記載し、輸出管理を強めている。
それでも07年8月には、ミサイル部品に転用可能な日本製工業用コンピューターを北朝鮮に輸出していた台湾の商社が台湾当局に摘発され、昨年6月に神奈川県警が捜索した同県相模原市のメーカーも、台湾経由でウラン濃縮に転用できる真空ポンプを北朝鮮に輸出した疑いが浮上するなど、北朝鮮が輸出規制の網をかいくぐりながら、日本製品の調達を続けている疑いが強まっている。
北朝鮮のミサイル開発を巡っては、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連団体「在日本朝鮮人科学技術協会」(科協)の幹部で、エンジン工学の権威とされる科学者が1998年8月と06年7月の2回、「テポドン1」と「テポドン2」がそれぞれ発射された際、北朝鮮に渡っていたことが判明するなど“頭脳流出”の問題も指摘されている。 (2009年4月5日16時33分 読売新聞)
〈記事の抜き書き〉
●03年6月、ミサイルの固体燃料の製造に利用できる「ジェットミル」をイランに不正輸出したとして都内の機械メーカーを摘発し 同社が、北朝鮮にも万景峰号を使ってジェットミルを不正輸出していたことを解明
●03年10月には、福岡県警がミサイルの移動式発射台に転用可能なトレーラーの荷台部分を北朝鮮に不正輸出した自動車販売会社を摘発。
●04年1月には神奈川県警が核兵器開発に転用可能なインバーター(周波数変換器)を北朝鮮に不正輸出した新潟県内の貿易会社の社長を逮捕
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●07年8月には、ミサイル部品に転用可能な日本製工業用コンピューターを北朝鮮に輸出していた台湾の商社が台湾当局に摘発、
●昨年6月に神奈川県警が捜索した同県相模原市のメーカーも、台湾経由でウラン濃縮に転用できる真空ポンプを北朝鮮に輸出した疑いが浮上する
●在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連団体「在日本朝鮮人科学技術協会」(科協)の幹部で、エンジン工学の権威とされる科学者が1998年8月と06年7月の2回、「テポドン1」と「テポドン2」がそれぞれ発射された際、北朝鮮に渡っていたことが判明
「北朝鮮が輸出規制の網をかいくぐりながら、日本製品の調達を続けている疑い」が強まっている、また、「万景峰号」もその調達に利用されていたことが明らかになっているそうです。
数年前ニュースを見ていて、何故、早くこの船を止められないのか、不思議に思っていました。万景峰号は、2006年7月に(安倍政権時)北朝鮮のミサイル発射実験の時に、やっと入港禁止措置がとられています。しかし、以後も北朝鮮は日本から、ミサイルに転用可能な部品や精密機械などを、「第三国を迂回するなど様々なルートで調達を図って」いたことや、また、過去2回の「テポドン」発射の際には、在日朝鮮人団体朝鮮総連関連団体幹部の科学者が、北朝鮮に渡っていたことが判明しているそうです。
法の目をくぐった様々なルートで、北朝鮮が日本から製品や技術を手に入れようとしていること、それらを見過ごしてしまったことで、結果的に日本は”わが身を脅かされる”という、とんでもないことになっています。
そして、製造したミサイルや核などを交渉手段にして、金や物品を引き出そうとするのが、北朝鮮のやり方(外交)で、日本は、断固として一層の「不正輸出」禁止の強化をはかるべきです。
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