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柳瀬健太は、怒りのあまりブルブルと震えていた。
しかしそれをぶつける相手‥赤山雪は教室を出て行ってしまったので、
健太は皆の方を向き、大声で不満を撒き散らす。
「見たか?!お前ら見てただろ?!
ありがとうって言えだの、先輩に対して謝罪の態度を見せろだのよぉ!」
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「つーか赤山って本来あんなヤツじゃねーはずなのに、
どうしてあんななっちまったんだ?青田のヤツと付き合い出してから180度変わってー‥」
「もう止めて下さいよ!」
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するとそんな健太に、柳楓が噛み付いた。
思わぬ人物からの反論に、健太は彼をギッと睨む。
「はぁ?!」
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しかし柳は怯まない。
顔に青筋を立てながら、健太に向かってこう言った。
「もう我慢出来ねぇっすわ!」
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「こんにゃろ‥」
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眉を寄せる健太に構わず、柳は続けた。雪を擁護するその言葉を。
「つーかぶっちゃけ、赤山の言い分何も間違ってねぇすよ!
淳が赤山に過去問渡して、それを共有しないからってブツブツ言ってる、そのまんまじゃないすか!
俺の言ってること間違ってます?!間違ってないっしょ?合ってるっしょ?!」
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教室中の学科生が皆、二人の方を向いてその会話に聞き入っている。
柳はそんな皆の方を向いて、彼らに向かってもこう言った。
「つーか皆もそうなんじゃねーの?!」
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ヘッ!と息を吐き捨てる柳のことを、糸井直美は密かに睨んでいた。
あの人前からちょくちょく‥
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柳の言葉に、「俺はんなことしてねーよ!」と反論する学科生もいる。
柳瀬健太は柳に向かって言葉を返した。
「何だよ!過去問のせいで科の空気がピリピリしてっから、
俺が皆の代表として話してみたんじゃねーかよ!つーかあんなふうに怒って出てくなんてよぉ、ありえなくね?!」
「代表って何すか‥ったく」
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柳は軽く息を吐いた後、クックックと小さく笑いながら話を続ける。
「赤山が変わったのは別に淳と付き合ったからじゃねーすよ。
健太先輩が赤山をムカつかせるから、ついに見限られたんですって」
「おいっ!俺がいつー‥」「そうですよ」
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するとその二人の間から、ある人物が発言した。
彼は続けて、健太に向かってキッパリとこう言う。
「健太先輩の点数の半分は、俺と赤山が取ったと言っても過言ではありません」
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目を丸くする健太と柳。
その視線の先には、ぎゅっと口を結んだ佐藤広隆が、
強い眼差しで健太を見据えている。
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佐藤はメガネの柄を指で触りながらも、じっとその場に立っていた。
今発言した内容には微塵も嘘は無く、後ろめたいことも何も無いからだ。
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そんな佐藤を見て、健太は眉をひそめた。
「佐藤?何だお前‥」「だから‥」
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佐藤は健太が皆まで言う前に、口を開いた。
覚悟を決めるため、ぐっと一度下を向く。
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そして佐藤は健太のことを見上げながら、腹の底から声を出したのだった。
「後輩にたかって点数稼いだり過去問欲しがったり、
そういうことは!もう止めて下さい!!」
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真っ直ぐに健太のことを見据えながら、佐藤はそう言い切った。
そんな佐藤の姿に、ほう、と柳が思わず声を出す。
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しかし健太は、というと、今までに無いくらい震えていた。
みるみる顔に青筋が浮かんで行く。
「その通りだな」「ホント」
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後方から佐藤の言葉を擁護する声もチラホラ。
健太は顔は笑顔のままだが、怒りのあまり佐藤へと手を伸ばす。
「こんの‥!てめぇマジ‥!」「止めろ止めろ!」「どうどう!」
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佐藤は「ヒィッ」と言って健太から背を向けた。あわや大騒動である。
すると先程からの一連の騒ぎを見ていた学科生達が、健太に向かって声を上げ始めた。
「もういい加減にして下さいよ!過去問手に入れられなかったからって、さっきからみっともないっすよ!」
「マジで喧嘩しようとしてんのー?」「仮にも先輩が‥」
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皆健太に非難モード。
柳らに身体を押さえられている健太は、目を丸くして彼らの方を振り向いた。
「は?なんだお前ら」
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「俺はお前らの代表として‥」
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その顔がだんだんと怒りに歪んで行く。
しかし学科生達は怯まず、彼らや彼女らなりの意見をそれぞれ口にした。
「いつあたし達がそう頼みました?皆が皆同じ意見なわけじゃないですよ!」
「あんなふうにしたらもっと過去問手に入り難くなるのに‥」
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教室で行われているそんなやり取りを、雪はドア一枚隔てた廊下で、聡美と共に聞いていた。
雪は先程耳にした学科生の言葉に、心から賛同する。
そうだ。
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皆が同じ意見であるはずがない
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非情に単純な事実をー‥
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擁護に反論、思い違いにスレ違い‥。
我々がそれぞれ正しいと思っているものが、真理である保証はない。
雪はそんなことを思いながら、まだ騒がしい教室内の会話を聞いていたー‥。
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<彼らの擁護>でした。
いいぞ!!いいぞ!!柳&佐藤先輩!!
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ストレートに言い返しましたね~。男気を感じますね。
健太は全然堪えてないっぽいですが‥。
そして今回の佐藤先輩‥、ちょっと昔のスネオっぽいセーター‥。
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ドラえもん全制覇でしょうか‥。次はオレンジか?!笑
次回は<意外な組み合わせ(1)>です。
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了解致しました!こちらこそ見当違いなコメントしてしまってすみません~~!
紛らわしい書き方してすみません!
削除なら出来ますので、もしご希望あれば仰って下さいね。
最新話、ゾクゾクしましたよね!
これから雪ちゃんがどういった対処をするのか楽しみです!
私最新話見て、ちょっと上のコメント訂正したいです。
先輩の意図、見えてきたかも…先輩ほんとに雪ちゃんのこと、よく見て、何が問題なのかわかってる上でほんとに好きなのかも知れないですね。。でもやっぱすっごいドSだ。
本当、雪ちゃん一歩抜け出した感じがしますよね!
事態を客観視出来てるというか。
先輩のおかげ‥とまでは言わないけど、そうなるキッカケは先輩だったのかもしれませんな。
ざわこさん
熱いコメントありがとうございます!
夜のテンション、良いですね~(^^)
ドラ○もん制覇としては、ぜひ次回健太にオレンジを着て欲しいですね。
そしてざわこさんは九州の方なのでしょうか。所々に博多弁らしき語尾が‥。とってもステキです‥!
くうがさん
健太って、ある意味横山よりKYですよね。
なんといっても人の話を全然聞いてない‥。
そして先輩の意図‥気になりますよね。
もうホント雪ちゃんの胃を痛めるようなことをしないでほしいですね‥。
淳と亮の過去問、私は若干待ちくたびれました‥。
papurikaさん
柳についてコメント、ありがとうございますっ!!
楽しそうですよね!彼も健太の言動の被害者ですから、ずっと言ってやりたかったんでしょうね。
これを逆恨みして横山化するのか??
それも見越しているであろう先輩の意図がいまいち見えませんが、雪を黒淳サイドに落としたいだけ?(しょうもなー)
雪ちゃん奨学金もらえなければ家計ヤバそうだからいらん騒動しかけないで欲しいけど、先輩卒業後は主席楽勝だからなんかなー?
過去問騒動より、淳と亮の過去問をはよ…いや真相知るのが怖くもあるんですがね。。
今日のスネ夫は、こんな時間なのに、部屋で1人爆笑しました。最高です。記憶力いいですね!!オレンジはジャイアンですよね、誰かなー、誰が制覇するのかなー!
チートラは、最近、雪ちゃんが自分で自分を護れているところに安心した反面、どこかじゅんちゃんに近づいていってるような気がして、不安はやはり消えないです。だからといって、周りに振り回されてストレスで倒れてほしくはないですし。ただ、健太パイセン騒動を外で聞いてるときの、雪ちゃんの顔が、今までより冷たい印象だったとです。
私は、雪ちゃん効果で、じゅんちゃんが変わっていってほしいので、じゅんちゃん効果はあまり嬉しくないんでしょうね…河村さんも素敵なんですけど、雪ちゃんが世話焼いてるのが目に見えてしまうんだな。じゅんちゃんだと、先読みを頑張りすぎて、頭が爆発してそーだなって。でも、人間一人一人違うわけですので、そんなうまく行くわけなかとです。
何が言いたいんでしょうか、わたしは。。夜のテンションでした。失礼いたします。
淳はこの結果雪にみんな同じだと結論付けて欲しいんでしょうね。。
以前よりほんと雪に依存しているようにも見えたり。捨てられたらどうなるのや!ここ最近の話、全部フラグにみえて怖い~
しかしスネ夫パイセンがとうとうご乱心あそばされましたね。(笑)うんうん。よかったです