Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

私の傍には

2016-01-22 01:00:00 | 雪3年4部(賭け~温かな痕跡)
先ほど柳が健太に言った言葉が、脳裏に何度も反響する。

どうして‥最近急に‥なれなれしくしてくるんでしょ~ねぇ‥

わりと仲良かったのに誰かさんも貰えなかったですもんねー




どうしてそれが何度も浮かんで来るのか、その答えは明確だ。

そうだ。健太先輩はおかしかった。今の今までずっと



心の奥で叫ぶ自身の声が、その柳の言葉に全面同意しているからだ。

そもそもあの人は、他人に感情を隠せるほど演技が上手い人間じゃない。

佐藤先輩のノートPCの時だって、ただただ怒鳴ってばかりだった








考えれば考える程、疑心は募って行く。

けれど雪は気づいているのだ。そんな考えは、何の意味も持たないということが。

だけどすべてのことは心証にすぎない。確信なんて、何の役にも立たない。



真実を確認出来ないから、ただ単純に直美さんが犯人だって考えれば済む話なのに、

それがどうにも上手く行かない




雪は皆の後について歩きながら、この重苦しい気持ちを持て余していた。

だって‥



頭の中に、以前健太に言われた言葉が蘇る。

お前はもう変わっちゃったもんだと結構マジで思ってたんだけどなー?



その言葉を受けて、帰りの地下鉄の中でこう思った。

私も確かに変わった



変化した周りの人達との関係性と共に、自分自身も変わったのだと思っていた。

けれど再びこうして頭を悩ませている自身を顧みると、結論は自ずとハッキリする。

私は結局、一つも変わることが出来なかった



超然としては居られないまま、ずっと直美さんを気にして‥。



そして、このとっ散らかった考えをどこかに吐露したいけれどー‥







心の中に、冷たい風が吹き込んでくる。

顔を上げた先には、急ぎ足で次の場所へ向かう皆の背中が見える。



雪は再び俯いた。

気軽に話し掛けられそうな人なんて、一人もいない。

「‥‥‥‥」



皆が良い人達なのは確かだけど、明確な目的にただ集まって来ただけ。

私と心から打ち解けてるわけじゃない。私が集めたんだけどさ‥




こんな時、傍に居てくれたらと思う二人が居た。

伊吹聡美と福井太一‥。

聡美はどうして授業に出てこないのよ‥



太一は‥ 「バイトモード。最近特に頑張ってマス」



全ての人が、自分の傍を通り抜けて行く。

皆それぞれに、どこかを目指して進んでいるのだ‥。



雪の脳裏に、親しい人の後ろ姿が次々と浮かぶ。

先輩‥



彼は自分よりも更に忙しく、複雑な社会で生きている人間だ。

その背中が、振り返らずに去って行く。


河村氏‥



きっと彼ならこう言うだろう。「お前の知ったこっちゃねーだろ」と。

細かいことや居場所に頓着しない彼も、また雪から去って行く。





様々なトラブルを抱えながら、仕事場へと向かう両親。

彼らに悩みなど打ち明けたことなんて無いし、打ち明けようとも思わない‥。





蓮と恵。彼らこそ今から色々な問題に向き会わないといけない。

自分の問題に引きずり込むのは違うし、二人に負担を掛けたくはない。





萌菜へ断りのメールを入れたことも思い出した。

確かに今自分の目の前には、やるべきことが山のように溜まっている‥。




秋風の中を、雪は俯きながら皆の後についてただ歩いていた。

とっくに気づいていたことを、自身に言い聞かせるように心の中で声にして。

皆それぞれに背負っているものがある。

私の抱える問題が、一番重要なわけじゃない




だから今‥



私の傍には誰も‥



気がつけば、一人だった。

それを実感した途端、肚の中に居る臆病の虫が、微かにざわめき始める。



しかしそれを自覚する前に、雪は仲間から声を掛けられた。

何事も無かったかのように、笑顔を浮かべて応える雪。

「どうしたの?行こう」

「あ、うん」






そして雪は歩いて行った。

大勢のざわめきの中で重い荷物を抱えて、たった一人で‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<私の傍には>でした。

「私は変わった」と思っていた雪ちゃんが、結局いつもと同じようにウジウジ悩んでしまう現状に触れて、

「やっぱり変わってない」と思い直すという場面‥。

以前それを見越していたかのように、呟いていた先輩の背中が思い出されますね。



チートラの抱えるテーマって、「人間は所詮独り」というものなんでしょうかねぇ。

そこからどう上手く生きて行くか、みたいなものを雪ちゃんを通して描かれているような気がしますね‥。


次回は<温かな痕跡>です。

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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
なんだか切ない (むくげ)
2016-01-22 03:40:40
孤独感がひとしおですね
にしても淳もなんか、特別の位置じゃなく皆と並列されてなんですね
それもちと切ない
もっと気持ちをぶつけないと結局何も伝わらないよ雪ちゃん
前はちゃんと向きあおうとして変わろうとしてたのにまたもとの木阿弥というか
凄くリアルですけどね
成長物語なんですけどそんな簡単に人間変わりゃしないよという
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Unknown (くうが)
2016-01-22 07:06:08
誰しもそんな風に考えちゃう時ってありますよね。
雪ちゃんは特に敏感だし、先輩の影響でさらにトラブルが降りかかるから先輩がフォローしてあげないとどんどん疲弊していくよ。
ほんと何してんだろ先輩(←いや仕事…)
前に萌菜の言ったとおり、我慢せずに会いたかったら会いたいと言えればいいのにな。
忙しいとか遠慮しなくても先輩はマルチタスクなんだからさ。
でも先輩はそんな雪ちゃんだから好きなんですもんね。ガンガン電話かけて来る雪ちゃんは嫌かもだ。
それならもっとマメにしろってんだよ~!
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わんつーぱんち? (ふう)
2016-01-22 21:33:31
ひとりだと思っているのは雪ちゃんだけのような気もするのだけど…。そこが、人に頼るのが下手な長女気質、なかなか抜け出せないんですよね…。(わたしも長女(かつ天パ)なんで痛いほどわかりま)
でももう、胃痛で倒れたりすることは…ないよね?雪ちゃん…。

ところでこの章の最後の数コマ、すごく孤独を感じさせて、かっこいいなあ、と、本編を見て思いました。
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Unknown (Yukkanen)
2016-01-24 11:05:23
むくげさん
なんだか寂しくなってしまう回でしたよねぇ。淳が皆と並列なのも寂しいし、自分で手を伸ばさない雪ちゃんを見るのももどかしいですね‥。

くうがさん
先輩に怒りをぶつけるくうがさん(笑)
でも確かに、相手に色々求めない雪ちゃんだからこそ、先輩は手を差し伸べたくなるのかもですよね。

ふうさん
わんつーぱんち‥
長女かつ天パの共通点ですか~それは雪ちゃんに共感しちゃいますね^^
最後のコマ、すごいですよね!スンキ氏、だんだんこういう間というか沈黙のコマの扱いが上手くなってる気がしますよねぇ~(何様‥)
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