Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

2014-06-02 01:00:00 | 雪3年3部(聞けない淳の本音~流出)
全ての人は、自分だけの理想郷を持っている。

時にはそこから追い出されたり、時にはそこから抜け出さないようにもがいたり。

そして時に、今一度そこに向かって足を踏み出したりもする。

 

  


それならば、今は?






河村静香は、通話先の赤山雪に向かって言った。

「あたしは、淳の彼女だけど?」



楽譜が燃える。

弟が追いかける理想の未来への切符が、燃える。



フッ、と静香は燃える楽譜に息を吹きかけた。

御大層な上質の紙は黒く縮れた灰になって、あっけなくその風に散って行った。





今は?








河村亮は自分の家を外から眺めながら、嫌な予感を全身で感じていた。

助けてくれる人が沢山居て良いわねと、楽譜を持って口にした姉‥。



思い描く理想の未来へと、一歩踏み出した自分。

けれど嫌な予感が胸の中を煙らせ、どんどん先が見えなくなって行く。



亮はキャップを目深に被り直すと、そのまま全速力で走り出した。

前の見えない霞んだ進路へ、がむしゃらに駆けて行く。



煙を出す火の元から、薄く笑った姉から背を向けて、亮は逃げて行く。

ようやく見つけた一筋の光を信じて、必死で足を前に進めて行く‥。







青田淳は携帯電話をポケットから取り出し、もう一度雪に電話を掛けているところだった。

しかし電話は繋がらず、淳は再び携帯をポケットに仕舞う。



先ほど父から受けた訓戒が、脳裏に蘇る。

もう受け入れなければいけない。大人なのだから。

世の中全てが、お前の意のままになる訳ではないということを




彼は、彼女の声が聞きたかった。

自分と同じ所に居る唯一無二の存在の、彼の理解者の。



いつだって煙は他所から漂ってくる。

自分はただ静かにそこに座っているだけなのに。自分は何も間違ったことはしていないのに。







プツッ、とそれきり電話は切れた。

通話先の女が口にした、「あたしは淳の彼女だけど」という言葉を最後に。



雪はその場に立ち尽くした。

凄い勢いで火が回り、舞台は炎上する。

雪は顔を青くしながら、太一と横山の方に向き直って口を開いた。

「な、な、な‥何なの‥?!今、この人が‥!」



もう、一寸先も見えなかった。



全てのものが捻れゆくのか?







炎から出る煙のせいで、それぞれの理想郷はどこにあるのか分からなくなった。

絡まり合う動線が、物事の進む方向を迷わせ、彼等は捻れていく。


火を点けたのは一体誰?

そこに導火線を置いたのは誰?

悪者は一体誰?


真実は全て、煙の中だ。

彼等は前の見えない今この時を、前に進もうと必死に藻掻いている。


動けば動くほど、絡まり合うというのに。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<煙>でした。

3部34話の途中から出てきたこのモノローグが、35話の最後を締めるという構成になっています。

本家はこの回を最後に2ヶ月の休載に入りましたよね。

記事も今回はそのまとめというかんじのものにしてみました。短くてスイマセン^^;


皆絡まり合う根源を放って前に進もうともがくから、こんな風にいつかは進めなくなるんですよね。

不穏な展開ですが、きっとここが3部の中間辺りなのでしょう。


次回は本家版と題名を合わせてます。<爆発>です。


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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
彼女 (ゆっけ丼)
2014-06-02 06:22:01
静香がこの回で自分のことを淳の彼女と言いますが、ただ単に雪ちゃんへの当て付けてゆーか警告からの言葉なのでしょうか。二部で淳が横山と雪ちゃんへの煩わしさから静香にこの携帯を渡してからずっと疑問だったのですが…。
やっぱり二人の間には何かしら関係があったんじゃー。と邪推してしまいます。嫌だけど。
まだまだこれから発覚するエピソードでゾワゾワさせられちゃうんだろーなという不安と期待を胸に、次回の爆発を耐えます~´`
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あの... (CitT)
2014-06-02 08:42:19
日本語の「捻れる」にも「状態が複雑化」の意味がありますか?あるならいいですが...
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う~ん (Yukkanen)
2014-06-02 10:47:08
ゆっけ丼さん
どうでしょうね~‥。私の脳内18禁チートラでは二人はただならぬ関係ですが(ヤバイ)
本編では静香→淳への片思いの描写はあるものの、二人が友人以上の関係であったとは描かれてないですよね。。
ただ、淳が人には見せない本性を静香に見せているのを見ると、やはり二人は気の置けない仲なんだろうなぁ、と思います。

CitTさん
「捩れる」単体ではbe twistedですが、ここでは「状況が捩れる」の意味で使っていますので、おそらく「状態が複雑化する」の意味を含んでいると思いま‥す‥(オロオロ)
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すごく複雑です・・・。この4人、これからどうしたらいいのでしょう? (どんぐり)
2014-06-02 20:06:15
前回の雪ちゃんのモノローグの時、真っ直ぐ前を向いて歩く雪ちゃんの姿に“今を精一杯生きよう”といった感想を持ったのですが、このモノローグはそんな単純・前向きなものではなかったのですね。
4人が煙に巻かれ、関係も捩れ、見えない未来を前にただ必死にもがいている・・・。
煙に巻かれて息ができない感じ。何かもう、苦しくて、泣けてきます(:_;)。
 
>真実は全て、煙の中だ。

>彼等は前の見えない今この時を、前に進もうと必死に藻掻いている。


>動けば動くほど、絡まり合うというのに。

Yukkanen師匠の語りによって、未来に希望なんてあるんだろうか、絡み合ったまま解けないんじゃないかというような不安・不穏と、閉じ込められて燻っている苦しさみたいなものを強く感じました。
導火線から続くタイトルも、不安が迫ってくるようで素晴らしです。

それにしてもこんな展開の時に2か月の休載だったのですね。
私、この頃にYukkanen師匠のブログを見つけ、感動してすぐに大好きになり、その後思い切って初コメをしたのでした。それからは毎日が充実の日々・・・。すごく昔のような、ついこの間のような。

そして静香と先輩・・・。いつかの「若い二人」物語がリアルでした・・・。
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