大腸の管理の基本は便秘をしないことであり、便秘を解消するための基本は朝食を食べることです。
朝は忙しいからといって、コーヒーにトースト1枚とか、あるいは何も食べないとかいった生活を送っていると、出るものも出なくなります。
便秘を解消するには、ある程度まとまった量の食べ物をおなかに入れることが必要なのです。
食べ物が胃に入ると、反射的に小腸内の内容物が大腸に送られ、大腸内のもの、すなわち大便は体外に排泄されます。
朝は排泄能力が最も高まる時間帯なので、この反射作用を利用すれば、誰でも必ず毎朝排便できるようになります。
さて、朝食をしっかり食べるといっても、いったい何を食べればよいのでしょうか。
今では、排泄における食物繊維の重要性が広く知られるようになり、本や雑誌、インターネットを見ると、新鮮で食物繊維の豊富な野菜や果物を食べるように書いてあります。
しかし、私の経験では、排便を促進する効果が最も高いのは玄米です。
玄米を毎日1合食べるようにすれば、軽い便秘の人は、すぐに便秘が解消すると思います。
ただし、玄米が苦手という方もおられると思いますので、そういう方にはライ麦パンをお薦めします。
また、玄米は消化が悪いので、1口50回以上噛むようにしないと下痢をする場合があるのでご注意ください。
ちなみに、糞(くそ)という字は「米が異なる」と書きますが、玄米を食べるとその意味がよく分かります。
では、逆に食べてはいけないものは何でしょうか?
それは、白米や、精白された小麦粉で作られたパンやケーキなどです。
これらは口当たりはいいのですが、消化が良すぎるため腸に対する刺激が少なく、腸の蠕動(ぜんどう)運動をうまく引き出すことができません。
ここで、日本人が何を食べてきたかを振り返ってみましょう。
日本で稲作が行なわれるようになったのが3千年くらい前だそうで、当時はもみのまま焼いた焼き米や、玄米を蒸した強飯(こわいい)を食べていたそうです。
平安時代になってやっと、現在と同じ炊飯米(姫飯=ひめいい)を食べる習慣が貴族の間に広まり、室町時代になると、武士や町人にも広まったそうです。
一般庶民が精白された米を食べられるようになったのは江戸時代中期、享保の改革(1716~1746年)以後のことで、これは「江戸わずらい」と呼ばれる病気(脚気)が大流行したことでわかるそうです。
ただし、江戸のような大都市以外では、通常は麦・ひえ・あわなどの雑穀に白米を2~3割入れたものを食べていたそうです。
明治時代も後半になると、一般庶民も白米に麦を3割くらい入れた麦飯を食べられるようになりますが、日本人全員が白いご飯を主食とするようになったのは実は第二次大戦後、それも昭和30年以降だそうです。
したがって、我々の腸は、消化の良い白米や白いパンを主食とするのに慣れておらず、こういったものを食べて便秘するのは当然といえば当然なのです。
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