正直なところ文法の説明をするのはあまり得意ではない。というか、それにあまり強い思い入れが持てないのだ。言葉のような複雑なものに対し、何らかの普遍的な解釈の物差しを当て、すべてが理解可能であるような態度をとること自体が、生徒に誤ったメッセージを伝えるのではないかという思いがおそらく根底にはある。
とは言うものの、生徒からの質問の多くは文法的なものである。また、長年教員をやっていると聞いてくるポイントも分かってくるから、そういった項目については説明の仕方のパターンもできてくる。たいていの場合、説明の「キモ」になるところは、生徒向けの参考書や解説書で故意に触れてなかったりはぐらかした表現をしていたりするものだ。
というわけで昨日(も)受けた質問を一つ。
・when I was a childなどは過去時制と共に使い、現在完了には使えないということであるが、過去完了ではどうなのか。
1)「私は子供の頃に3年間東京に住んでいたことがある」を英語で表現すると、
○ I lived in Tokyo for 3 years when I was a child. であり、
× I had lived in Tokyo for 3 years when I was a child ではよくない。
しかしながら、このような場合もある。
2)「戦争が始まったのは、私が東京に住み始めて3年たったときであった」
× I lived in Tokyo for 3 years when the war broke out. ではなく、
○ I had lived in Tokyo for 3 years when the war broke out. である。
生徒の目から見れば、従属節が同じ when+過去なのに、なぜ一方では主節に過去が要求され、他方では主節に過去完了が要求されるのか理解しがたいのだろう。
これを説明するときに動詞のアスペクトのことに触れると分かりやすいと思う。前記の例でいえば、when I was a child に用いられているwasは状態動詞であり、その動詞が表すのは瞬間的な事象ではなく、ある程度の時間的な広がりを持った事象だ。一方broke outは到達動詞であり、それが表すのは瞬間的な事象である。
1)の場合、lived in Tokyo for 3 yearsはwhen I was a childで表される広がりを持った時間の中に完全に含有される。一方、2)の場合はhad lived in Toyo for 3 yearsで表される3年という長さを持った時間は、一瞬の出来事にすぎないwhen the war broke out で表される時間からさらに過去へとはみ出てしまう。
以上のようなことをアスペクトや到達動詞といった用語は用いずに説明するのである。
自分の知る限り一般的な高校生向けの参考書で状態動詞、動作動詞以外のアスペクトについて紹介があることはない。授業で扱う項目について後から復習・確認ができないのは好ましくないので、授業中に積極的に触れることもない。しかしながら、これに関する質問をどれだけ頻繁に受けるか考えてみれば、敢えて触れずに済ますこともどうなのだろうかと感じるのである。
とは言うものの、生徒からの質問の多くは文法的なものである。また、長年教員をやっていると聞いてくるポイントも分かってくるから、そういった項目については説明の仕方のパターンもできてくる。たいていの場合、説明の「キモ」になるところは、生徒向けの参考書や解説書で故意に触れてなかったりはぐらかした表現をしていたりするものだ。
というわけで昨日(も)受けた質問を一つ。
・when I was a childなどは過去時制と共に使い、現在完了には使えないということであるが、過去完了ではどうなのか。
1)「私は子供の頃に3年間東京に住んでいたことがある」を英語で表現すると、
○ I lived in Tokyo for 3 years when I was a child. であり、
× I had lived in Tokyo for 3 years when I was a child ではよくない。
しかしながら、このような場合もある。
2)「戦争が始まったのは、私が東京に住み始めて3年たったときであった」
× I lived in Tokyo for 3 years when the war broke out. ではなく、
○ I had lived in Tokyo for 3 years when the war broke out. である。
生徒の目から見れば、従属節が同じ when+過去なのに、なぜ一方では主節に過去が要求され、他方では主節に過去完了が要求されるのか理解しがたいのだろう。
これを説明するときに動詞のアスペクトのことに触れると分かりやすいと思う。前記の例でいえば、when I was a child に用いられているwasは状態動詞であり、その動詞が表すのは瞬間的な事象ではなく、ある程度の時間的な広がりを持った事象だ。一方broke outは到達動詞であり、それが表すのは瞬間的な事象である。
1)の場合、lived in Tokyo for 3 yearsはwhen I was a childで表される広がりを持った時間の中に完全に含有される。一方、2)の場合はhad lived in Toyo for 3 yearsで表される3年という長さを持った時間は、一瞬の出来事にすぎないwhen the war broke out で表される時間からさらに過去へとはみ出てしまう。
以上のようなことをアスペクトや到達動詞といった用語は用いずに説明するのである。
自分の知る限り一般的な高校生向けの参考書で状態動詞、動作動詞以外のアスペクトについて紹介があることはない。授業で扱う項目について後から復習・確認ができないのは好ましくないので、授業中に積極的に触れることもない。しかしながら、これに関する質問をどれだけ頻繁に受けるか考えてみれば、敢えて触れずに済ますこともどうなのだろうかと感じるのである。