東京新聞より転載
福島第一 処理水タンク周り 雨水放置 「汚染水漏れ分からぬ」
2014年1月29日 朝刊
東京電力福島第一原発で、処理水タンクを囲う堰(せき)に雨水がたまっているのを東電が放置し、漏えいをいち早く検知する堰本来の役割が失われた状態が続いている。乾いているはずの堰内に水があれば、すぐ処理水漏れの恐れありと分かるが、水がたまっていては発見が遅れる。
タンクの処理水は、原子炉を冷やした後の水。放射性セシウムはおおむね除去されているが、高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれている。ストロンチウムは骨にたまりやすく、海を汚染すれば、魚類への汚染が懸念される。タンクは水漏れの心配があるボルト締め型が多いため、タンク群の周囲を堰で囲み、パトロールで簡単に漏れを見つけ、漏れても海や地中にまで汚染が広がらないようにするため設置された。
ところが、東電は堰内にたまった雨水をきちんと排水しておらず、数センチ分も水がたまったままのタンク群もある。たまった水の水位が二センチ以上変化した場合、漏れの恐れがあるとして、タンクや堰に異常がないか確認しているという。
たまった雨水は、汚染されていないかチェックした後に排出する決まりになっており、チェックが遅れたり、汚染雨水の移送先が乏しいなど福島第一の厳しい現実もある。
ただ、タンク群は広く、水位で監視する手法は見逃す可能性が高い。気づかない間に雨水が処理水で汚染され、雨水自体が汚染水になる危険性もある。
なかなか対応しない東電の姿勢に、二十四日の原子力規制委員会の作業部会では専門家から批判が続出。「堰は水をためるものではない。雨の多い時期はどうしようもなくなる」「堰内に雨水がたまらないようにすることも含め、対策を急ぐべきだ」などの声が相次いだ。 (清水祐樹)
福島第一 処理水タンク周り 雨水放置 「汚染水漏れ分からぬ」
2014年1月29日 朝刊
東京電力福島第一原発で、処理水タンクを囲う堰(せき)に雨水がたまっているのを東電が放置し、漏えいをいち早く検知する堰本来の役割が失われた状態が続いている。乾いているはずの堰内に水があれば、すぐ処理水漏れの恐れありと分かるが、水がたまっていては発見が遅れる。
タンクの処理水は、原子炉を冷やした後の水。放射性セシウムはおおむね除去されているが、高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれている。ストロンチウムは骨にたまりやすく、海を汚染すれば、魚類への汚染が懸念される。タンクは水漏れの心配があるボルト締め型が多いため、タンク群の周囲を堰で囲み、パトロールで簡単に漏れを見つけ、漏れても海や地中にまで汚染が広がらないようにするため設置された。
ところが、東電は堰内にたまった雨水をきちんと排水しておらず、数センチ分も水がたまったままのタンク群もある。たまった水の水位が二センチ以上変化した場合、漏れの恐れがあるとして、タンクや堰に異常がないか確認しているという。
たまった雨水は、汚染されていないかチェックした後に排出する決まりになっており、チェックが遅れたり、汚染雨水の移送先が乏しいなど福島第一の厳しい現実もある。
ただ、タンク群は広く、水位で監視する手法は見逃す可能性が高い。気づかない間に雨水が処理水で汚染され、雨水自体が汚染水になる危険性もある。
なかなか対応しない東電の姿勢に、二十四日の原子力規制委員会の作業部会では専門家から批判が続出。「堰は水をためるものではない。雨の多い時期はどうしようもなくなる」「堰内に雨水がたまらないようにすることも含め、対策を急ぐべきだ」などの声が相次いだ。 (清水祐樹)