河北新報より転載
分岐点 女川原発-運転開始30年 経年劣化も壁に 規制委審査どう影響

6月1日に営業運転開始から30年を迎える東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)1号機は、現存する国内の商業用プラント48基のうち17番目に古い。東北電は東日本大震災を踏まえて施設の安全確保に注力するものの、経年対策も課題として浮上しそうだ。
女川1号機は1984年、国内26基目の商業原発として稼働した。同時期には東京電力福島第2の2号機、九州電力川内1号機なども運転を始めている。
女川原発では95年に2号機、2002年に3号機がそれぞれ営業運転に入った。出力は1号機が52万4000キロワット、2、3号基がともに82万5000キロワット。3基の合計は217万4000キロワットで、東北電の供給力の約2割を担ってきた。
震災で3基とも自動停止し、現在は冷温停止が続く。福島のような深刻な事態は免れたが、一部地下施設に海水が流入するなどの被害が発生。1号機はクレーン損傷の影響で、原子炉内部の状況確認が遅れている。
東北電は再稼働目標を「16年4月以降」と定め、昨年から防潮堤のかさ上げに着手。昨年12月には2号機の安全審査を原子力規制委員会に申請した。1、3号機の申請時期は決まっていない。
規制委は原則、原発の運転上限を40年と定めている。30年超の施設について国は劣化評価や保守管理方針の策定を求めており、東北電は1号機の保安規定の変更を規制委に申請、今月21日に認可された。
◎女川原発をめぐる主な動き
1967年10月 宮城県女川町、牡鹿町(現石巻市)が県と東北電力に原発誘致を陳情
68年1月 建設地が女川町に決定
78年10月 東北電と女川町などが安全協定締結
79年12月 1号機着工
81年12月 住民団体が運転差し止め訴訟を仙台地裁に提訴
82年11月 2、3号機の増設表明
83年10月 1号機が初臨界、試運転開始
84年6月 1号機の営業運転開始
86年4月 チェルノブイリ事故を受け、女川町などが安全対策強化を要請
89年8月 2号機着工
95年7月 2号機の営業運転開始
96年9月 3号機着工
2000年12月 最高裁が運転差し止めの上告を棄却
02年1月 3号機の営業運転開始
03年5月 宮城県沖を震源とする地震で3号機が自動停止
05年2月 1号機原子炉格納容器の窒素漏れで停止
8月 8.16宮城地震で全3基自動停止
06年7月 検査不備頻発で国が品質保証体制の総点検を指示
07年3月 98年の1号機緊急停止の隠蔽(いんぺい)発覚。東北電が過去の不正を国に報告
10年1月 3号機のプルサーマル計画を国が認可
11年3月 東日本大震災で全3基が自動停止
13年5月 防潮堤のかさ上げ工事着手
12月 2号機の安全審査を原子力規制委員会に申請