ネタばれご注意.
近頃新幹線でミステリを読む機会が多い.「ミミズク...」で味をしめて,同じ作家(芦原すなお)の長編を賞味した.創元推理文庫.2005年1月刊のこのタイトルを今年初め書店で見かけたときは「火事がいて」というへんな日本語に抵抗があって手に取らなかったのだが,読了して,今ではこのへんな日本語(方言)に愛着している.
おもな登場人物は旧家の家系図にくくられ,童謡(というより,餓鬼のはやしことばといった方が正確)に従って事件が起こる...というと,クリスティか横溝かという感じだが,探偵は妻に死なれ,しょっちゅう気絶ばかりしているだめ男.そのぶん女性がパワフルで,イミコさんの文法もおもしろい.
いまや都会でシティボーイ化した探偵が,故郷のおどろおどろしい部分にたじろいでいたのが,しだいに自分探しに転じるあたり文学的.個人的には全共闘くずれの犯人に共感するが,一般の読者には必然性が感じられるだろうか.作者は全共闘世代よりはお若いようだが,身近にモデルになりそうな人物がいたのだろうか.
近頃新幹線でミステリを読む機会が多い.「ミミズク...」で味をしめて,同じ作家(芦原すなお)の長編を賞味した.創元推理文庫.2005年1月刊のこのタイトルを今年初め書店で見かけたときは「火事がいて」というへんな日本語に抵抗があって手に取らなかったのだが,読了して,今ではこのへんな日本語(方言)に愛着している.
おもな登場人物は旧家の家系図にくくられ,童謡(というより,餓鬼のはやしことばといった方が正確)に従って事件が起こる...というと,クリスティか横溝かという感じだが,探偵は妻に死なれ,しょっちゅう気絶ばかりしているだめ男.そのぶん女性がパワフルで,イミコさんの文法もおもしろい.
いまや都会でシティボーイ化した探偵が,故郷のおどろおどろしい部分にたじろいでいたのが,しだいに自分探しに転じるあたり文学的.個人的には全共闘くずれの犯人に共感するが,一般の読者には必然性が感じられるだろうか.作者は全共闘世代よりはお若いようだが,身近にモデルになりそうな人物がいたのだろうか.