下蒲刈島・白雪楼.入館料は抹茶つき 300 円.
「からくり屋敷」という言い方は失礼に当たるかもしれないが,「ミドリさんとからくり屋敷」という本を読んだ直後だったので.
この温暖な島にあって「白雪」の名にはちょっと違和感だが,
くれナビによれば
*****白雪楼は江戸時代の末、沼隈の豪農山路機谷が、邸内に移築、祖父重好が京都黒谷で営んだ奇好亭を楼造り(二階建)に改め、漢学研鑚の場にしたもので、多くの漢学者がこの建物を訪れています。その後、白雪楼に思い入れの深かった頼家9代俊直が明治25年、竹原に移し、留春居(りゅうしゅんきょ)としたものを、竹原頼本家(春風館)から無償で下蒲刈町に寄贈されました。*****
この右の壁が開閉できる,いわゆるどんでん返しになっていて,写真では来客へのサーピスのために,半開き状態.
縁側からは,門という「額縁」に入った海が見える.
2階への階段の踊り場に小さな押入れ. さらに登りきる左手の壁がやはりどんでん返し.右手は狭い踊り場のようになっていて,行き止まりかと思ったら,嵌め殺しの障子を外せば廊下に通じるのだった.
この2階の天井には漢詩が書いてある.押入れもあるが, 奥行きがなくかくれんぼにしか使えそうもない.
ごちゃごちゃと狭い場所にいろいろ詰め込んだ結果,高台から見れば,屋根・また・屋根!
しかけは多いが,目的不明.普請道楽の典型みたいな建物.
一見クラシカルな「厠」は,開けてみたら洋式で,カレンダーから切り抜いたみたいな,バラの写真が貼ってあった.
ところで冒頭の,「ミドリさんとからくり屋敷」鈴木遥著 集英社 (2011/05) と言う本,こすずめさんのブログに載っていたので図書館で借りたが,あのブログの通り,途中で面倒になり流し読み.内容紹介によれば,
*****屋根から電信柱が突き出た不思議な家。そこに住む97歳の元気なおばあちゃん、ミドリさん。27歳の著者は、謎多きこの家とミドリさんにひかれ、電信柱のお屋敷に通うようになる。そして・・・。「序章を読んで傑作の誕生を予感した」(佐野眞一氏)、「ノンフィクションの新しい分野に挑んだ力作」(茂木健一郎氏)と絶賛された第八回開高健ノンフィクション賞次点作品。*****
この本の屋敷には 隠し廊下があって「逃げ道確保のため」ということになっているが,アパートの住人のタンス預金のタンス代わりに使われたりする.そのためか,本に図面がないのが不満.
建物そのものは白雪楼よりずっと庶民的エネルギーにあふれており,悪く言えば悪趣味.