創元推理文庫 (2017/12).1959 年の作品の何度目かの文庫化.
Amazon の内容紹介*****
戦中の台湾、本島人の邸の庭で起きた日本軍人の決闘騒ぎ。一方は銃殺され、一方は頭部を殴られ意識不明の状態で発見された。単純な事件と思われたが、現場に残された二挺の拳銃はどちらも指紋が拭われていた。現場の庭は三方を壁と扉に囲まれ、残る一方を闇の幕で隔てられた一種の密室であり、謎は次第に混迷の色を深くしてゆく……。推理と恋愛と幻想が混然一体となった、戦後を代表する本格推理の逸品を創元推理文庫に収録する。*****
新保博久の解説で,「二度読み必至」にして「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」に引けを取らないと褒められている.引けを取らないかどうかは疑問だが,小栗・夢野・中井の癖のある文体に比べると,日影の文体はふつうの小説と変わらない.日影は推理小説のニオイのない普通の小説で推理小説を書きたい」と言っていたそうだ.
語り手が途中で入れ替わるのは,今ではよくある手法だが,初出当時は珍しかったかもしれない.ここでは最初の語り手が探偵役かと思ったら被疑者になり,しかもその内容が語り手の創作?であったことが後で明らかになったりする.探偵役はくるくる交代する.その他訳のわからないことが多く,真面目な読者なら確かに二度読み必至だろう.
戦中の台湾が舞台だが,兵隊達は売春したりしてたるんでいる.しかし最後は空襲である.
JUSTE COMME JE SUIS というフランス語のタイトルがついている.「自分にとっての真実」ほどの意味かと思うが,自信がない.本文でも,突然ボードレールの「パリの憂愁」の一節が引用されたりする.
☆☆☆☆
Amazon の内容紹介*****
戦中の台湾、本島人の邸の庭で起きた日本軍人の決闘騒ぎ。一方は銃殺され、一方は頭部を殴られ意識不明の状態で発見された。単純な事件と思われたが、現場に残された二挺の拳銃はどちらも指紋が拭われていた。現場の庭は三方を壁と扉に囲まれ、残る一方を闇の幕で隔てられた一種の密室であり、謎は次第に混迷の色を深くしてゆく……。推理と恋愛と幻想が混然一体となった、戦後を代表する本格推理の逸品を創元推理文庫に収録する。*****
新保博久の解説で,「二度読み必至」にして「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」に引けを取らないと褒められている.引けを取らないかどうかは疑問だが,小栗・夢野・中井の癖のある文体に比べると,日影の文体はふつうの小説と変わらない.日影は推理小説のニオイのない普通の小説で推理小説を書きたい」と言っていたそうだ.
語り手が途中で入れ替わるのは,今ではよくある手法だが,初出当時は珍しかったかもしれない.ここでは最初の語り手が探偵役かと思ったら被疑者になり,しかもその内容が語り手の創作?であったことが後で明らかになったりする.探偵役はくるくる交代する.その他訳のわからないことが多く,真面目な読者なら確かに二度読み必至だろう.
戦中の台湾が舞台だが,兵隊達は売春したりしてたるんでいる.しかし最後は空襲である.
JUSTE COMME JE SUIS というフランス語のタイトルがついている.「自分にとっての真実」ほどの意味かと思うが,自信がない.本文でも,突然ボードレールの「パリの憂愁」の一節が引用されたりする.
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