Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

意匠の天才 小村雪岱

2016-08-31 07:28:22 | お絵かき
原田 治・平田 雅樹・山下 裕二 著,とんぼの本 新潮社 (2016/6).

意匠はデザインのことだと思っている.小村雪岱は大正から昭和初期に活躍したイラストレータ.本の CM によれば「大胆にして繊細.豪奢ながらもさりげない.懐かしき江戸の姿を描きつつ,極めてモダンな意匠家」である.
とんぼの本は1983年創刊のビジュアルブックのシリーズ.ソフトカバーで150ページくらい.

冒頭のグラフ「小村雪岱のまなざし」見返しグラフ「雪岱で読む鏡花世界」は20ページ弱の画集.
第一章 小村雪岱の装幀,第二章 小村雪岱の仕事(資生堂時代,挿絵,舞台美術,肉筆画), 第三章 小村雪岱の素顔 (水上瀧太郎、久保田万太郎、里見弴、鏑木清方、邦枝完二、木村荘八なども登場,雪岱とわたしというエッセイ集)...と続く.

坪内祐三は雪岱のことば「私の描く人物には個性がありません.個性を描出することには興味が持てないのです.写生と写実には興味が持てないのです.」を紹介している.

本の表紙のたくさんの傘の絵は邦枝完二の小説「おせん」の挿画の一枚.実際は下左のように,この倍の幅がある.右は同じ邦枝完二の小説「お伝地獄」の挿画の有名な一枚.お伝と喧嘩した女が川に放り込まれた場面.
もちろん色彩のある作品もかっこいい.ありがたいことに,ググると彼のしごとはたくさんひっかかる.

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卒寿記念 安野光雅のスケッチ旅行

2016-08-30 07:49:28 | お絵かき


百貨店 (福屋八丁堀本店) の催し場.J 子がどこかでチケットをもらってきた.
会場はおばあさんが多く「こっちの (コーナーの) 絵はあっちにくらべると手抜きだねぇ」などと勝手な,しかし もっともなことを大声でおっしゃる方も.

どれも学校の図画の先生みたいな絵だが,事実 安野さんは学校の先生だったそうだ.

安野さんの絵は,絵本やスケッチ集で文章といっしょに見た方がいい.出口の書籍売り場が充実していた.会場でも多くの絵にていねいなキャプションが添えられて,絵本効果を上げていた.しかしゆっくり見るには混みすぎていた.

かって教育テレビで安野さんが風景画を描く番組があったのを思い出して,Youtube で見つけ出したのがこの動画.20年以上前で,安野さんも若々しい.
この展覧会は卒寿記念.
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広島二紀展

2016-08-29 16:15:46 | お絵かき

8/30(火)-9/4(日) 10時-17時,ただし初日は13時から,最終日は16時まで.東広島市立美術館.入場無料.
10月に東京で開催される全国二紀展へ応募する広島地区選抜者36人の作品を事前に展示.
これは J 子の作品.
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東勝吉作品

2016-08-28 09:28:01 | お絵かき

安野光雅「会いたかった画家」山川出版社 (2016/5) の中で東勝吉が紹介されていた.

東さんは木こりだったが,大分県湯布院の特養ホーム温水園(ぬくみえん)に入所した.園長に勧められ,小さいころから好きだった絵を描きはじめ,99歳で亡くなるまで16年に百数十の作品を残した.

NPO法人・由布院アートストックのHPには東勝吉・作品のページがある.借用した3点のうち一番上の「湯布院町乙丸湯布院雪」についての「雪の山はこのように描けばいいのか,と学んだような気がする」など 先の安野さんの本には数点について感想が述べられている.
ぼく個人の感想では,大きな風景画にはやたらと細部にこだわることなどで,山下清の作品と共通するものもあるように思う.
しかしあとの2点「草取り」「イモリガジョウ」は山下との共通点はない.前者はいろっぽく,後者はむしろ熊谷守一みたい.

「...をおもわせる,...みたい」という鑑賞態度は重々くだらないとは思う.そもそもネットで見ただけで,実物を見ないであれこれいうべきではない.でも,東さんがたくさん引き出しを持っていたのは確かだ.

由布院アートストック主催「東勝吉賞水彩画公募展」の出品資格は83歳以上で,東さんが83歳で初めて絵筆を握り水彩画を描き始めたからだそうだ.
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すいか

2016-08-27 08:48:59 | お絵かき


明け方寝ていてすこし寒かった.スイカの季節も終わりが近い?
CD ケースに内側からアクリル絵具.

このぺーじに北斎のスイカ図が貼ってある.布巾越しに透けて見えるスイカの表情に注目.
スイカの皮は千切りにしてきんぴらで食べたらどうだろう.
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山女日記

2016-08-26 11:23:13 | 読書
湊 かなえ,幻冬舎文庫(2016/8).単行本は2014/7.文庫には「カラフェスにいこう」も収録.

「嘘みたい」といわれるが,学生時代にワンダーフォーゲル (いわゆるワンゲル) というサークルに属していた.無銭旅行クラブのつもりで入ったら,意外に体育会系の山岳縦走藪漕ぎ部で,やばいと思いながら卒業まで在籍してしまった.
というわけで,この手の小説には手が出てしまう.取り上げられるのは,妙高山.火打山,槍ヶ岳,利尻岳,白馬岳,金時山,トンガリロ(ニュージーランド)だが,トンガリロ以外全部行っている...と思ったら,槍ヶ岳にはなぜか行っていないのだった.

ここで読む限りでは山行には携帯トイレ持参,自分の糞は持ち帰りが原則らしい.おかしな時代になった.

連作短編集.主人公は毎回変わるが,別の回に脇役で登場したりする.
直前に読んだ「ささやかな手記」の印象が強かったため,こちらは日常的な人間関係をうじうじ・くだくだと書いているだけという印象をうけた.
これなら山を舞台にする必要はない.ただし一番長いトンガリロは観光小説的で,海外であることが生きている.

ヒロインが脇役を理解するところで終わるというパターン.著者のデビュー作「告白」は悪意に満ちていたが,この「山女日記」ではヒロインは山に登って吹っ切れてしまい,どれもまぁまぁのハッピーエンドである.

Amazon の内容紹介を引用すると*****
このまま結婚していいのだろうかーーその答えを出すため、「妙高山」で初めての登山をする百貨店勤めの律子。一緒に登る同僚の由美は仲人である部長と不倫中だ。由美の言動が何もかも気に入らない律子は、つい彼女に厳しく当たってしまう。/医者の妻である姉から「利尻山」に誘われた希美。翻訳家の仕事がうまくいかず、親の脛をかじる希美は、雨の登山中、ずっと姉から見下されているという思いが拭えない。/「トンガリロ」トレッキングツアーに参加した帽子デザイナーの柚月。前にきたときは、吉田くんとの自由旅行だった。彼と結婚するつもりだったのに、どうして、今、私は一人なんだろうか……。
真面目に、正直に、懸命に生きてきた。私の人生はこんなはずではなかったのに……。誰にも言えない「思い」を抱え、一歩一歩、山を登る女たちは、やがて自分なりの小さな光を見いだしていく。女性の心理を丁寧に描き込み、共感と感動を呼ぶ連作長篇。*****
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放射線のがん治療

2016-08-25 11:54:26 | エトセト等

再発したがんは結局放射線で治療することにした.
大学教員時代は「ビーム物理研究室」で,早く言えば加速器の研究をしていた.加速器の二大用途は,高エネルギー物理とがん治療で,後者の名目で毎年研究費をいただいた.10-20 年前に研究会などで聞いた IMRT (強度変調放射線治療) が今 実用化されていることを知って,好奇心を刺激された結果である.昔の仕事上のしがらみはないし,せっぱつまっているわけではない,

やらなくてもいいこと?という迷いがないわけではない.
患部は摘出してしまったので,がんがどこにいるかわからない.でも摘出時点で転移していたとすれば,今回のように PSA が (摘出後) 急減することはないのだそうだ.摘出した部位の周辺という仮定での治療となり,完治確率は 70% と聞かされた.
「被爆」の副作用は直腸と膀胱の損傷で,たいしたことはないとは言え,これに耐えるには,体力的に少しでも若いうちが良さそう.

通院先は昨年秋発足した広島がん高精度放射線治療センター (HIPRAC) で,3台のリニアックがある.このうち動画の三菱製が使われるが,KEK 勤務時代そこで開発していた C バンドリニアックが母体らしい.
IMRT という原理も,C バンドのハードウェアも,身近なものになるまで 20 年くらいかかっている.

前立腺がんなどという下賤な病をおおっぴらにできるのは天皇陛下のおかげである.
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こんなところに日本人 古徳景子さん

2016-08-24 07:32:13 | エトセト等


***** 古徳景子はご存知の通り、メキシコ・チアパスを拠点に活動しています。
この度、テレビ朝日「こんなところに日本人」の番組から、取材を受けました。
http://www.asahi.co.jp/konnatokoroni/
放送日は 8月23日(火)午後20:53~21:48 です。
どのような内容になるか心配ですが、ご覧頂ければ幸甚で御座います。*****

...というメールをいただいた.

古徳さんは J 子の友人のいとこのお嬢さん (多少違うかもしれない) で,マリンバの本場メキシコで活躍されているマリンビストコンサートにも何回かお招きいただいた.

「世界の村で発見! こんなところに日本人」は,世界各地の小さな村や町に住む日本人を芸能人がリポーターとして訪ね,その生活やその地に住むようになった経緯,それまでの半生などを紹介するドキュメントバラエティー.

リポーター (この回は佐藤仁美) は現地での移動の手配などすべて自分でこなしながら日本人を探すという設定.未開の地で艱難辛苦に耐え「なんでこんなところに日本人が住んでいるの...」とぽやきながら該当者に巡りあうまでの過程も番組の売り.しかし古徳さんが准教授を務めるメキシコ・チャパス州立科学&芸術大学は,チアパス州の州都トゥクストラ・グティエレスという都会に存在する.「こんなところ」という印象は薄いはずだったが,幸か不幸か教員のストで道路が封鎖されたりして,佐藤さんにぼやきの種を提供した.

あちらで同じ大学の同僚と職場結婚し,お子さんが3人なんてちっとも知らなかった,写真中央は佐藤さん.お子さんの教育,職場での待遇,音楽,生活,治安など問題は多そうだが,古徳さんにとって「こんなところ」は字幕のように総括されるようだ.番組はハッピーな雰囲気で終わった.
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ささやかな手記

2016-08-23 09:09:00 | 読書
サンドリーヌ コレット, 加藤 かおり 訳,ハヤカワ・ミステリ(2016/6).

ささやかにしてさわやかな装丁 (例によって水戸部功) につられて,図書館で借用.しかし,読中感 (さいしょの 50 ページを覗く) も読後感も最低.にもかかわらず最後まで読んでしまった.

Amazon の引用*****内容(「BOOK」データベースより)
目覚めると、鎖をつけられ、地下室で監禁されていた - ある事情から、人目を避けて南フランスの田舎の民宿に滞在していたテオは、周囲の山中を散策していたところ、廃屋めいた家に暮らす老兄弟によって囚われの身となってしまう。地下室の先住者リュックは、彼にこう告げる…「地獄にようこそ」。あらゆる農作業と重労働、家事に酷使され、食べ物もろくに与えられず、テオは心身ともに衰弱していく。ある日、老兄弟の隙をついて脱出を試みるが。フランス推理小説大賞、813賞の二冠に輝いた傑作サスペンス!*****

記述はリアルでおぞましく残虐にして暴力的.SM っぽいところもなきにしもあらず.すこし文学的.すこしホラー的.「訳者あとがき」にあるように,プロローグを読めば結末は明らか.ミステリではない.
著者はこの作品のテーマを「監禁,人間性の喪失,孤独.そしてそのなかにあっても残る詩情のかけら」と言っているそうだ.

主人公が刑務所を出所した直後という設定に必然性があるような,ないような.

こわいもの(よ)みたさ...の覚悟で読めば,また感想が違ったかもしれないが,再読はごめんだ.
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(元) 癌患者への偏見 ?

2016-08-22 09:22:44 | エトセト等


担癌者であることをカミンアウトして感じたことは,世間の人の態度が微妙に変わることである.気軽に誘ってくれなくなるし「案外元気だね」と言われたりする.

都知事選の鳥越氏はダメ落選だったが,立候補したときからダメだと思った.女性問題にクリーンで,政策がしっかりしていてもダメだったと思う.
おおげさにいえば癌年齢以下の有権者は(元) 癌患者を異星人のような目つきで見る.
癌年齢以上の有権者に限ればそんなことはない.しかしこの候補者には投票しない.癌の経験者ならなおさらである.いつ再発・転移がわかってもおかしくないと思うのだ.

そもそも後期高齢者に4年という任期は長すぎる.彼の立候補にくらべると天皇の退位宣言はずっと妥当である.

立候補に際し,鳥越氏とその支援者にはこの「空気」読めなかったのだろうか,
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