Part of the Newport Jazz Festival tour in 1970, the MJQ performed in Oslo on October 21.
画面をみてあれあれと思った.ビブラフォンにペダルはあるが共鳴管がない.ビブラートがなく,電子ピアノのような音色で,かなりの違和感.
ビブラフォンは 1920 年代に登場した楽器で,共鳴管上部を電動ファンで開閉してビブラートを音にかける.楽器には音自体を電気増幅する機能はない.電気化については,プロヴァイブ奏者赤松敏弘さんのエレクトリック・ヴィブラフォン小史 1-3 という懇切丁寧なページがある.近年はビブラフォンタイプの midi コントローラが市販されている.
音板の幅が高音・低音で同じ (ユニバー) で,長さも普通のヴァイブより均一に近いようにみえるが,ここでジャクソン氏が弾いている電気ヴァイブがどんなものかは分からない.上記の赤松さんのページの Electra (Deagan製) の写真と似ているが,全く同じではないようだ.
ちなみに普通の (アコースティックな) ビブラフォンから共鳴管を取り去ってしまうと,あわれな音になる.アパートで共鳴管を取って練習すれば苦情が出ないと聞いたことがある.だから,ビブラフォンは打楽器ではなく管楽器と言いたいくらいだ.ただし共鳴管を取ると音の減衰時間は延びる.
このころの MJQ のアルバムは Plastic Dreams で,グループとして 8 ビートなどを模索していた時代.当時としては電気ヴァイブも有りだったのかもしれない.
知っている範囲では現在,電気 (電子?) ヴァイブをよく弾いているのは Bill Ware だ.
初めて MJQ のコンサートに行ったのはこの時代だったが,この画面で見る 4 人はすごく若い.
動画はジャズ・フェスの MJQ 出演部分を全部納めているようだ.電気ヴァイブを否定するつもりはない.しかし後年のPAなしのライブを見ているので,高いチケットでこの音色は,いただけないと思う.
私たちの新著
小方・高田・中川・山本 著
「視て聴くドレミ - フーリエ音楽学への招待」大阪大学出版会(2013/03).
をよろしくお願いします.
2021/2/23 編集.