Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

バップバンドMJQ - Confirmation

2010-05-30 08:25:38 | ジャズ
Dailymotion にこの動画を発見.
http://www.dailymotion.com/video/xd4uae_modern-jazz-quartet-confirmation_music


ここはフランスの Youtube に相当するサイト.動画をこのブログに貼ろうとしたが果たせなかった.

MJQ (Modern Jazz Quartet) の再結成直後のもので,珍しくパーシー・ヒースのベースソロがある.すごい青筋!
ベースを弾くのも肉体労働という感じだが,ミルト・ジャクソンのヴァイブもバップ時代からの音量第一のひっぱたき方だ.

この数年後の来日では,MJQはすっかりアコースティック化して,大ホールのコンサートでもPAなしだった.
ベースは録音の音とは違って,大きいけれど優しくて粘りがあった.でもヴァイブはおもちゃみたいにちゃちな音だなというのが,ぼくが客席で聴いた印象.それからはCDを聴いてもベースばかり意識するようになってしまった.

最後にMCで次は Round Midnight と言っている.下のYouTubeは,同時期の別なコンサートからのその曲.
これも Confirmation 同様,かってのガレスピーのバンドのパターンに従っているようだ.こちらはジョン・ルイスのヘタウマピアノが良い.最後にベースの弓を袋から取り出すが,この袋はパーシー・ヒースの発明なんだそうだ.
ふたつの動画ではメンバーは60歳代で,まだまだ馬力がある.アレンジのややこしい曲をやるときと比べ,ずっと楽しそう.



コニー・ケイのいわゆるミニマルドラミングは,ぼくにはよくわからない.でも彼が大きな音を出さないので,vib, b がよく聞こえたのは確か.
今ではカルテットみんなあの世だが,最初に具合が悪くなったのはこのコニー・ケイだった,コンサートの契約を消化するため ? に,ミッキー・ローカ,最後はアルバート・ヒースがトラを務めた.最後のアルバートはパーシー・ヒースの弟だが,他のメンバーより一回り若く,バンド全体の雰囲気が明るくなっていた.
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石持浅海「温かな手」

2010-05-28 09:06:18 | 読書
創元推理文庫 (2010/05).

2007年の単行本の文庫化.実はこれは単行本のカバー.文庫カバーもおなじ岩清水さやかによるものだが,この単行本のもののほうが良いと思う.

探偵が兄妹で,それぞれの異性の同居人がワトソン役.なんで探偵が二人もいるの? という疑問の答えが最後の短編.「温かな手」は本のタイトルだが,短編のタイトルでもあって,これが効いている.
小味な短編集だが,連作としてのオチも用意されている.

この探偵兄妹はヒトのエネルギーを吸い取ることで生命を維持する.昔流に言えば吸血鬼だが,メタボの時代,この未知の生命体のおかげで同居人はスリムな体型を維持できるという設定.探偵は人間的に悩んだりしない.ワトソン役は興奮してもすぐ醒めるしかけ.石持の長編のように,いらいらさせられる暇もなく,事件はあっさりと解決する.

暇つぶしミステリはこうでなくちゃ.
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音のイリュージョン

2010-05-26 09:26:06 | 新音律
柏野 牧夫「音のイリュージョン - 知覚を生み出す脳の戦略」 岩波科学ライブラリー (2010/04)

この本に出てくる「錯聴」は,ウエブサイト「イリュージョンフォーラム」で体験できる.ただしこのサイトに行くと,どうしても「錯視」に最初に誘導され,そこに引っかかると錯聴までたどり着けない心配がある.

著者は大学院で心理学を専攻.現在はNTT コミュニケーション科学基礎研究所にお勤め.

「存在しない音が聞こえる」では,音声を0.1-0.2秒間隔でぶつぶつに消去し,消したところを雑音で埋めると,われわれには音声が繋がったものとして聴こえるという事実を採り上げる.この第1章から,イリュージョン・イコール・知覚を生み出す脳の戦略とする著者の主張が明らかだ.
続く第2章「声は壊れにくい」と題する第3章「同じ音が違って聞こえる」あたりまでは,聴覚はヒトの言葉を理解するためであり,そのためにもイリュージョンが必要と思わせる.

第6章「高い音が低く聞こえる」は,イリュージョンとしては最も面白い.この本ではあまり強調されていないが,第4章「空間が伸び縮みする」とともに,オーディオ技術に寄与しているのだろう.
考えてみれば,蓄音機発明こそ音のイリュージョンの始まりだ.

なお,こうした研究のご利益は「エピローグ」に箇条書きにまとめられている.

最後の「音を見る,光を聞く」で聴覚と視覚が比較されている.
視覚と聴覚とどちらが優位性を持つかという問題に関連して,ここには書かれていないが,前から気になっているのは,見たくなければ見なくてもよいけれど,聞きたくないものでも耳に入って来ることなんだけれど...

120ページ弱と,薄くてすぐ読めた.
このシリーズは,ふつう帯としてかける部分がはじめからカバーに印刷されている省コストデザイン.岩波書店もなかなかやるではないか.
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スイングジャーナル休刊

2010-05-24 08:54:04 | ジャズ
休刊というが,はっきり言えば廃刊だろう.

むかしむかし,マイルスの電化,コルトレーンの死に至る暴走?,ビル・エバンスやウェス・モンゴメリーの登場と退場など,この雑誌がリアルタイムで教えてくれた.
でも,まずはベニー・グッドマン,テディ・ウィルソンの世代,続いてモンク,ガレスピー...と,次々に訃報が載るようになった.気がつけば自分が持っている LP,CD は懐メロと化していた.

「この雑誌は広告ばかり・重いばかり」というジョージ川口氏 (この方も故人) の憎まれ口に共感し,本屋で立ち読みするだけになった.
相変わらずジャズジャイアンツ特集のローテーション.でもいつの間にか重かった号が,広告減収とかでやせ細ったら,ご臨終である.疎遠にしていた方だけれど...という感慨.

スイングジャーナルは聴くための雑誌,後発のジャズライフは演るための雑誌という棲み分けがあった.
ジャズに新しいことが無くなった以上,聴く雑誌には書くこと・読むことが無くなったのだろう.

ジャズライフのほうも,いつ見ても同じような記事ばかりだ.
しかしジャズを演るほうは新陳代謝がある,「始める→飽きる」の周期が短い.ジャズ研で卒業するまで続ける学生は少ないが (その後も続けるヒトはもっと少ないが) 毎年そこそこの新人が入って来る.
CD は売れないが,高い楽器は売れるから,楽器の記事・広告という活路がある.
こんなことを言うと怒られそうだが,ジャズも方法論が確立された現在,クラシックピアノ同様お稽古ごととしての市民権を得つつある.
JL は (いちど休刊したが),うまくやればまだまだ潰れないだろう.

さて,わが家に立った一冊残っている 20 年近く前のこの号の SJ には,J 子とロン・カーター氏とのツーショットが載っているのだ. J 子は嬉しそうだが,カーター氏は憮然とした表情.
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90 歳のミステリ

2010-05-23 08:40:32 | 読書
土屋 隆夫「人形が死んだ夜」光文社文庫 (2010/05)

ちゃんとしたミステリが読みたくなったので,2007年の単行本が文庫化されたのを機会に購読.
しかし,本格派の規格に合ってはいない.
ひき逃げ事件・毒殺事件のふたつが起こるが,はじめのひき逃げ事件の方は,この本の記述だけからは,その全容...背景・共犯関係等が全くわからない.
ふたつの事件の間に著者が登場し,そこでカラーががらりと変わってしまう.

著者は,交通事故は加害者に甘く,被害者 (の関係者) は官憲とは関係なく加害者に報復して然るべきと考えているようだ.そう思って読むと社会派ミステリ的.

昭和らしいゆっくりしたペースで書かれている.今 この内容なら中編が常識だろう.

90歳の作品だそうだ.
巻末の縄田一男との対談で,著者は「死についてばかり考えている」と言っている.この小説には独特の寂寥感が漂っている.最後は事件から16年後,進行性筋萎縮症になった犯人が,左手,最後は鉛筆を口にくわえて書いた殺人を自白?した手紙で終わる.しかし手紙の宛先の警部はアルツハイマー症.

純文学の大家が老齢で書いたものはたいてい脳軟化症的だが,このミステリは筋が通った小説.
著者は,漢字が出てこないとおっしゃる.一枚書くのに辞書を3-4回は引くのだそうだ.
自分はまだ90まで20年以上あるが,論文を書くのにずいぶん時間がかかっている.ミステリも科学の論文も首尾一貫していないと行けないのだが,チェレンコフをCerenkov と書いて,次のページでは Cherenkov と書いたりする.本文と図で用いた記号が一致しない.こうしたところをいじっているうちに,章の順序を入れ替えたくなったりする.
完成しないのを楽しんでいるようでもある.
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ボビー・マクファリン@ワールド・サイエンス・フェスティバル2009

2010-05-21 08:27:38 | 新音律
World Science Festival 2009: Bobby McFerrin Demonstrates the Power of the Pentatonic Scale



五度円で連続する5音がペンタトニックスケールを作る.ドレミソラという民謡・童謡などの素朴な音階.
ピタゴラスの計算法,中国の三分損益法で現れる数学的にも単純な音階.

この動画は,ペンタトニックスケールが自然発生的と言っている.
ド・レとくれば 次はミ...,のところはうまくいった!
ソ・ラはマクファリン氏の誘導によるところも大きいかも.

「学術的会合」もこういうのなら楽しいな.
うしろに並んでいるお歴々?の反応も面白い.
ボビーの歌う声としゃべる声が違うのも発見..さもありなんという気もするが.
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天空の城

2010-05-19 08:43:55 | エトセト等
特任している大学の研究室の旅行に竹田城がプログラムされていた.
駐車場から10分ほど急坂をあえいで登ると,石垣の上に出て展望が開ける.
さらにはしごを上った天守跡からはまさに360度,三方に100メートル以上壮大に階段状の石垣が伸びている.

兵庫県朝来市和田山町竹田.

日本のマチュピチュ?
ラピュタ?

自分で撮った写真はでは全然感激が伝わらないので,この写真はウェブから転載させていただいたが,ちょっと出来過ぎかな.
城跡から遥か下に見る竹田の町並みには,ほとんどビルがなく,同じような大きさの黒い屋根が肩を寄せ合っているのだった.
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鹿男あをによし

2010-05-17 08:40:42 | 読書
万城目学 幻冬舎文庫 (2010/04)

新米教師の主人公が女子高生にいじめられるという「ぼっちゃん」を下敷きにした部分で放り出したくなった.「おれ」が神経衰弱気味で いじいじしているので,こちらもいじけた気分になる.
でもそこを乗り越えたら,新幹線で一気読み.
面白かった・読後感サイコー...などとありがたがると,おまえは高校生レベルと言われそう.

ただし いまではほとんどのカメラがデジタルという時代に,デジタルで撮ると正体が写るという設定はどうかな.

「鴨川ホルモー」よりずっと良い,と,言っては見たものの,じつは「鴨川」についてはほとんど覚えていない.「鹿男」を忘れるのもあきらかに時間の問題.

解説 (児玉清) が以上に長くて力んでいて,これさえ読めば本文は読まなくてもいいくらい....と思ったら,児玉さんはテレビで,この小説に敵役として登場するリチャードを演じていたのだった.
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へたも絵のうち?

2010-05-15 08:59:16 | お絵かき
蘭島閣美術館で買った絵はがき.本物もここにある.

これを描いた熊谷守一には「へたも絵のうち」という自伝 (...というより,聞き書き) がある.へた・イズ・ベスト.良寛の書ですら守一によれば「あまりきれいで上手すぎて,私には気に入りません」となる.

でも,どこかの誰かの説では,熊谷はものすごく絵がうまくて,自分でもそれがいやで絵が描けなかったのだという.

このヌードもふつうの油彩画のように,こてこて塗っているうちに出来上がったものではない.線のカーブ・太さ・切れ目など必然的.雰囲気もあるし,上手すぎないか.
色は...実物を見ないとわからない.
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ピアノの前の少女 南薫造

2010-05-13 08:22:30 | お絵かき
特別展「南薫造の世界―瀬戸内を見つめて」呉市蘭島閣美術館.
広島に来て初めてこの画家の名前を意識するようになった.文展の審査員・帝国美術院の会員・東京美術学校の教授を歴任したが,晩年は郷里の安浦町で瀬戸内海を描き続けた.戦争中は軍事機密とかで写生も出来なかったという.

ふつうに真っ当で,安心して見られる絵だった.話しても怖くないひとだったという.

ルノアールのピアノの前の二人の少女に比べて,こちらは生真面目な雰囲気.自分の娘を描いたものとのこと.
背中だけというのが良い!
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