Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

希望の鶴

2015-02-28 07:54:59 | エトセト等


NHKニュース おはよう日本 2015年2月23日(月)
折り鶴に込められた思い

折鶴や千羽鶴に意味を付けることは,個人的には好きではない.
しかし,変わった折り紙を見ると,自分で再現してみたくなるのは,また別な話である.

これは古典的な折り方で,孔雀鶴,祝い鶴,飾り鶴などと呼ばれてきたらしい.
紙を前に,折りながらYoutube の 動画 http://youtu.be/MgSIhAo8PMw を端折ったり一時停止したりしながら再生した.http://www4.tokai.or.jp/yukikimonosaron/otanosimi/turu.html
にも折り方があるが,分かりやすくはなかった.

写真の拙作は適当な紙で折ったが,広げた羽根の英文が気に入っている.
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武谷三男「物理学入門」

2015-02-26 17:05:56 | 科学
高校時代,武藤徹先生***のご指導のもと,放課後にこの本の輪講みたいなことをやった.岩波新書の存在を知ったのもこのころだった.書店で,ちくま学芸文庫 (2014/5 第1刷) に入ったのを見て買ってしまった.しかし 200 ページ足らずで 950 円は高い!

岩波新書では上下2巻となる筈だったが,ついに下巻 (現代物理学) は刊行されなかった.解説によれば,岩波本は 1952 初版,絶版となった後 1977 に季節社から再度刊行されたとのこと.

この文庫本には「力と運動」というサブタイトルがついているが,帯にある「力学の歴史に学ぶ科学的思考法」の惹句がよく内容を表している.いわゆる物理学入門を期待すると外れる.
第1章にはエンゲルス,カント,マッハなどが登場し,高校時代にはさっぱりわからなかった.今読んでも,上條隆志さんの解説を読んで,ふーんと思う程度.
動力学のうちで,天動説から地動説に至る歴史を執拗に記述した部分はなんとなく覚えていた.読み返して圧巻だった.

大学卒業後,物理の周辺をうろうろし,物理の教師として定年を迎えたのだが,その間この本を思い出したことはなかった.それで済んだというべきか,だから駄目だったというべきか.
半世紀を経て,武谷弁証法は古典になってしまったのだろうか.

物理は歴史に学んで発展したと言えるが,人間は歴史に学ぶことがない.いまだに戦争が絶えない. 
科学だけが突出して進歩してしまい,そこから生まれた原子力が人間に害をなしている (武谷の原子力に対する発言も今となっては頷けない部分もある).地球温暖化も然り.科学の歴史なんて人間の歴史のほんの一部に過ぎない.結局視野を広げれば,人間は歴史を未来に活かすことはできない,ということだろうか.


***
ネットを漁ったら半世紀以上?前の高校新聞の記事を発見した.
http://toyamaob.org/retuden/retuden007.html
武藤先生はご健在で,先日『きらめく知性・精神の自由』というご著書の出版記念シンポジウムが開かれたとのことである.
http://wind.ap.teacup.com/people/9364.html
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冥土めぐり + 九年前の祈り

2015-02-24 08:14:10 | 読書
鹿島田 真希,河出文庫 (2015/1).

2012 年の芥川賞受賞作だが,帯に「早くも文庫化」とあったのでふらふらと購入.

アマゾンの内容紹介*****
裕福だった過去に執着する母。奈津子は幼い頃から母の欲望に振り回され……車椅子の夫と辿る失われた過去への旅を描く芥川賞受賞作。*****

こちらはハッピーエンドには程遠いのだが,トルストイの「イワンのばか」を連想した.車椅子の夫がイワンである.ただしこの夫は存在感があるだけで何もしない.

2099 年作の「99 の接吻」も収録.谷中・根津・千駄木あたりが舞台になっていて,実在する店の名も出てくる.こちらは現世めぐり? 女性ばかりの家庭をのぞく楽しみが感じられる.

解説 鳥飼茜.漫画家とのことだが,芥川賞については一言も言及していないところが,素晴らしい.


今月号の文春で、第 152 回芥川賞受賞作「九年前の祈り」.舞台の大分県の「浦」は,瀬戸内のそこらへんと思っても違和感がない.
違う! と言われそうだが,「冥土めぐり」と同じようなムードを感じた.夫が息子に置き換わったみたいだ.
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コパチンスカヤのベートーベン

2015-02-22 08:36:54 | ジャズ


2014 年 10 月の演奏を Youtube で発見.Frankfurt Radio Symphony Orchestra,Philippe Herreweghe, conductor .第1・3楽章のカデンツァだけ.
初めて彼女のこの曲の 2009 年の演奏を聞いたときはびっくりした.映像でも,不敵な表情とか,猫みたいに背中を丸めるかと思うと伸び上がる姿勢の変化とか,やっぱり,と思わせる.
オーディオだけなら楽章ごとにはなるが,全曲 Youtube にある.

ティンパニ等の他の楽器との掛け合いはジャズみたい.このカデンツァは彼女の作と言うが,才能は演奏面だけではないということだろう.それにしても,ジャズやポップスだと,同じことばかりやっていると飽きられるという不安があるが,クラシックだとそれはないのだろうか.

ジャズのピアニストがクラシックの協奏曲を弾くというのは,キース・ジャレット,山下洋輔,小曽根真...と,よくあることになったが,ジャズのバイオリニストも挑戦されてはいかがだろう.そのときはぜひカデンツァをアドリブでお願いしたいものだ.
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無調音楽の構造

2015-02-20 08:23:18 | 新音律
アレン・フォー, 森 あかね 訳「無調音楽の構造: ピッチクラス・セットの基本的な概念とその考察」音楽之友社(2011/12).

アマゾンでの紹介
*****音高を整数に割り当て、音楽への集合論の適用を容易にすることにより、無調音楽における新たな音高の組み合わせを、従来の和音という概念ではなく、セット(集合)として認識し分析することを可能にしたピッチクラス・セット理論。それは本書によって確立された!本書出版ののち、無調音楽に関する論文のほとんどが、この理論を用いて書かれている。日本語版には、分析に必須の「スーパーセット/サブセット表」全58ページを追加。*****

タイトルに惹かれ大学図書館から借用したがあえなく敗退.野次馬には歯が立たない.自分で無調音楽をやってみようと言う意欲があれば話は別かもしれない.

350 ページのうち,30 ページ程を読んだだけでの無責任な感想.

数学の本と思った方が良い.

ジャズの理論と似ている.
16 トンはウクレレとギターからコード理論に導かれたが,C とか C# とか言うより,さらに 11 とか 13 とか -5 とかをごてごてと付け加えたりするより,この本のように番号で言った方がよほど合理的で入りやすいかもしれない.

高校生のとき元素記号を憶えさせられて閉口したのを思い出した.水素が H で酸素が O なんて何の合理性もない.原子番号さえあればいいじゃないかと思ったものだ.
しかし,慣れて来るとなんとなく H2SO4 の H という文字からイメージが湧いたりする.これと同じで C7 という文字列もなんらかのイメージ,なんらかの情緒を伴うようだ.人間にとって記号というものは,合理性一辺倒では決められないものかもしれない.



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夜の床屋

2015-02-19 08:28:30 | 読書
沢村 浩輔,創元推理文庫 (2014/6).

朝日新聞に「売れている」と紹介されていたので電子版を購入.この電子版にはちゃんと解説も収録されていた.

*****「BOOK」データベースより
慣れない山道に迷い、無人駅での一泊を余儀なくされた大学生の佐倉と高瀬。だが深夜、高瀬は駅前の理髪店に明かりがともっていることに気がつく。好奇心に駆られた高瀬が、佐倉の制止も聞かず店の扉を開けると…。第4回ミステリーズ!新人賞受賞作の「夜の床屋」をはじめ、奇妙な事件に予想外の結末が待ち受ける全7編を収録。新鋭による不可思議でチャーミングな連作短篇集。*****

ミステリーと思って読んでいくと,最後は伝奇小説 (ファンタジーとか SF とかとは違うように思う) となる仕掛け.初めから構想されていたわけではなく,前に発表されたものを,新作で無理やりつなぎ合わせた感じがする.面白かったけど...

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玩具店の英雄: 座間味くんの推理

2015-02-17 08:40:40 | 読書
石持浅海 光文社文庫 (2015/2)

安楽椅子探偵もののパターンを踏襲した短編集.登場人物は座間味くん,科学警察研究所のエリート嬢とその大先輩の警視正.3人は新宿紀伊国屋書店 ? で待ち合わせ,ビールで美味しいものを食べるために繰り出す.お約束通り,どの短編でもこの3人の関係が紹介される.座間味くんは同じ作者の長編「月の扉」に登場したとのこと.この長編を読んだ覚えはあるが,ストーリーは全然覚えていない.

最後の一篇以外では,過去の事件がまず三人称で紹介される.その後文体はエリート嬢の一人称になる.座間味くんは飲みながら食べながら,彼女による事件の説明を聞いて,アサッテの方向に推理を展開する.その内容はほとんどの場合,偶然に見えても実は計画犯罪であったと言うものだ.
文体はいたって真面目だが,中身は楽しいバカミスと言いたい.殺人はいとも気軽に行われる.座間味くんの推理により警察が事件を再検討することは少ない.

設定では登場人物3人の飲み食いは季節に1回程度の設定で,雑誌に発表されたペースもそのくらい.それを単行本で一気読みすると,全部同じような話に思えてくるのがつらい.
図書館が借りたのでは,季節に1篇という贅沢は困難だ.
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hermode tuning : 動的に適応する純正律

2015-02-15 08:45:49 | 新音律


「音律と音階の科学」の読者の方から,「弦楽合奏やアカペラでは3度や5度は臨機応変にゼロビートに奏 (唱) 者が調整している.同じことが電子楽器で出来ないのか?」という趣旨のご質問をメールでいただいた.Apple Logic Pro で出来ると以前聞いたことがあったので,ネットを漁った結果
www.hermode.com
にたどり着いた.

この調律では,3度・5度が出てきたらその都度 周波数比を最適化する.短7度を 7/4=1.75 (平均律では 1.781...) とすることもできる.ベースになる音律は,冒頭の動画ではキルンベルガーだが,もちろん平均律でもよい.
キーボードを弾いてから音が出たことを認識するまでに必要な計算をすることは可能であろうが,問題はどのように音高を決めるかだ.基本的には和音の重心がもともとの調律と一致するように構成音を上下させる.CEG という和音では,C には +4 セント,E には -10 セント,G には +6 セントの調整を加える.ただし履歴すなわちコード進行に応じて,平均値を上下させることもある.
弦楽合奏やアカペラで人間がやっていることを真似ているのだろうか?

発案者はドイツ人.冒頭の Youtube 動画もドイツ語だ.Apple Logic Pro だけでなく,Steinberg Cubase, Cakewalk z3ta+ などに製品化されている.上記ホームページには製品情報や理論とともに,演奏例も多数収録されている.

スタインウェイ音色の hermode も面白いが,やはりオルガンのように音が伸びる楽器の方が違いがわかる (ヒトの耳はオルガンには敏感なので,バロックオルガン用には特別なモードが設けられている).ビブラフォンも良さそう.ジャズにとっては 7/4 の短7度が魅力 ! 4 本マレットの電子ヴァイブでピアノレスのコンボ... 10 年前なら挑戦したかもしれない.
自分の周囲にはこれを使用しておられる方は見当たらない.どなたか体験をお聞かせいただけないだろうか.
電子楽器というだけで,クラシックの方からはそっぽを向かれるのかもしれない.

Hermode ならではという,魅力ある演奏が知れわたれば,普及するだろう.
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夜の画家たち - 蝋燭の光とテネブリスム -

2015-02-13 08:55:40 | お絵かき
ふくやま美術館.

おたく的な絵が多かった.
トップは2点あった高島野十郎の「蝋燭」のひとつ.「月」という作品には「月は闇を覗くために開けた穴です」という画家の言葉.

目玉はジョルジュ・ド・ラ・トゥール「煙草を吸う男」らしい.
タイトルについて,解説には「闇の中から、一条の光によって劇的に事物がうかび上がる彼らの表現は「テネブリスム(暗闇主義)」とも呼ばれ、17世紀のバロック美術の時代にヨーロッパで大流行したのです。」という文章があった.日本でのはじまりは山本芳翠.



甲斐庄楠音「踊る女」.
ぼっけえ,きょうてえ のホラーを連想させる 彼の絵を土田麦僊は「きたない絵」,岸田劉生は「デロリとした絵」と評したそうだ.



熊谷守一「蝋燭」.
画集では有名な絵だが初めて見た.作者が「苦労して着物の柄を描いたのに何も見えなくなっている」と述懐しているのを読んだ覚えがあるが,確かに黒いばかりでよくわからない.20 歳台の自画像というが,お爺さんに見える.
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新年会之圖 / 二紀展より

2015-02-11 08:19:01 | お絵かき


宴会でしばらく経つと,テーブルの上は紙コップ,ビール缶,ペットボトル等が乱立する.

二紀展に刺激されて,ごちゃごちゃした絵が描きたくなった.
CD ケースに内側からアクリル.左上が淋しいのでトランペットを描いたら,場所が無くなったので,サインは真ん中.ベースはうまく描けたがベーシストの下半身がなく幽霊みたい.もう一度描き直そうかと思案中.

その二紀展で,ぼく的ベスト 3.後で調べたら全て「委員」という名のある画伯たちの作品だったが,敬称は省略させていただきます.
しかしスマホで撮ったのをパソコンのモニターで見ても面白くもなんともない.でかい絵は実物でなきゃだめと痛感した.いっぽう CD に描いた小さい絵をモニター上で拡大すると,毛穴が見えるほどの距離で顔を見るような感じである.



「秋」 佐田尚穂
雰囲気が良い.背景の緑,羽目板,コンクリート路面,バスの時刻表とかのスーパーリアリズム.



「営業中」 伊藤光悦
廃墟みたいなビルに,床屋のねじりん棒だけが生き生きとしている.東北大震災をイメージしているらしい.寂しい月!



「チューインガム」 高取克次

真ん中の男がガムを膨らませている.文部科学大臣賞とのことだが,見れば見るほど面白いへんな絵.専門的にはモノクロで色彩を感じさせるとか,真ん中を空けて間が抜けない構図とかが見所らしいが...
 
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