不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La visita Yusanji

2021-01-10 23:55:00 | 旅行記
目の霊山として知られる遠州の油山寺。
昨年は友人とお詣りしたけれど、
今年は両親とレイラを連れてお詣り。

実は新年早々、
母が急に視界が悪くなったと訴え
先日眼科での検査の結果
加齢による白内障と診断され
近いうちに両目の手術をすることに。
今の時代、白内障の手術は日帰りでもできるようになり
手術には不安もないのだけれど、
母の手術の成功と
彼女の生涯が終わるまで
美しい景色を自分の目で見続けることができるように祈願するために
今回の参拝を決めました。
油山寺はわんこも参拝できるので
今回はレイラもお供に。

朝からよく晴れて
そしてすごく冷え込んだ朝。

自宅を出発してひたすら西へ。
急がず焦らず約3時間で袋井の油山寺到着。

油山寺は行基大徳が開山したと言い伝えられるお寺で
山頂の薬師堂に御本尊の薬師如来が祀られています。
孝謙天皇がご自身の眼の病に苦しまれた時に
この薬師如来に眼病治癒を祈願し、
油山寺の森にある瑠璃の滝の聖水で目を洗ったところ全快したことから
それ以降、目の霊山に。
源頼朝や掛川城主太田備中守なども
眼病治癒を祈願し、
それぞれ薬師本堂と三重塔や山門を寄進しているそうです。

その山門。
掛川城の大手門だった建物。

山門から礼拝門を望む。

山門を入るとすぐ右手に手水舎、左手に天狗杉。

天狗杉は樹齢千百年の杉の根っこ。
油山寺の守護神で足腰の神である軍善坊大権現の化身とも言われ、
眼よりも足腰が気になる私とレイラは
パワーをいただいてきました。

礼拝門。


宝生殿。

方丈。


宝生殿にお詣りしたら
一度山門を出て、
山門脇から天狗谷へ。
森に入った瞬間、清々しい空気に包まれます。
レイラも神妙。

薬師本堂へ向かう途中に
孝謙天皇が目を清めたという瑠璃の滝。






木の根に守られるようにある波切不動を祀る祠。


ぐっと冷え込んだ冬の朝
細く小さな滝の下の方には氷柱ができていてびっくり。

冷たい水面に映る森と空。

ここから薬師本堂まではもう少し。



薬師本堂の手前の手水舎も凍結。


源頼朝が寄進したという
三重塔と薬師本堂。




どちらも寵臣工藤祐経に普請を任せたというエピソードを聞き
また曽我兄弟を思い出す。

薬師如来をお詣りして下山。
元気が有り余るレイラと少し寄り道。

この傾斜の階段をのぼって
森の中の道を散策。


帰る前に、
母のために目守りをいただき
下の売店でご利益まんじゅうを購入。


良いお詣り日和でした。
近いうちにお礼参りができますように。









La prima camminata del 2021

2021-01-01 17:20:00 | 日記
世界が大きく変化して
新しい生活習慣なるものを強要される時代。
人の集まるところに出かけるのも憚られ
朝から強風も吹き荒れていたので
今年は恒例の初日の出ドライブは中止。
ありがたいことに自宅の屋上から
初日の出と朝陽に染まる富士山を拝むことができました。





Instagram liveで
元旦ヨガのレッスンを受けて
縮こまった身体をほぐし
穏やかに朝がやってきたので
レイラと一緒に
地元の廣瀬神社に初詣に行き
御門塞神社にもお参りしてから
ウォーキングに出発。

市が開催する恒例の新春ウォーキングは
中止になってしまったので
勝手にウォーキング(笑)。

どこを歩いても良かったのだけれど、
昨夜ふと坦庵公のことを思い出したので
江川邸から韮山反射炉までの
坦庵思索の道を歩くことに。
片道3キロ往復6キロの長閑なコース。



ところどころに看板あり。
中には手書き看板も。

江川邸も静かなお正月。

陽が挿し込む切り通し。
風が吹くと竹がしなって
その度に山の声が響く。
他に音のない静かな時間、
坦庵の時代はもっと静寂の時間が濃かったのだろうな。
韮山反射炉は
昨年秋から修復中のため足場が組まれていますが
元日から数人の来場者ありで
ちょっとほっとしました。

折り返し。
白菜畑と富士山。

昌渓院の麓にある祠。
ここが岩戸の砦の跡なのか
確認もできなかったけど、
とても大きな一枚岩に根を張る木々の生命力に
あぁ負けちゃいけないんだなぁって思ったり。

禁葷酒。
葷酒山門に入るを許さず。
韮山だけに葷はニラのことかしら。

昌渓院の裏山に山城があったことを初めて知りました。
1590年の小田原征伐のために
韮山城包囲を目的に
豊臣軍が築いたそうで、
一帯にはいくつも砦の跡が残っているみたい。

知らないことを学ぶことの幸せを
朝からしみじみ。
今年はきちんと学びの年にしよう。
梅の花が綻びはじめています。
困難も多いかもしれないけれど
希望は捨てず、
自分にできることを
自分のペースでひたむきにやっていこうと思います。












Turismo volontario 〜Potatura di Nespolo

2020-10-05 00:37:00 | ニュース
イタリアから戻ってきてから
毎年なんらかの形で参加させてもらっている
西伊豆土肥の白びわのボランツーリズム。





今回はこれまでのびわ園とは違う場所で行うと事前に伺っていたので
なんとなくワクワクして出発。

集合場所から車に乗り合わせて作業現場へ移動。
現場に着いてまず目に入ったのは
大きな蔵と鬱蒼と茂る大きな木々。





土肥だけで育つ白びわは
その種の希少性と
非常にデリケートで輸送が難しいこともあって
市場に出回る数が少ないので
幻の白びわといわれる高級果実。

びわの生育サイクルは
9月-10月の剪定作業から始まり
3月の摘果&袋がけを経て
6月の収穫でひとまわり。

大きな蔵の奥に広がる庭に
柿や柚子、夏みかんの木と共に
10本のびわの木があり、
そのうちの何本かが白びわで
もしかすると白びわの原木が含まれているかもしれないらしい。

20年以上空き家のまま
最低限のメンテナンスだけで
あまり手入れされていなかったというこの場所は
土肥の有力者であった鈴木邸。
母屋の他に3棟の土蔵がある立派な邸宅。
ここで今、新しいプロジェクトが始動しているそうで
母屋は改修してイタリアンレストランと
ベーカリー&ジェラテリアに
3棟のうち小さめの土蔵はバーに
残り2棟は一棟貸しの宿泊棟として生まれ変わり
さらに敷地内にエステ棟を新築して
2021年に観光拠点としてオープンするそう。

そのエステ棟には
この白びわボランツーリズムを企画運営している
自然療法サロン・ミモザさんが入ることが決まっていて
そのご縁でここのびわ園を
ゼロから整備し直すという
素晴らしく夢のある楽しいプロジェクトに
思いがけず関わらせてもらうことに。

あまり手が入っていないというびわの木は
確かに大きく育って枯れ枝も目立ち
枝も自由にあちこち伸び放題。
全体に日が当たりやすいように
且つ収穫作業がやりやすいように
枝振りを整えていく作業は
びわ研究の先生の指導を受けながら慎重に。
一気に切り落としてしまうと木を弱めてしまうので
気になる枝があっても切り落とさず
ぐっと我慢して2-3年かけて整えていく必要があって
勝手に切るわけにもいかず。
午前中3時間でお手伝いできたのは
ほんの少しだったけれど
ほどよく汗をかいて終了。



イタリアンレストランになる予定の母屋

母屋の玄関入って右手がベーカリー&ジェラテリアに


こちらの大きな蔵は2フロアの広い宿泊棟に

より古い蔵は1フロア露天風呂付きの宿泊棟に

改修前の母屋や土蔵も見学させてもらって
新しく生まれ変わる春が待ち遠しくなった。

作業の後は現場の斜向かいにあり
新プロジェクトの運営会社が昨年オープンさせたホテルに移動してランチ。

ランチは天城の森島米店さんの
修善寺黒米弁当でしたが、
写真撮り忘れ。
デザートはホテルが用意してくれた
土肥の「君だけプリン」。
久しぶりに食べた
濃厚なクリームプリンが最高に美味しかった。



お土産に白びわを使った石鹸もいただき
希望者は近くの温泉で汗を流して解散。

毎回楽しみなボランツーリズム。
たくさんの実がつくといいな。
びわも新プロジェクトも。




Il fatto che si impara dalla storia

2020-10-01 23:40:46 | 日記




完全自粛期間が明けて時々テレワークの勤務体制になって
通勤のローカル電車の中吊り広告で見つけた三谷幸喜さんの講演会告知。
Covid-19の感染対策のため入場人数制限があり、
抽選で200名限定と書かれていたので、
倍率高そうだなとは思ったけれど、とりあえず応募しておいた。

抽選結果を知らせるメールでは「落選」っていうことだったので一度は諦め
そのあとでやっぱり当選という電話があったときには正直驚いた。
でも嬉しかったので、早々に午後半休の申請をした。

会場は地元の韮山時代劇場。
ホール入り口から密な状況が作られやすい施設で
どうやって3密回避するのかなと思いながら
ギリギリで会場に到着したら
いつも入る狭い正面入り口ではなく脇のスペースに誘導されて
まず屋外で検温、
そのあと五十音順に区分けされたブースで名前と体温を告げて
たっぷりの消毒ジェルを手にかけられる。
脇の出入口からエントランスに入ったところで
座席を書いた小さな紙を渡されて座席が指定される。

L-33。

韮山時代劇場大ホールは桟敷席や花道があるちょっと独特な造りで
1階・2階・桟敷席合わせて約500席。
感染対策のため座ってはいけない席にはA4の紙が貼られていて
座席はひとつづつ空けて前後も重ならないように指定。
抽選200ということだったけれど、最終的に250人入ったそう。

この座席に貼ってあった紙の裏面がアンケート用紙だったことを講演会の最後に知って、いいアイディアだなと思った。これもニューノーマルなんだろうか。


三島青年会議所主催ということで、
なんかすごく体育会系なお兄さまたちが取り仕切って
個人的にはムズムズするような、ちょっと懐かしい感じがした。

伊豆の国から出た北条義時が主役となる2022年の大河ドラマの
脚本を書かれる縁で、三谷幸喜氏独自の歴史観についての講演。
「僕が歴史を好きな理由」
ローカル線の中吊り広告ではわからなかったけれど、
この企画はその北条氏や源頼朝つながりで
小田原と鎌倉と韮山の3会場を結んだリモート講演会でもあった。

Covid-19禍での新しいイベントの形ってこういうことなんだなぁって
なんとなく肌で感じることができたかも。
以前よりは入場手続きにちょっと時間もかかるけれど
でも、これはこれで悪くないと思ったし、
工夫次第でなんとかできることの方が多いんだなって改めて思う。

体育会系開会の儀や来賓あいさつなんかを経ていよいよ三谷さん登壇。
出てきた瞬間からユーモア炸裂。
私は新撰組も真田丸も観ていないし
そのほかの三谷作品もほんの少し知っているくらいだけれど、
そんな私が想像していた遥か上をいくユーモアの幅だった。

大河ドラマにも、日本の歴史にもさして興味を持たなかったし
物書きになりたいという夢を途中で捨て去った私と違って
三谷氏は10歳の頃に観た大河ドラマがきっかけで歴史が好きになり、
いつか自分でこういう作品を書いてみたいと思って
それをきちんと生業にしている。

講演会の内容は
ご自身が影響を受けた大河ドラマのエピソードを交えた自己紹介から始まり
これまでに手掛けた2つの大河ドラマの話し、
そして現在執筆中の3つ目の大河ドラマの裏話まで。
新選組も真田丸も負け組へのシンパシーを表現した作品で
負けてゆく多くの人々への共感を描いたけれど、
北条義時(鎌倉殿の13人)はどちらかといえば勝ち組。
しかし、本当の意味で彼が「勝った」のかというところを描きたいって。
平安末期のイメージが湧かないので書く作業はとても難しいとも。
石橋山は海から離れているのに、落ちている石が丸みを帯びているのは
当時の山中での戦い方が石飛礫の投げ合いだったからだとか、
貨幣は流通していなくて物々交換が主流だったので
戦勝報酬でいくら授けるという表現ができないとか、
どの時代よりももっともっと神が近い存在で
戦いの日取りも神託によるところが大きかったとか。

三谷さんのお話の中であぁと思ったのは
ピンチを切り抜けるヒントは歴史の中に必ずあると仰った時。
それは吉川さんがかつてどうしようもなく追い詰められたときに
三国志の中に答えを探し求めたエピソードに
とてもよく似ていたから。
我々はまだまだ歴史から学べることがたくさんあるんだろうね。

講演の後の質疑応答も新しい形での取り組みで
申し込み時に記載した質問の中から運営側が事前に選択してあって
小田原と鎌倉の会場からも質問がされたり。
それでも時間が余ったので、韮山会場から追加で数人質問ができて
期末テストを終えたばかりの学生の
覚えることばっかりで歴史が苦手になりそうだけど、
どうすれば覚えられるかという学生らしい質問に対して
三谷氏が
どうせ簡単に調べられるんだから年号も固有名詞も覚える必要なんかないし
成績が落ちたって気にしなくていい。
年号なんかより歴史を学ぶうえでもっと大切なのは、因果だ。
何が原因でそうなったのかという大きな流れを掴むことが重要なんだって
答えていて、素敵だなぁって思った。
それに対して学生が
成績が落ちるのは困るけれど、先生にはそう伝えていこうと思います
と切り返したのもイカしているなと思った。

三谷さんのユーモアとか歴史との向き合い方も含めてひととなりを
知ることができたのはもちろん大きな収穫だったし
イベント全体を通して
Covid-19禍だからこそできることを探し、
そこに楽しみを見つけていこうという雰囲気があって
それだけでもなんか行って良かったな。

開会の儀で三島青年会議所理事長(たぶん)が
Covid-19禍で何をやっても、やらなくても
どっちにしても賛否両論、議論が起こるような状況で
それならやらないよりはやった方がいい。
行動しなければ議論さえも起こらないのだからと
力強く発言されていて、
なんかこの半年近くでそんな言葉を聞いていなかったので、
ハッとさせられた。

なんか知らず知らずに小さくまとまりかけていたのかも、私。


una scappatella dal caldo torrido ~Lago Kawaguchi

2020-08-15 23:55:00 | ニュース
暑さから逃れるドライブ。
今日は河口湖。

定点観測富士山の写真についたイタリアの友人からのコメントを読んだら
河口湖の大石公園からの富士山を見せてあげたいなと思って
朝からライブカメラで様子を確認して
お昼に平和を祈念する黙祷を捧げてから
いそいそ出かけてみた。

しかし、
到着したら雲が出ていて富士山見えず。


でもそれはそれでいい感じの夏の写真。

春に来たときは整備中だったコキア畑もきれいになって
富士山バックに撮りたい気持ちがむくむく。
また近いうちにリベンジしよう。



ラヴェンダーのソフトクリームが美味しいので
今日も食べようと思ったら、
季節限定シャインマスカットのソフトクリームを見つけちゃって
そちらを選択。
支払いを済ませてテラス席のテーブルに持っていく数十秒で
すでに原型を留めないまでに、溶けた。
恐るべき暑さ。


シャインマスカットは
フルーツそのものを食べたほうがおいしいわ。

富士山待ちでしばらく待機していたけれど、
レイラも飽きちゃったので
諦めて移動。
河口湖畔をぐるりと廻って
道の駅かつやまの前に広がる小海公園から遊歩道散歩。



今年の夏は湖で遊ぶ人も多いような気がするなぁ。
これもCovid-19の影響なのかなぁ。
いつもより人出が多いとはいうものの
こんな静寂な時間も楽しめる。
湖面に繰り返す波を見ているだけで
心がすぅっと鎮まっていくし
このキラキラはいつまでも見ていられる。



太陽が照りつけても
水辺にいるだけでやはり涼しい。
泳ぐわけでも
釣りをするわけでもないけれど
レイラと岸辺を歩いているだけで
上等な避暑なのだ。