不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

I luoghi di Giovenni Fattori nell'Accademia di Belle Arti

2008-09-30 13:38:56 | アート・文化

2008年はGiovanni Fattori(ジョヴァンニ・ファットーリ)の
没後100年で
関連展覧会があちこちで開催されていますが、
そのうちのひとつ。

ジョヴァンニ・ファットーリは1869年に
フィレンツェアカデミア美術大学の
ヌードデッサン科の教官となります。
当時はイタリア統合まもなくで、
女性の権利は制限されていた時代だったため
このヌードデッサン科には
250人の男子生徒だけが通っていました。
ファットーリは自身が学生として同美術大学に通い、
後に教員として勤めたので
60年にもわたりアカデミアに通いつめていたことになります。
特に教員となってからはほとんどの時間を学生の間で過ごし、
大学内の自分のアトリエで作品製作に勤しみました。
彼は生涯で3回結婚していますが、
いずれも奥さんに先立たれ
一人身になるたびに自宅には戻らず、
大学の用務員に世話をしてもらっていたようです。

イタリア統一運動に傾倒し、
ファッションや流行とは別の世界に生き、
自然の観察と描写に熱心に取り組んでいた彼は
教員としても非常におおらかで、
学生には常識や偏見にとらわれることなく研究を行い、
自由に描くことを勧めたといわれ
そのため学生たちの信望が非常に篤かったといわれています。

1784年にトスカーナ大公レオポルドによって
切望されて生まれた美術大学は
当時100人の教員が教壇に立ち1400人の学生が通っていました。
現在も多くの学生が学ぶ大学として機能しています。
この施設内に1800年代にファットーリに与えられていた
アトリエを忠実に再現。
鋳鉄のストーブが配され、モデル用の回転座が置かれた部屋には
ぐるりとキャンバスを立てた三脚が並べられ、
教え子たちの作品に彼が手直しをし
チェックのサインをしていたものが展示されています。

1800年代のフィレンツェの雰囲気をよく再現しているので
ファットーリにも彼の作品にもあまり興味がなくても
当時の美術大学の一部を覗いてみるという面白さがあります。

ピッティ宮殿内の近代美術館と
ウフィツィ美術館付属のデッサン室から
厳選されたファットーリの傑作が約130点集められています。
彼が得意とした路地、兵士、マレンマの自然などを中心とした
独特のマッキャイオーリ手法の絵画作品が揃っています。

Fattori

I luoghi di Giovenni Fattori nell'Accademia di Belle Arti di Firenze
会期:2008年9月19日から2008年11月23日まで
会場:フィレンツェ美術大学(Accademia di Belle Arti)
   Via Ricasoli 66(アカデミア美術館隣接)
開館時間:月-日 9:00-19:00
入場料:5,00ユーロ

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Manutenzione della Caldaia

2008-09-24 20:24:21 | 日記・エッセイ・コラム

9月も終わり。
秋ですが、寒すぎます。

薄着を楽しむ期間がすごぉく短くなりました。
冬物に入れ替えてしまうにはまだそこまで寒くなく、
中途半端なものばっかり着て暑かったり寒かったり。

で、ビリーが寒そうなので(言い訳?)
我が家も羽毛布団を出しました。
先日夜中肌寒いなぁと思って
ちょっと暖房のスイッチ触ってみましたが
うんともすんとも言いませんでした。
いつものことなんだけど。
夏の間使っていないと、いざというときに動かない。

ずっと春に点検だったのを切り替えて
2年前からは、この寒くなる前の今の時期に
暖房のメンテナンスに来てもらうようにしているので
本格的に寒くなる前に準備するから良いんです。

イタリアの暖房はほとんどが
温水循環形式のパネルヒーターで
その温水はガス湯沸かし器で温めるわけです。
多くの家庭ではこの暖房機と給湯器が一緒なので
一年中使っているのですが、
我が家は給湯器は電気なので、暖房とは別々。
なので夏の間に一度も使わないから
寒くなりかけのころには
ポンプに水がたまって動かなかったりします。

それを避けるために毎回点検の度に
夏の間もたまには暖房つけると良いといわれていますが
暑いときにはそんなこと考えもしないので
いつも同じ罠にはまります。

ちょうどトイレのタンクの水漏れも直してほしかったので、
暖房のメンテナンスと一緒にお願いしました。

先に来たのはトイレ修理。
とりあえず、パッキンを取り替えて水漏れはとまりましたが
我が家は古いタンクを使っているので
もうそろそろ修理の取替え部品もなくなるといわれました。
それに今高いところにあるタンクは私の手が届かないので
何かあると水道やさんを呼ばなくてはいけない。
そんなことも考慮して
もう少し低い場所に新しいタンクを取り付けたほうがいいと
水道やさんに言われました。

これって営業なんでしょうね。
でも私も同じこと考えていたので、
そのうち工事をお願いしようかと思います。

水道工事が終わったら入れ替わりのガス暖房機点検。
一緒に来ないのね、同じ会社に頼んでいるのに。

点検終えて暖房機稼動。
このガス暖房機の点検は毎年行うのが義務化されていて
その上2年に一回は
なぜか点検終了をフィレンツェ市に報告。
その報告のために10,00ユーロ徴収されます。
フィレンツェ市こんなところで儲けているといつも思います。

これまでは10,00ユーロは郵便局の振込用紙で払って
その領収書と点検終了書類を郵送で送っていたのですが
今年から10,00ユーロを点検のお兄ちゃんに払ったら
後は全部請け負い会社が代行してくれるってことで
ちょっと楽チンになりました。
暖房メンテナンスで95,00ユーロ
そしてフィレンツェ市に10,00ユーロ。
トータル105,00ユーロは果たして相場として安いのか高いのか。
よくわからないけど、一応今年も安心して使えます。


Gironate Europee del Patrimonio

2008-09-23 00:28:24 | アート・文化

今年もFAI(Fondo per l'ambiente Italiano)と
Autostrada per l'Italiaが
イタリア国内でのメインスポンサーとなって
イタリア各地の文化遺産の一般公開が予定されています。

イタリア全土で1000箇所が入場無料で見学できます。
そのうち250箇所は高速道路からのアクセスはよいのですが
車がないとアクセスにちょっと不便ではあります。

昨年はヨーロッパ全体では2000万、
イタリア国内で総勢60万人の人出を記録。
今年は公開箇所も増えたことから
イタリア国内だけでも60%増を見込んでいます。

たとえばこんなところが公開されます。
フィレンツェ近郊:
ニコロ・マキャヴェッリの生家
プラート:
ドゥオーモのフィリッポ・リッピのフレスコ画(ガイド付き)
ミラノ:
記念墓地(ガイド付き)
ローマ近郊:
オスティア・アンティーカのローマ皇帝時代初期の遺跡修復公開
ターラント:
アラゴン王フェルディナンド2世の建てたアラゴン家の城

また両日は大抵の国立美術館・博物館が入場無料になるので
有名な美術館へ出かけるのもオススメです。
ウフィツィ美術館やアカデミア美術館は入場無料です。
長蛇の列が予想されますので、
予約だけはしておいたほうがいいかもしれません。
その場合予約料(4,00ユーロ)はかかります。

Gironate Europee del Patrimonio
会期:2008年9月27日・28日
会場:イタリア各地
詳細インフォメーション

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Dattiloscopia

2008-09-22 23:18:00 | 日記・エッセイ・コラム

Carta di Soggiornoの取得を
完結させるための最終段階。

指紋採取。

一応滞在許可証を電子カード化するときに
基本データと一緒に電子情報として
指紋の情報も入力されているはずなのです。

が、
今回は科学警察へ。

私の中で「科学警察:Polizia Scentifica」といえば
なにはなくともR.I.S.
最新テクノロジーがぎっしり詰まった秘密の場所。
密かな憧れの場所。
そのイメージがあったので、
今朝フィレンツェの科学警察のあるべき場所にいって呆然。

掘っ立て小屋みたい…。

薄汚いシャッターが下ろされていて、
しかもその前にはどこの馬の骨かというような
疲れた表情の移民がちらほら。

汚れたシャッターがガラガラ上がり
曇りガラスの扉が開いたら
向こう側に白衣をだらしなく来た警察官。

マジで幻滅します。
まぁ、もちろん私のイメージはフィクションですけどね。

待合室とも廊下ともいえない寒い場所で
半分凍えそうになりながら待機。
左脇にあるトイレの扉が開けっ放しなので
便座のない便器が丸見え。

イヤだ、こんなところが科学警察だなんて!!

順番があるようなないような、
いつもの混沌とした移民の集団に混じって
現実と妄想のギャップに憂鬱になりながら待つこと約2時間。
ようやく私の番になって、いよいよ禁断の科学警察の中へ!!

汚いです。寂れてます。
我が家の物置よりひどいです。

呼ばれた部屋はがらんとしていて
一台のコンピューターと指紋採取機。
奥の部屋の窓は開け放たれて
中庭の枯れた草木が寒々しい雰囲気を強調。
奥の部屋には得体の知れないでかい機械があるけれど
長いこと使われていませんよという雰囲気に満ちています。

白衣の前を開けたままの女性警官が
コンピューターの前に座り
白衣も着ていないけど
手術用みたいなゴム手袋をはめた男性警官が
受付&指紋採取。

たった2人…。
しかもおしゃべりに余念がないし。
そりゃぁ時間もかかるわけですね。

パスポートの記載を確認しながら入力を始める女性警官は
実に美しい赤毛の巻き毛を揺らし
ブルーの大きな瞳に知性を感じるメガネ。
でも喋っている内容は
「今日のランチをどこに食べに行くか」ということだったり
「あと何人捌いたらコーヒーを飲みに行ってもいいか」
という相談だったりするわけです。

まぁ単純入力作業ですから。
間違えないで入力してくれればそれでいいです。

それからおもむろに機械の前に立たされて右手から指紋採取。

ちょっと予想はしていましたが、指紋取れません…。
何度か試した挙句に、ここでもやはり一言。
「あなた指紋ありませんね。」

そんなわけないじゃん。見えているじゃん、指紋。

私の肌が乾燥しているせいなのか、
確かに機械で読み取りにくいらしいのですが
何度も液体をしみこませた紙タオルで指先をぬぐわれ
繰り返し採取用の機械に指の腹を押し付けられ。
女性警官には
「こんなに若いのに、指紋摩り減っちゃうなんて。
あなた一体これまでどういう仕事してきたの」と問われ。

書き物とコンピューターでの仕事ばっかりですけど。
別に指紋が摩り減るようなことはしていません。

まぁ、和やかな雰囲気の中、雑談しながら
相当な時間をかけて指紋採取に成功。

まぁ、これですべての工程は完了したわけで
これで本当に煩わしい手続きからしばらく解放される予定。

帰り際、背中越しにきいた一言。
「今日30人もいるよ、まじかよぉ」
たった30人。
それぞれ10本づつ指紋とっても300ですよ。
もうちょっとやる気だしてくれよぉ。