不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Poggio dei Medici

2010-05-30 10:56:17 | 日記・エッセイ・コラム

Poggio dei Medici
2週続けて仕事絡みの遠足気分。

この季節のイタリアは 新緑が美しいので、 それだけで幸せ。

生涯理解できないと思うスポーツの一つがゴルフ。
なので、自分でゴルフする気はさらさらないのですが
Scarperiaの丘陵地帯に広がる
優雅なゴルフ場なんかに行ってみました。

ちょうどゴルフコンペを開催していて、
普段街中で見かけない質の良い、
血統の良さげな(笑)イタリア人が
優雅 にゴルフを楽しんでました。

私は服装にしても立場的にも場違いで
コンペ後のコンサートの機材運び込んでる人と
危うく間違えられそうになりました。

ゴルフ場周辺を散歩していて
池の近くに素敵な標識も発見。
「転落&溺れる危険あり」
Poggio dei Medici
この草むらの向こうは急斜面そしてその斜面の終わりに池。
落ちたら溺れるんだろうねぇ。


Bukubuku Koukan a Firenze seconda edizione

2010-05-27 20:31:36 | bkbk

当日のキャンセル3件で
最終的に7名で開催しました、
第2回ブクブク交換会@フィレンツェ。

今回も会場は私の個人的なお気に入りでもある
Cuculia (Via de' Serragli 3r)。

前回の反省を活かし(?)まず先に食べることに!!

6,00ユーロで1ドリンク、そして軽食食べ放題。
真っ赤なオレンジの非アルコールドリンクと
なぜか豆がいっぱいのバイキング。
Dscf9147
参加者の半数以上は前回と同じメンバーでしたが、
新しく2名参加していただいたので
食べながら、簡単にブクブク交換会の説明と
それぞれ自己紹介。
腹ごなしと情報交換のあとは
持ち寄った本のプレゼンテーションに移ります。

Dscf9148
すべての本が集まる前に撮影しちゃったので少なめですが、
今回は「春」「エネルギー」「イタリア」の3つのテーマで
24冊が集まりました。

Dscf9149
Cuculiaの一番奥の絵本のお部屋。
ここが定番の場所になりつつあるブクブク交換。
お店の人も放任主義なわりには
色々気を遣ってくれて本当に居心地のよいカフェです。

Dscf9152
今回のテーマは難しかったという意見も多かったけど。
みんな蔵書から色々面白いものを繰り出してくれました。

私が「春」のテーマで持っていったのは
宮部みゆき「あやし」。
宮部作品は現代ミステリーより時代モノのほうが好き。
あやしも江戸時代を舞台にした時代ミステリーの短編集。
春というのは明るく清らかな季節である反面
その不安定な天候のせいか
非常に「妖しい」季節でもありますが
この短編集の中にも春が舞台だったり
春に起因する摩訶不思議な話が満載。

実はこの日もって行くことを決めてから読み直しをして
当日のランチタイムにようやく読み終わったのでした。

Dscf9151
1回目に「ショック」のテーマで
結構スピリチュアル系も集まったので
「エネルギー」もそちら系が多いかなと思いはしたのですが、
確かにそちら系とカラダのエネルギーということで
料理本なんかも集まってます。

私は本気でエネルギーをテーマにもって行きました。
ソトコトの「太陽型社会へようこそ」。
太陽と地球、太陽と生物、太陽と人間社会は
切っても切れない間柄。
イタリアに来て太陽の恵みをたっぷり受けて暮らしていると
ますますそういうことを考えさせられます。
いつかは太陽エネルギーで自家発電して
自給自足の生活をしたい私の思いを込めて。

この裏表紙の広告も素敵だったのよね。
Dscf9146
積水ハウス。
キャッチコピーが気に入っているのです。
「自家製のパンとトマトとエネルギーで」
そう、エネルギーも自家製でおもてなしなのですよ。
あぁ、理想だなぁ。

Dscf9153
そして3つ目はべたなテーマだと思ったけれど「イタリア」。
いろんな方面からイタリアにまつわる本が集まりました。

このテーマで私が持っていったのは
知り合いが執筆して、プレゼントしていただいておきながら
3年も熟成させてしまい結局読めなかった
「裏通り発!イタリア雑学女王」。
見出しが結構面白そうだし、読んだら面白いんだろうけど
なぜか読む機会がなかった本。
是非誰かに読んでもらって感想を聞きたいと思って提供。

非常にアットホームに和気藹々と楽しめて
ますますブクブク交換のファンになってます。
これからももっと多くの人に参加してもらえるといいなぁ。

帰り道参加メンバーとも話をしていて
1ヶ月に1回のスパンは我々には(特に私自身)早すぎて
本を読みきれないってことになり、
第3回目は夏休みでみんながいなくなる前の
7月半ばくらいを目指そうかと思います。

このブログの左コロンにブクログの本棚ブログパーツを
貼り付けています。
ここからとりあえず第1回の出品作品は確認いただけます。
第2回目の作品も徐々にアップしていきます。

参加していただいた皆さん、お疲れ様でした。
また次回楽しく不思議な本と
皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!


San Giorgio Di Donatello

2010-05-25 19:13:47 | アート・文化

ドナテッロ作の聖ジョルジョ像は
フィレンツェのオルサンミケーレ教会の壁がんを飾る
フィレンツェ職業組合の守護聖人14体の彫刻群のひとつ。
聖ジョルジョは甲冑・刀剣組合から依頼されたもので、
製作年は1415年から1417年といわれています。
トスカーナ北西部に連なる
アプアーノ山脈から切り出した白大理石で
高さは209センチメートル。
もともとはオルサンミケーレの壁に置かれていましたが、
1891年からMuseo nazionale del Bargello
(バルジェッロ美術館)所蔵となり、
オルサンミケーレにはブロンズ複製が置かれていましたが、
こちらも2008年に大理石の複製に置き換えられています。
彫りあがってまもなくから高い評価を受け、
オルサンミケーレの職人組合彫刻群の中で
最高の出来とも言われ、
もちろんドナテッロの代表作としてもよく知られています。

そのような作品であったため、歴史的にも丁重に扱われてきました。
もともと北西側の壁がんに置かれましたが、
この部分の柱には内部の螺旋階段が設置されているため
他の壁がんに比べて十分なスペースをとることができず、
奥行きが浅かったのです。
そのためはみ出した彫刻が汚れてしまうこともよくあり
後にもう少し奥行きのある壁がんに移動され、
さらに1628年には教会内に移動されています。
そして1858年に石が当たって鼻が欠けてしまったことをきっかけに
1891年にバルジェッロ美術館に映され、
現在もそちらに展示されています。
1976年には彫刻の下につけられていたレリーフも
バルジェッロに移管。
Dscf9062

聖ジョルジョは兵人聖人であったので、
甲冑・刀剣組合の守護聖人として選ばれたわけですが、
両足を大きく開き安定感があり、
十字架を掲げる盾を前に置き
胸を張ってきりっとした表情で描かれています。
オリジナルの壁がん(北西)におかれた状態で
頭を少し左に向けているのは
当時のフィレンツェの強敵であった
ルッカ、さらにはミラノの方角に
睨みをきかせるためだったようです。

バルジェッロには壁がんごと展示されています。
聖ジョルジョの上の「祝福の神(Dio padre benedicente)」、
下の「ドラゴンと闘う聖ジョルジョ
(San Giorgio che uccide il drago)」
のレリーフもドナテッロの作品。

下から見上げることも考慮して彫り上げられた作品で
光と影によって強調される表情はエレガントでありながら強く
完璧といわれるのも納得できるような凛々しさを湛えています。

Dscf9063

Museo nazionale del Bargello
開館時間:月曜日から日曜日 8:15-17:00
休館日:毎月第1・3・5日曜日、毎月第2・4月曜日、
              1月1日、5月1日、12月25日
入場料:4,00ユーロ


Il paesaggio e il genio

2010-05-24 21:24:40 | 日記・エッセイ・コラム

5月も半ばを過ぎて
ようやくイタリアらしい晴天が広がった週末。

土曜日は視察も兼ねてVinci村へ。

フィレンツェから車で約40分のところにある、
本気で田舎の小さな村。
この村が有名なのはもちろん
レオナルド・ダ・ヴィンチを輩出したから。
それ以外に何もなさそうな、
本当にのどかで、村人みんな顔見知りっぽい
私好みの村です。

その村のさらに先にAnchianoという集落があって
そこにレオナルドの生まれた家といわれる
質素な田舎屋敷があります。

実はここを訪れるのは初めてではなく
15年前に来ているのですが
まったく記憶にございませんでした。
というかかなり記憶違いをしていたことに気づいたのです。
15年前に訪れたときの写真を見ると
あぁ、なんとなく同じ場所なのですが、
相当脚色して記憶していたみたいです。

この丘の上の小さな集落で生まれ
この牧歌的で壮大なトスカーナの丘陵地帯を眺めながら
ボーっと幼少時代を過ごしたら
やっぱりいろんなことに思いを馳せる自由と時間があって
すごい天才に育つのかもしれない。

Dscf9075
実際にこうして見渡すと
レオナルドが完成させたSfumatura画法って
「この景色見たままじゃん!」ってことがわかります。
本当に遠くの山は青白く見えるし、
ガスがかかったような感じに映るのです。
これは誰が見てもそう見えるけれど、
それを絵画の画面上に
忠実に再現したのがレオナルドだったわけですね。

15年前には駐車場なんかあったのかどうかも覚えていないけど
今はきちんと駐車場も整備されて
そこから生家に向かうわずか200メートルくらいの道のりも
なんだか幸せな気分でいっぱいになる不思議な空間。
Dscf9076
畑に入ってはいけません。
といわれてもどこからが畑なのかもわからず。
ま、いいか。

Dscf9077
午後の日差しを受けた、こざっぱりしたレオナルドの生家。

実際には確証できるような文献は見つかってないけれど
多分ここでしょうって感じらしい。

Dscf9079
一応石碑もついている。
でもこの周辺今だってほとんど他に家なんかないのですよ。
なぜわざわざこんなところに家建てたんだろう、
こんなところで何してたんだろうと思っちゃう。

Dscf9080
きれいに手入れはされてますが、
公開されているのは2部屋だけ。
あとは放置されてます。

Dscf9081
昼休みもとらずに開けているなんて優秀です。
まぁこんな田舎まではるばる来て
昼休みだから3時間閉めますとかいわれると
怒りそうですけど、観光客。

Dscf9083
カマド跡にさりげなく取り付けられた郵便ポスト。
赤色が主張しすぎな感じですけど。
じゃぁ、ここから絵葉書送れるんだ!!
と思ったら大間違い。
レオナルドの生家では絵葉書も切手も売ってません。
ここから投函したい方は前もって準備すべし!
すごいな、誰のためにあるんだろうこの郵便ポスト・・・。

Dscf9087
午後の日差しが美しいコントラストを作ってます。
こういう光の加減を見ながら育ってたら
絵画的才能も芽生えそうです。

Dscf9091
濃い緑と、オリーブの銀色、
そして突き抜けるほどの青空にくっきりの白い雲。
自然が作り出す芸術作品。
心が洗われる!!
私はやっぱり田舎で暮らすのが性にあっていそうだな。

Dscf9093
駐車場までの帰り道、
シロツメクサを眺めながら
日本人はなぜレオナルド・ダ・ヴィンチが好きなのだろう
とふと考え込んでしまった。


Caravaggio e Caravaggereschi

2010-05-18 18:34:25 | アート・文化

ローマとカラヴァッジョの関係ほど
濃く強い繋がりはフィレンツェにはありません。
フィレンツェとカラヴァッジョの接点はほとんどなく、
彼の作品も数えるほどですが、
カラバッジョ派の作品は
ローマに次いで2番目に多いと言われます。

カラヴァッジョがフィレンツェに来たかどうかは
ずっと研究が続けられていますが
いまだ確定できる文献もなく推測の域を出ません。
カラヴァッジョがメデゥーサを描いたときに、
メディチ家のコレクションにある
Jacopo Ligozzi(ヤコポ・リゴッツィ)の植物図鑑水彩画を
参照しているだろうといわれていますが、
この作品群にしても
当時フィレンツェ大使としてローマ赴任していた
Cardinale Del Monte(デル・モンテ枢機卿)の
ローマ別宅で閲覧した可能性が高いのです。
当時のトスカーナ大公(Ferdinando I:フェルディナンド1世)は
カラヴァッジョの才能を認めており
その病弱な息子(Cosimo II:コジモ2世)は
フランドル派の作品や風景画とともに
新しい自然主義の画風を好み
カラヴァッジョやその周辺の画家の絵画作品も
好んで蒐集しました。
1600年代初旬にはメディチ家のコレクションに
既に「バッカス」、「メデゥーサ」、「歯を抜く人」は
含まれていたといわれます。
1618年から1620年にかけて
Bartolomeo Manfredi(バルトロメオ・マンフレディ)の
作品を購入したことで
カラヴァッジョ派といわれる画家たちの多くがフィレンツェに集い
メディチの宮廷を賑わせましたが
1621年にコジモ2世が亡くなり資金も底をつくと
短いカラヴァッジョ派のフィレンツェでの栄華の時代は
幕を閉じました。

ピッティ宮殿でのカラヴァッジョ展から40年を経て
没後400年を記念したイベントの一環として
企画されたカラヴァッジョとその周辺展。
ウフィツィ美術館、パラティーナ美術館の
2箇所で展開されることになるこの展覧会には
フィレンツェ所蔵のカラヴァッジョの作品6点
(バッカス:Bacco、イサクの犠牲:Sacrificio di Isacco、
メデゥーサ:Medusa、眠るキューピッド:Amorino dormiente、
歯を抜く人:Cavadenti、
マルタ騎士の肖像:Ritratto di Cavaliere di Malta)のほか
Fondazione Roberto Longhi(ロベルト・ロンギ財団)所有の
カラバッジョ派の作品24点を含め約100点集めています。

ローマのスクデリエの展覧会にはかなり劣るとは思いますが、
カラヴァッジョの及ぼした影響までを知るためには
この展覧会は非常に重要なものになると思われます。

Caravaggio e Caravaggioreschi
会場:ウフィツィ美術館、パラティーナ美術館
会期:2010年5月22日から2010年10月17日まで
詳細:http://www.unannoadarte.it/mostra2_presentazione.html

Cavarozzigerolamoangeli
Bartolomeo Cavarozzi
San Gerolamo con due angeli