不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Memorandum di lettura 〜金魚姫

2020-01-08 22:08:51 | 本と雑誌
時間と空間を超えて
たったひとつの記憶に結びついて
千数百年を金魚の姿を借り、
何度も生まれ変わって
自分の想いに実直に添い続けた女性と
恋と仕事と日常に疲弊して
現実世界から逃げることばかりに囚われていた主人公の不思議なものがたり。

早い段階で、
彼女が一体どこからきたのかは
読者には明かされるけれど
当人たちはそこを知らないまま
その謎を一つひとつ紐解いていく仕掛け。
上手に誘導されて
筆者の狙いどおりに騙されてしまうので
驚きの結末にけっこう動揺したり。
読み始めからぐっと引き込まれるし
残りページ数が少なくなると
終わってほしくない気持ちにさせる、
そんな魅惑的な作品だった。

現代に出会った2人の物語に
時折彼女の古い記憶の物語が挿入されるので、
読み進めながら、
数章戻って読み直したり確認したり。
いつもどんな作品でも時間のかかる私には
いつも以上に時間のかかった作品。

すべては繋がっている。
この作品のようなファンタスティックな設定でない
我々の現実にだって
すべては繋がっていると思えることがいくつも起きる。
呼び寄せる力って、きっと誰もがもっているはずだからね。
それを改めて考えるきっかけにもなった。

彼女の愛が深いがために
その愛が失われたことに端を発する憎しみも強くなり、
彼女はその想いに絡めとられて時空を越えるのだけれど、
その復讐劇のような過去の記憶の語られかたに一度はちょっと嫌悪感も抱いた。
私自身が、憎しみは何も生み出さないし、
憎しみの連鎖は断ち切らなくちゃいけないと思っているからだけどね。
ただ、せつなすぎるけれど優しい結末にいたって、その嫌悪感は一掃された。

「憎しみを学ぶ人には
愛を教えることができる」とは
きっとこういうことなんだって。
そう思える作品だった。

金魚姫



Book Journey

2015-09-22 21:25:06 | 本と雑誌

朝レイラのお散歩から帰って
あぁ、東京行ってこようと思い立って出かけてきました。
新幹線は思ったほど混んでいなくて、
本でも読もうかなぁと思っていたんだけれど、
隣に座ったおばあちゃまと話しが弾んでしまい、
東京までお話をしていたら、あっという間。
おばあちゃまからスマホって使いかたわからないのよぉから始まり、
電動アシスト自転車、交通事故と保険、
ウォーキング、キャディさん、おばちゃま友達、ピオーネと巨峰、
そしてワコールのボディースーツまで。
まぁ、本当に多様なテーマで色々話しに華が咲き。
おばぁちゃまは東京駅に迎えにきている甥っ子さんの車で
埼玉まで行くそうで、大きな荷物をもっていて
甥っ子さんとは八重洲北口で待ち合わせだというので、
そこまでお持ちすることに。
携帯で電話しても
なかなか待ち合わせ場所が理解できないおばあちゃまは
最後は私に携帯を渡して、「待ち合わせ場所までお願い」って。
私は乗り継ぐ予定だったけれど、
これも何かの縁ですから、
外堀通りのみずほ銀行前までお送りしました。
おばあちゃまの甥っ子さんは相当驚いてましたけどね(笑)。

見知らぬおばあちゃまを送り届けてから、水道橋まで移動。
水道橋から歩いて岩波ホールまで。
なかなか暑い東京だなぁって思いながら。 


観たかった「夏をゆく人々」。
イタリア映画らしい、ことばでの説明が少ない作品。
全体に流れる体温に近い温度感と
ずっと靄がかかったみたいな光の加減が私は好き。
家族の心の通い合いとすれ違いのなかで
少女が大人に変わっていく、
その過程での本人の戸惑いと父の戸惑いが
とってもよく伝わってくるなぁって。
最後の最後で観ているものに、
余韻というか謎を残す作り方がうまいなぁとも思った。
歳を重ねたMonica Bellucciが出演していたことにも結構驚いた。

字幕翻訳はとてもよくできているなぁって思ったけれど、
そもそもことば少ないし、説明も少ないので
やはり、見終わったあと、
ロビーやエレベーターなどでの会話をきいていると
理解していない人が結構いたような。
その辺もイタリア映画っぽくてよいね(笑)。


オリジナルのチラシによく使われていたこの絵の意味もわかりました。

よい映画を観たなぁという満足感に包まれて、
青山一丁目からぼちぼち歩いて、六本木に移動。
オーガニックなものが食べたいなぁと思っていたら
ちょうど良さげなカフェを東京ミッドタウン・ガレリア2階に見つけました。
ucafe 

実は、オーガニックだからヴェジと勝手に信じていたので、
メニュー見て結構食べられないものがあるなぁって思い、
サラダランチにするべきかと思ったんだけど、
隣の人が食べているカレーがおいしそうで、
お店の人にお肉はどれくらい入っているのか確認したら、
ひき肉がほんの少しということだったので、
大丈夫かなぁと思って、サラダとカレーのハーフ&ハーフを。


しっかり腹ごしらえしてから、
今日のもうひとつの目的である六本木ブックフェスへ。
芝生広場はかなり直射日光が照りつけて暑そうだったのに、
多くの人がのんびり本を読んだり、お喋りしている光景は
なんかヨーロッパぽくてよいなぁと思ったよ。

ここ数日どの本を旅立たせようかなぁって考えていて、
最終候補4冊の中から今朝選んだ一冊。
主催者が用意してくれたラッピング用資材で
どこまで個性的にできるかの挑戦でもある(笑)。
ラッピング考えるだけでもなかなか面白かったよ。


タイトルには触れず、核心も突かず、
でも手に取ってもらえそうなメッセージを書き込んで
陳列台に。
一番奥のテーブルに置いて、
手前から写真を撮ろうと移動したその隙に
あっという間に旅立ってしまったので、
どんな方が連れ帰ってくれたのかもわからぬまま。
なんか、せつない。
ブクブク交換とはちょっと違うのはこの点かなぁ。
ブクブク交換だと、
名刺を挟んだりしてそのあとのコミュニケーションにも繋がるけれど、
今回のブック・ジャーニーの方法だと、その場限りで終わっちゃう。


とはいえ、かなりの参加者がいて、
知らずに通りがかった方も覗き込んでは面白そうだねぇとか
本持ってきていたら参加したのにぃって言ってましたから、
イベントとしては大成功なんじゃないかな。
伊豆でもやってほしいな。

因に、旅立たせた本の代わりに連れ帰ってきたのはこちら。
本につけられたメッセージから、
本のタイトルそのものが思い浮かんじゃうものもたくさんあったし、
ミステリーとか、冒険ストーリーとか、
失恋アンソロジーとか、名言集とか書かれていると、
直接的すぎて、どうしても内容が想像できちゃうのでやはり選ばないかな。
ということで、自分じゃ絶対買わないだろうし、
家にもないだろうと思われるこちらを選びました。 

六本木から有楽町に移動して、
イトシアのおかめさんでおはぎを購入。
朝、家をでる時に、
お彼岸だから東京の老舗の和菓子屋さんで
おはぎを買って帰ろうとだけ思っていて
おかめさんでなくてもよかったんだけど。
たまたま通りかかったイトシアで長蛇の列をみかけ、
その列の横に臨時屋台が出て
おはぎだけ特別販売していたので、
あん、きなこ、ごまをそれぞれ2個ずつ購入。 



本当はもう一カ所寄りたいところもあったんだけど、
父にお夕飯までに帰るって言い残して出かけてきちゃったし、
寄りたいところが本日営業しているのかどうかも調べていなかったので
またそれは別の機会に。
因に行きたかったのは、銀座の活版印刷屋さん。
中村活字さんで前回作った名刺は
イタリアの連絡先だけしか記載していないので
そろそろ日本の連絡先を記載した名刺を作りたいなぁと思ってね。

東京の街を細切れによく歩いた一日でした。


Scambi dei libri BukuBukuKoukan

2010-04-08 19:24:53 | 本と雑誌

本家ブクブク交換会の存在を知ってから
楽しそうだな、羨ましいなと思っていたのですが、
フィレンツェでもやりたぁいとなにげに声を上げたら
話はあれよという間に転がって
やってもいいよっていうことになり、
何とかフィレンツェ第一回目の開催決定までこぎつけました。

「ブクブク交換会とは」
本と名刺を交換することによって
新しい人と人との繋がりを作ったり
新しい世界観への第一歩を踏み出したりする
なんか底知れずわくわくするイベントです。

「参加資格は」
本に対する熱い情熱と新しいことへの好奇心のみ。
活字中毒だったり、
手元の本の処分に困っていたり
いつも同じ系統の本を読んでいるので
新しい分野の本を読んでみたいけど
どこから探していいのかわからないとか
とにかく動機は何でもOK。

Twitter発の口コミサブカルチャーイベント。
誰でも気軽に本を持ち寄って集まって
思うまま語り合いましょうという
ゆるいイベントです。

で、
<<第一回ブクブク交換会@フィレンツェ>>
(↑つまり今後も継続してやっていく気満々)
●開催日時● 2010年4月27日 19:30-21:30
●会場● Cuculia (Via Dei Serragli 3R e 1R/Firenze)
●参加費● 無料
●テーマ● 「食」「職」「ショック」
●参加人数●10-15名 先着順で締め切ります

*アペリティーヴォの時間なのでちょっとつまみながら
もしくはお茶飲みながらということになるので
会場での飲食代は各自負担
*テーマは広く解釈してもらってかまいません。
*文庫、新書、ハードはもちろん
雑誌、漫画など活字媒体であればなんでも可。
*上記の好きなテーマに沿った本を選んで
最低1冊、最高無限大ご持参ください。
*名刺持っている方は本に名刺挟んできてください。
*名刺のない方も気にせずに参加してください。

●●当日の流れ(希望的観測)●●
19:15 開場
*テーブルを用意しますので持参した本を並べてください。
*食事したい方はどんどん勝手に始めてください。
19:30 簡単なブクブク交換の説明
19:35 本のプレゼンテーション開始
*それぞれ持ち時間MAX2分で持ってきた本について
熱く語ってください。
20:05 討論会
*討論とは名ばかりの
「イタリアでの日本語活字の入手」についての軽い意見交換
20:20 本の交換&交流
*気になった本、気になった人と交流を深めて
本の交換を行ってください。
21:30 解散
*自分が持参した本の数だけ本の交換ができるので
是非面白い本を見つけて帰ってください。

ブクブク交換会の楽しさはたくさんあります。
テーマに沿った本を自分の本棚から選ぶ楽しみ。
ほかの人が選んできた本から交換したい本を選ぶ楽しみ。
自分の選んだ本をプレゼンする楽しみ。
ほかの人が選んだ本のプレゼンを聴く楽しみ。
本や活字の面白さやありがたみを語り合う楽しみ。
本を通じて友達ができる楽しみ。
交換した本を後日じっくり読む楽しみ。
感想をツイートしたりブログに書いたりする楽しみ。
交換できなかった本を探す楽しみ。
交換した本をさらに次回交換する楽しみ。
いつもとは違った仲間と時間を共有できる楽しみ。
ほかにも自分らしい楽しみを見つけるために
是非遊びに来てください。

さぁて
もっと詳しく知りたくなった人はどんどん質問してください。
参加したくなった方は早速予約!!
1.ブログにコメントで参加表明
2.Twitterで参加表明 
3.メールで参加表明
いずれの場合も参加者のお名前(ハンドルネームでも可)と
参加人数は必ずお知らせください。

たくさんの本と素敵な人に出会えるのを楽しみにしています。 


Angeli e Demoni

2006-08-11 15:43:00 | 本と雑誌

Angeli_e_demoni
いつ借りたのかも忘れちゃったくらいかなり前に友人から借りて
ようやく読み終えた作品。
ダン・ブラウンの「天使と悪魔」。
借りたのは日本語訳されたものだったのにもかかわらず
読み終わるまでに相当の時間を要した私。
常に読むのは遅いので仕方ないけど。

数学的要素が含まれている部分もあって
その分野がめっぽう苦手な私にはチンプンカンプンだけれど
科学と宗教(とりわけキリスト教)との関係は興味深いし
アンビグラムもかなり魅力的。

ダ・ビンチ・コードより面白かった。
展開はほとんど同じだけどね。
イタリア好きにはたぶん
こちらの作品のほうが馴染みやすいはず。

ベルニーニの作品が鍵となる本作。
イタリア美術史を知っていてローマの地理がわかる人だと
ある程度は先読みができてしまうのが難点。
事実私は一つ目の作品が特定されたあと
啓示の道の先が見えてしまい、一瞬興味を失いかけました。

しかし、情報量豊富で、
さまざまな伏線を張るのがうまいので
色々時になる部分を残しつつ書き進めていて
読者をひきつける技は冴えてます。

最終展開が予想外で面白かったので
是非映画化されたものを見たいなぁという感じ。

これ読んでからローマの街を歩きなおすと
今まで気づかなかったことにまで目を向けられそうだし
何よりもこの作品のおかげでバロック嫌いな私が
ベルニーニとまじめに取り組もうかと
思い始めているだから、かなりの威力ありです。

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Nagoya

2006-05-12 07:33:16 | 本と雑誌

以前「イケズの構造」で京都人の本質に触れ
今度はこれで名古屋人の本質を。

Nagoya

まったく違うタイプの本ですが。

名古屋って実は不思議な文化圏なのだということを改めて確認。
というか、名古屋にしかないものや
名古屋には進出できないものが色々あって
そんな要因が独特な文化を形成しているのだろうなぁって。

愛知県じゃなくて名古屋なんだよね。

静岡県民であっても東部育ちの私には
静岡市より西の浜松はもとより名古屋はすっごく遠いところ。
この本読んだら、名古屋探検に行きたくなりました。

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