カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

花TAKAO

2013-03-26 | ヤマのこと

2013.3.23(土)


急ぎ足で春がやってきてしまった関東地方。あまりの早さにこちらが付いていけず、
ようやくお花を求めて高尾に行くことができました。


  
もう遅いかな・・・と思いつつもハナネコノメは諦められない・・・
色々コースを考えた結果、やはり日影から行こうと高尾駅始発の小仏行きに乗る。
恒例の場所に行ってみると、崩れた斜面のせいか昨年のような群生はなかった。
それでも少しだけ咲き残っていたハナネコノメ、ヨゴレネコノメ、コチャルメルソウ、
ユリワサビ、イチゲに出会えた。


 
指先が冷たくなるような朝だったが、いろはの森コースをぐんぐん登っていくとちょうど良く温まってきた。
途中にスミレがぽつぽつと咲いていて、その度に足を止める私たち。


 
朝早いせいか?ほとんど行きかう人もなく静かな裏高尾。
そうそう、今日は女子3人のお花見?ハイキング、おしゃべりしてたらあっという間に山頂到着。
富士山はうっすら肉眼では見えていました。
いつもならごったがえしの山頂だけど、空いていたのでおやつ休憩。
ウッドさんの手を離れたしのぶとトン藤さんが久しぶりのご対面で嬉しそう


 
下りは6号路を行きます。日当たりのよいところで今年初めてのエイザンさんとタチツボさんに会いました。



このべっぴんさんはだあれ?雛さん??



この色白さんは細辛さん?・・・・結局判定できず去年習ったのに・・記憶力の悪さだけ再認識(^^;;


だいぶ下まで降りてきてようやく・・・



赤いシベのあるハナネコノメに会えました♪



朝は開いていなかったニリンソウも。


 
うっすらピンクの初々しい姿も見ることが出来ました。やっぱりカワイイ。


----------------------------------------------


 
昼食は簡単なものを各自用意していたのですが、高尾山駅についたら11:00過ぎていた。
朝が早かったのでお腹が空いてしまったけど・・・下山しちゃったね、どこで食べる?
食べる場所もない・・・じゃお蕎麦食べちゃう??と予定変更。
女子三人・高橋屋でとろろ蕎麦。とってもおいしゅうございました♪


 
さーて、エネルギーをチャージしたら、もう一山登りますよ!
午前の部を終え、午後の部は”草戸山”
途中、以前から疑問に思っていた匂いの素が明らかになってスッキリ気分(^^♪


 
こちらの尾根は何も咲いていないかな?と思っていたらシュンランと・・・すみれちゃん。


 
いくつかのアップダウンを繰り返し、開けた草戸峠到着。ベンチがあったので休憩。
目の前に先ほどいた高尾山あたりが見えました。



 
草戸山はすぐそこまで車が入れるので、お子様連れとか賑やかだったので写真だけ撮って終了。
階段をグングン下りていく途中に、おしくらまんじゅうスミレちゃん。寄り添いすぎて何だか解りません


 
城山湖が見えてきました。ダム湖の脇を通り、金比羅神社を抜け・・・


 
まだまだ歩いて梅のピンクと菜の花黄色のコントラストが素敵な里山に降り、
車道を歩くとようやく今日最後の目的地”かたくりの里”へ到着。



午前中は開いていないからと午後にしたものの・・・曇っちゃったからかな?
うつむき加減のカタクリさんばかり。



それでも今年初めて会えたので、嬉しいことには変りないのです


 
それに今日は去年よりも雪割草が元気よくって・・・



あっちも


 
こっちも



花盛り~


 
他にもアズマイチゲさんやらキバナカタクリ(4月開花予定らしい)


 
アカヤシオツツジとかヒカゲツツジとかイワウチワとか。
ここで見てしまったら探しに行く楽しみがなくなるほどの、たくさんのお花が咲いていました。


でも・・・


 
今日一番印象に残ったのは・・・ひめこぶし。
いちごみるくのような淡い色合いが優しくて可愛らしく、香りもよくてうっとりしちゃいました。


そんなお花三昧おしゃべり三昧の女子会の1日でした。


おしまい。



【行程】高尾駅7:12→日影沢7:30→いろはの森コース→高尾山頂9:10→6号路→高尾山口11:05
    高尾山口11:40→草戸山13:10→城山湖13:45→かたくりの里14:40~かたくりの里バス停16:30→橋本駅   (休憩・見学含む)



かわみんさんのレポはこちら

※かたくりの里にはここに載せきれないほどのたくさんのお花が咲いていました。








富士山に向かって歩け!甲相国境尾根

2013-03-19 | ヤマのこと

甲相国境尾根(こうそうこっきょうおね)とは、丹沢山地の丹沢主稜の内、
大室山以西の山梨県(甲斐国)と神奈川県(相模国)の県境に伸びる延長約20kmの尾根である。
(Wikiより抜粋)

* * * * * * * * * * * *

富士五湖周辺の山に行く度に気になっていた丹沢から続く尾根。
いつか繋げて歩きたいけど、暑い時期は水場がないのでダメ、距離が長いから陽の長い時期に・・・
と数年前からチャンスを狙っていたこの企画。土日晴れ予報のこの機会を逃したら次はいつかわからない!
と意気込んで出発したのですが・・・・・・。

2013.3.16(土)

 
小田急線新松田駅7:20発の西丹沢自然教室行きバスに乗る。この時期はまだ空いていて助かります。
終点までは行かず「大滝橋バス停」で下車。支度を整えまずは「畦ヶ丸」目指して出発。
真っ青な空の下、1日で抜ける予定という単独男性と我々だけの静かなスタートです。


 
何度か沢を渡りながら思ったより緩やかな登山道を気持ちよく進んでいく。



見た目は冬枯れの装い、だけど今日は気温が高いらしく既に汗びっしょり。


 
そろそろ休憩しようかな・・・と思ったところで「一軒屋避難小屋」が見えた!
沢の脇にこじんまりと建つ小屋はロケーションは良いけど、
中に入ると毛沢東の顔写真が貼ってある発炎筒とか爆竹とか色んな張り紙があってちょっとコワイ系(^^;;


 
小屋で10分ほど休んで更に進むと”大滝峠上”尾根に乗りました。
ここまでは予想より順調に(CTが甘いみたい)進んできたけれど、とにかく眠い・・・どこかで横になりたいくらい。
連日の仕事疲れが取れていないのを知っていたけれど、無理矢理来たのだから仕方ない。


 
ここからようやく本格的な登りになる。約半年ぶりの15kgザックは鈍ったカラダに堪えます。



時々平坦な道では息を整え、遠くに大きな大室山を見たり、景色を楽しむ余裕もあるけれど・・・


 
避難小屋直下の登り階段はシャリバテと暑さできつかった!到着と同時にベンチにザックをほおり投げ撃沈。
おにぎりを食べ、目と鼻の先の畦ヶ丸へ行くけどチェックだけ。
今日はまだここからが長いのです・・・。




”モロクボ沢の頭”に向けて出発です。この時点で結構疲れてて本当に辿り着けるのか不安ですが・・・
行くしかない!気合だぁ~。



分岐から先は、いきなり下る・・・



ぎゅいん、と登る・・・



ヘコタレル・・・の繰り返し。



小さいながらもアップダウンの多い尾根。下れば登る。登れば下る。
下りを見れば「この後又登るのか・・・」とうんざり(^^;;登りを見ればもうビバークしたくなりそうで・・・
なかなか快適な尾根歩きはさせてもらえませんでした。



だけどこんな気持ちの良い尾根も・・・たま~に。
ここ、西丹沢の奥は東丹沢の賑やかさはなく、行きかう人もなく静か。
こんな山域を黙々と歩くのも結構好きな我らには楽しい時間でもある。



眠いのと疲れているのでこの辺りの記憶も途切れ途切れですが・・・ようやく”城ヶ尾峠”に到着。
この辺りは”さかせ古道(三が瀬)”と呼ばれた歴史ある道らしい。
なるほどより一層の静けさを感じる峠だった。でもここから菰釣までまだ3.8kmもあるの・・・。



静けさが際立つような”城ヶ尾山”空に向かうような登りが気持ちよかった。
だけど・・・まだまだ着かない。中ノ丸、ブナ沢ノ頭を越え・・・



だいぶ陽が傾きかけてきたところでようやく"菰釣避難小屋”に到着しました。
登山口から約7時間、かなりヨレヨレで到着、お腹も空いたし早く眠りたい・・・。
(※普通の人で荷物が軽ければそんなにハードな道のりではないです)




小屋に入ると中はとてもキレイで犬越路避難小屋と同じくらいの広さ?でしたが、
先客がいて我々入れて6人。この時期だからもしかして貸切?を期待したけど甘かった。

ここは”道の駅どうし”からだとすぐにこれる位置にあるようで、富士山撮影の為にも使われるみたい。
私たちのように遠路はるばる西丹沢から来る人はいないのかな・・・(^^;;

計画段階で道志からタクシーで来ようか(休日はバスがないので)とも一度は考えたのですが、
それでは自分たちの歩きらしくない。やっぱり初心貫徹で、と来て・・・ヘロヘロになりましけど^_^;
最後に元気な若者一人加わり7名、スペースが足りなくてダンナは土間で寝ることに。

早速夕食に。この写真(私のザックより出てきたものたち)のほかにも水2.85L、ジュース・お茶1L、ビール850ml、
梅酒250ml、ワイン350ml水分合計5リットル背負ってきました。(水場があったかどうかは不明)
ビールが疲れた体に染み渡る~~~~結局皆さんで話が弾み担いできたお酒は全部飲んで終了。
頑張った1日が暮れていきました。




--------------------------------------------------------


2012.3.17(日)


3シーズンシュラフでは少し寒かったのであんなに寝不足だったのに良く眠れず、迎えた朝は晴れ。
今日も約6時間の予定だけどやっぱりモタモタし、5:45出発。


 
小屋からまだ少しだけ雪の残る登山道を20分ほど登る。
朝焼けに赤く染まるブナ林を登りつめると・・・



そこが菰釣山頂でした。



朝の澄んだ空気の中で見る富士山・・・何度見てもやっぱり感動してしばらくじっと見入ってしまう。



 
今日も天気でよかった。さあ、ここからゴールに向かって進みましょう!

油沢ノ頭、樅ノ木沢ノ頭、西沢ノ頭を越え石程山・・・
若干のアップダウンはあるものの、昨日よりはずっとラクに歩けます。
(ザックが5kg軽くなったのももちろんあるけれどw)



足元を見つめても、



空を見上げても、ブナブナブナ。



ブナ三昧の尾根は本当に気持ちが良い。この時期まだ葉はないけれど、この景色もなかなかです。
新緑にむせぶであろうこのブナの森も、きっと素敵だろうな~

目の前の木々の間からずっと富士山が見守ってくれていました。


 
ブナ三昧の森とアブラチャン純林、山伏峠への分岐を過ぎ、
右手に大きな御正体山、石割山。見慣れた景色が見えてきたら・・・


 
富士岬平到着。ゴール!ヤッタネ!!目の前にドカン、と大きな富士山。
大好きな山中湖越しの富士山が青空の下、しっかりと私たちを迎えてくれました。



あぁ・・・ちょっと辛い二日間だったけど来てよかった、ご褒美もらった。歩ききれてよかったな。しみじみ。


 
ここから20分ほどの高指山は次回ダイヤモンド富士の時の為にとってあるので寄らず、
最終目的地は”石割の湯”別荘地を抜け道志みちに降り、20分ほどで到着。
荷物を軽くしようと食料をギリギリにしてたのでお腹ペコペコ。
温泉後はビールで乾杯、”富士山カレー”を食べて平野から中央高速バスで帰りました。


登りが辛くてしんどい時は「仕事の辛さよりましだ、頑張れ!」と思うし、
仕事が辛いときは「休みになったら山に行こう、頑張れ!」と思うし。
どちらにしても山を基準にして頑張ろうと思えるのって、とてもありがたいことだと感じました。
いつか繋げて歩きたかった、ずっといつかはと思い描いていた今回のプチ縦走路。
大好きな富士山に迎えられ、また苦しくても頑張れる元気をもらいました。


甲相国境尾根、まだ抜けているところがあるので続きは又いつか繋げましょう。
なーんて、苦しかったことはもう、忘れちゃったね


おしまい。



【行程】1日目:新松田駅7:20→大滝橋8:50→一軒屋避難小屋10:00~10:20→畦ヶ丸避難小屋12:00~12:35
       モロクボ沢の頭13:00→大界木山14:00→城ヶ尾峠14:20→菰釣避難小屋16:00
    2日目:菰釣避難小屋5:45→菰釣山6:05→大棚ノ頭8:55→富士岬平9:40~10:10→石割の湯10:40









ユガテ~黒山三滝へ

2013-03-12 | ヤマのこと

2月中旬より月曜から金曜まで毎日11時間以上、ほぼ息つく暇も無く働く日々・・・
週末に山歩き出来る元気など残っていない今日この頃な私でございます・・

でも・・・天気予報が晴れ、となったら行きたい!ストレス発散したい!でも身体はフラフラ、どうしよう・・

ということで、どこでリタイアしてもすぐ下山可能なゆるゆるハイキングを、と埼玉に行ってきました。


2013.3.9(土)

 
いつも交通の便が悪い、と思っていた奥武蔵ですが、この辺りまでならそんなに時間がかからないと気づく。
以前から一度行ってみたかった「ユガテ」西武線を乗り継ぎ「東吾野」駅下車。
この日、東京は暖かな朝だったが、電車を降りるとひんやり。やっぱり寒いのね。

福徳寺まで来ると、地図には載っていない「飛脚道ユガテ」の看板がありました。
”地主さんのご好意で古道を復活整備した”と書いてあります。ならば行ってみましょうか。


 
なるほど古道っぽく背の高い杉林の中を息切らし登ると、なだらかな道になり・・・



ふわっと目の前が明るくなり、開けました。ここが「ユガテ」福徳寺から1時間ほどかかりました。



マンサクと蝋梅がまだ見れました。


 
お花がキレイな所らしいのですが、何も咲いてないハンパな時期のせいか?誰もいない静かなベンチ。
ユガテというちょっと不思議な名前の由来は「湯が天に届くほど湧き出ていた場所」
という説も合ったり色々らしい。



山の中の静かな集落。仕事で頭が疲れて何も気を使いたくない時にはもってこいの場所だ。
ベンチに腰掛け、誰もこない山村でしばらくぼーーーっと花粉で煙る空を眺めていたw



家の脇には満開の蝋梅トンネル。青空の日に蝋梅に会えたのは今年初めてだったかも?



オオイヌノフグリたちも今年初めて。春ですね~。



さてここから先も初めての場所、顔振峠へ進みましょう。


 
エビガ坂~十二曲り。時々車道に出たり、小さくアップダウンを繰り返し・・・


 
巻き道を来てしまったのか?分岐から戻るように今日初めてのピーク「越上山(おがみやま)」到着。
山頂からは展望なし、途中ですこし眺めの良い場所がありました。


 
またぐんぐん降りて神社の鳥居、スカイツリーが見えるらしき場所からは何も見えず・・・


 
諏訪神社を経て、ようやく顔振峠へ。この顔振峠(かあぶりとうげ)の名前の由来は、
鎌倉時代、弁慶以下義経主従がその景観のあまりの美しさに何度も振り返ったことから、
その名前がついたという(西武線沿線情報)。



なるほど今日一番の眺めでした。



 
日当たりも良く、茶屋も何件かあるのでここでゆっくり昼食できればよかったのですが、
今日は夕方から用事があり、食べるものも控え気味なので持ってた食料で我慢我慢・・・
ここでも今年初めてのスミレちゃんに会えました。


 
その後は地味に傾斜の歩きにくい車道歩き、金杉峠を右に折れると「関東ふれあいの道」
いつも通りあまり整備されてなくちっともふれあえない道をグングン降りると、いつしか水の音がしてきて・・・



黒山三滝に着きました。


  
わりとこじんまりとした滝でした。男滝、女滝、そして少し離れたところに天狗滝。


 
観光地らしいのですが、昭和にタイムスリップしたような土産物店のおばあちゃんがかわいかった。


 
以前こっちに来ることがあれば一度入ってみたかった「黒山鉱泉館」で汗を流し、
バスに揺られて越生駅まで。
本当は途中下車して「越生梅林」を見る予定だったのですが、この日は激混みとのことで、
混雑嫌いのダンナ様即却下。
実際、通りがかっただけでも凄い人だったので行かなくて正解だったのですが、
眠くて体が重いながらも、のんびりハイクでリフレッシュできた一日となりました。


・・・それにしてもこの忙しさ、いつまで続くんだろう・・・
早く新しい人が見つからないと、土日で夏山に行ける体力は残らなそうな危機感(゜ω゜;)
事務系で正社員募集中です、誰かーーーーっ(笑)


おしまい。


【行程】東吾野駅8:00→ユガテ9:00→越上山10:50→顔振峠11:30→
    黒山三滝13:00→黒山鉱泉館13:30~ 黒山バス停14:59→越生駅15:40(休憩含む)










北東北に。

2013-03-11 | イワテケン

2013.3.11 東日本大震災から今日で丸2年が経ちました。



(2012.3月 陸前高田)
被災地でも復興が進んでいるところ、時が止まったままのところ。
そして我々が住んでいる東京と、被災地、大きなギャップがあります。
心の問題も大きく、まだまだ傷が癒えないまま、2年が過ぎようとしています。
あらためまして亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。




(2011.5月の羅賀荘)
ダンナ様の実家から近い「ホテル羅賀荘」も3階まで津波が押し寄せ甚大な被害を受けました。

当時は再建は厳しいかな・・・と思っていましたが、嬉しいことに1年8ヶ月の歳月を経て昨年11月、
営業再開となったそうです。とても元気になれるニュースでした。
サッパ船アドベンチャーズも再開しています。皆の努力の賜物です。


北東北はほんとうに良いところです。素晴らしい景観・自然の宝庫。自慢の真っ青な海と海の幸。
まだの方は是非一度、真面目でこつこつと努力を続ける、心温かな人々の笑顔に会いに来てください。
あなたの心に沁みる何かに、必ず出会えると思います。





爆弾低気圧とくろがね小屋

2013-03-06 | ヤマのこと

2013.3.2(土)~3.3(日)安達太良山目指して友人と一緒に出かけました。

2ヶ月前から予約を入れて楽しみにしていたこの週末。
前日までの天気予報では北日本は荒れ模様だが福島は晴れマークがついていた。

土曜日、新幹線がトンネル抜けるにつれだんだんと雲が多くなっていた。
郡山駅に着いたらどんより空に雪まで降ってきた。雪は降るだろうと思っていたから良いのだけれど、
一番気がかりだった風が・・・まずい感じに。スマホで天気予報をチェックしたら、
「爆弾低気圧・北海道と東北は暴風や猛吹雪に警戒」となっていた・・・



 
あだたら高原スキー場シャトルバスに乗るころには、「ゴンドラは強風のため運休ですので、そのつもりで・・・」
のアナウンス。
安達太良山は去年行って風でゴンドラが止まるようでは山頂は無理と解っていたので、
この時点で目的地を「くろがね小屋」に変更した。
それでもシャトルバスは3台も出るほどの盛況ぶりだった(半分以上はスキー客)

バスを降りたら吹き飛ばされそうな強風に迎えられたが、準備をして出発。



スキー場に立っているだけで転んでしまうほどの突風が吹きつけるのには驚いたが・・・



それでも樹林帯に入れば強風からは逃れることが出来、うっすら日も射していたので、
明日の晴れを信じて登っていく私たち。




今日は前回歩かなかった「勢至平」経由で行きます。



ゴウゴウと唸る風の中、登っていれば寒さなど感じずむしろ暑いくらいだったけど、



坂を登りきって見あげた空には、消えていく太陽・・・



天気が良ければ平坦で広い尾根はスノーハイクには最高なんだろうけれど、
5分と空けず”ドドドドドーーーーッ”と叩きつける風は予想以上で段々笑えない状況になり・・・。



強風に地吹雪も加わり、視界不良に。多分3m先は見えていない。トレースは瞬時に消えていく。
こういう時、道を誤るとかなりまずい・・・のは私でも解る。




ここまでの道のりで既に3組ほど「撤退します」という人たちとすれ違って来ていた。
そしてまたこのタイミングで「引き返します」と2人の男子・・・悩んだ。

地形的に多分今、この辺りだろう、という予想はあったが核心ではない。
私のスマホGPSは寒さのせいか?全然いう事をきかない。
やはり街の物は雪山では使い物にならなかった。
引き返すべきか・・・それとも・・・相談しているうちにほんの少し風が弱まり、
前方が見えた気がしてもう少し進んでみることに。




強風は主に向かい風だったから、息が苦しくて辛かった。前も見えなくてきつかった。
途中3箇所ほどトラバース気味に進むところがあり、強風でバランスを失わないように気をつける。
トレースはなくても足裏の感触でガチガチになっているところがルートだと解るので、進むことが出来た。
最初からアイゼン履いて上がってきて良かった。
そうじゃないと突風に煽られたら踏ん張れなかったように思う。


まだかなまだかな・・・赤テープを頼りに来たけど本当にこの道で合っているのか・・・



不安になった頃、前方に・・・「見えた!小屋だー!」思わず叫んだ。




吹雪の中にぼんやり浮かんだ小屋。こんなにありがたいと感じたことは今まで無かったかもしれない。




くろがね小屋も容赦なく強風に叩きつけられていた。



結局視界不良になった地点から1時間程度で小屋に着いたけど、ずいぶん時間がかかったような気がした。
山頂に立った訳でもないのに、小屋に着いたらなぜか「やったね!」と喜び合う私たちだった。




荒れ狂う吹雪の外から、温かな小屋に迎えられた時は本当に天国に来た気がした。
伊藤さんの笑顔と労いの言葉で、強張っていた身体が解けて、急にお腹がすいてきた。
そういえば何も飲まず食わずでここまで来てしまった。




こうしておしゃべりしている間にも、いくつもキャンセルの電話が入る。
この状況だから仕方ないけどさ・・・と寂しそうな伊藤さん。
山頂から来た人いますか?と聞いたら「なワケないじゃん!こんなのエベレスト級だよ!」皆で笑った。




時計を見るとまだ14時前。
空いているうちに温泉にゆっくり浸かって、と言われ支度をして温泉へ。
もともと良い温泉だけど、辛かった分、しみじみ身体に染み渡る至福の一湯であった。


----------------------------------------



ゆっくり30分ほど入っただろうか?夕飯の支度でもしようかと食堂に下りていくとなんだかざわざわ。
どうやら団体さんの中の一人が滑落したと、仲間が小屋に言いに来てパニック状態になってる様子だと。
小屋の主人も伊藤さんも出動して救助にあたり、小屋まで戻ってきたところだった。
(この先の写真は撮りませんでした)


玄関が開き、雪と強風と共に救助に行った彼らが到着し、一瞬凍りつく空気。
小屋にいた我々が息を飲んで見つめていた先に、担架(そり)に乗せられた女性・・・生きてるっぽい。

でも寒さとショックからか横たわったままガタガタと震えていた。そりゃそうだ。
あの強風の中、10分じっとしていたら冷えきってしまうほどの寒さだもの、無事でよかった。
宿泊客皆で手分けしてもうひとつのストーブ点けたり、毛布を2階から降ろしたり、県警に電話したりバタバタ。
幸い外傷は無く、左足首の骨折だけで済んだらしい。
緊迫した空気の中、急遽ヘリで降ろすからとツェルトやらザイルやら準備に更に慌しくなったが、
まさかこの強風では無理・・・と思っていたら、やはりヘリが近づけないとのことで明日まで待機となった。

少人数で運営するような小屋で事故があると本当に大変だ。
それでも悪条件の中、テキパキと対処する小屋番さんの姿には頭が下がる思いだった。
的確に指示を出し、そんなにシビアじゃないと解ったら緊張感を和らげてあげようと
ユーモアも交えて接する伊藤さん。

そんな小屋番さん達の努力のおかげか、骨折した女性も仲間達にも笑顔が戻り、
遅れてしまった夕食の時間には怪我した本人もみんなも笑顔でカレーを食べれたのだった。
よかった・・・本当にホッとした。



 
他の客たちもようやく落ち着いてそれぞれの宴を始めた。
私たちも今回は予約していたコンロセットで鍋を囲んでの自炊。楽しい話に花が咲いた。



 
去年暖かいと感じていた小屋は、荒れ狂う強風で冷やされるせいか今日は寒かった。
だけど温かな山の恵みに何度も浸かり、半数の人がキャンセルになった小屋でゆったり眠った。


-----------------------------------

天気回復を願っていたが、残念ながら夜中に吹き荒れてた風は朝になっても止まない。
叩きつける風の間隔は長くなったけど、あと数時間で回復するような感じでもない・・・山頂方面は真っ白。
一応伊藤さんに聞いてみると、「・・・今日はその辺でソリでもしてさ、またおいでよ。楽しいのが一番だから」

はい。心から信頼できる彼の言葉に素直に従います。



小屋では朝から骨折者の搬送準備で忙しく、風が止めば空からだけど、下から救助隊が出発してるから、
とスタンバイ中。我々も気を引き締めてまいりましょう、と下山です。



昨日よりはずいぶん風が静かになった。



それでも滑落しそうなポイントでは細心の注意を払い進む。



緊張する場所をクリアすると、小屋に向かう13名の救助隊とすれ違った。お疲れ様です。



お約束通り下山し始めたら強風もだいぶ収まり、太陽が見え隠れしてきた。
なんだか色んな経験をした2日間だった。





さて・・・樹林帯に入ったらザックをおろし・・・ごそごそ・・・




シャキーン☆



 
登山道ではないところにソリコースを作り、Let'sソリTIME☆
雪と戯れるような天気ではなかったから、ようやくここに来て遊ぶ余裕も出来ました。



散々笑って、さあ帰りましょ。昨日あんなに辛かった風も穏やかになり、下山はあっという間。



スキー場に無事戻ってきました。今日もゴンドラは運休です。


 
スキー場からはタクシーで岳温泉まで戻り、去年と同じ岳の湯でリセット。
同じく「成駒食堂」で昼食。


 
去年食べ切れなかったので、私は”名物・安達太良カレー”
ソースカツ丼はもちろん美味しいけど、カレーも昔ながらの懐かしい味でホント美味しかった。


 
岳温泉から二本松駅への路線バスに乗り、後ろを振りかえると、今頃安達太良の峰々が見えてきた。
友人と一緒に山頂で笑いたかった、ほんとうの空を見せてあげれなかったのだけが心残り。

ずっとこの日を心待ちにしていたけど山頂を目指すことすら出来なかったし、吹雪も辛かった。
だけどもうこんな山行は嫌だ、ここには来たくない、とは全く思わないから不思議。

それはひとえにくろがね小屋の温泉の良さと、郡山の駅から始まり小屋~食堂までで出会った、
実直で心の温かな福島の人々の魅力のおかげだと思っている。



必ずまた来ます。ありがとう。



【行程】往:郡山駅シャトルバス9:00→あだたら高原スキー場10:20
    スキー場11:00→くろがね小屋13:10
    復:くろがね小屋8:10→スキー場10:15(遊び含む)


※昨年の安達太良山レポはこちら

※女性は無事に救助されたようです。