チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

ベートーヴェン交響曲第9番 第1楽章「第3主題」とワーグナーへの悪口(シェンカー)

2013-11-15 21:35:37 | 第九らぶ

図書館に『音楽の世界』(日本音楽舞踏会議発行)というマニアックな雑誌があったので手に取ってみたらハインリヒ・シェンカー(1868-1935)の『ベートーヴェン第九交響曲の分析(1912)』という著作が連載されていました(2002-03年野口剛夫訳)。

かつてフルトヴェングラーがこの著作に感銘を受けたらしいのですが、難しくてあまり理解できませんでした。

でもボクでもわかる、ちょっと面白いことも書いてあったのでメモしておきます。

1.第1楽章に第3主題がある!?

 

138-149小節をシェンカーはハッキリ第3主題として捉えています。


espressivoで138小節オーボエ、139小節フルート、144小節ファゴットと主旋律が引き継がれていきます。

ベートーヴェンの交響曲に第3主題があったなんて初耳?



2.リストのピアノ編曲を裏付けにした、この部分へのワーグナーの分析をメチャクチャこき下ろしている。

ワーグナーは、リストが第九のピアノ編曲の中にフルートの143小節の7度音程を入れなかったことについて
「リストが、この明晰さを邪魔するフルートの混入を無視することによって巨匠(ベト様)のもともとの意図は一切の誤解から守られた」と賞賛したそうです。
ボクには理由はよくわかりませんでしたが、要するに、このフルート↓はベートーヴェンの過失だったと。



それに対し、シェンカーは
ワーグナーはベートーヴェンの作品では他にも至る所で使われているような、このような書法が楽器法の原則であることがわかっていない!とか、そもそもリストがそのフルートをピアノ編曲に入れなかったのはその音域がピアノでは弾けなかったからで、ワーグナーにはリストの編曲を自分独自の見解の裏付けとして使う権利はない、この知ったかぶり!って怒っています。

あのワーグナーをですよ、人格ではなく音楽のことでここまで攻撃している文章をハンスリック以外読んだことがなかったので少し驚いてしまいました。ワーグナーが亡くなって30年近く経ってからの著作ですし。

ワーグナー自身の第九のピアノ編曲(合唱あり)もありますよね。その編曲の中でこの部分がどう処理されているかも確かめないとあきまへん。


。。。それにしてもこのシェンカーって一体何者?



Wikiで調べたら「音楽学者。シェンカー理論(楽曲を主和音から出発し、そこに還元されていく過程としてとらえる)の創始者。ポーランドで生まれ、その後、ウィーンへ移住し、そこでアントン・ブルックナーに師事。。」

ブルックナーのお弟子さんなんですね。第3主題の件はなんとなく理解できましたがワーグナーへの態度は。。。?



最後に、もう一つ、心に残る一行がありました。(つい最近までそうだったような?)

「ベートーヴェンの書法の根拠を簡単には説明できないことがあると、それを単に巨匠の耳の病気のせいにしてきたのだ!」



(この著作は音楽之友社から単行本が出ていました。訳者は異なりますが、買ってまた読んでみます。)

↓ 届きました-!第九の生い立ちとかいろいろ書いてあります。楽しみ~

 

(追記)『名曲悪口事典』(音楽之友社)で一番多くのページを割かれている作曲家がワーグナーでした。当時の評論家やら作曲家からめちゃくちゃ悪口言われています。

ニューヨーク・フィルハーモニックの理事であったジョージ・テンプルトン・ストロングが1866年に「ベルリオーズの作曲が千鳥足のチンパンジーだというなら、ワーグナーの作曲は、阿片に酔った豚である」と日記に書いたんですが、そのベルリオーズにも1861年に「ワーグナーは明らかに狂っている。」と手紙に書かれていました。。この本笑えます