チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

諸井三郎・誠 親子

2014-07-24 21:57:08 | 日本の音楽家

昨年9月にお亡くなりになった作曲家、諸井誠(1930-2013、モンロイ氏)の最後の著作『ブラームスの協奏曲と交響曲』(音楽之友社)を買って今読んでいます。マニアックでありながら読み物として楽しく、その音楽を是が非でも聴きたくなるというのは他にもたくさんある諸井氏の著作に共通する特長だと思います。



自分がマーラー10番の補筆完成版が大好きになったのも、当初は眉唾ものだと半信半疑でクック版の録音を聴き始めたというモンロイ氏の、フィナーレのフルート・ソロでとうとう「落涙する始末」という著述を読んだからに違いないです。

そこにおいて、さらにモンロイ氏は「10番の終わりと1番の開始が繋がって、やっとマーラーの交響曲のでっかい輪が完成した」というようなことも書かれていて目からウロコでした。


そんなモンロイ氏に偉大な作曲家のお父さん、諸井三郎(1903-1977)氏がいるということ自体は知っていましたが、肝心の曲は聴いたことがありませんでした。

しかし、やはり近年のゲルハルト・オピッツの録音「日本のピアノ作品集」の存在が大きいですね!CDの最後に三郎氏のピアノ・ソナタ第2番変イ短調(1927)が収録されていて、すばらしい曲だと思いました。自ら秀でたピアニストだったという作曲家の、キビシー内容のソナタですが、その反面音楽そのものの楽しさに溢れていて、さすが親子、血は争えないなーって感想です。



それに、ドイツの有名ピアニストによって日本人作家の曲が「逆輸入」されてしまうと日本人の聴き手としては弱いです。良い曲なんだって思ってしまう。こんな逆輸入ならどんどんやっていただきたいですけど。

来年の5月エストニアでネーメ・ヤルヴィが、「事件」の一部始終を知った上で佐村河内さん&新垣さんの"HIROSHIMA"を振るそうですが、あっちの聴衆にめっちゃウケて高く評価されちゃったりしたら面白いっすよね!

( ↑ 音楽之友昭和28年4月号より)

"I regret very much that I was unable to meet this master. He died in 1977, one year after I went to Japan for the first time. "
オピッツさんが諸井三郎さんに会えず残念!ってCDの解説書に書いていますが、息子モンロイ氏には会えたんでしょうか?