夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『運命じゃない人』

2006年03月02日 | 映画(あ行)
『運命じゃない人』
監督・脚本:内田けんじ
出演:中村靖日,霧島れいか,山中聡,山下規介,板谷由夏他

タイトルに惹かれてレンタルしてみたものの、
板谷由夏と山下規介(ジェームス三木の息子)以外、聞いたこともない俳優ばっかり。
ところがこれが最近観た邦画のなかでダントツ。
ものすごくよくできた脚本に、上手いのか下手なのかわからん演技。
でもフツーの人を演じたらこれが自然。
観終わった後、小さな幸せが日増しに大きくなる気がします。

主たる登場人物は5人。
呆れるぐらい「いい人」の宮田武、サラリーマン。
立派なマンションにひとり住まい。
元カノと暮らすつもりで購入したのに、
売買契約の数日後、彼女は「他に好きな人ができた」と
宮田のもとを去ってしまったのだ。
彼に残されたのはローンだけ。
なのに宮田は彼女を恨みも責めもしない。

宮田の親友で、私立探偵の神田勇介は
元カノに未練タラタラの宮田を呼び出し、ナンパを勧める。
「三十超えたら運命の出会いとか、もうないから。
クラス替えとか文化祭とか、ないんだぜ」。
そう語る神田の力強いアドバイスは
「出会った女には電話番号を聞け。電話番号をナメんなよ」。

婚約中だった男性の浮気の証拠をつかみ、
同棲を解消して飛び出してきたのは桑田真紀。
当面の金に充てるつもりで婚約指輪を質屋へ。
ところが、その指輪は3,500円にしかならない代物。
茫然自失、行く当てのない真紀は
とりあえずの居場所を求めてレストランへ。

この3人に宮田の元カノ、倉田あゆみと
ヤクザの組長、浅井志信が絡み、
一晩の出来事を行きつ戻りつしながら紡いでいきます。
これ以上は勿体なくて書けませんけど、
「この日、ボクの家のドアは3回開いた…」、
そのキャッチコピーがわかりはじめるときには
幸せ度が上昇し、顔の筋肉がホヨヨ~ン。

すべての登場人物に惹きつけられます。
レストランで客の会話に思わず聴き入るウエイター。
タクシーの運転手、ヤクザの若い衆、便利屋のやまちゃん。
どこかでみんなが繋がっている、
その見せ方が驚きの連続で愉快。

宮田役の中村靖日はCM出演多数で、
優香や嵐、ケイン・コスギなどと共演しているのですが、
あまりにいい人で薄い顔。
「そう言われてみればそやなぁ」の印象が
まさにこの役にピッタリなのでしょう。
神田役の山中聡も軽そうで実はいいヤツに最適。

観た翌日、DVDを即買いしてしまった1本。オススメ。

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