マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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長谷町の行事

2010年08月02日 08時22分35秒 | 奈良市(東部)へ
田原の里のひとつに長谷(ながたに)町がある。

白砂川の上流を遡っていくとそこが長谷町。

ムネデ、シミズガイト、ニシタニガイト、オクガイト、カイトワケからなる五つの垣内がある。

ムネデは峰出が訛ったものであろう。

山添村の峰寺の呼び方はムネデラだった。

現在はミネデラ。

ミネをムネと訛る傾向があるようだ。

こんな話をしたら自治会長さんは肯かれた。

それはともかくムネデから急こう配な山道を登りつめた地に日吉神社が鎮座している。

長老らの話では来週が虫祈祷。

塔ノ森参りを済ませてから神社で祭式。

8月の末には風の祈祷が行われるという。

神社で虫祈祷ははじめて聞いた。

虫供養の祈祷をあげているのは寺行事。

各地でみられるのはお寺さんだった。

それが長谷町では神社の行事。

橿原のほうから神職を迎えて行うという。

神仏混合であるのか、水間もそうであるというから神社事例は研究の余地がある。

興味深いのは風の祈祷だ。

村の人は手に手に笹竹を持って走り回るという。

本殿の周りを3周。

境内も3周。

走って風を巻きおこす。

天の災いや難を避けるというそうだ。

風を表現するにはモノが動くこと。

灯明の火が消えるのは風のせい。

風を造るのが扇ぎ。

写真表現と同じで「風」の表現は面白い。

ちなみに長谷町では五つの垣内ごとに庚申講がある。

旧暦閏年にされている庚申さん。

街道の傍らの庚申さんには桜井市の山間で行われているトアゲの花立てと形状が似ているものがある。

春の時期だというから同じ日であろう。

一つ違うのはそこに青竹で組まれた大きな鳥居があることだ。

長谷町は過疎化が進んでいる。

50軒あった町は十年ほどの間に32軒に減った。

子供はいない。

伊勢講や1月中旬に新年会を兼ねて行うコンピラ講もあるというが、行事を勤めていくのがとても難しいと自治会長は仰る。

(H22. 6.20 SB932SH撮影)