マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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丹生町の風習

2010年08月16日 08時45分51秒 | 奈良市(東部)へ
丹生町には旧地名が残っている。

北野山町との境にはマトバやカンジョウの名がある。

新道ができてからは判りにくくなっているが、そこはまさしく行事がされていたであろう旧地名だ。

マトバは的場。

おそらく弓打ちがなされていたのであろう。

カンジョウは勧請掛け。

悪病が入り込まないように綱(縄)を掛ける場だったと思われる。

トンヤ坂の地名も残っている。

今は布目ダム。

ダムができるまでは布目川だった。

川で運ばれてきた荷物はトンヤ口で下ろして上げていた。

トンヤは問屋の名残であろう。

テラジは寺の跡。

シロヤマは城山。

ヤオトメは山越えの峠道だ。

秋祭りに欠かせないのが半身のサバズシ。

竹の皮を敷いてサバを載せる。

それをくるんで藁で縛り重しで締める。

発酵しかけたサバは焼いて食べるという。

近隣の山添村北野、桐山、的野、峰寺、松尾、室津もその味わいがあるという。

F家の菩提寺は北野山町の明王院。

9月3日はイセキがあるといって当主も行かれる。

町は20軒。

本堂を開けてお供えをする。

村人みんなが寄ってきて屋外で過ごす。

昔は盆踊りをしていたそうだ。

イセキは会式が訛ったのであろう。

また、神社では元服の式典があるというが対象の15歳の子供がいない。

盆踊りは丹生でもしていた。

「丹生はよいとこ 住みよいところ とってんしゃん とってんしゃん」と丹生音頭で踊った。

「喰うに困れば丹生へ行け」と囃したのはトノサマオドリ。

今ではゴウシュウ音頭だけになったそうだ。

お盆の時には「モチヌスミ」の風習があった。

8月13日の晩だ。

その日はガキダナを作って先祖さんを迎える。

ガキダナの底にはドロイモ(サトイモ)の葉を広げて皿にする。

その上にカキの葉に乗せたナスやマメのた(炊)いたん、ナツメ、キュウリに湯がいたソーメンを置く。

傍らにはチョマ(苧麻)で作った一膳の箸。

チョマは水に浸けて柔らかくする。

皮を剥いだら真っ白になる。

ガキダナは縁側近く、戸袋付近に置いて、その横にはタラミ(箕)に乗せたモチがある。

するとガキサンと呼ばれる子どもたちがモチ盗みに来る。

モチをたわらして(賜るが訛って、たばる、さらにたわると訛る)いたと話された。

モチの他には水で練った米粉のオチツキダンゴもあったそうだ。

(H22. 7. 7 EOS40D撮影)