マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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多の干瓢干し

2010年08月26日 07時33分34秒 | 民俗あれこれ(干す編)
多(おお)のカンピョウはとても美味しいと昔から言われていたそうだ。

かつては集落のあちこちでカンピョウ干しが行われていた。

広い庭をもつ家では庭内、門口やベランダで干していた。

農業を営む家も少なくなってカンピョウ干しは消えた。

今も集落の外で干しているのは2軒だという。

そのうちの一軒。

78歳になるOさんは畑で採れた干瓢の皮を剥いて干している。

家で食べる分だけ作っていると話す。

荒剥きをすれば白い肌が現れる干瓢。

それを先代のおじいさんが手作りされた刃で皮を剥く。



この道具はカンナと呼んでいる。

外側から内側へと剥いていく。

タネがある中心部は不要で捨てる。



大きな干瓢ではあるがそれほど多くはできない。

白いカンピョウはバケツの水に浸ける。

晒すというぐらいなのでサッと浸けてあげる。

ぬめりを取るのだという。

長細く剥いた白い皮はザルに置いてから干す。

干す巻き上げ機も手作りだ。

畑の垣根に使っていた棒に藁を巻いている。

棒の場合だと皮がへっぱりつくという。

引っ張ったらカンピョウはきれてしまう。

内側の部分は柔らかいのでそれでなくとも切れやすい。

朝、天気の良い日にカンピョウを干して夕方に取り入れる。

頂点には滑車があり、下から引っ張ると帆掛けのように上へあがっていく。

大きな干瓢を四つも皮を剥いたそうだ。

数日前まで雨の日が続いた梅雨月間。

それでも数日前は晴れた。

そのときも干した。



それを12度の保冷庫で管理していた。

そうでないと赤っぽくなるそうだ。

天日干ししたカンピョウはカラカラに乾き、梅雨が明けた青空に向けて真っ白い帯が輝いている。

(H22. 7.17 EOS40D撮影)